上官の命令により、病院における「いじめ調査」なるものを担当したことがある。潜入捜査(アンダーカバー)形式で口コミ情報をもとに、事実を暴いていく。
情報元として正確そうなのは、そうじのおばさん、卸業者、食堂のおいちゃんなど、<それとなく>通りがかる人々、<気がついたらそこにいる人々>だ。
彼らが素通りしたところに事件があれば、(数秒の間ながら)恐るべき五感を駆使してその場の情報をキャッチする。
ドクターやナースらの話は、たいてい自分本位のため信用できない。プライドが高いのだ。事務員の場合は情報で遊んでいる部分があり、誇大になりがちで偏りがち(現場を知りようもない)。
で、いじめの話に戻るが、僕は勝手に<スタンダップ>と呼んでいる。「あの人は異動してスタンダップされたようだ」というような具合。
いじめ・いやがらせの内容は、子供のそれより醜い。以下は氷山の一角だ。
・ ナース上司が自分を都合のいい勤務日・勤務帯に持って行く一方、部下を不利な組み合わせ、日程に持って行く。勤務表を決めるのは師長だから、当然師長に媚を売る人間が該当する。
・ 盗難事件などがあった場合、(陰で)特定の人間を犯人を決め付けて(本人には言わず)周囲から広めていく。
・ 病棟のナース上司が部下を(仲の悪い)外来に行かせ、戻ってきて(申し送り事項に関しての)徹底的な質問攻めにする。
・ 更衣室のナースサンダルを紛失させる。
・ ナースがヘルパーの仕事中に部屋に押し入り、作業を<のろい>とせかす。
・ 外来ナースが仲の悪い事務にカルテをなかなかまわさず(戻さず)、仕事の終了を遅らせる。
・ わざと患者の前で部下ナースを叱咤する。
・ とにかく徹底的に無視する。
・ 極限まで質問していく(ICUで多かった)。
・ 特定の個人の(とっくにうずもれたはずの)離婚歴・男歴・失敗歴などをバらす。
・ 更衣室の同僚の白衣を<汚す><切る>。
・ 自分の嫌いな部下ナースが、自分の仲のよかったドクターに特別扱されてると分かると、その部下ナースひいては双方を攻撃する。
・ 嫌いなナース・ヘルパーの後ろでドクターが(手洗いなどで)待ってると、物凄い剣幕でどかす。
おっと。これじゃナースの愚痴だな・・・。いったんここで切ろう。
ナースマンが増えても、病院は女の職場だ。女には、女なりの戦い方がある(妙に納得)。<ハゲタカ>の鷲津など、一瞬で消されてしまうだろう。
自分も何度か敵に回したが、それはもう怖いものであった・・・。