サーガマニュアル2007秋 C
2007年9月17日□ C型慢性肝炎 =C肝=シーカン
C型肝炎ウイルスが1989年発見と最近。戦後の輸血・医療行為が原因といわれており、そのため60歳代に多い。患者・医師に恐れられる理由は、将来おとなしく肝硬変・肝癌に進む可能性があるからだ。
特にALT(GPT)が高い場合は早期の治療を検討する必要がある。
治療に関してはインターフェロン治療が1992年に開始。3割が治癒できた。そのうちサブタイプ分類され、1(日本ではこれが7割も占める!)でウイルス量が100Kcopies/ml以上(日本ではグループ1の半数も!)の場合に限り難治性と考えられた。
そこでやっとというか2001年にはリバビリン+インターフェロン治療が認められ盛んに治療が行われたが、満足いくものではなかった。またインターフェロンの治療期間が24週(週3回)だったのに対し、2003年に週1回だけでいいタイプが登場した。ペグインターフェロンα-2aだ。リバビリンとの併用が認められたのはまだ2004年の話で、適応も<グループ1でウイルス量が100Kcopies/ml以上>と制限されている。治療効果は50%近くもある。しかし対象に60歳代が多いこともあり、治療の中断率は低くない。
※ 治療の目標はウイルス陰性化はもちろん、ALTの持続低値に集約される。
インターフェロンの副作用:うつ症状、脱毛も。発熱(必発)・関節痛はむしろ開始時のみ。
リバビリンの副作用:消化器症状(下痢など)、貧血。脳出血の指摘が以前あったが、これを発症した人は背景に高血圧・糖尿病があったという。なのでこの2つをもつ人は慎重に使用すべき。
□ Cペプチド ・・ インスリンの末端ペプチドで、これの量の大小がそのままインスリンの分泌の量をあらわす(インスリン分泌能の指標)。主に空腹時血中Cペプチド、24時間尿中Cペプチドとして測定され、前者が0.5ng/ml以下、後者が20μg/day以下であればインスリン依存状態と考えられる。
□ CA15-3 ・・ 乳癌の腫瘍マーカー。スクリーニング的に、CEAとセットで測定される。
□ CagA蛋白 ・・ ヘリコバクター・ピロリを構成する主要蛋白。これが胃の上皮細胞に入ると結果的に細胞の異常増殖、細胞運動性の亢進を引き起こし、胃癌の発生へとつながるとされ注目されている。
□ CBC ・・ 末梢血。白血球・赤血球・血小板を調べたもの。計測に血液が2cc必要。
□ Ca-antagonist(カルシウムアンタゴニスト)=カルシウム拮抗薬 ・・ 降圧剤で長い伝統をもつもの。中では「ジヒドロピリジン系」のノルバスクなどが1日1回型でよく売れている。アダラートLもまだ根強い。二バジ−ルは脳循環改善の作用が取り消されたがまだ根強い。
□ CEA ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 腺癌の腫瘍マーカー。喫煙で少し上昇することあり。測定を3ヶ月1回にとどめないと保険で切られる恐れあり。
? 頸部頸動脈内膜剥離術。頸動脈の内側にできた血栓は脳にとぶ危険がある。これを防ぐため全身麻酔下で外科的に切除する。最近は頸動脈ステント留置術=CASもあり、これの有効性は大規模試験中。
CEAのガイドラインは欧米のもので、日本独自の研究が進められている。
CEA術後には急激に大量の血行回復がみられるために、術後3-8日間はhyperperfusion syndromeが問題となる。最も多い症状は頭痛。脳内出血をきたす頻度は1%前後ではあるが、致死率が高いので血圧管理には十分配慮する。
□ CF ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 大腸内視鏡=コロンファイバー
? のう胞性線維症=cystic fibrosis ・・ 肺、膵臓、消化管など全身の外分泌臓器にみられうる疾患。欧米白人種に多く東洋人はまれ。常染色体劣性遺伝。臨床的にみられるのは、
・ 呼吸器病変の場合(ほぼ全例に認め、死因の95%) ・・ 難治性の下気道感染症、肺性心を伴う末期の呼吸不全。末梢の気道分泌液貯留から2次的に感染を起こす。ほぼ全例に副鼻腔炎を合併。
・ 膵臓病変の場合 ・・ 膵外分泌機能不全。膵酵素が欠損するので脂肪・蛋白の消化不良が生じて腹満・脂肪便をきたす。
・ 消化器病変の場合 ・・ 胎便イレウス。CF新生児の5-15%に生じる。回腸末端に好発。部分閉塞、完全閉塞もあり。
汗腺・気道の上皮細胞におけるCl-イオンの細胞外への透過性障害によるものと考えられている。もっと具体的にはCl-イオンチャネルCFTR(CF transmembrane conductance regulator)の機能障害に起因する。さらにこのCFTR遺伝子変異が注目されている。臨床所見よりCFが疑われた場合は汗中のCl-濃度測定を行うとともに、CFTR遺伝子変異の検索を行う。最近、マクロライド薬の有効性が世界で注目されている。
□ CD20抗体療法 ・・ B細胞の表面に特異的に発現するCD20陽性抗原に対する、抗体による治療。H15年9月よりCD20陽性リンパ腫に適応となる(物質名リツキシマブ。商品名リツキサン)。臓器病変合併のSLEへの応用(5例での検討)でも優秀な成績(いずれも数ヶ月で活動性をゼロまでもっていった)をあげており(2005年)、今後臨床試験が予定されている。
□ CHD ・・ 冠動脈疾患。
□ Circulation ・・ 日本語での直訳は「循環」。ここでは循環器の海外雑誌を指す。世界でトップレベルの論文がこれに毎月掲載される。院生の論文がいきなり載ることも珍しくない。
■ CKD=chronic kidney disease=慢性腎臓病
診断基準
? 「尿蛋白」や「腎臓の形態的変化」など腎臓に病気が存在する所見がある。または
? 糸球体濾過量(GFR)が60ml/min/1.73m2以下
※ このGFRはMDRDの簡易式(性・年齢・血清Cr値より)から求められる(日本独自の式ではない)。
が3か月以上続く病態
という、大ざっぱで無理のない基準となっている。大病院では受診が3か月毎が多いことを考えると実用的といえる。慢性透析患者は25万人おり、いっこうに増加に歯止めがかかってない。予後の悪い腎不全そのものを減らすためだけでなく、心血管系合併症(CVD)の予防も目的にある。
※ CVD=cardiovascular disease:腎機能低下するほど増加し、尿蛋白自体がCVDの予後因子とさえ言われている。
<病期分類>
ステージ1:腎機能は正常だが尿・病理・画像で異常所見がある。
ステージ2:軽度の腎機能低下(GFR 60-89)。この時点ですでに進行が予測されるので予防措置が必要。
ステージ3:中等度の腎機能低下(GFR 30-59)。合併症が顕在化してくる時期。それを意識した踏み込んだ検査が必要になる。
(以下は専門医紹介が望ましいとされている)
ステージ4:高度の腎機能低下(GFR 15-29)。透析・移植の準備段階。
ステージ5:腎不全期(GFR < 15)。透析・移植のタイミング待ち。
ただしここでいうGFRの測定をするためには2時間点滴の間に飲水・採血・採尿を30分おきにする必要があり、結局この分類は今のところ実用的でない。ただ評価・治療の位置づけとしては有用。
○ ESRD=end-stage renal disease(透析導入)へのリスク
・ 尿蛋白の陽性程度が高いほど導入の時期は当然早い。なお蛋白尿1+以上かつ尿潜血陽性の場合、10年間で約3%が透析導入されている事実がある(潜血も大事)。
・ 血圧が高いほど導入率は高くなる。
・ 加齢による腎機能低下のみでは(つまり年齢での補正を行ったGFR計算が正常なら)ESRDに至る例少ない。
・ 肥満(BMI)は特に男性で影響大。
○ CKD-MBD ・・ CKDによる骨ミネラル代謝異常。
□ CL=コンタクトレンズ
□ CO中毒
・ 火災事故、炭・練炭の不完全燃焼、排気ガスなど。年間2000名前後が死亡しておりほとんどが火災。
・ COは酸素の200倍以上の親和性で血中Hbと結合しCO-Hbを形成され、酸素運搬能が障害され、組織の低酸素化を招く。
・ CO-Hb濃度(COオキシメトリーで測定。10%以上で確定診断)が10%を超えると中枢神経症状などの症状が出現してくる。10-20%では頭痛程度だが40%を超えると錯乱、重度の運動失調、呼吸促拍、50%超えると意識障害・チアノーゼ、60%で昏睡、70%で心肺停止。※ 喫煙者ではCO-Hbは10%程度を示す。
・ 間欠型CO中毒:急性期の意識障害からいったん回復して数日〜一ヶ月(5週間まではみておく必要あり)してから多彩な神経症状(失見当識、健忘、記憶障害、性格変化、尿失禁、錐体外路症状など)出現。全CO中毒の1割にみられる。
・ 動脈血で代謝性アシドーシスを呈し、特にBEは中毒の重症度を反映する。
・ 静脈血でヘマトクリット上昇、各種臓器障害所見。
・ 心電図では虚血の有無を確認。
・ CT/MRIにおける淡蒼球の低吸収域は初期にみられる所見として有名。
・ 意識清明では純酸素マスク吸入。意識障害では純酸素での人工呼吸管理。酸素投与はCO-Hb濃度が10%以下で症状消失まで行う。
□ COPD=慢性閉塞性肺疾患
2000年の調査では、わが国では700万人を越え、今や死亡原因の第10位で増加傾向。疫学診断(NICEスタディ)ではなんと95%以上が未診断・誤診されているという。
2004年の最新ガイドラインでは、『有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限』と定義されている。喫煙は発症リスクの80-90%を占める。
それまではCOPD=肺気腫+慢性気管支炎とされていたが、新しい定義では慢性気管支炎の名前がなくなっている。だがあくまでも定義の問題であって、慢性気管支炎(咳・痰が6ヶ月以上)という病態が肺気腫へとつながる病態であることに変わりはない。
肺気腫→肺をハチの巣に例えると、部屋の壁がボコボコに破壊されて部屋が融合しているような状態。部屋から外へ出る通路(気管支)も破壊され、外へ出にくい。なので痰がたまり、通路の傷の刺激で咳も頻回。何よりも息苦しい。
健診でこれを早期にとらえるためには胸部レントゲン・・では早期発見はまず無理。呼吸機能検査でスクリーニングして胸部CT(しかもHRCT)、という流れにしない限り難しいだろう。癌ではなくて喫煙・外因的な原因が多いため、早期発見しなければという危機感がドクター間には浸透していない。なのでせめて慢性喫煙患者は検査目的ででも、受診して受けるべき。
話が飛んだが、この病態は
? 気道の狭小化 ← 炎症細胞浸潤と、それによる分泌物貯留による。
? 肺の破壊性病変 ← 肺胞や気道壁を破壊することにより気流の移動が制限される(肺にとどまって出にくい)=気流制限。つまり気腫化の状態。
早期の変化として肺内での好中球活性化が注目されている。喫煙者は非喫煙者に比べて、好中球を活性化させるIL-8の増加、好中球から出る好中球エラスターゼの増加を認めることがそれを示唆している。また肺組織への障害の原因物質として二トロチロシンが挙げられている。これはNOの過剰産生によるものに由来し、さらにそれはi-NOS(誘導型NOS ※NOS=NO合成酵素 )の過剰発現によるとされる。このi-NOSの発現は1秒率に反比例する。つまりi-NOSが多いほど病態が進んでおり、これを利用した治療法が研究中。また気道抵抗を測定するIOS(impulse oscillation)という測定機器による治療効果判定が試みられている。CTではLAA%=low attenuation area=低吸収領域の肺野全体に対する面積比・・によって肺気腫の進行度を評価する試み(早期診断も研究中)もある。
治療以前の常識的課題としては、禁煙しないと話にならない、という点と効率的な呼吸リハビリにより肺の力をかなりまかなえるという点だ。
治療薬について。まず?〜?は気管支拡張による。
? 抗コリン薬 : 最近発売されたスピリーバは1日1回使用で24時間効果が続き、使いやすい。従来のは1日3回だった。常用量なら副作用はほとんどない。
? β2刺激薬 : 短時間型のメプチンエアーは効果自体は?に劣るが即効性では勝る。長時間型のサルメテロール(セレベント)は1回吸入で12時間効果が持続。
? メチルキサンチン : とくに末梢気道の拡張作用に優れ、肺の過膨脹を減少させ労作時息切れを改善。
?・?は吸入で、常用量なら副作用はほぼない。ただβ2刺激剤による動悸の副作用はときどき耳にする。?は高齢者では不整脈の副作用の心配があり、できれば控えたい。
? 吸入グルココルチコイド : 長期連用することで病勢を遅らせるような長期的効果はない。むしろ長期使用でステロイドミオパチー(蛋白異化、カリウム低下による筋力低下)による呼吸筋の筋力低下が心配だ。このように否定的な見解が多いが、2000年の報告では吸入ステロイドが増悪の機会を減らしたという、いい報告も認めた。なお欧米ではβ2と吸入ステロイドの合剤が使用され始めた。日本では数年後待たなければならない。
? 喀痰調整薬 : この薬に関しては大規模な臨床試験などなく、症状緩和のために処方される。ただし2001年の小さな検討では投与したほうが増悪の回数と罹病期間が少なかったと報告された。
? マクロライド系長期投与 : 実際の現場でけっこう処方される。もちろん緑膿菌に対しての意味合いが強いが、統計的にこの薬剤がCOPDそのものに長期的に有効とまでは証明されてはいない。
タバコが最大の原因だが、それ以外にも加齢、気道過敏性(喘息)も関与する。さらに注目されている原因の1つが<アデノウイルス潜在感染仮説>というものだ。これは。小児期にアデノウイルスの初期遺伝子(E1A遺伝子)が潜在的に取り込まれ、喫煙にさらされることで肺の気腫化が進むというもの。
□ CO2ナルコーシス ・・ 肺気腫に多いが、血液中の二酸化炭素が過剰に増えた状態。これにより自ら呼吸そのものに抑制がかかり、ひどいと呼吸が停止する。酸素を大量に吸わせると余計悪くなる。
□ compromised host(コンプロマイズド・ホスト)=易感染者、つまり高齢者や何らかの持病を持っていて免疫能が低下している患者。
□ COX-2阻害剤 ・・ 細胞のCOX-1、COX-2のうち炎症部位に発現するCOX-2のほうを抑制することで副作用(胃腸障害)の軽減を目的とした抗炎症剤。痛み止めを主目的に使用され、ハイペン、モービックが処方されている。大腸ポリープの癌化抑制効果も売り物であったが、欧米の<ロフェコキシブ>で心筋梗塞や脳梗塞をかえって増加させるという報告が相次いであり、そのあとの検討でもネガティブな報告が山積み。日本でのニュースは一時的で危機感が少ない。欧米ではこれを受けてロフェコキシブが市場から撤退した。
□ CPK ・・ 筋肉由来の酵素。骨格筋・心筋など。心臓マッサージ後、運動後も上昇するので注意。例文)「メバロチン内服して筋肉痛があったら・・CPKを確認だ!」
□ CPK-MB ・・ 心臓の心筋に特異的な物質。血液検査の1項目。緊急で計れる病院とそうでない病院があるので要注意。心筋梗塞や心筋炎で上昇する。
□ CRP ・・ 炎症反応。通常は陰性。肺炎・肝炎などのほか悪性腫瘍など、炎症を起こす病気全てで上昇する。病気の進行度・治療の効果判定などに使用される。発熱があってもなぜかCRPが上がらない、というのはSLEを疑う根拠に(赤沈は促進)。
□ CRT=cardiac resynchronization therapy=心臓再動期療法 ・・ ?心臓の両心室を同時にペーシング(両心室ペースメーカー)+?至適AV間隔の設定、によって、収縮の同期性を高める。重症心不全の治療の選択肢の1つで、2003年5月より薬事承認。ガイドライン適応は、NYHA ?/?度、QRS幅>130ms、左室駆出率35%以下の重症心不全となっているが、心室のdys-synchrony(右心室と左心室の動きのズレ)の程度を評価して適応を決めようという試みがされている。刺激の出るリードは当然2本必要で、1本は右心室心尖部でもう1本は冠状静脈洞に留置(冠静脈穿孔が0.5-数%)。これにより中隔側と左室自由壁から左心室を挟み込む形で、同時にペーシングを行う。血行動態が安定化し、なかでも血圧の上昇が顕著だという。エビデンス的には、「6ヵ月後の死亡・入院リスクが40%減少した」という北米の二重盲検<MIRACLE試験>が有名。
ただし心室細動・心室頻拍など致死的不整脈を予防するほどの効果があるわけではなく、これに対して除細動機を付加したものをCRT-Dが最近承認された。欧米では既に良好な成績が報告されている(日本ではH18.7月に承認されたばかり)。
□ CT ・・ トンネルを自動でくぐるだけで取れる輪切り写真。悪性腫瘍診断には造影でのCTが欠かせない。造影は腎機能障害、造影剤アレルギーの有無に要注意。
□ CTD-PH=膠原病合併肺高血圧 ・・ なかでもMCTDへの合併が最多(7%に肺高血圧が合併)。膠原病全体的に、中でも20-30代女性に特に多い。突然死・心不全がみられることがあり、これは肺血管抵抗の急激な上昇による。※PHのところも参照を。
□ CTO ・・ 冠動脈の完全閉塞。「Total occlusion(トータル・オクルージョン)」とも表現される。
C型肝炎ウイルスが1989年発見と最近。戦後の輸血・医療行為が原因といわれており、そのため60歳代に多い。患者・医師に恐れられる理由は、将来おとなしく肝硬変・肝癌に進む可能性があるからだ。
特にALT(GPT)が高い場合は早期の治療を検討する必要がある。
治療に関してはインターフェロン治療が1992年に開始。3割が治癒できた。そのうちサブタイプ分類され、1(日本ではこれが7割も占める!)でウイルス量が100Kcopies/ml以上(日本ではグループ1の半数も!)の場合に限り難治性と考えられた。
そこでやっとというか2001年にはリバビリン+インターフェロン治療が認められ盛んに治療が行われたが、満足いくものではなかった。またインターフェロンの治療期間が24週(週3回)だったのに対し、2003年に週1回だけでいいタイプが登場した。ペグインターフェロンα-2aだ。リバビリンとの併用が認められたのはまだ2004年の話で、適応も<グループ1でウイルス量が100Kcopies/ml以上>と制限されている。治療効果は50%近くもある。しかし対象に60歳代が多いこともあり、治療の中断率は低くない。
※ 治療の目標はウイルス陰性化はもちろん、ALTの持続低値に集約される。
インターフェロンの副作用:うつ症状、脱毛も。発熱(必発)・関節痛はむしろ開始時のみ。
リバビリンの副作用:消化器症状(下痢など)、貧血。脳出血の指摘が以前あったが、これを発症した人は背景に高血圧・糖尿病があったという。なのでこの2つをもつ人は慎重に使用すべき。
□ Cペプチド ・・ インスリンの末端ペプチドで、これの量の大小がそのままインスリンの分泌の量をあらわす(インスリン分泌能の指標)。主に空腹時血中Cペプチド、24時間尿中Cペプチドとして測定され、前者が0.5ng/ml以下、後者が20μg/day以下であればインスリン依存状態と考えられる。
□ CA15-3 ・・ 乳癌の腫瘍マーカー。スクリーニング的に、CEAとセットで測定される。
□ CagA蛋白 ・・ ヘリコバクター・ピロリを構成する主要蛋白。これが胃の上皮細胞に入ると結果的に細胞の異常増殖、細胞運動性の亢進を引き起こし、胃癌の発生へとつながるとされ注目されている。
□ CBC ・・ 末梢血。白血球・赤血球・血小板を調べたもの。計測に血液が2cc必要。
□ Ca-antagonist(カルシウムアンタゴニスト)=カルシウム拮抗薬 ・・ 降圧剤で長い伝統をもつもの。中では「ジヒドロピリジン系」のノルバスクなどが1日1回型でよく売れている。アダラートLもまだ根強い。二バジ−ルは脳循環改善の作用が取り消されたがまだ根強い。
□ CEA ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 腺癌の腫瘍マーカー。喫煙で少し上昇することあり。測定を3ヶ月1回にとどめないと保険で切られる恐れあり。
? 頸部頸動脈内膜剥離術。頸動脈の内側にできた血栓は脳にとぶ危険がある。これを防ぐため全身麻酔下で外科的に切除する。最近は頸動脈ステント留置術=CASもあり、これの有効性は大規模試験中。
CEAのガイドラインは欧米のもので、日本独自の研究が進められている。
CEA術後には急激に大量の血行回復がみられるために、術後3-8日間はhyperperfusion syndromeが問題となる。最も多い症状は頭痛。脳内出血をきたす頻度は1%前後ではあるが、致死率が高いので血圧管理には十分配慮する。
□ CF ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 大腸内視鏡=コロンファイバー
? のう胞性線維症=cystic fibrosis ・・ 肺、膵臓、消化管など全身の外分泌臓器にみられうる疾患。欧米白人種に多く東洋人はまれ。常染色体劣性遺伝。臨床的にみられるのは、
・ 呼吸器病変の場合(ほぼ全例に認め、死因の95%) ・・ 難治性の下気道感染症、肺性心を伴う末期の呼吸不全。末梢の気道分泌液貯留から2次的に感染を起こす。ほぼ全例に副鼻腔炎を合併。
・ 膵臓病変の場合 ・・ 膵外分泌機能不全。膵酵素が欠損するので脂肪・蛋白の消化不良が生じて腹満・脂肪便をきたす。
・ 消化器病変の場合 ・・ 胎便イレウス。CF新生児の5-15%に生じる。回腸末端に好発。部分閉塞、完全閉塞もあり。
汗腺・気道の上皮細胞におけるCl-イオンの細胞外への透過性障害によるものと考えられている。もっと具体的にはCl-イオンチャネルCFTR(CF transmembrane conductance regulator)の機能障害に起因する。さらにこのCFTR遺伝子変異が注目されている。臨床所見よりCFが疑われた場合は汗中のCl-濃度測定を行うとともに、CFTR遺伝子変異の検索を行う。最近、マクロライド薬の有効性が世界で注目されている。
□ CD20抗体療法 ・・ B細胞の表面に特異的に発現するCD20陽性抗原に対する、抗体による治療。H15年9月よりCD20陽性リンパ腫に適応となる(物質名リツキシマブ。商品名リツキサン)。臓器病変合併のSLEへの応用(5例での検討)でも優秀な成績(いずれも数ヶ月で活動性をゼロまでもっていった)をあげており(2005年)、今後臨床試験が予定されている。
□ CHD ・・ 冠動脈疾患。
□ Circulation ・・ 日本語での直訳は「循環」。ここでは循環器の海外雑誌を指す。世界でトップレベルの論文がこれに毎月掲載される。院生の論文がいきなり載ることも珍しくない。
■ CKD=chronic kidney disease=慢性腎臓病
診断基準
? 「尿蛋白」や「腎臓の形態的変化」など腎臓に病気が存在する所見がある。または
? 糸球体濾過量(GFR)が60ml/min/1.73m2以下
※ このGFRはMDRDの簡易式(性・年齢・血清Cr値より)から求められる(日本独自の式ではない)。
が3か月以上続く病態
という、大ざっぱで無理のない基準となっている。大病院では受診が3か月毎が多いことを考えると実用的といえる。慢性透析患者は25万人おり、いっこうに増加に歯止めがかかってない。予後の悪い腎不全そのものを減らすためだけでなく、心血管系合併症(CVD)の予防も目的にある。
※ CVD=cardiovascular disease:腎機能低下するほど増加し、尿蛋白自体がCVDの予後因子とさえ言われている。
<病期分類>
ステージ1:腎機能は正常だが尿・病理・画像で異常所見がある。
ステージ2:軽度の腎機能低下(GFR 60-89)。この時点ですでに進行が予測されるので予防措置が必要。
ステージ3:中等度の腎機能低下(GFR 30-59)。合併症が顕在化してくる時期。それを意識した踏み込んだ検査が必要になる。
(以下は専門医紹介が望ましいとされている)
ステージ4:高度の腎機能低下(GFR 15-29)。透析・移植の準備段階。
ステージ5:腎不全期(GFR < 15)。透析・移植のタイミング待ち。
ただしここでいうGFRの測定をするためには2時間点滴の間に飲水・採血・採尿を30分おきにする必要があり、結局この分類は今のところ実用的でない。ただ評価・治療の位置づけとしては有用。
○ ESRD=end-stage renal disease(透析導入)へのリスク
・ 尿蛋白の陽性程度が高いほど導入の時期は当然早い。なお蛋白尿1+以上かつ尿潜血陽性の場合、10年間で約3%が透析導入されている事実がある(潜血も大事)。
・ 血圧が高いほど導入率は高くなる。
・ 加齢による腎機能低下のみでは(つまり年齢での補正を行ったGFR計算が正常なら)ESRDに至る例少ない。
・ 肥満(BMI)は特に男性で影響大。
○ CKD-MBD ・・ CKDによる骨ミネラル代謝異常。
□ CL=コンタクトレンズ
□ CO中毒
・ 火災事故、炭・練炭の不完全燃焼、排気ガスなど。年間2000名前後が死亡しておりほとんどが火災。
・ COは酸素の200倍以上の親和性で血中Hbと結合しCO-Hbを形成され、酸素運搬能が障害され、組織の低酸素化を招く。
・ CO-Hb濃度(COオキシメトリーで測定。10%以上で確定診断)が10%を超えると中枢神経症状などの症状が出現してくる。10-20%では頭痛程度だが40%を超えると錯乱、重度の運動失調、呼吸促拍、50%超えると意識障害・チアノーゼ、60%で昏睡、70%で心肺停止。※ 喫煙者ではCO-Hbは10%程度を示す。
・ 間欠型CO中毒:急性期の意識障害からいったん回復して数日〜一ヶ月(5週間まではみておく必要あり)してから多彩な神経症状(失見当識、健忘、記憶障害、性格変化、尿失禁、錐体外路症状など)出現。全CO中毒の1割にみられる。
・ 動脈血で代謝性アシドーシスを呈し、特にBEは中毒の重症度を反映する。
・ 静脈血でヘマトクリット上昇、各種臓器障害所見。
・ 心電図では虚血の有無を確認。
・ CT/MRIにおける淡蒼球の低吸収域は初期にみられる所見として有名。
・ 意識清明では純酸素マスク吸入。意識障害では純酸素での人工呼吸管理。酸素投与はCO-Hb濃度が10%以下で症状消失まで行う。
□ COPD=慢性閉塞性肺疾患
2000年の調査では、わが国では700万人を越え、今や死亡原因の第10位で増加傾向。疫学診断(NICEスタディ)ではなんと95%以上が未診断・誤診されているという。
2004年の最新ガイドラインでは、『有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限』と定義されている。喫煙は発症リスクの80-90%を占める。
それまではCOPD=肺気腫+慢性気管支炎とされていたが、新しい定義では慢性気管支炎の名前がなくなっている。だがあくまでも定義の問題であって、慢性気管支炎(咳・痰が6ヶ月以上)という病態が肺気腫へとつながる病態であることに変わりはない。
肺気腫→肺をハチの巣に例えると、部屋の壁がボコボコに破壊されて部屋が融合しているような状態。部屋から外へ出る通路(気管支)も破壊され、外へ出にくい。なので痰がたまり、通路の傷の刺激で咳も頻回。何よりも息苦しい。
健診でこれを早期にとらえるためには胸部レントゲン・・では早期発見はまず無理。呼吸機能検査でスクリーニングして胸部CT(しかもHRCT)、という流れにしない限り難しいだろう。癌ではなくて喫煙・外因的な原因が多いため、早期発見しなければという危機感がドクター間には浸透していない。なのでせめて慢性喫煙患者は検査目的ででも、受診して受けるべき。
話が飛んだが、この病態は
? 気道の狭小化 ← 炎症細胞浸潤と、それによる分泌物貯留による。
? 肺の破壊性病変 ← 肺胞や気道壁を破壊することにより気流の移動が制限される(肺にとどまって出にくい)=気流制限。つまり気腫化の状態。
早期の変化として肺内での好中球活性化が注目されている。喫煙者は非喫煙者に比べて、好中球を活性化させるIL-8の増加、好中球から出る好中球エラスターゼの増加を認めることがそれを示唆している。また肺組織への障害の原因物質として二トロチロシンが挙げられている。これはNOの過剰産生によるものに由来し、さらにそれはi-NOS(誘導型NOS ※NOS=NO合成酵素 )の過剰発現によるとされる。このi-NOSの発現は1秒率に反比例する。つまりi-NOSが多いほど病態が進んでおり、これを利用した治療法が研究中。また気道抵抗を測定するIOS(impulse oscillation)という測定機器による治療効果判定が試みられている。CTではLAA%=low attenuation area=低吸収領域の肺野全体に対する面積比・・によって肺気腫の進行度を評価する試み(早期診断も研究中)もある。
治療以前の常識的課題としては、禁煙しないと話にならない、という点と効率的な呼吸リハビリにより肺の力をかなりまかなえるという点だ。
治療薬について。まず?〜?は気管支拡張による。
? 抗コリン薬 : 最近発売されたスピリーバは1日1回使用で24時間効果が続き、使いやすい。従来のは1日3回だった。常用量なら副作用はほとんどない。
? β2刺激薬 : 短時間型のメプチンエアーは効果自体は?に劣るが即効性では勝る。長時間型のサルメテロール(セレベント)は1回吸入で12時間効果が持続。
? メチルキサンチン : とくに末梢気道の拡張作用に優れ、肺の過膨脹を減少させ労作時息切れを改善。
?・?は吸入で、常用量なら副作用はほぼない。ただβ2刺激剤による動悸の副作用はときどき耳にする。?は高齢者では不整脈の副作用の心配があり、できれば控えたい。
? 吸入グルココルチコイド : 長期連用することで病勢を遅らせるような長期的効果はない。むしろ長期使用でステロイドミオパチー(蛋白異化、カリウム低下による筋力低下)による呼吸筋の筋力低下が心配だ。このように否定的な見解が多いが、2000年の報告では吸入ステロイドが増悪の機会を減らしたという、いい報告も認めた。なお欧米ではβ2と吸入ステロイドの合剤が使用され始めた。日本では数年後待たなければならない。
? 喀痰調整薬 : この薬に関しては大規模な臨床試験などなく、症状緩和のために処方される。ただし2001年の小さな検討では投与したほうが増悪の回数と罹病期間が少なかったと報告された。
? マクロライド系長期投与 : 実際の現場でけっこう処方される。もちろん緑膿菌に対しての意味合いが強いが、統計的にこの薬剤がCOPDそのものに長期的に有効とまでは証明されてはいない。
タバコが最大の原因だが、それ以外にも加齢、気道過敏性(喘息)も関与する。さらに注目されている原因の1つが<アデノウイルス潜在感染仮説>というものだ。これは。小児期にアデノウイルスの初期遺伝子(E1A遺伝子)が潜在的に取り込まれ、喫煙にさらされることで肺の気腫化が進むというもの。
□ CO2ナルコーシス ・・ 肺気腫に多いが、血液中の二酸化炭素が過剰に増えた状態。これにより自ら呼吸そのものに抑制がかかり、ひどいと呼吸が停止する。酸素を大量に吸わせると余計悪くなる。
□ compromised host(コンプロマイズド・ホスト)=易感染者、つまり高齢者や何らかの持病を持っていて免疫能が低下している患者。
□ COX-2阻害剤 ・・ 細胞のCOX-1、COX-2のうち炎症部位に発現するCOX-2のほうを抑制することで副作用(胃腸障害)の軽減を目的とした抗炎症剤。痛み止めを主目的に使用され、ハイペン、モービックが処方されている。大腸ポリープの癌化抑制効果も売り物であったが、欧米の<ロフェコキシブ>で心筋梗塞や脳梗塞をかえって増加させるという報告が相次いであり、そのあとの検討でもネガティブな報告が山積み。日本でのニュースは一時的で危機感が少ない。欧米ではこれを受けてロフェコキシブが市場から撤退した。
□ CPK ・・ 筋肉由来の酵素。骨格筋・心筋など。心臓マッサージ後、運動後も上昇するので注意。例文)「メバロチン内服して筋肉痛があったら・・CPKを確認だ!」
□ CPK-MB ・・ 心臓の心筋に特異的な物質。血液検査の1項目。緊急で計れる病院とそうでない病院があるので要注意。心筋梗塞や心筋炎で上昇する。
□ CRP ・・ 炎症反応。通常は陰性。肺炎・肝炎などのほか悪性腫瘍など、炎症を起こす病気全てで上昇する。病気の進行度・治療の効果判定などに使用される。発熱があってもなぜかCRPが上がらない、というのはSLEを疑う根拠に(赤沈は促進)。
□ CRT=cardiac resynchronization therapy=心臓再動期療法 ・・ ?心臓の両心室を同時にペーシング(両心室ペースメーカー)+?至適AV間隔の設定、によって、収縮の同期性を高める。重症心不全の治療の選択肢の1つで、2003年5月より薬事承認。ガイドライン適応は、NYHA ?/?度、QRS幅>130ms、左室駆出率35%以下の重症心不全となっているが、心室のdys-synchrony(右心室と左心室の動きのズレ)の程度を評価して適応を決めようという試みがされている。刺激の出るリードは当然2本必要で、1本は右心室心尖部でもう1本は冠状静脈洞に留置(冠静脈穿孔が0.5-数%)。これにより中隔側と左室自由壁から左心室を挟み込む形で、同時にペーシングを行う。血行動態が安定化し、なかでも血圧の上昇が顕著だという。エビデンス的には、「6ヵ月後の死亡・入院リスクが40%減少した」という北米の二重盲検<MIRACLE試験>が有名。
ただし心室細動・心室頻拍など致死的不整脈を予防するほどの効果があるわけではなく、これに対して除細動機を付加したものをCRT-Dが最近承認された。欧米では既に良好な成績が報告されている(日本ではH18.7月に承認されたばかり)。
□ CT ・・ トンネルを自動でくぐるだけで取れる輪切り写真。悪性腫瘍診断には造影でのCTが欠かせない。造影は腎機能障害、造影剤アレルギーの有無に要注意。
□ CTD-PH=膠原病合併肺高血圧 ・・ なかでもMCTDへの合併が最多(7%に肺高血圧が合併)。膠原病全体的に、中でも20-30代女性に特に多い。突然死・心不全がみられることがあり、これは肺血管抵抗の急激な上昇による。※PHのところも参照を。
□ CTO ・・ 冠動脈の完全閉塞。「Total occlusion(トータル・オクルージョン)」とも表現される。
サーガマニュアル2007秋 D E F
2007年9月17日□ DC=バージョン=電気ショック=除細動(器)=電気的除細動 ・・ 電気ショック、あるいはそれに使われる器具。
□ DCA=directional coronary atherectomy=方向型アテレクトミー ・・ 冠動脈内の血栓を、カテーテルを通して入れたカッターでそぎ落とし回収する。
□ DES=Drug-eluting stent=薬剤溶出性ステント
従来のステント挿入後の慢性期再狭窄を解決するために新発売されたステント。冠動脈内の内膜増殖抑制剤が入っており、またこれを徐々に放出させる役割をもつポリマーが含まれる。
大きく分類すると2タイプあり。
?シロリムス(免疫抑制剤。商品名はCYPHER。2004年8月から保険適応)
?パクリタキセル(抗癌剤。商品名はTAXUS)
これらの臨床成績は良好で、再治療率が5%以下と驚異的だ。問題点としては・・高価であること、長期の抗血小板剤投与が必要なこと、それと新しいデバイスなので長期予後的なデータがないことだ(3ヵ月後以降は結局従来ステントと同じ再狭窄率、という嘆かわしいデータあり。ポリマーのせいとされ改良努力中)。このため様子をみている臨床医も多い。まなお留置するステントが複数で並ぶ場合、ステント間に隙間を作らず長く連続した留置がベターとされている。
□ DHEA補充療法 ・・ DHEAは性ステロイド(エストロゲン、テストステロン)の前段階ホルモン。副腎・性腺で産生され、男女とも6,7歳より増加、13-25歳まで高値が続き、加齢とともに減少。長寿例に高値が多く、長生きの指標とされている。実際これが動脈硬化や糖尿病などに有益であることはすでに証明されている。アメリカでは市販されていて連日内服という形で補充する。日本での発売はデータが乏しく困難。だが最近話題のメタボリックシンドロームへの応用の価値はあると思われ、特にインスリン抵抗性改善というデータは信頼性が高いので、今後特にそちらでの応用が望まれている。
□ DIC=播種性血管内凝固症候群 ・・ 重症化した病態。感染などの疾患が悪化し血液中の凝固システムが反応しあちこちに凝血塊を作り、さらにそれを溶かすための反応が亢進。出血傾向となる。
□ dizziness ・・ 動揺性めまい。横揺れ。船酔い様。
□ DIP ・・ 尿管結石診断のため、造影剤を点滴し、その尿路への流れを時間を追いながら写真に撮っていく検査。造影される尿管の途絶、また左右の尿管の見比べなどで診断。
□ direct (ダイレクト)PTCA ・・ AMIに対してすぐさま血栓溶解剤を使用せず、そのままカテーテル検査から始めること。
こちらのほうがPTCAの成績が優れている施設が多い。
□ DLST=薬剤リンパ球刺激テスト ・・ 薬剤とリンパ球の反応を、生体内でなくin vitroで検査し、生体内での?型アレルギー反応を評価しようというもの。ある検討では薬剤性肺炎の67%が陽性を示すとある。しかし信頼性には問題があり、偽陰性・偽陽性の問題、検査に使用する薬剤濃度の基準がない、検査時にステロイドが投与されている場合の影響などがある。しかも薬自身にリンパ球幼若活性があると検査そのものが陽性と出てしまうなどの問題も指摘されている。なので補助診断として扱うべき。
□ DOA=Death On Arrival=CPA=到着時死亡 ・・ 救急外来に搬入した時点で心肺停止状態の患者。
□ Dor手術 ・・ 心筋梗塞のために、左心室の壁がa-kinesis(全く動いてない)あるいはdys-kinesis(本来とは反対の動きをして協調性がなく、結果的に左心室が瘤のようにでかくなる)となった梗塞部分を除去。良好な成績。
□ DPB=Diffuse panbronchiolitis=びまん性汎細気管支炎
慢性的下気道疾患の代表。名前の通りで、両肺にびまん性に呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とする。症状は慢性気管支炎の症状(咳・痰)のほか労時息切れ、また高率に慢性副鼻腔炎を合併するので、<副鼻腔気管支症候群>の1つともされている。
なぜかアジア系に多く、実際HLAでは日本人でHLA-B54の頻度が高いほか、韓国ではHLA-A11との関連が強い。なのでHLA-A遺伝子座とHLA-B遺伝子座の間にDPBの疾患感受性を規定する遺伝子が存在すると考えられている。
本症は感染を繰り返しやすく、8割以上は緑膿菌が肺の中に定着する。診断は胸部CT(HRCTが望ましい。通常のCTでは見落とし危険あり)の肺野条件、末梢まで追える気管支の枝(つまり呼吸細気管支領域の慢性炎症である)のきめ細かな像。
さきほどの緑膿菌感染が問題となるが、マクロライド系長期投与が半数に奏功する(つまり半数が6ヶ月投与で菌が消失!この6ヶ月目が最大効果発現時期で、それ以後プラトーで効果を維持)。成績はよく、1985年以降の5年生存率データでは91.4%と明らかに予後を改善する。緑膿菌の<バイオフィルム・・・菌が多糖類、アルギン酸産生して集落形成、さらにフィブリン・血清成分などが蓄積したネバイ塊で、コレが気道の繊毛運動をジャマして結果痰が出にくくなる>形成を抑制するからだそうだ。
□ drug fever=薬物熱 ・・ 文字通り、薬物によるアレルギーによる熱発。不明熱のときの鑑別診断の1つとして、やり玉に挙げられる。
□ due to ・・ = ・・のせいで、・・が原因で
□ E型肝炎
1本鎖RNAウイルスであるE型肝炎ウイルス=HEVによる肝炎。
4つのサブタイプがあり劇症肝炎は4型に多い。持続感染しないので慢性肝炎・肝硬変は起こさないが、劇症肝炎を起こす可能性があるわけだ。経口感染という点ではA型肝炎と似るが、A型と違って流行性・季節性があまりないのが異なる。
動物、特にブタ肉の摂食による感染が多い。日本では北海道・東北(特に岩手)に多く、国外では中国・インドなどアジア諸国に多いが理由は不明。というのはそれ以外の地域でもそれに感染しているブタがかなりいるからである。1979年-2005年1月の調査で、感染人数は193人。いずれにしても豚肉を生焼けでは食べず火をよく通そう。
潜伏期間は平均6週間(2-9週)で海外渡航歴も重要。HEV-IgM抗体の検出を行うが、陽性だとしても感染既往か感染中なのか意義づけがよく分かってない。HEV-RNAの測定でより確実な診断に近づくが、血液中には2週間しか出てこないので測定するのが遅いと見逃してしまう可能性あり。これら2つの検査は非保険適応。
現時点ではこれといった治療法はなし。
□ EBウイルス関連胃癌 ・・ EBウイルス(2本鎖DNAウイルス)に感染した上皮細胞が増殖した腫瘍で、胃癌の1割弱を占める。男性に多いが年齢差はない。好発部位は噴門〜胃体部。転移の頻度は低い。
・ 組織像 : 低〜中分化型腺癌の像、リンパ球浸潤(CD8陽性主体)
・ 内視鏡所見 : 表面陥凹、境界不明瞭で分厚い病変が多い
□ EBM(Evidence-Based Medicine)=科学的根拠に基づく医療 ・・ 統計学的に蓄積されたデータから、治療の方針を決めようというもの。発想としては医学にプラスになるものだったが、結局は医薬品会社の薬の宣伝目的にすぎず、一時のブームに終わった。上述の「ガイドライン」と同様、国や会社の利益の介入がある限り、臨床医はそのまま受け入れるべきではない。
■ EGFR(上皮細胞成長因子受容体)遺伝子変異 ・・ EGFRのチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であるゲフィニチブ(イレッサ)やerlotinibの奏功率を左右する因子として注目。これには4つの臨床背景が指摘されている→?アジア人種>非アジア、?女性>男性、?非喫煙者>喫煙者、?腺癌>非腺癌 。ただ、変異がなくても治療奏功例は存在するので、治療適応を遺伝子変異群にしぼるべきではないともいわれている。あと盲点として間質性肺炎のリスクも投与前の評価として重要となる。
□ EMR=内視鏡的粘膜切除術 ・・ 胃癌の中でも表層に限局してリンパ節転移がないものを対象とした、胃カメラ下での一括切除術。大きさ的には2センチ以下だが場合により3センチ以下も適応。
□ EPO=エリスロポイエチン ・・ 腎臓で産生されるホルモンで、赤血球を増加させる。赤血球造血目的のEPO製剤の適応は、CAPD(腹膜透析)施行中患者あるいは透析導入前の腎性貧血患者で、血清クレアチニン値2mg/dl以上、Ccr 30以下が保険適応となる。投与の目安はヘモグロビン値が10g/dl未満(ヘマトクリット値で30%未満)とする。なおヘモグロビン12g/dl、ヘマトクリット36%以上にまで上昇するなら休薬すること、となっている。
□ ERCP=内視鏡的逆行性胆管膵管造影 ・・ 胃カメラより長く太い側視鏡で行う造影。側視鏡は十二指腸下行脚の乳頭部まで余裕で届き、さらにそこから乳頭にワイヤー・カテーテルを入れて、胆道(C管)・膵管(P管)の造影を行う。
□ ERP=内視鏡的逆行性膵管造影。
□ ESD=endoscopic submucosal dissection=内視鏡的粘膜下層剥離術 ・・ 最近さかんな(H15あたりから)、EMRよりも適応の拡大した内視鏡下での早期胃癌治療法。まず癌の下の粘膜下層に生食などを局注して、病変部位を下から隆起させる。この病変の周囲を切開後、直接粘膜下層を剥離して腫瘍を一括切除する。従来法(EMR)に比べて穿孔・出血のリスクは高い。最近その合併頻度は減ってきているが、大腸の場合は粘膜が薄いため穿孔の率が高い(5-16%)。2006年3月より<早期胃癌>への保険適応となった。消化器外科ではなく、消化器内科の領域。
□ ESR=血沈=赤沈=赤血球沈降速度 ・・ 炎症所見の反映(1週間後)。DICで低下するほか、過粘度症候群(骨髄腫などでの)、フィブリノーゲン過剰症のスクリーニングに有用。
□ FBS ・・ 空腹時血糖。126を越えると無条件に「糖尿病」と診断される。
□ FiO2=吸入気酸素濃度 ・・ 鼻・口を通して肺へ送り出される酸素の濃さ。
○ 経鼻カニューラ:1リットルで24%、2リットルで28%、3で32%、4で36%、5で40%、6で44%。5リットル以下の場合0.2+0.03X(リットル)で計算される。
○ 酸素マスク:5-6リットルで40%、6-7リットル;で50%、7-8リットルで60%
○ リザーバマスク:6リットル;で60%、7リットルで70%、8リットルで80%、9リットルで90%、10リットルで99%。
□ flutter(フラッター) ・・ 通常は「心房粗動」をさす。心房細動に似ているが、「粗動」のほうが血行動態が不安定。
□ FM=fibromyalgia =線維筋痛症 ・・ 全身の慢性疼痛・朝増強のこわばりが中心で、疲労感・抑うつ・睡眠障害などを呈する原因不明のリウマチ性疾患。
診察・検査でこれといったものがない。命にはかかわりないが長期に渡る例が多く、ADL.QOLを大いに落とす。
・ 米国で全人口の2%で本邦もそれくらいと言われており、決してまれな疾患ではない。
・ 原因は不明。
・ ストレス・天候に左右されること多い。
・ 全年齢で起こりうるが55-65歳がピーク。
・ 家族例が存在する(4.1%)。
・ 半数は感冒様症状に引き続いて発症する。
・ 抗ポリマー抗体が47%に陽性となり注目されている。
・ 一次性:2次性=3:1で、二次性にはリウマチ性疾患が多くRAの12%にFMを合併する。
・ 治療 ・・ 睡眠の調整、有酸素運動が基本で内服は三環型あるいはSSRI。NSAID・ステロイドは無効。根治療法はない。
□ FN=Febrile Neutropenia=発熱性好中球減少症 ・・ 造血器腫瘍(たとえば白血病)に多く認める、発熱(1回の検温で38℃以上、あるいは37.5℃が1時間以上持続する)+好中球減少(500/mm3未満、あるいは1000/mm3未満であるが500/mm3未満への減少が予測される場合)で定義されている。起炎菌が不明のことが多く致死的となりやすい。リスク(日本では、リスク評価としてのMASCCスコアはあまり普及しておらず主観に基づくことが多い)の高低に応じて、抗生剤を経口〜注射単剤〜注射2剤併用などに使い分け、培養結果を待ちつつ投与3-5日後に評価する。この場合発熱が続いていても全身状態安定していれば継続治療でもよいとガイドライン(2003年版)にある。
□ FOY(メシル酸ガベキサート) ・・ 蛋白分解酵素阻害薬。急性膵炎・DICのときに使用。単独投与が原則で24時間持続投与。
□ DCA=directional coronary atherectomy=方向型アテレクトミー ・・ 冠動脈内の血栓を、カテーテルを通して入れたカッターでそぎ落とし回収する。
□ DES=Drug-eluting stent=薬剤溶出性ステント
従来のステント挿入後の慢性期再狭窄を解決するために新発売されたステント。冠動脈内の内膜増殖抑制剤が入っており、またこれを徐々に放出させる役割をもつポリマーが含まれる。
大きく分類すると2タイプあり。
?シロリムス(免疫抑制剤。商品名はCYPHER。2004年8月から保険適応)
?パクリタキセル(抗癌剤。商品名はTAXUS)
これらの臨床成績は良好で、再治療率が5%以下と驚異的だ。問題点としては・・高価であること、長期の抗血小板剤投与が必要なこと、それと新しいデバイスなので長期予後的なデータがないことだ(3ヵ月後以降は結局従来ステントと同じ再狭窄率、という嘆かわしいデータあり。ポリマーのせいとされ改良努力中)。このため様子をみている臨床医も多い。まなお留置するステントが複数で並ぶ場合、ステント間に隙間を作らず長く連続した留置がベターとされている。
□ DHEA補充療法 ・・ DHEAは性ステロイド(エストロゲン、テストステロン)の前段階ホルモン。副腎・性腺で産生され、男女とも6,7歳より増加、13-25歳まで高値が続き、加齢とともに減少。長寿例に高値が多く、長生きの指標とされている。実際これが動脈硬化や糖尿病などに有益であることはすでに証明されている。アメリカでは市販されていて連日内服という形で補充する。日本での発売はデータが乏しく困難。だが最近話題のメタボリックシンドロームへの応用の価値はあると思われ、特にインスリン抵抗性改善というデータは信頼性が高いので、今後特にそちらでの応用が望まれている。
□ DIC=播種性血管内凝固症候群 ・・ 重症化した病態。感染などの疾患が悪化し血液中の凝固システムが反応しあちこちに凝血塊を作り、さらにそれを溶かすための反応が亢進。出血傾向となる。
□ dizziness ・・ 動揺性めまい。横揺れ。船酔い様。
□ DIP ・・ 尿管結石診断のため、造影剤を点滴し、その尿路への流れを時間を追いながら写真に撮っていく検査。造影される尿管の途絶、また左右の尿管の見比べなどで診断。
□ direct (ダイレクト)PTCA ・・ AMIに対してすぐさま血栓溶解剤を使用せず、そのままカテーテル検査から始めること。
こちらのほうがPTCAの成績が優れている施設が多い。
□ DLST=薬剤リンパ球刺激テスト ・・ 薬剤とリンパ球の反応を、生体内でなくin vitroで検査し、生体内での?型アレルギー反応を評価しようというもの。ある検討では薬剤性肺炎の67%が陽性を示すとある。しかし信頼性には問題があり、偽陰性・偽陽性の問題、検査に使用する薬剤濃度の基準がない、検査時にステロイドが投与されている場合の影響などがある。しかも薬自身にリンパ球幼若活性があると検査そのものが陽性と出てしまうなどの問題も指摘されている。なので補助診断として扱うべき。
□ DOA=Death On Arrival=CPA=到着時死亡 ・・ 救急外来に搬入した時点で心肺停止状態の患者。
□ Dor手術 ・・ 心筋梗塞のために、左心室の壁がa-kinesis(全く動いてない)あるいはdys-kinesis(本来とは反対の動きをして協調性がなく、結果的に左心室が瘤のようにでかくなる)となった梗塞部分を除去。良好な成績。
□ DPB=Diffuse panbronchiolitis=びまん性汎細気管支炎
慢性的下気道疾患の代表。名前の通りで、両肺にびまん性に呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とする。症状は慢性気管支炎の症状(咳・痰)のほか労時息切れ、また高率に慢性副鼻腔炎を合併するので、<副鼻腔気管支症候群>の1つともされている。
なぜかアジア系に多く、実際HLAでは日本人でHLA-B54の頻度が高いほか、韓国ではHLA-A11との関連が強い。なのでHLA-A遺伝子座とHLA-B遺伝子座の間にDPBの疾患感受性を規定する遺伝子が存在すると考えられている。
本症は感染を繰り返しやすく、8割以上は緑膿菌が肺の中に定着する。診断は胸部CT(HRCTが望ましい。通常のCTでは見落とし危険あり)の肺野条件、末梢まで追える気管支の枝(つまり呼吸細気管支領域の慢性炎症である)のきめ細かな像。
さきほどの緑膿菌感染が問題となるが、マクロライド系長期投与が半数に奏功する(つまり半数が6ヶ月投与で菌が消失!この6ヶ月目が最大効果発現時期で、それ以後プラトーで効果を維持)。成績はよく、1985年以降の5年生存率データでは91.4%と明らかに予後を改善する。緑膿菌の<バイオフィルム・・・菌が多糖類、アルギン酸産生して集落形成、さらにフィブリン・血清成分などが蓄積したネバイ塊で、コレが気道の繊毛運動をジャマして結果痰が出にくくなる>形成を抑制するからだそうだ。
□ drug fever=薬物熱 ・・ 文字通り、薬物によるアレルギーによる熱発。不明熱のときの鑑別診断の1つとして、やり玉に挙げられる。
□ due to ・・ = ・・のせいで、・・が原因で
□ E型肝炎
1本鎖RNAウイルスであるE型肝炎ウイルス=HEVによる肝炎。
4つのサブタイプがあり劇症肝炎は4型に多い。持続感染しないので慢性肝炎・肝硬変は起こさないが、劇症肝炎を起こす可能性があるわけだ。経口感染という点ではA型肝炎と似るが、A型と違って流行性・季節性があまりないのが異なる。
動物、特にブタ肉の摂食による感染が多い。日本では北海道・東北(特に岩手)に多く、国外では中国・インドなどアジア諸国に多いが理由は不明。というのはそれ以外の地域でもそれに感染しているブタがかなりいるからである。1979年-2005年1月の調査で、感染人数は193人。いずれにしても豚肉を生焼けでは食べず火をよく通そう。
潜伏期間は平均6週間(2-9週)で海外渡航歴も重要。HEV-IgM抗体の検出を行うが、陽性だとしても感染既往か感染中なのか意義づけがよく分かってない。HEV-RNAの測定でより確実な診断に近づくが、血液中には2週間しか出てこないので測定するのが遅いと見逃してしまう可能性あり。これら2つの検査は非保険適応。
現時点ではこれといった治療法はなし。
□ EBウイルス関連胃癌 ・・ EBウイルス(2本鎖DNAウイルス)に感染した上皮細胞が増殖した腫瘍で、胃癌の1割弱を占める。男性に多いが年齢差はない。好発部位は噴門〜胃体部。転移の頻度は低い。
・ 組織像 : 低〜中分化型腺癌の像、リンパ球浸潤(CD8陽性主体)
・ 内視鏡所見 : 表面陥凹、境界不明瞭で分厚い病変が多い
□ EBM(Evidence-Based Medicine)=科学的根拠に基づく医療 ・・ 統計学的に蓄積されたデータから、治療の方針を決めようというもの。発想としては医学にプラスになるものだったが、結局は医薬品会社の薬の宣伝目的にすぎず、一時のブームに終わった。上述の「ガイドライン」と同様、国や会社の利益の介入がある限り、臨床医はそのまま受け入れるべきではない。
■ EGFR(上皮細胞成長因子受容体)遺伝子変異 ・・ EGFRのチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であるゲフィニチブ(イレッサ)やerlotinibの奏功率を左右する因子として注目。これには4つの臨床背景が指摘されている→?アジア人種>非アジア、?女性>男性、?非喫煙者>喫煙者、?腺癌>非腺癌 。ただ、変異がなくても治療奏功例は存在するので、治療適応を遺伝子変異群にしぼるべきではないともいわれている。あと盲点として間質性肺炎のリスクも投与前の評価として重要となる。
□ EMR=内視鏡的粘膜切除術 ・・ 胃癌の中でも表層に限局してリンパ節転移がないものを対象とした、胃カメラ下での一括切除術。大きさ的には2センチ以下だが場合により3センチ以下も適応。
□ EPO=エリスロポイエチン ・・ 腎臓で産生されるホルモンで、赤血球を増加させる。赤血球造血目的のEPO製剤の適応は、CAPD(腹膜透析)施行中患者あるいは透析導入前の腎性貧血患者で、血清クレアチニン値2mg/dl以上、Ccr 30以下が保険適応となる。投与の目安はヘモグロビン値が10g/dl未満(ヘマトクリット値で30%未満)とする。なおヘモグロビン12g/dl、ヘマトクリット36%以上にまで上昇するなら休薬すること、となっている。
□ ERCP=内視鏡的逆行性胆管膵管造影 ・・ 胃カメラより長く太い側視鏡で行う造影。側視鏡は十二指腸下行脚の乳頭部まで余裕で届き、さらにそこから乳頭にワイヤー・カテーテルを入れて、胆道(C管)・膵管(P管)の造影を行う。
□ ERP=内視鏡的逆行性膵管造影。
□ ESD=endoscopic submucosal dissection=内視鏡的粘膜下層剥離術 ・・ 最近さかんな(H15あたりから)、EMRよりも適応の拡大した内視鏡下での早期胃癌治療法。まず癌の下の粘膜下層に生食などを局注して、病変部位を下から隆起させる。この病変の周囲を切開後、直接粘膜下層を剥離して腫瘍を一括切除する。従来法(EMR)に比べて穿孔・出血のリスクは高い。最近その合併頻度は減ってきているが、大腸の場合は粘膜が薄いため穿孔の率が高い(5-16%)。2006年3月より<早期胃癌>への保険適応となった。消化器外科ではなく、消化器内科の領域。
□ ESR=血沈=赤沈=赤血球沈降速度 ・・ 炎症所見の反映(1週間後)。DICで低下するほか、過粘度症候群(骨髄腫などでの)、フィブリノーゲン過剰症のスクリーニングに有用。
□ FBS ・・ 空腹時血糖。126を越えると無条件に「糖尿病」と診断される。
□ FiO2=吸入気酸素濃度 ・・ 鼻・口を通して肺へ送り出される酸素の濃さ。
○ 経鼻カニューラ:1リットルで24%、2リットルで28%、3で32%、4で36%、5で40%、6で44%。5リットル以下の場合0.2+0.03X(リットル)で計算される。
○ 酸素マスク:5-6リットルで40%、6-7リットル;で50%、7-8リットルで60%
○ リザーバマスク:6リットル;で60%、7リットルで70%、8リットルで80%、9リットルで90%、10リットルで99%。
□ flutter(フラッター) ・・ 通常は「心房粗動」をさす。心房細動に似ているが、「粗動」のほうが血行動態が不安定。
□ FM=fibromyalgia =線維筋痛症 ・・ 全身の慢性疼痛・朝増強のこわばりが中心で、疲労感・抑うつ・睡眠障害などを呈する原因不明のリウマチ性疾患。
診察・検査でこれといったものがない。命にはかかわりないが長期に渡る例が多く、ADL.QOLを大いに落とす。
・ 米国で全人口の2%で本邦もそれくらいと言われており、決してまれな疾患ではない。
・ 原因は不明。
・ ストレス・天候に左右されること多い。
・ 全年齢で起こりうるが55-65歳がピーク。
・ 家族例が存在する(4.1%)。
・ 半数は感冒様症状に引き続いて発症する。
・ 抗ポリマー抗体が47%に陽性となり注目されている。
・ 一次性:2次性=3:1で、二次性にはリウマチ性疾患が多くRAの12%にFMを合併する。
・ 治療 ・・ 睡眠の調整、有酸素運動が基本で内服は三環型あるいはSSRI。NSAID・ステロイドは無効。根治療法はない。
□ FN=Febrile Neutropenia=発熱性好中球減少症 ・・ 造血器腫瘍(たとえば白血病)に多く認める、発熱(1回の検温で38℃以上、あるいは37.5℃が1時間以上持続する)+好中球減少(500/mm3未満、あるいは1000/mm3未満であるが500/mm3未満への減少が予測される場合)で定義されている。起炎菌が不明のことが多く致死的となりやすい。リスク(日本では、リスク評価としてのMASCCスコアはあまり普及しておらず主観に基づくことが多い)の高低に応じて、抗生剤を経口〜注射単剤〜注射2剤併用などに使い分け、培養結果を待ちつつ投与3-5日後に評価する。この場合発熱が続いていても全身状態安定していれば継続治療でもよいとガイドライン(2003年版)にある。
□ FOY(メシル酸ガベキサート) ・・ 蛋白分解酵素阻害薬。急性膵炎・DICのときに使用。単独投与が原則で24時間持続投与。
サーガマニュアル2007秋 G H I
2007年9月17日□ G-CSF製剤 ・・ 白血球のうち特に好中球を増加させるための注射。白血病や抗癌剤の投与後によく用いられる。
□ G-I=G-I療法=グルコース・インスリン療法 ・・ インスリンによるグルコース(糖)の取り込みがカリウムの取り込みも兼ねることを利用して、高カリウム血症の治療の1つとして行われる。具体的には10%TZ 500mlに対してレギュラーインスリン(速効性。名称に「R」がついてるもの、たとえばノボリンRやヒューマリンRなど)10単位を混注して2-3時間投与。
□ GERD=胃食道逆流症 ・・ 胃→食道への逆流により食道の粘膜が傷害され、?胸焼けや呑酸などの症状(日本の定義では週に2回以上の胸やけ症状)、?下部食道粘膜の傷害所見(びらん・潰瘍)のうちの1つまたは2つがあれば上記と診断。なので内視鏡が正常でも症状だけ陽性のものもあり、この場合を内視鏡陰性逆流症または非びらん性逆流症といい、食道粘膜の知覚過敏が原因と考えられている。食道下部の筋肉である下部食道括約筋の逆流防止機構が一過性(高脂肪食、大量摂取)、または慢性的(高齢者に多い裂孔ヘルニア)に破綻するのが主な原因。合併症は出血、瘢痕狭窄、食道円柱上皮化生(もともとの扁平上皮が円柱上皮に置き換わる)。この食道円柱上皮化生に特殊腸上皮化生が起こったのがバレット食道(癌化あり)である。なお食道外症状としては?呼吸器症状・・咳・喘息・反復気道感染、?耳鼻科的症状・・咽頭・喉頭違和感、耳痛、?非心臓性胸痛(一見狭心症だが検査は正常)。
治療
? GER(食道内逆流)の抑制・・・腹腔鏡による噴門形成術、薬剤によるLES圧弛緩抑制
? 酸の抑制 ・・ PPI>H2受容体拮抗薬。いずれも中断で再発。
■ GIST=Gastrointestinal stromal tumor=消化管間質腫瘍 ・・ 間質は粘膜の下。そこで発生する腫瘍で健診(胃)での無症状発見が多く、ほっとくと悪性化の可能性あり。
どの消化管でもみられ、胃が50-60%と最多で次いで小腸(20-30%)。治療は外科切除。
以前はサイズで切除の基準を考慮していたが小さくても転移ありうる。小サイズは内視鏡での生検は困難だがEUS-FNAB(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)により可能になった。だが2センチ以下だとこれでも難しいが悪性リスク小さいため経過観察となる。
なお転移・播種がある場合は分子標的薬の経口投与が行われる。
□ Gitelman症候群 ・・ 遺伝性の尿細管疾患、の1つ。接合部尿細管の機能障害による。思春期以降に発症し、軽度脱水、低マグネシウムによるテタニー頻回が特徴的。Bartter症候群との決定的違いは、尿中カルシウムの排泄減少である。遺伝子解析中。
□ GLP-1=glucagon-like peptide-1 ・・ 消化管粘膜のL細胞で産生・分泌され、膵臓β細胞からのインスリン分泌を増強。この増強力はグルコース依存性、つまり血糖の各値に応じた量が分泌されるので、低血糖を来たしにくい。それだけでなくβ細胞の増殖・分化促進、アポトーシス制御などおいしい作用もある。このほかグルカゴン分泌抑制作用もあり(これもグルコース依存性)血糖上昇を抑えてくれる。SU剤もβ細胞からのインスリン分泌を増加させるが体重増加が問題。GLP-1のほうは食欲・摂取抑制作用もあってそれを来たさない。臨床への応用はまだ。
□ GK治療=ガンマナイフ治療 ・・ ガンマ線ビームを目標の限局した領域(焦点部)に、集中的に当てる。焦点部から外れると線量が急速に減弱するので正常組織への被曝が少なく、病巣のみ高い線量を当てれる。よって侵襲性が少なく全身状態が比較的悪い人でも可能だ。適応の実際は転移性の脳腫瘍が多く(3-6割で増加傾向。腫瘍境界が明瞭で好適応)脳動静脈奇形や良性腫瘍など。なお病巣の最大長径は3センチ以下が望ましい。正常脳への影響を考えるなら(病巣が多くても)全脳照射でなくGK治療をすすめる考え方もある。
■ GOARN=global outbreak alert and response network=感染症危機対応グローバルネットワーク ・・ 2000年発足の感染症技術機関の集大成。感染症流行の際、ここを通じて専門家が派遣されるシステム。国際会議を定期的に行う。
今年の会合は・・もう終わった。http://www.med.tohoku.ac.jp/jimu/new/WHO.html
□ GOLD=Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease ・・ COPDの研究で活躍している世界的組織(2002年発足)。年に1回<COPDデー>なるものを設け、啓発のため各種イベント(街頭で呼吸機能検査の体験イベントなど)も行う。
□ Gyne(ギネ) ・・ 産婦人科
■ H5N1インフルエンザウイルス
A型インフルエンザウイルスの亜型で、東南アジアで流行が確認された鳥型インフルエンザの原因ウイルス。ヒトへの感染性獲得は20-40年周期で起こっていて(致死率60%:ARDSの病態)、今まさしく流行が予測される時期にある。
もしこれが流行すれば4人に1人が感染するものとして計算されている。
実際のヒトへの感染は、ほとんどが家禽類(ニワトリやアヒル)への直接接触によると考えられている。ヒトからヒトへの感染はよほど濃厚な接触がない限り起こり得ないとされている。ただヒト自体の感染が持続すれば、そのリスクはある。そうなると<世界規模の流行=パンデミック>となってもおかしくない。
厚生省は2006年6月にガイドラインhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/08.htmlを発表した。確定診断は咽頭からウイルスそのもの、またはPCRを検出すること。しかしこれでは時間がかかりすぎ実践的とはいえず(キット未発売)、早期の発見・治療は個々の医師がいかに早く発見できるかにある。
※ ウイルスは呼吸器系だけでなく、血中・便中からも検出されるのが特徴。
権威の意見によると、?呼吸器症状・発熱があって、?7日間さかのぼって流行地域に出かけたことがある、?そこで鳥に接触したことがある、の全てを満たす場合に疑いをもつべきとされる。
また、症状の悪化(風邪症状→呼吸困難かつレントゲンで全体的に間質性肺炎のような影が出現)が急速であることも参考にする。
あと、下痢が多くみられるのもH5N1の特徴である。
パンデミック対策としてはワクチン・抗ウイルス薬ということになるが、H5N1には少なくとも4つの異なる抗原タイプがあり、どれが今後流行するか予測できないため準備のしようがない。流行が始まって開発となると半年〜1年も準備にかかるのも問題。抗ウイルス薬(タミフル・リレンザ)も、投与の基準が曖昧であるし有効性自体が実は分かってない。
□ H-FABP=心臓型脂肪酸結合蛋白 ・・ 急性心筋梗塞の急性期かどうかを診断するための血液検査の1つ。数ある項目の中でも発症すぐの段階で検出。感度については発症0-2時間の段階でも85%と優れている(それに対しトロポニンTは15%)。ただし特異度はトロポニンTの半分なので過度の信用は注意。
□ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)=グリコヘモグロビン ・・ 糖尿病における血糖コントロールの指標の1つ。ここ1・2ヶ月の血糖の成績をまとめた「通信簿」。正常値は4.3-5.8%。6.5%以上あれば言い訳しても(異常ヘモグロビンなど特殊な疾患がある場合は別)糖尿病。血糖を低めに出すために、前日絶食したり薬を上乗せする患者がいるが、それで血糖をごまかせても、これはごまかせない。治療が結果に反映されるのがのんびり1ヶ月といわれているので、治療の反映をもっと早期に知りたいなら(急な代謝状況変化をみたいとき)HbA1cでなくて<1,5AG>や<グリコアルブミン>を測定すべき。
・ 5.8%未満 ・・ 「優」
・ 5.8-6.5%未満 ・・ 「良」
・ 6.5-7.0%未満 ・・ 「可(不十分)」
・ 7.0-8.0%未満 ・・ 「可(不良)」
・ 8.0%以上 ・・ 「不可」
□ HDA ・・ 高吸収域。CT写真で白く見えるところ。出血としてみられる。
□ HELLP症候群 ・・ hemolysis(溶血)+elevated liver enzymes(肝酵素上昇)+low platelets count(血小板低下)の頭文字の総称から名づけられた症候群。多くは妊娠中毒症に併発しDICを合併して予後不良となり母体死亡や児の周産期死亡を引き起こすこともある。突然の心か部(みぞおち)痛、嘔気・嘔吐、倦怠感を初発に発症。発症時の妊娠週数は28-40週と様々。
□ H2ブロッカー ・・ 代表例が「ガスター」。胃酸の分泌を抑制する。胃潰瘍などに投与。内服・注射あり。まれに白血球減少。
□ hyperdynamic (state) ・・ 心臓の過大な動き。貧血や甲状腺機能亢進症などでみられる。
□ hypertrophy(ハイパートロフィー) ・・ 肥大。心臓肥大のときなどの表現で使用される。
□ HAM=HTLV-?associated myelopathy
HTLV-?(ヒトT細胞白血病ウイルス)感染者の一部(5%)が発症する脊髄疾患で、1986年に発見。
慢性進行性。感染経路は輸血、母子感染、性交渉。輸血歴のある者が比較的多かったため1986年より対策がなされ、以後は輸血による感染は激減した。
症状では神経系の症状のほかに8割がTリンパ性肺胞炎を認め、ほかにシェーグレン症候群、関節症、皮膚紅斑、多発性筋炎、偽性副甲状腺機能低下、ベーチェット病などが合併症としてありうる。
治療はステロイド内服、インターフェロンαともに有効性はみられているが根治までは至らない。根治的にはウイルス量の減少が必須と考えられ、HTLV-?に特異的なプロテアーゼ阻害薬の開発が急がれている。なおHIVへのプロテアーゼ薬に関してはHTLV-?には効果が弱い。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/kouenn-koukaikouza/ham-kouenn/12-new-approach/001.html←最近の取り組み
□ HTL=Hot tub lung ・・ 欧米で報告が相次いでいる、24時間循環型浴槽の使用者に発症するびまん性肺疾患。浴槽内に増殖したMAC(非定型抗酸菌の1つ)が、大気中で粒子化=エアロゾル化し、それが浴槽に入った人間に<吸入>され発症する。機序的には感染説<過敏性肺炎説が有力。
□ IABP=大動脈内バルーンパンピング ・・ 心臓の出口の大動脈に長細いバルーン=風船を入れ、心臓の動きにあわせて伸び縮みさせる。心臓が血液を出すときに膨張させ、心臓と大動脈の間にある冠動脈への血流を増やす。冠動脈の狭窄・閉塞が高度で血圧が低い場合などに適応となる。
□ iatrogenic(イアトロジェニック)=医原性 ・・ 医療スタッフのせいで引き起こされた状態。故意のものでなく、副作用的な意。
□ IC ・・2つある。
? インフォームド・コンセント
? 虚血性大腸炎
□ ICM=虚血性心筋症 ・・ 冠動脈疾患による慢性心不全。つまり冠動脈のあちこちの狭窄で心臓の機能が低下した状態。そのため心臓超音波所見はDCMに似る。
例文)「ICMかDCMかは、正直カテしないと分からんよ」
□ ICU症候群 ・・ ICU入院患者で、心理的な要因(環境・性格)で生じた不安、抑うつ、幻覚妄想などの精神症状。
□ IgA腎症 ・・ 慢性腎炎の大半を占め、わが国では頻度が高い。20-30歳代で発症して無症状で経過するものの、20年後にはなんと3割が透析管理になるという(10-20%が10-20年後に腎死に至る)。症状出現時ではすでに進行しているケースが多い。日常の健診での尿検査は重要さを思い知らされる。また、以下の計算式で簡易的にGFRを推定するのが現実的である。
【 Cockcroft-Gaultの式 】
Ccr(クレアチニンクリアランス)=
<(140ー年齢)X 体重 > ÷ < 72 X 血清クレアチニン値 >
※ 女性の場合はさらに X 0.85
これが60mi/min以下の場合は慢性腎臓病として腎生検などの精査、専門への紹介を考慮する。
確定診断は腎生検による組織所見で行う。血圧、血清クレアチニン値、クレアチニンクリアランス、1日尿蛋白量がその後の予後に影響する。治療は生活指導、食事指導と薬物療法が基本。薬物ではARBまたはACEIまたはそれら併用(←相乗効果)よる降圧・腎保護作用が期待されている。ステロイドの使用はCcr 70ml/min以上、蛋白尿0.5g/day以上かつ腎組織で活動性ありの場合。
□ I I =Insulinogenic Index=インスリン分泌指数 ・・ 75gOGTT負荷において、負荷後30分の血中インスリン増加量を血漿血糖値増加量で割り算したもの。インスリン追加分泌のうち初期分泌能の指標。糖尿病では0.4未満となり、境界型でも0.4未満なら糖尿病への以降率が高い。
□ IL-6 ・・ 炎症性サイトカインの1つで、血中濃度はCRPと相関する。肝臓で合成。測定は保険適応未。
□ im(アイエム) ・・ 筋肉注射=筋注。『ロッキー4』の中盤試合前のトレーニング風景で、ドラゴが無表情に筋注されている場面あり。
□ IMT ・・ 頸動脈エコーで測定される、頸動脈の内・中膜複合壁厚。早期動脈硬化診断のため測定。
□ infection(インフェクション)=感染
□ ip(アイ・ピー) ・・ 腹腔内注射。人でなく、マウスの実験などでよく使用。
□ iv(アイブイ) ・・ 静脈注射=静注
□ iNPH=idiopathic normal pressure hydrocephalus=特発性正常圧水頭症
特発性、つまり原因がなく脳室拡大(脳の中にある髄液の流れる通路が拡大する)が進行し、周囲の圧迫された脳は影響を受ける。
症状(3主徴)は
?痴呆=認知障害(前頭葉の障害が目立つ)
?歩行障害(ほぼ全例にあり。歩幅が狭く歩行が遅いとこがパーキンソンと類似するが、歩行の形態が開脚で、しかも左右のバランスが崩れているところが異なる)
?排尿障害あるいは尿失禁(尿意切迫、切迫性尿失禁)が出現し、ゆっくり進行する。
通常、高齢者にみられる。原因があるもの、例えば髄膜炎、くも膜下出血に引き続き起こるものは2次性として区別する。
髄液シャント術(通路から脳の外へカテーテルを這わせ、髄液を逃がすことで脳室内の圧迫を避ける)により治療が可能で、<治療可能な痴呆>として積極的に治療されてきた。
しかしそれをいいことに、これと診断したら患者の一般状態なども省みずにする例が増え、それとともに合併症(過剰な髄液排出による慢性硬膜下血腫・水腫)の増加も目立ち、また実際の診断自体に疑問をもたれるケースも増えてきた。
そこで2003年にガイドラインが制定された。
http://www.inph.jp/doctor/doctor_index.asp
□ G-I=G-I療法=グルコース・インスリン療法 ・・ インスリンによるグルコース(糖)の取り込みがカリウムの取り込みも兼ねることを利用して、高カリウム血症の治療の1つとして行われる。具体的には10%TZ 500mlに対してレギュラーインスリン(速効性。名称に「R」がついてるもの、たとえばノボリンRやヒューマリンRなど)10単位を混注して2-3時間投与。
□ GERD=胃食道逆流症 ・・ 胃→食道への逆流により食道の粘膜が傷害され、?胸焼けや呑酸などの症状(日本の定義では週に2回以上の胸やけ症状)、?下部食道粘膜の傷害所見(びらん・潰瘍)のうちの1つまたは2つがあれば上記と診断。なので内視鏡が正常でも症状だけ陽性のものもあり、この場合を内視鏡陰性逆流症または非びらん性逆流症といい、食道粘膜の知覚過敏が原因と考えられている。食道下部の筋肉である下部食道括約筋の逆流防止機構が一過性(高脂肪食、大量摂取)、または慢性的(高齢者に多い裂孔ヘルニア)に破綻するのが主な原因。合併症は出血、瘢痕狭窄、食道円柱上皮化生(もともとの扁平上皮が円柱上皮に置き換わる)。この食道円柱上皮化生に特殊腸上皮化生が起こったのがバレット食道(癌化あり)である。なお食道外症状としては?呼吸器症状・・咳・喘息・反復気道感染、?耳鼻科的症状・・咽頭・喉頭違和感、耳痛、?非心臓性胸痛(一見狭心症だが検査は正常)。
治療
? GER(食道内逆流)の抑制・・・腹腔鏡による噴門形成術、薬剤によるLES圧弛緩抑制
? 酸の抑制 ・・ PPI>H2受容体拮抗薬。いずれも中断で再発。
■ GIST=Gastrointestinal stromal tumor=消化管間質腫瘍 ・・ 間質は粘膜の下。そこで発生する腫瘍で健診(胃)での無症状発見が多く、ほっとくと悪性化の可能性あり。
どの消化管でもみられ、胃が50-60%と最多で次いで小腸(20-30%)。治療は外科切除。
以前はサイズで切除の基準を考慮していたが小さくても転移ありうる。小サイズは内視鏡での生検は困難だがEUS-FNAB(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)により可能になった。だが2センチ以下だとこれでも難しいが悪性リスク小さいため経過観察となる。
なお転移・播種がある場合は分子標的薬の経口投与が行われる。
□ Gitelman症候群 ・・ 遺伝性の尿細管疾患、の1つ。接合部尿細管の機能障害による。思春期以降に発症し、軽度脱水、低マグネシウムによるテタニー頻回が特徴的。Bartter症候群との決定的違いは、尿中カルシウムの排泄減少である。遺伝子解析中。
□ GLP-1=glucagon-like peptide-1 ・・ 消化管粘膜のL細胞で産生・分泌され、膵臓β細胞からのインスリン分泌を増強。この増強力はグルコース依存性、つまり血糖の各値に応じた量が分泌されるので、低血糖を来たしにくい。それだけでなくβ細胞の増殖・分化促進、アポトーシス制御などおいしい作用もある。このほかグルカゴン分泌抑制作用もあり(これもグルコース依存性)血糖上昇を抑えてくれる。SU剤もβ細胞からのインスリン分泌を増加させるが体重増加が問題。GLP-1のほうは食欲・摂取抑制作用もあってそれを来たさない。臨床への応用はまだ。
□ GK治療=ガンマナイフ治療 ・・ ガンマ線ビームを目標の限局した領域(焦点部)に、集中的に当てる。焦点部から外れると線量が急速に減弱するので正常組織への被曝が少なく、病巣のみ高い線量を当てれる。よって侵襲性が少なく全身状態が比較的悪い人でも可能だ。適応の実際は転移性の脳腫瘍が多く(3-6割で増加傾向。腫瘍境界が明瞭で好適応)脳動静脈奇形や良性腫瘍など。なお病巣の最大長径は3センチ以下が望ましい。正常脳への影響を考えるなら(病巣が多くても)全脳照射でなくGK治療をすすめる考え方もある。
■ GOARN=global outbreak alert and response network=感染症危機対応グローバルネットワーク ・・ 2000年発足の感染症技術機関の集大成。感染症流行の際、ここを通じて専門家が派遣されるシステム。国際会議を定期的に行う。
今年の会合は・・もう終わった。http://www.med.tohoku.ac.jp/jimu/new/WHO.html
□ GOLD=Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease ・・ COPDの研究で活躍している世界的組織(2002年発足)。年に1回<COPDデー>なるものを設け、啓発のため各種イベント(街頭で呼吸機能検査の体験イベントなど)も行う。
□ Gyne(ギネ) ・・ 産婦人科
■ H5N1インフルエンザウイルス
A型インフルエンザウイルスの亜型で、東南アジアで流行が確認された鳥型インフルエンザの原因ウイルス。ヒトへの感染性獲得は20-40年周期で起こっていて(致死率60%:ARDSの病態)、今まさしく流行が予測される時期にある。
もしこれが流行すれば4人に1人が感染するものとして計算されている。
実際のヒトへの感染は、ほとんどが家禽類(ニワトリやアヒル)への直接接触によると考えられている。ヒトからヒトへの感染はよほど濃厚な接触がない限り起こり得ないとされている。ただヒト自体の感染が持続すれば、そのリスクはある。そうなると<世界規模の流行=パンデミック>となってもおかしくない。
厚生省は2006年6月にガイドラインhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/08.htmlを発表した。確定診断は咽頭からウイルスそのもの、またはPCRを検出すること。しかしこれでは時間がかかりすぎ実践的とはいえず(キット未発売)、早期の発見・治療は個々の医師がいかに早く発見できるかにある。
※ ウイルスは呼吸器系だけでなく、血中・便中からも検出されるのが特徴。
権威の意見によると、?呼吸器症状・発熱があって、?7日間さかのぼって流行地域に出かけたことがある、?そこで鳥に接触したことがある、の全てを満たす場合に疑いをもつべきとされる。
また、症状の悪化(風邪症状→呼吸困難かつレントゲンで全体的に間質性肺炎のような影が出現)が急速であることも参考にする。
あと、下痢が多くみられるのもH5N1の特徴である。
パンデミック対策としてはワクチン・抗ウイルス薬ということになるが、H5N1には少なくとも4つの異なる抗原タイプがあり、どれが今後流行するか予測できないため準備のしようがない。流行が始まって開発となると半年〜1年も準備にかかるのも問題。抗ウイルス薬(タミフル・リレンザ)も、投与の基準が曖昧であるし有効性自体が実は分かってない。
□ H-FABP=心臓型脂肪酸結合蛋白 ・・ 急性心筋梗塞の急性期かどうかを診断するための血液検査の1つ。数ある項目の中でも発症すぐの段階で検出。感度については発症0-2時間の段階でも85%と優れている(それに対しトロポニンTは15%)。ただし特異度はトロポニンTの半分なので過度の信用は注意。
□ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)=グリコヘモグロビン ・・ 糖尿病における血糖コントロールの指標の1つ。ここ1・2ヶ月の血糖の成績をまとめた「通信簿」。正常値は4.3-5.8%。6.5%以上あれば言い訳しても(異常ヘモグロビンなど特殊な疾患がある場合は別)糖尿病。血糖を低めに出すために、前日絶食したり薬を上乗せする患者がいるが、それで血糖をごまかせても、これはごまかせない。治療が結果に反映されるのがのんびり1ヶ月といわれているので、治療の反映をもっと早期に知りたいなら(急な代謝状況変化をみたいとき)HbA1cでなくて<1,5AG>や<グリコアルブミン>を測定すべき。
・ 5.8%未満 ・・ 「優」
・ 5.8-6.5%未満 ・・ 「良」
・ 6.5-7.0%未満 ・・ 「可(不十分)」
・ 7.0-8.0%未満 ・・ 「可(不良)」
・ 8.0%以上 ・・ 「不可」
□ HDA ・・ 高吸収域。CT写真で白く見えるところ。出血としてみられる。
□ HELLP症候群 ・・ hemolysis(溶血)+elevated liver enzymes(肝酵素上昇)+low platelets count(血小板低下)の頭文字の総称から名づけられた症候群。多くは妊娠中毒症に併発しDICを合併して予後不良となり母体死亡や児の周産期死亡を引き起こすこともある。突然の心か部(みぞおち)痛、嘔気・嘔吐、倦怠感を初発に発症。発症時の妊娠週数は28-40週と様々。
□ H2ブロッカー ・・ 代表例が「ガスター」。胃酸の分泌を抑制する。胃潰瘍などに投与。内服・注射あり。まれに白血球減少。
□ hyperdynamic (state) ・・ 心臓の過大な動き。貧血や甲状腺機能亢進症などでみられる。
□ hypertrophy(ハイパートロフィー) ・・ 肥大。心臓肥大のときなどの表現で使用される。
□ HAM=HTLV-?associated myelopathy
HTLV-?(ヒトT細胞白血病ウイルス)感染者の一部(5%)が発症する脊髄疾患で、1986年に発見。
慢性進行性。感染経路は輸血、母子感染、性交渉。輸血歴のある者が比較的多かったため1986年より対策がなされ、以後は輸血による感染は激減した。
症状では神経系の症状のほかに8割がTリンパ性肺胞炎を認め、ほかにシェーグレン症候群、関節症、皮膚紅斑、多発性筋炎、偽性副甲状腺機能低下、ベーチェット病などが合併症としてありうる。
治療はステロイド内服、インターフェロンαともに有効性はみられているが根治までは至らない。根治的にはウイルス量の減少が必須と考えられ、HTLV-?に特異的なプロテアーゼ阻害薬の開発が急がれている。なおHIVへのプロテアーゼ薬に関してはHTLV-?には効果が弱い。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/kouenn-koukaikouza/ham-kouenn/12-new-approach/001.html←最近の取り組み
□ HTL=Hot tub lung ・・ 欧米で報告が相次いでいる、24時間循環型浴槽の使用者に発症するびまん性肺疾患。浴槽内に増殖したMAC(非定型抗酸菌の1つ)が、大気中で粒子化=エアロゾル化し、それが浴槽に入った人間に<吸入>され発症する。機序的には感染説<過敏性肺炎説が有力。
□ IABP=大動脈内バルーンパンピング ・・ 心臓の出口の大動脈に長細いバルーン=風船を入れ、心臓の動きにあわせて伸び縮みさせる。心臓が血液を出すときに膨張させ、心臓と大動脈の間にある冠動脈への血流を増やす。冠動脈の狭窄・閉塞が高度で血圧が低い場合などに適応となる。
□ iatrogenic(イアトロジェニック)=医原性 ・・ 医療スタッフのせいで引き起こされた状態。故意のものでなく、副作用的な意。
□ IC ・・2つある。
? インフォームド・コンセント
? 虚血性大腸炎
□ ICM=虚血性心筋症 ・・ 冠動脈疾患による慢性心不全。つまり冠動脈のあちこちの狭窄で心臓の機能が低下した状態。そのため心臓超音波所見はDCMに似る。
例文)「ICMかDCMかは、正直カテしないと分からんよ」
□ ICU症候群 ・・ ICU入院患者で、心理的な要因(環境・性格)で生じた不安、抑うつ、幻覚妄想などの精神症状。
□ IgA腎症 ・・ 慢性腎炎の大半を占め、わが国では頻度が高い。20-30歳代で発症して無症状で経過するものの、20年後にはなんと3割が透析管理になるという(10-20%が10-20年後に腎死に至る)。症状出現時ではすでに進行しているケースが多い。日常の健診での尿検査は重要さを思い知らされる。また、以下の計算式で簡易的にGFRを推定するのが現実的である。
【 Cockcroft-Gaultの式 】
Ccr(クレアチニンクリアランス)=
<(140ー年齢)X 体重 > ÷ < 72 X 血清クレアチニン値 >
※ 女性の場合はさらに X 0.85
これが60mi/min以下の場合は慢性腎臓病として腎生検などの精査、専門への紹介を考慮する。
確定診断は腎生検による組織所見で行う。血圧、血清クレアチニン値、クレアチニンクリアランス、1日尿蛋白量がその後の予後に影響する。治療は生活指導、食事指導と薬物療法が基本。薬物ではARBまたはACEIまたはそれら併用(←相乗効果)よる降圧・腎保護作用が期待されている。ステロイドの使用はCcr 70ml/min以上、蛋白尿0.5g/day以上かつ腎組織で活動性ありの場合。
□ I I =Insulinogenic Index=インスリン分泌指数 ・・ 75gOGTT負荷において、負荷後30分の血中インスリン増加量を血漿血糖値増加量で割り算したもの。インスリン追加分泌のうち初期分泌能の指標。糖尿病では0.4未満となり、境界型でも0.4未満なら糖尿病への以降率が高い。
□ IL-6 ・・ 炎症性サイトカインの1つで、血中濃度はCRPと相関する。肝臓で合成。測定は保険適応未。
□ im(アイエム) ・・ 筋肉注射=筋注。『ロッキー4』の中盤試合前のトレーニング風景で、ドラゴが無表情に筋注されている場面あり。
□ IMT ・・ 頸動脈エコーで測定される、頸動脈の内・中膜複合壁厚。早期動脈硬化診断のため測定。
□ infection(インフェクション)=感染
□ ip(アイ・ピー) ・・ 腹腔内注射。人でなく、マウスの実験などでよく使用。
□ iv(アイブイ) ・・ 静脈注射=静注
□ iNPH=idiopathic normal pressure hydrocephalus=特発性正常圧水頭症
特発性、つまり原因がなく脳室拡大(脳の中にある髄液の流れる通路が拡大する)が進行し、周囲の圧迫された脳は影響を受ける。
症状(3主徴)は
?痴呆=認知障害(前頭葉の障害が目立つ)
?歩行障害(ほぼ全例にあり。歩幅が狭く歩行が遅いとこがパーキンソンと類似するが、歩行の形態が開脚で、しかも左右のバランスが崩れているところが異なる)
?排尿障害あるいは尿失禁(尿意切迫、切迫性尿失禁)が出現し、ゆっくり進行する。
通常、高齢者にみられる。原因があるもの、例えば髄膜炎、くも膜下出血に引き続き起こるものは2次性として区別する。
髄液シャント術(通路から脳の外へカテーテルを這わせ、髄液を逃がすことで脳室内の圧迫を避ける)により治療が可能で、<治療可能な痴呆>として積極的に治療されてきた。
しかしそれをいいことに、これと診断したら患者の一般状態なども省みずにする例が増え、それとともに合併症(過剰な髄液排出による慢性硬膜下血腫・水腫)の増加も目立ち、また実際の診断自体に疑問をもたれるケースも増えてきた。
そこで2003年にガイドラインが制定された。
http://www.inph.jp/doctor/doctor_index.asp
サーガマニュアル2007秋 K L M
2007年9月17日□ Kernig(ケルニッヒ)徴候 ・・ 髄膜刺激徴候の診察法の1つ。患者に横になってもらい、片方の足をL字に曲げさせてもらう。脚をまっすぐ伸ばしてもらうとき、痛みで真っ直ぐに伸ばせなければ陽性、髄膜炎・クモ膜下出血の疑いとなる。
□ KL-6 ・・ 血液検査で間質性肺炎の活動性の指標の1つ。DPBでも上昇する。このほかにSP-D、SP-Aもあるが保険上1つしか通らない。ホントは3つとも測定したほうがいいという報告が多い。IPFでは3000以上は予後が悪く(3年以内死亡多い)、1000以下はかなりいいとのこと。
□ KOT(ドイツ語)=コート ・・ 排便。看護記録で今でも使用されることがある表現。
□ LABA ・・ 長時間作用型β2刺激剤の略で、具体的な商品名では<セレベント>がそう。1日2回吸入。効果は最近発売の<スピリーバ>には劣る。慢性治療での効果減弱が指摘され問題となっている。
※ これに対し短時間型のメプチンエアーなどは<SABA>と区別されている。
□ LAD ・・ 左冠動脈の前下行枝
□ LC=肝硬変。「リバチロ」「チローゼ」とも呼ばれる。
□ LCX=CX ・・ 左冠動脈の回旋枝。
□ LDA ・・ 低吸収域。CT写真で黒く見えるところ。脳の場合は脳梗塞巣としてみられる。
□ LDLコレステロール = LDL-C ・・ コレステロールを血中で移動させる、いわゆる<船>である、リポ蛋白の1つ。体中へコレステロールを運ぶ。なので悪玉。高脂血症の中で、今では一番の指標となっている検査項目。通常の検査に組み込む必要がある。140以上は治療の対象だ。リスクを多く抱えている場合(心疾患+他の冠リスク病変)は70以下にまで下げるよう提唱されている。しかし具体的治療基準の概念まではハッキリ定められてはいない。なお最近の報告(順天堂大)では、PCI後の急性冠症候群に積極的LDL-C低下療法を行ったところ、69mg/dl以下の群ではプラークが退縮傾向になったことが報告されている。なおLDLコレステロールの酸化が動脈硬化を促進することが分かっており、抗酸化作用をもつものがビタミンE(商品名ユベラ)、フルバスタチン(商品名ローコール)。
□ Liddle症候群 ・・ 遺伝性の尿細管疾患、の1つで、常染色体優性遺伝。腎皮質集合尿細管にある、ENaC(上皮型ナトリウムチャネル)の遺伝子変異によるチャネル分子の異常が原因。ENaCの活性化によりナトリウムの再吸収が過剰に促進されて高血圧、カリウム排泄が促進される。若年(10代)発症が通常で、低カリウム、低レニン、低アルドステロン、代謝性アルカローシスを呈する。抗アルドステロン薬は効かない。治療は塩分制限に加えて、ENaC阻害作用のあるトリアムテレン、アミロライド(本邦未発売)を内服。
■ LOH症候群=加齢男性性腺機能低下症候群
更年期、熟年期、老年期にかけて起こったアンドロゲン低下により発症する性腺機能低下症。
欧州泌尿器学会の定義では・・加齢に伴う臨床的、生化学的症候群で典型的な症状と血清テストステロンの低下を特徴としており、結果としてQOL低下と多臓器機能障害をもたらす。
このうち<典型的な症状>というのは・・
1.性欲および勃起の質の低下、特に夜間勃起現象の低下
2.疲労感、抑うつ、短気など気分の変化と、それに伴う知的活動の低下
3.筋肉量および筋力の低下を伴った除脂肪体重の減少
4.体毛の変化
5.皮膚の強度と外観の変化
6.骨密度の減少
7.内臓脂肪の増加
LOH症候群に特有の所見があるわけではない。実際はこれらを参考にした上で血中フリーテストステロンを測定し、かなり低値の場合にART(アンドロゲン補充療法)を行う。
これらをアンドロゲン補充により治療・予防する。
※ これに対して男性更年期障害は主に更年期に発症する身体・精神症状で、アンドロゲン低下を伴う病態も存在し様々な因子が関与する。
□ lone af (ローン エーエフ)・・ 孤立性af。原因のない心房細動。
□ LTRA=ロイコトリエン受容体拮抗薬 ・・ 抗喘息薬の1つ。気管支拡張作用と抗炎症作用をもつ。さらに鼻炎にも有効。副作用少ない。業者は「単剤でも効果あり」とよく宣伝するが、正直効いてるか効いてないか分からないけどとりあえず付属的(脇役的に)に処方してる、というケースが多い。
□ LVEF=EF=左室駆出率。単位は%。心臓の収縮能を表す。これに拡張能を足したのが心機能。外科にとってオペに耐えられる心臓かどうか、これで大まかに判断する。
□ LVRS=肺容量減量手術 ・・ 肺気腫に対して勧められることがある手術(適応はガイドライン、施設により慎重に決められる)。侵襲性の少ない胸腔鏡下法は高齢・るいそう患者に行われ、胸膜癒着が明らかな例や若年者では開胸手術が奨められている。手術後には症状の改善、呼吸機能の改善、QOLの改善がみられるが、長期の追跡調査はまだされておらず不明である。
□ M-tube=経鼻チューブ=胃管=マーゲンチューブ ・・ 鼻から胃まで入れて、流動食・薬を入れたり、はたまた薬物中毒で
胃の内容を吸引するときなど使用用途は多彩。通常はナースが入れるが研修医のいるとこは、たいていさせられる。
□ MALT(モルト)リンパ腫 ・・ ピロリ除菌でこれが治った、という1993年の大ニュース以後注目されている。内視鏡では広範囲のびらん、浅い潰瘍という形でみられ、胃粘膜の病理生検およびその際の表面マーカーより診断されていく。この腫瘍の8-9割はピロリ陽性で、そのうち8割でピロリ除菌が奏効する。ただしピロリ類似菌による感染のケースがあるから、ピロリ陰性でも除菌は行うべきとされている。除菌が効かない場合は化学・放射線療法、手術療法のどれかの選択へとうつる。
※ 粘膜下浸潤の場合(超音波内視鏡で検索)、除菌は効きにくい。
□ massive(マッシブ) ・・ 胸水・腹水・心嚢液がかなり大量に貯留している、その程度を表す。
□ MCTD=混合性結合識病 ・・ 膠原病の1つ。肺高血圧の有無が予後を左右する。
□ MCV ・・ 赤血球1つ1つの容積。数値化される。貧血の場合、このMCV大きいと「大球性」、小さいと「小球性」、
中間だと「正球性」と表現。「小球性」は鉄欠乏性貧血、「正球性」は腎性貧血・リウマチの存在に注意。
□ MELT JAPAN ・・ 多施設による共同研究により日本独自のエビデンスを打ち出そう、という壮大なテーマをもった研究。具体的には<発症6時間以内の中大脳動脈閉塞-脳塞栓症>に対する局所線溶療法の効果を多施設共同無作為比較試験で検討する臨床試験。MELTは、Middle Cerebral Artery Embolism Local Fibrinolytic Intervention Trial(中大脳動脈閉塞-脳塞栓症に対する局所線溶療法)の略。http://melt.umin.ac.jp/outline.htmに詳細あり。
□ MIC=最小発育阻止濃度 ・・ 菌の発育を抑えるのに最低限必要な抗生剤の濃度。低いほうが抗生剤の効きがよく、したがって感受性良好、ということになる。高いほど効きにくく、耐性菌に近くなる。
■ MMP-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3)
関節リウマチの活動性の新しい指標で、滑膜由来であり軟骨破壊→関節内炎症をみる蛋白分解酵素。よって高値の場合は進行性の増殖性滑膜炎を起こしていることを意味(増殖滑膜の量を反映)し、実際高値例ほど関節破壊の進行が早い。
このMMP-3は滑膜表層細胞で産生される酵素で、軟骨のプロテオグリカンを分解する。よって<関節局所の病変>を反映し、全身ひっくるめて評価するCRPやIL-6とは対照的だ。
関節リウマチの患者の9割は発症2年後にレントゲンで関節破壊を認めるので、初期治療のタイミングをはかる為にもMMP-3は重要な指標だ(早期段階で高値なほど関節破壊進行が速い。つまり予後予測因子)。
治療効果の判定でも、単にCRPだけで評価せずMMP-3も確認する必要がある(CRPと必ずしも相関しないから)。なおMMP-3は各種膠原病、腎疾患、リウマチ性多発筋痛症のほかステロイド投与でも上昇を認める(つまりRAに特異的な検査ではない)ので注意を。なので診断的指標でなく、あくまでもいったん診断がついてからの予後予測因子として利用するのが適切。
□ MOF=多臓器不全 ・・ 病気の悪化の終末像。
□ MONA療法 ・・ 急性心筋梗塞の診断時にまず投与が推奨されるもの。M(モルヒネ:痛み軽減)+O(酸素:心筋への供給)+N(硝酸薬:冠動脈拡張)+A(アスピリン:血栓抑制)の総称。
□ MR=僧房弁閉鎖不全 ・・ 僧房弁(左心房と左心室の間の弁)が完全に閉じない状態。リウマチ性(石灰化して固い弁)、あるいは逸脱によるものなど原因はいろいろ。左心房のサイズがその程度を物語る。
□ MR ・・ プロパー。薬売り。上司から無理難題のノルマを与えられ奔走。売り上げによりボーナスが決まる会社も多い。
持ってくる資料は自社に有利なものだけ選んでくるので、そこが要注意。
□ MRA ・・ MRIが臓器の写真なら、これは血管の写真。通常は脳血管の写真を指す。造影剤などの点滴なしに、横になるだけで血管が映せるのが魅力。動脈瘤・血管閉塞・狭窄などを指摘、血管造影にもっていく。
□ MRCP ・・ 主には膵臓癌を発見するためのMRI検査。膵臓を写すのではなく、中を通る膵管(ここから膵癌ができるから)とそれに連続する胆道系を描出する。点滴もいらず寝てるだけでできる。この検査で疑いがあればERCPという内視鏡検査に移るのが常だ。
□ MRI ・・ 閉所恐怖症や体内金属あり以外の人なら受けれる検査。CTよりも正確・緻密。
□ murmur(マーマー) ・・ 心雑音。
□ MSW=医療ソーシャルワーカー ・・ 老人ホームや他病院⇔病院との連携を担う。患者の転院・入院などを割り振り。家族との相談にも乗る。
□ MRSA=メチシリン耐性ブドウ球菌=マーサ=M(エム) ・・ 表皮などに存在するブドウ球菌の、いわゆる耐性菌。てごわい菌だが、健康人には害はなく、免疫能の低下した人には命にかかわる大敵。肺炎になると重篤。特に老人や、何らかの深刻な持病(糖尿病など)をもっている人。ただし痰にそれが出ているからといって、それがそのまま治療適応とは限らない。なお2003年の世界的に有名な感染症雑誌「Infection Control and Hospital Epidemiology」の論評に『MRSA院内感染を30年以上も放置している国はおおよそ日本だけ』と記述されている。なお抗MRSA薬には?ハベカシン(グラム陰性桿菌にも有効)、?バンコマイシン、?タゴシッドがあり、さらに現在VREの治療薬としての適応を持つ?ザイボックスがMRSA適応申請中で、組織移行性は最も優秀。?・?は細胞壁合成阻害作用で時間依存性、?・?は蛋白合成阻害作用で、さらに?は濃度依存的殺菌作用、?は静菌的作用。
□ MRSA腸炎 ・・ 下痢があって便培養からMRSAが出るとこう診断されがちだが、必ずしも原因とは限らない。まずMRSAらしい病態(頻回で大量の水様便)と背景(免疫抑制状態)であるかどうかを考慮することで診断していく。手術の後に発症する場合は術後2-5日目に多い。抗菌療法は成人の場合バンコマイシン内服を125-500mgを1日4回で7-10日間。
□ KL-6 ・・ 血液検査で間質性肺炎の活動性の指標の1つ。DPBでも上昇する。このほかにSP-D、SP-Aもあるが保険上1つしか通らない。ホントは3つとも測定したほうがいいという報告が多い。IPFでは3000以上は予後が悪く(3年以内死亡多い)、1000以下はかなりいいとのこと。
□ KOT(ドイツ語)=コート ・・ 排便。看護記録で今でも使用されることがある表現。
□ LABA ・・ 長時間作用型β2刺激剤の略で、具体的な商品名では<セレベント>がそう。1日2回吸入。効果は最近発売の<スピリーバ>には劣る。慢性治療での効果減弱が指摘され問題となっている。
※ これに対し短時間型のメプチンエアーなどは<SABA>と区別されている。
□ LAD ・・ 左冠動脈の前下行枝
□ LC=肝硬変。「リバチロ」「チローゼ」とも呼ばれる。
□ LCX=CX ・・ 左冠動脈の回旋枝。
□ LDA ・・ 低吸収域。CT写真で黒く見えるところ。脳の場合は脳梗塞巣としてみられる。
□ LDLコレステロール = LDL-C ・・ コレステロールを血中で移動させる、いわゆる<船>である、リポ蛋白の1つ。体中へコレステロールを運ぶ。なので悪玉。高脂血症の中で、今では一番の指標となっている検査項目。通常の検査に組み込む必要がある。140以上は治療の対象だ。リスクを多く抱えている場合(心疾患+他の冠リスク病変)は70以下にまで下げるよう提唱されている。しかし具体的治療基準の概念まではハッキリ定められてはいない。なお最近の報告(順天堂大)では、PCI後の急性冠症候群に積極的LDL-C低下療法を行ったところ、69mg/dl以下の群ではプラークが退縮傾向になったことが報告されている。なおLDLコレステロールの酸化が動脈硬化を促進することが分かっており、抗酸化作用をもつものがビタミンE(商品名ユベラ)、フルバスタチン(商品名ローコール)。
□ Liddle症候群 ・・ 遺伝性の尿細管疾患、の1つで、常染色体優性遺伝。腎皮質集合尿細管にある、ENaC(上皮型ナトリウムチャネル)の遺伝子変異によるチャネル分子の異常が原因。ENaCの活性化によりナトリウムの再吸収が過剰に促進されて高血圧、カリウム排泄が促進される。若年(10代)発症が通常で、低カリウム、低レニン、低アルドステロン、代謝性アルカローシスを呈する。抗アルドステロン薬は効かない。治療は塩分制限に加えて、ENaC阻害作用のあるトリアムテレン、アミロライド(本邦未発売)を内服。
■ LOH症候群=加齢男性性腺機能低下症候群
更年期、熟年期、老年期にかけて起こったアンドロゲン低下により発症する性腺機能低下症。
欧州泌尿器学会の定義では・・加齢に伴う臨床的、生化学的症候群で典型的な症状と血清テストステロンの低下を特徴としており、結果としてQOL低下と多臓器機能障害をもたらす。
このうち<典型的な症状>というのは・・
1.性欲および勃起の質の低下、特に夜間勃起現象の低下
2.疲労感、抑うつ、短気など気分の変化と、それに伴う知的活動の低下
3.筋肉量および筋力の低下を伴った除脂肪体重の減少
4.体毛の変化
5.皮膚の強度と外観の変化
6.骨密度の減少
7.内臓脂肪の増加
LOH症候群に特有の所見があるわけではない。実際はこれらを参考にした上で血中フリーテストステロンを測定し、かなり低値の場合にART(アンドロゲン補充療法)を行う。
これらをアンドロゲン補充により治療・予防する。
※ これに対して男性更年期障害は主に更年期に発症する身体・精神症状で、アンドロゲン低下を伴う病態も存在し様々な因子が関与する。
□ lone af (ローン エーエフ)・・ 孤立性af。原因のない心房細動。
□ LTRA=ロイコトリエン受容体拮抗薬 ・・ 抗喘息薬の1つ。気管支拡張作用と抗炎症作用をもつ。さらに鼻炎にも有効。副作用少ない。業者は「単剤でも効果あり」とよく宣伝するが、正直効いてるか効いてないか分からないけどとりあえず付属的(脇役的に)に処方してる、というケースが多い。
□ LVEF=EF=左室駆出率。単位は%。心臓の収縮能を表す。これに拡張能を足したのが心機能。外科にとってオペに耐えられる心臓かどうか、これで大まかに判断する。
□ LVRS=肺容量減量手術 ・・ 肺気腫に対して勧められることがある手術(適応はガイドライン、施設により慎重に決められる)。侵襲性の少ない胸腔鏡下法は高齢・るいそう患者に行われ、胸膜癒着が明らかな例や若年者では開胸手術が奨められている。手術後には症状の改善、呼吸機能の改善、QOLの改善がみられるが、長期の追跡調査はまだされておらず不明である。
□ M-tube=経鼻チューブ=胃管=マーゲンチューブ ・・ 鼻から胃まで入れて、流動食・薬を入れたり、はたまた薬物中毒で
胃の内容を吸引するときなど使用用途は多彩。通常はナースが入れるが研修医のいるとこは、たいていさせられる。
□ MALT(モルト)リンパ腫 ・・ ピロリ除菌でこれが治った、という1993年の大ニュース以後注目されている。内視鏡では広範囲のびらん、浅い潰瘍という形でみられ、胃粘膜の病理生検およびその際の表面マーカーより診断されていく。この腫瘍の8-9割はピロリ陽性で、そのうち8割でピロリ除菌が奏効する。ただしピロリ類似菌による感染のケースがあるから、ピロリ陰性でも除菌は行うべきとされている。除菌が効かない場合は化学・放射線療法、手術療法のどれかの選択へとうつる。
※ 粘膜下浸潤の場合(超音波内視鏡で検索)、除菌は効きにくい。
□ massive(マッシブ) ・・ 胸水・腹水・心嚢液がかなり大量に貯留している、その程度を表す。
□ MCTD=混合性結合識病 ・・ 膠原病の1つ。肺高血圧の有無が予後を左右する。
□ MCV ・・ 赤血球1つ1つの容積。数値化される。貧血の場合、このMCV大きいと「大球性」、小さいと「小球性」、
中間だと「正球性」と表現。「小球性」は鉄欠乏性貧血、「正球性」は腎性貧血・リウマチの存在に注意。
□ MELT JAPAN ・・ 多施設による共同研究により日本独自のエビデンスを打ち出そう、という壮大なテーマをもった研究。具体的には<発症6時間以内の中大脳動脈閉塞-脳塞栓症>に対する局所線溶療法の効果を多施設共同無作為比較試験で検討する臨床試験。MELTは、Middle Cerebral Artery Embolism Local Fibrinolytic Intervention Trial(中大脳動脈閉塞-脳塞栓症に対する局所線溶療法)の略。http://melt.umin.ac.jp/outline.htmに詳細あり。
□ MIC=最小発育阻止濃度 ・・ 菌の発育を抑えるのに最低限必要な抗生剤の濃度。低いほうが抗生剤の効きがよく、したがって感受性良好、ということになる。高いほど効きにくく、耐性菌に近くなる。
■ MMP-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3)
関節リウマチの活動性の新しい指標で、滑膜由来であり軟骨破壊→関節内炎症をみる蛋白分解酵素。よって高値の場合は進行性の増殖性滑膜炎を起こしていることを意味(増殖滑膜の量を反映)し、実際高値例ほど関節破壊の進行が早い。
このMMP-3は滑膜表層細胞で産生される酵素で、軟骨のプロテオグリカンを分解する。よって<関節局所の病変>を反映し、全身ひっくるめて評価するCRPやIL-6とは対照的だ。
関節リウマチの患者の9割は発症2年後にレントゲンで関節破壊を認めるので、初期治療のタイミングをはかる為にもMMP-3は重要な指標だ(早期段階で高値なほど関節破壊進行が速い。つまり予後予測因子)。
治療効果の判定でも、単にCRPだけで評価せずMMP-3も確認する必要がある(CRPと必ずしも相関しないから)。なおMMP-3は各種膠原病、腎疾患、リウマチ性多発筋痛症のほかステロイド投与でも上昇を認める(つまりRAに特異的な検査ではない)ので注意を。なので診断的指標でなく、あくまでもいったん診断がついてからの予後予測因子として利用するのが適切。
□ MOF=多臓器不全 ・・ 病気の悪化の終末像。
□ MONA療法 ・・ 急性心筋梗塞の診断時にまず投与が推奨されるもの。M(モルヒネ:痛み軽減)+O(酸素:心筋への供給)+N(硝酸薬:冠動脈拡張)+A(アスピリン:血栓抑制)の総称。
□ MR=僧房弁閉鎖不全 ・・ 僧房弁(左心房と左心室の間の弁)が完全に閉じない状態。リウマチ性(石灰化して固い弁)、あるいは逸脱によるものなど原因はいろいろ。左心房のサイズがその程度を物語る。
□ MR ・・ プロパー。薬売り。上司から無理難題のノルマを与えられ奔走。売り上げによりボーナスが決まる会社も多い。
持ってくる資料は自社に有利なものだけ選んでくるので、そこが要注意。
□ MRA ・・ MRIが臓器の写真なら、これは血管の写真。通常は脳血管の写真を指す。造影剤などの点滴なしに、横になるだけで血管が映せるのが魅力。動脈瘤・血管閉塞・狭窄などを指摘、血管造影にもっていく。
□ MRCP ・・ 主には膵臓癌を発見するためのMRI検査。膵臓を写すのではなく、中を通る膵管(ここから膵癌ができるから)とそれに連続する胆道系を描出する。点滴もいらず寝てるだけでできる。この検査で疑いがあればERCPという内視鏡検査に移るのが常だ。
□ MRI ・・ 閉所恐怖症や体内金属あり以外の人なら受けれる検査。CTよりも正確・緻密。
□ murmur(マーマー) ・・ 心雑音。
□ MSW=医療ソーシャルワーカー ・・ 老人ホームや他病院⇔病院との連携を担う。患者の転院・入院などを割り振り。家族との相談にも乗る。
□ MRSA=メチシリン耐性ブドウ球菌=マーサ=M(エム) ・・ 表皮などに存在するブドウ球菌の、いわゆる耐性菌。てごわい菌だが、健康人には害はなく、免疫能の低下した人には命にかかわる大敵。肺炎になると重篤。特に老人や、何らかの深刻な持病(糖尿病など)をもっている人。ただし痰にそれが出ているからといって、それがそのまま治療適応とは限らない。なお2003年の世界的に有名な感染症雑誌「Infection Control and Hospital Epidemiology」の論評に『MRSA院内感染を30年以上も放置している国はおおよそ日本だけ』と記述されている。なお抗MRSA薬には?ハベカシン(グラム陰性桿菌にも有効)、?バンコマイシン、?タゴシッドがあり、さらに現在VREの治療薬としての適応を持つ?ザイボックスがMRSA適応申請中で、組織移行性は最も優秀。?・?は細胞壁合成阻害作用で時間依存性、?・?は蛋白合成阻害作用で、さらに?は濃度依存的殺菌作用、?は静菌的作用。
□ MRSA腸炎 ・・ 下痢があって便培養からMRSAが出るとこう診断されがちだが、必ずしも原因とは限らない。まずMRSAらしい病態(頻回で大量の水様便)と背景(免疫抑制状態)であるかどうかを考慮することで診断していく。手術の後に発症する場合は術後2-5日目に多い。抗菌療法は成人の場合バンコマイシン内服を125-500mgを1日4回で7-10日間。
サーガマニュアル2007秋 N O
2007年9月17日□ NASH=non-alcoholic steatohepatitis=非アルコール性脂肪肝炎
脂肪肝がまず背景にあり、肝臓の病理組織でアルコール性の所見がありながら実は飲酒歴が乏しいもの。
これは進行性のものであり、肝硬変・肝癌への進行もありうる。原因不明の肝硬変をみたときは思い出す必要がある。
大多数が原発性で、内臓脂肪の蓄積による肥満→脂肪細胞がアディポサイトカイン放出→インスリン抵抗性(平たく言うと糖尿病体質)という病態が根本にあり、メタボリックシンドロームを呈している。
発病のメカニズムについては、もとは脂肪肝だったのが脂肪肝炎という病態に進行するという説(two hit hypothesisという。first hitが肝脂肪沈着で、second hitが炎症、という意味)が有力。
脂肪肝の患者で、血小板減少や線維化マーカーが上昇してきたらこれを疑う。確定診断には肝生検を要し、脂肪肝炎の所見をみる(非アルコール性の疾患ながらアルコール性肝障害に類似なのがポイント)。特にMallory体・肝細胞膨化があれば肝硬変への移行率が高い。
治療はあくまでもメタボリックシンドロームの治療だが、有効性が示されているものとしては糖尿病の薬のうちのメトホルミン、チアゾリジン誘導体、フィブラート系薬剤、UDCAにEPL、ビタミンEなど。
□ NAFLD=non-alcoholic fatty liver disease=非アルコール性脂肪性肝障害 ・・ 単純性脂肪肝(予後良好)と、NASH=non-alcoholic steatohepatitis=非アルコール性脂肪肝炎(進行性で、肝硬変・肝癌への進行もあり)の総称。
□ nCPAP=nasal continuous positive airway pressure=経鼻的持続気道陽圧療法=ネーザルシ−パップ=シ−パップ ・・ 鼻マスクhttp://www.gussuri.jp/chiryou-annnai.htmlを装着して気道に圧を加える。閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に対する治療法の1つ(他には口腔内装具、耳鼻科での手術)。1998年より保険適応で、一定の基準をクリアする必要がある。目安はAHI=無呼吸低呼吸指数(1時間あたりの10秒以上無呼吸+安静覚醒時の50%以下の低換気)が20以上、脳波上で睡眠障害あり、症状(昼間の眠気)あり、が主なもの。
※ http://www.m-junkanki.com/kennsinn/kennsinn_apnea.htmlも参考に。
流れとしては、入院→ポリソムノグラフィーで適応決定→nCPAP施行し設定を決定→退院、となることが多い(数日間)。
nCPAPによって症状の改善、合併症の減少などいい報告は多いのだが、実際のコンプライアンス(いわば継続率みたいなもの)は50-80%と、脱落例が多いのが主治医を悩ませる。機械の扱いに患者がついていけてない、または治療そのものによる不快感・違和感という理由が大半だ。
□ NERD ・・ GERD(胃食道逆流症)のうち、内視鏡で異常所見がない、すなわち症状だけのもの。H18.6月より一部のPPI(タケプロン)が保険適応。症状は胸焼けだけでなく胃もたれを併せ持つことも多い。そこで、その場合酸を抑えるPPIでは十分でなくモサプリド(ガスモチン)の併用が好ましい。
□ NICE STUDY ・・ 日本でのCOPDに関する疫学調査(2004)。無症状に近いCOPD患者が実はかなり潜在していることが明らかに。
□ NIPPON DATA 80 ・・ 2005年夏に日本動脈硬化学会が発表した、一般日本人対象の生活習慣病とその予後を分析した調査。1980年から14年も追跡。
・ 総コレステロール260mg/dl以上になると一気に総死亡リスク大
・ 全癌・肝臓癌のリスクは総コレステロール値が低いほど高い(低く下げるのがいけない、という意味でなくて、癌の場合栄養状態が悪化しているからという結果的な意味だろう)
・ PCI後のACS患者に対して積極的にLDL-Cを下げた。69mg/dl以下まで徹底的に下げた群では冠動脈内のプラーク(血栓)がいずれも縮小した(アイバスで確認)。
□ NMP22 ・・ NuMA蛋白(細胞分裂のとき出現する蛋白の1つ)の一種で、癌細胞に多めに発現する。尿中NMP22は尿路上皮癌の補助診断として有用。膀胱癌では尿中細胞診より陽性率が高いとの報告あり。膀胱鏡検査を検討する前に確認しておきたい。
□ no change ・・ 患者が安定しているときにカルテによく記載される表現。
□ non-dipper(ノン・ディッパー) ・・ 血圧は昼間上がって夜間は下がるのが常。高血圧でもそのパターンがいちおう守られているのがdipper型で、夜間でも血圧が高いのがnon-dipper。夜間の血圧上昇は脳卒中・心筋梗塞との関連が明らかなため、non-dipperは明らかに心血管病が発生しやすい。
□ NSAID=エヌセイド=非ステロイド性抗炎症剤 ・・ 痛み止めとして使われることが多い。代表がアスピリン。アメリカでは薬局で買える。『ダイハード3』でブルース・ウィリス、『マイ・ボディガード』でデンゼルワシントンが何度も飲んでいた。しかし慢性使用は胃潰瘍と腎障害に注意。この薬剤は痛み止め以外にも、将来は発癌予防、アルツハイマー病予防への応用が期待されている。
□ NSAID潰瘍
NSAIDによる胃・十二指腸潰瘍。つまり副作用。日本の統計では長期投与により胃潰瘍で15.5%、十二指腸潰瘍1.9%の発見率らしい。
診断されれば直ちにNSAIDを中止だが、どしても中止できない理由があれば、PPIあるいはPG製剤により治療を行う。なおピロリ除菌によってNSAID潰瘍を予防できるというデータはない。
副作用発現の機序に「dual insult hypothesis」という仮説があり、それによると2つの機序がある。
? primary insult ・・ 胃酸によりNSAIDが細胞膜透過性を獲得し、細胞内に蓄積されて代謝障害を起こし、粘膜上皮を破綻させる。
? secondary insult ・・ 内因性PG(プロスタグランジン)の抑制・・・正確にはPG合成酵素であるCOX(シクロオキシゲナーゼ)阻害により粘膜防御機構を破綻させる。
※ PGは消化管の細胞の粘液産生や微小循環に促進的に働く物質。
■ NVAF=nonvalvular atrial fibrillation=非弁膜症性心房細動
脳梗塞のうちの心原性塞栓の50%であり、脳梗塞患者の15%はNVAFに起因する。無治療のままだと年間2-5%の頻度で塞栓症を合併する。洞調律の群と比較するとリスクは5倍に膨れ上がる。実際、NVAF患者の3割は脳塞栓を起こす。
予防のためにアスピリン、ワーファリンの投与が行われる。
欧米ガイドラインでは高リスク群を高血圧、心不全、塞栓症既往と定義、本邦ガイドラインではさらに糖尿病、冠動脈疾患を加えている。欧米ガイドラインで、低リスク群にはアスピリン325mg/day(量としては多い)。この低リスク群のうちlone af(孤発性心房細動)では本邦では治療不要、とある。
塞栓の危険性評価に<CHADS2スコア>があり、
・ 脳梗塞・TIA既往あり → 2点
・ 75歳以上 → 1点
・ うっ血性心不全あり → 1点
・ 高血圧あり → 1点
・ 糖尿病あり → 1点
この点数が高いほど塞栓症の危険性が増す。これらリスク有の例では無い群に比べてD-ダイマー値が有意に高い(線溶系亢進するってことは血栓あることの反映)。一方リスク無いNVAFでは線溶系はそれほど亢進してなく、この場合積極的な抗凝固が必要ない理由となる(でもアスピリン投与することがある)。
なお欧米で高リスク群に投与されるワーファリンの効きの目安としてはPT-INR 2.0-3.0とキツめあるが、本邦75歳以上では1.6-2.6と控えめなのも異なるところ(70歳以上ではINR 2.2を越えると出血の合併症が増え、特に2.6以上で急激にリスクが増す)。75歳未満では米国同様のINR 2.0-3.0を推奨。
□ obesity(オベスィティー) ・・ 肥満。日本ではBMI 25kg/m2以上をさす。うち8-9割は内分泌疾患を伴わない、過食・運動不足による<単純性肥満>。
□ OMI=陳旧性心筋梗塞 ・・ 心筋梗塞を起こして1ヶ月以上経ったもの。油断すると心不全を合併する。
□ OT=作業療法士
脂肪肝がまず背景にあり、肝臓の病理組織でアルコール性の所見がありながら実は飲酒歴が乏しいもの。
これは進行性のものであり、肝硬変・肝癌への進行もありうる。原因不明の肝硬変をみたときは思い出す必要がある。
大多数が原発性で、内臓脂肪の蓄積による肥満→脂肪細胞がアディポサイトカイン放出→インスリン抵抗性(平たく言うと糖尿病体質)という病態が根本にあり、メタボリックシンドロームを呈している。
発病のメカニズムについては、もとは脂肪肝だったのが脂肪肝炎という病態に進行するという説(two hit hypothesisという。first hitが肝脂肪沈着で、second hitが炎症、という意味)が有力。
脂肪肝の患者で、血小板減少や線維化マーカーが上昇してきたらこれを疑う。確定診断には肝生検を要し、脂肪肝炎の所見をみる(非アルコール性の疾患ながらアルコール性肝障害に類似なのがポイント)。特にMallory体・肝細胞膨化があれば肝硬変への移行率が高い。
治療はあくまでもメタボリックシンドロームの治療だが、有効性が示されているものとしては糖尿病の薬のうちのメトホルミン、チアゾリジン誘導体、フィブラート系薬剤、UDCAにEPL、ビタミンEなど。
□ NAFLD=non-alcoholic fatty liver disease=非アルコール性脂肪性肝障害 ・・ 単純性脂肪肝(予後良好)と、NASH=non-alcoholic steatohepatitis=非アルコール性脂肪肝炎(進行性で、肝硬変・肝癌への進行もあり)の総称。
□ nCPAP=nasal continuous positive airway pressure=経鼻的持続気道陽圧療法=ネーザルシ−パップ=シ−パップ ・・ 鼻マスクhttp://www.gussuri.jp/chiryou-annnai.htmlを装着して気道に圧を加える。閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に対する治療法の1つ(他には口腔内装具、耳鼻科での手術)。1998年より保険適応で、一定の基準をクリアする必要がある。目安はAHI=無呼吸低呼吸指数(1時間あたりの10秒以上無呼吸+安静覚醒時の50%以下の低換気)が20以上、脳波上で睡眠障害あり、症状(昼間の眠気)あり、が主なもの。
※ http://www.m-junkanki.com/kennsinn/kennsinn_apnea.htmlも参考に。
流れとしては、入院→ポリソムノグラフィーで適応決定→nCPAP施行し設定を決定→退院、となることが多い(数日間)。
nCPAPによって症状の改善、合併症の減少などいい報告は多いのだが、実際のコンプライアンス(いわば継続率みたいなもの)は50-80%と、脱落例が多いのが主治医を悩ませる。機械の扱いに患者がついていけてない、または治療そのものによる不快感・違和感という理由が大半だ。
□ NERD ・・ GERD(胃食道逆流症)のうち、内視鏡で異常所見がない、すなわち症状だけのもの。H18.6月より一部のPPI(タケプロン)が保険適応。症状は胸焼けだけでなく胃もたれを併せ持つことも多い。そこで、その場合酸を抑えるPPIでは十分でなくモサプリド(ガスモチン)の併用が好ましい。
□ NICE STUDY ・・ 日本でのCOPDに関する疫学調査(2004)。無症状に近いCOPD患者が実はかなり潜在していることが明らかに。
□ NIPPON DATA 80 ・・ 2005年夏に日本動脈硬化学会が発表した、一般日本人対象の生活習慣病とその予後を分析した調査。1980年から14年も追跡。
・ 総コレステロール260mg/dl以上になると一気に総死亡リスク大
・ 全癌・肝臓癌のリスクは総コレステロール値が低いほど高い(低く下げるのがいけない、という意味でなくて、癌の場合栄養状態が悪化しているからという結果的な意味だろう)
・ PCI後のACS患者に対して積極的にLDL-Cを下げた。69mg/dl以下まで徹底的に下げた群では冠動脈内のプラーク(血栓)がいずれも縮小した(アイバスで確認)。
□ NMP22 ・・ NuMA蛋白(細胞分裂のとき出現する蛋白の1つ)の一種で、癌細胞に多めに発現する。尿中NMP22は尿路上皮癌の補助診断として有用。膀胱癌では尿中細胞診より陽性率が高いとの報告あり。膀胱鏡検査を検討する前に確認しておきたい。
□ no change ・・ 患者が安定しているときにカルテによく記載される表現。
□ non-dipper(ノン・ディッパー) ・・ 血圧は昼間上がって夜間は下がるのが常。高血圧でもそのパターンがいちおう守られているのがdipper型で、夜間でも血圧が高いのがnon-dipper。夜間の血圧上昇は脳卒中・心筋梗塞との関連が明らかなため、non-dipperは明らかに心血管病が発生しやすい。
□ NSAID=エヌセイド=非ステロイド性抗炎症剤 ・・ 痛み止めとして使われることが多い。代表がアスピリン。アメリカでは薬局で買える。『ダイハード3』でブルース・ウィリス、『マイ・ボディガード』でデンゼルワシントンが何度も飲んでいた。しかし慢性使用は胃潰瘍と腎障害に注意。この薬剤は痛み止め以外にも、将来は発癌予防、アルツハイマー病予防への応用が期待されている。
□ NSAID潰瘍
NSAIDによる胃・十二指腸潰瘍。つまり副作用。日本の統計では長期投与により胃潰瘍で15.5%、十二指腸潰瘍1.9%の発見率らしい。
診断されれば直ちにNSAIDを中止だが、どしても中止できない理由があれば、PPIあるいはPG製剤により治療を行う。なおピロリ除菌によってNSAID潰瘍を予防できるというデータはない。
副作用発現の機序に「dual insult hypothesis」という仮説があり、それによると2つの機序がある。
? primary insult ・・ 胃酸によりNSAIDが細胞膜透過性を獲得し、細胞内に蓄積されて代謝障害を起こし、粘膜上皮を破綻させる。
? secondary insult ・・ 内因性PG(プロスタグランジン)の抑制・・・正確にはPG合成酵素であるCOX(シクロオキシゲナーゼ)阻害により粘膜防御機構を破綻させる。
※ PGは消化管の細胞の粘液産生や微小循環に促進的に働く物質。
■ NVAF=nonvalvular atrial fibrillation=非弁膜症性心房細動
脳梗塞のうちの心原性塞栓の50%であり、脳梗塞患者の15%はNVAFに起因する。無治療のままだと年間2-5%の頻度で塞栓症を合併する。洞調律の群と比較するとリスクは5倍に膨れ上がる。実際、NVAF患者の3割は脳塞栓を起こす。
予防のためにアスピリン、ワーファリンの投与が行われる。
欧米ガイドラインでは高リスク群を高血圧、心不全、塞栓症既往と定義、本邦ガイドラインではさらに糖尿病、冠動脈疾患を加えている。欧米ガイドラインで、低リスク群にはアスピリン325mg/day(量としては多い)。この低リスク群のうちlone af(孤発性心房細動)では本邦では治療不要、とある。
塞栓の危険性評価に<CHADS2スコア>があり、
・ 脳梗塞・TIA既往あり → 2点
・ 75歳以上 → 1点
・ うっ血性心不全あり → 1点
・ 高血圧あり → 1点
・ 糖尿病あり → 1点
この点数が高いほど塞栓症の危険性が増す。これらリスク有の例では無い群に比べてD-ダイマー値が有意に高い(線溶系亢進するってことは血栓あることの反映)。一方リスク無いNVAFでは線溶系はそれほど亢進してなく、この場合積極的な抗凝固が必要ない理由となる(でもアスピリン投与することがある)。
なお欧米で高リスク群に投与されるワーファリンの効きの目安としてはPT-INR 2.0-3.0とキツめあるが、本邦75歳以上では1.6-2.6と控えめなのも異なるところ(70歳以上ではINR 2.2を越えると出血の合併症が増え、特に2.6以上で急激にリスクが増す)。75歳未満では米国同様のINR 2.0-3.0を推奨。
□ obesity(オベスィティー) ・・ 肥満。日本ではBMI 25kg/m2以上をさす。うち8-9割は内分泌疾患を伴わない、過食・運動不足による<単純性肥満>。
□ OMI=陳旧性心筋梗塞 ・・ 心筋梗塞を起こして1ヶ月以上経ったもの。油断すると心不全を合併する。
□ OT=作業療法士
サーガマニュアル2007秋 P Q
2007年9月17日□ PAD=Peripheral Arterial Disease。欧米での用語で、直訳では「末梢の動脈病変」。日本ではASOとバージャー病がこれにあたるが後者はまれで、日本でPADという場合はASOを指している。
□ PAE = Post-Antibiotic Effect ・・ 血中あるいは組織中から抗菌剤が消失してからも病原菌の増殖がある期間抑制されること。つまり菌と接触する濃度が高いほどいい→1回の投与量が多いほどいい。PAEをもつ薬剤の代表は、ニューキノロン系とアミノグリコシド。つまり『濃度依存性』とも表現される。これに対して『時間依存性』なのがβラクタム、マクロライド系だが、この中で濃度依存性でもあるのがアジスロマイシン(ジスロマック)、テトラサイクリン、バンコマイシン。
□ paf(パフ) ・・ 発作性心房細動。ふだん正常の洞調律であったのが、突然頻脈性の心房細動になること。睡眠不足などが引き金になるケースもある。以前は薬物投与にて予防を行うことが多かったが現在はカテーテル・アブレーションによる根治治療が推奨される。この背景には、薬物療法によっても年間5.5%が慢性化(14年で77%が慢性化)してしまう現実がある。
□ Patient=患者 ・・ 「ペイシャント」と呼ぶ。略して「Pt」と記載することも。
□ PAP=異型肺炎
□ PBC-AIHオーバーラップ症候群 ・・ 所見はその名前の通りで、PBC(原発性胆汁性肝硬変)とAIH(自己免疫性肝炎)のどちらの要素ももつ、その境界型。あくまでも臨床経過による総合的な診断名で、診断基準も存在せず、特異的なマーカーもない。実際は双方の診断基準にそれぞれ当てはまるかどうかでなされる。臨床経過によりPBCが優勢であったりAIHが優勢であったりする。治療はまずPBCの薬であるUDCAを基本とし、肝炎の要素が強ければステロイドをそのつど投与という形になる。
□ PCPS ・・ 体外循環。人工心肺。心臓の前後に管を入れることで、心臓・肺を通さずに、きれいで圧の十分な血液を循環させる。オペのときによく使用される。長期の使用は心臓・回路内の凝固を招くのですべきでない。
□ PE=pericardial effusion ・・ 心嚢液(しんのうえき)。心臓を包む嚢に入った液。通常は少量あって、嚢(ふくろ)と中の心臓の潤滑液的な役割がある。増えすぎると「タンポナーデ」。炎症を起こして少量増えるのが「心膜炎」
□ PEEP(ピープ)=持続的陽圧呼吸 ・・ 人工呼吸器の設定の1つで、肺をより広げて酸素をいきわたらせる。ただしそれによる血圧低下、気道内圧上昇などの副作用に注意。
□ PEF=ピークフロー=最大呼気流量 ・・ ピークフローメーターで、一気に吹き出した呼気(努力性呼気)の流量を測定。喘息日誌に記録し、外来での喘息治療の指標とする。ただ調子悪いときの測定だと発作が誘発されることがある。自覚症状からそれが予想されるなら測定は休むべき。
■ ペグ=PEG=percutaneous endoscopic gastrostomy=内視鏡的胃瘻増設術
内視鏡下にてチューブを腹壁→腹膜を貫通させ胃内に留置、流動食や薬剤を注入する手技。穿刺部位は、内視鏡で胃内部から腹壁を見上げ、腹壁上から指で目安(場所と穿刺角度)をつける。念のため腹部レントゲンでガスの位置などを把握しておく場合もある(大腸への誤穿刺を回避)。腹膜を貫くので、創部感染だけでなく腹膜炎への波及もありうる。
<Pull法>
内視鏡で胃内部から腹壁を見上げる→腹壁を穿刺し胃内部へワイヤーを通す→内視鏡を引っ張り、内視鏡ごと口腔外へと持っていく→出たワイヤーの先とカテーテルを接続→今度は逆に引っ張りカテーテルを腹壁経由で抜き出しストップ→固定→内視鏡をもう1回入れて確認。
<Direct法>
内視鏡で胃内部から腹壁を見上げる→腹壁を穿刺し胃内部へワイヤーを通す→瘻孔拡張後に「イディアルボタン」という広径の(詰まりにくい利点)バンパー型カテーテルを挿入、留置。
□ PEG-IFN=ペグインターフェロン ・・ C型慢性肝炎に使用。インターフェロン分子にポリエチレングリコール(PEG)を加えたもののため、こう呼ばれる。これにより持続的な体内動態が得られるようになり、従来のインターフェロンと違って週1回の投与でOK。利便性に優れる。
□ pericarditis(ペリカルダイティス)=心膜炎 ・・ 何らかの原因で心臓の周囲に炎症性の液がたまった状態。悪性腫瘍の除外が必須。多いのは肺癌・乳癌。
□ PH=肺高血圧
肺動脈の圧が亢進した状態。安静臥位での平均肺動脈圧が右心カテーテル検査で25mmHgを越える場合。なおこのとき肺動脈楔入圧は正常である(純粋な右心負荷)。
症状(呼吸困難ん・動悸など)出現時はすでに進行していることが多いので心エコーによるスクリーニングが推奨されている。なお慢性肺血栓塞栓性肺高血圧を除外する
必要があり、そのためには肺血流シンチが不可欠である。
たいていは肺疾患、それも慢性呼吸不全に起因するものが多い。先天性心疾患、弁膜症、膠原病でもみられる。心臓超音波検査、あるいはカテーテル検査で診断する。
膠原病での合併率(この場合CTD-PHという)はMCTDで最多(7%)、SSc(5%)、SLE(2%)、PM/DM(0.5%)とつづく。
2004年の新分類では肺動脈そのものに起因するもの、つまり?特発性と?家族性をそれぞれ
?IPAH=idiopathic PAH=特発性肺動脈性肺高血圧症
?FPAH=Familial PAH=家族性肺動脈性肺高血圧
BMP受容体(BMPR-II)遺伝子が責任遺伝子であると同定された。
※ BMP経路:血管を構成する内皮細胞・平滑筋細胞増殖を抑制するシステム。ここの障害で異常増殖が起こり微小血管の内腔閉塞が起こる
わけである。
という。これらとあと2次性のもの、ということになる。
治療は2次性のものに関しては当然、原疾患の治療ということになる。
ではIPAHとFPAHの治療について。
基本は下の●。
● 酸素投与 ・・低酸素は肺血管収縮を起こす事実がある。SpO2は90%以上に保持する。
● 右心不全の治療(特にNYHA?・?で)
● 抗凝固療法 ・・ 病態に微小血栓の存在が考えられるためで、効果あるのも証明済み。具体的にはワーファリンでPT-INRを1.5-2.5に調節する。
● 血管拡張療法 (特にNYHA?・?では<急性肺動脈拡張試験>を行い、ガイドライン治療の適応であることを確認してから)
?カルシウム拮抗剤大量投与で予後改善 → 効果ありは25%程度、血圧低下もあり日本ではあまり使用せず。
?プロスタサイクリン(PGI2)持続静注療法 → 有効であり予後を改善するという事実は以前から知られ、2004年6月に保険適応となった。NYHA ?・?度に適応とされるが?の段階では予後改善効果が乏しい。右心不全急性増悪には禁忌。持続静注射であること・高コストといった管理の点が問題。カテ感染、甲状腺機能亢進に注意。
?プロスタサイクリン・アナログ → ?と異なり静脈投与以外でも(経口剤)使用可能。IPAH , FPAHの症状、運動耐容能の改善効果あり。
?エンドセリン受容体拮抗薬 → 肺高血圧で増加するエンドセリン-1は血管収縮作用をもつ。これの結合するレセプターを阻害する。2005年6月に認可。
?PDE阻害薬 → 肺血管だけに作用し全体の血圧に影響があまりなく、副作用少なく経口が可能、と良い面が多いが、肝心の保険適応が取れてない。
・ ステロイド ・・ 肺血管炎などの炎症病態に対して。自覚症状が出現するような例では(PHがすでに出来上がっていると考えられるため)無効が多い。
・ 肺移植 ・・ 部分移植ならば成功例が報告有。
・ 心房中隔裂開術 ・・ 右心房と左心房との間の壁に穴を作り、肺動脈行きの血液を逃がす。しかし肺への血流・酸素は減る。移植までの橋渡し的な方法。
□ PIH=pregnancy induced hypertension=妊娠高血圧症候群 ・・ 従来『妊娠中毒症:高血圧、尿蛋白、浮腫を3主徴とする』と呼ばれていたものの、新しい名称。2005年4月に日本産婦人科学会が発表した。さて新しい定義とは『妊娠20週以降、分娩12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれか』で、それまで妊娠中毒症に必須であった『浮腫』が除外された。つまり高血圧に重きを置くようになっている。
□ pin point pupils ・・ 両側の縮瞳。?脳幹部(橋)の出血、?有機リン中毒、?麻薬中毒。胃洗浄で白濁してるか確認して?を鑑別する必要あり。
□ piping(パイピング) ・・ 呼吸音で、笛のような音。水や痰がたまっていることを示唆する。
□ PL顆粒=ホグス顆粒 ・・ 用途の広い、総合感冒薬。眠気が難。前立腺肥大の有無に注意しよう。
□ PMDD=月経前不快気分障害 ・・ セロトニン(セロトニン:いらいら、怒りっぽい、うつ、食べすぎ、寝すぎなどを抑制してくれている)作動性神経系の異常が原因と考えられている。治療は?向精神薬で具体的にはSSRI、clomipramine、?排卵抑制剤。
□ point out = 指摘。『p/o』と略されることも。
□ poor study ・・ 通常は超音波検査で「視界不良でよく見えない」というときに使う表現。「poor echo」ともいう。
□ PPI=ピーピーアイ=プロトンポンプ阻害剤
胃・十二指腸潰瘍の薬で一番強いもの。なら最初からそれを出せという声もあるが、通常は胃カメラできちんと確定診断がついてから投与するものだ(誰にでも処方すると機関に目をつけられる)。
ガスター10が薬局で発売されているが、胃の調子が悪くてこれが効かなければPPIが必要になるだろう。となると受診しないといけない(もしくは知り合いの病院スタッフ)。
ガスターなどのH2受容体拮抗薬は日中の酸分泌が弱いのが弱点(その代わり夜間に効果著明)。PPIは24時間効果が持続する。またPPIそのものにピロリ菌の除菌作用がある。
なので除菌治療後の判定の前にはPPIを中止してから(一ヶ月間以上)臨むことになっている。またPPIとH2受容体拮抗薬の併用が相乗効果をもつことも言われてはいるが、保険適応上無理がある。
保険上の投与期間は胃潰瘍で8週間、十二指腸潰瘍で6週間(ジイは出ろ!=G8、D6 ※G・Dはそれぞれ胃・十二指腸の頭文字)。
※05/07/27 医薬品等安全性情報215/厚労省医薬食品局
【1】重要な副作用等に関する情報。
◆オメプラゾール(オメプラール錠、オメプラゾン錠、オメプラール注用)..重大な副作用:血小板減少、急性腎不全。
医薬品安全性情報http://www.jah.ne.jp/~kako/cgi-bin/topics_disp.cgi/~kako/topics/log.txt?topics_kubun&;;;;;iy&1は常に確認する必要がある(そのまま情報として鵜呑みにするのはどうかとは思うが)。
□ PROactive(プロアクティブ) ・・ 2型糖尿病に合併する大血管障害をピオグリタゾン(アクトス)によって初めて抑制した、という試験(二重盲検)。最近(2006年9月)ではさらに2型糖尿病の脳卒中再発を半減させるという好成績が追加された。
□ prognosis(プログノーシス)=予後。今後予測される寿命の長さ。
□ prolapse(プロラプス) ・・ 「逸脱」のこと。通常は「僧房弁逸脱」のことを指す。動きに協調性がないことを指す。
例文)「軽度のプロラプスだったら、若年でもけっこう認める」
□ prolong ・・ 延長
□ PSA=前立腺特異抗原 ・・ 前立腺癌の早期診断・経過観察のための腫瘍マーカー。上昇につれ精度が高い。4.1-10ng/ml(グレーゾーンという)で20-30%、10ng/ml以上では30-50%に前立腺癌が検出。PSA上昇と直腸診、経直腸エコーにより生検をするかどうか決める。ただし前立腺肥大、前立腺炎でもPSAが上昇することあり。なおPSAの値が2.1-4.0ng/mlでは1年ごと、2.0ng/ml以下では2年ごとの測定が推奨されている。
□ Psy(プシ)科 ・・ 精神科
□ PSVT=発作性上室性頻拍 ・・ 「P」は「paroxysmal=パロキシマル(と読む)=発作性」の略。心房の過剰興奮が原因となって頻脈が続き、動悸・脱力感をもたらす。自然軽快も多いが、長時間なら迷走神経反射(?瞼を押さえる、?右の頚動脈を押す、?息こらえする)するか、病院で注射する。通常、命にはかかわらない。
□ PT ・・ 2つある。
? プロトロンビン時間
? 理学療法士(リハビリ)。リハビリできる病院でも、PTがいなくてナースがやってる場合がある。
□ PTCA=経皮的冠動脈形成術 ・・ バルーンによる冠動脈拡張。しかし1990年後半からステントが登場して、バルーンによる拡張術は名前を改め<POBA(ポバ)>と呼ばれるようになった。
□ PTSD=post traumatic stress disorder=心的外傷後ストレス障害 ・・ 心的な外傷体験を経験したときのストレスを処理できず、反応が遷延し社会生活に支障を来たした状態。阪神大震災で増加。映画では『エイリアン2』冒頭でのリプリー。『ジョーズ2』『ヒッチャー2』でも同様。最近では伸介の暴行事件。治療・ケアの基本は、トラウマによって打ち砕かれた安全感をまず立て直し、無力感から自己のコントロール感を取り戻し、トラウマによって断片化された記憶を統合することにあるという。なのでトラウマを根掘り葉掘り聞き出すのは言語道断。患者側の会話のペースを重視し、聞き手に回って「話せる範囲でいいんですよ」など相手のコントロール感に常に配慮する。無神経に言葉の選び方を間違うと(「嘆いてもしょうがないから頑張りましょう」「元気そうですね」など)、かえって二次的トラウマを与えかねない。
□ pulse decifit(パルス・デシフィット) ・・ 脈拍欠損。頻脈性の心房細動ではカラ打ちが生じ、実際に心臓が(例えば)5回動いたとしても実際に全身に送られるのは3回だったりする。つまり心音は5回聞こえてても手首の脈は3回しか触れない
ことになる。この2回の欠損をいう。
□ PTE ・・ ?肺血栓塞栓症、または?下腿浮腫、の略。
□ pulse ・・ 脈。ナースは「プルス」と呼んでいることが多い。
□ QOL ・・ 生活の質。快適さを意味する。
□ PAE = Post-Antibiotic Effect ・・ 血中あるいは組織中から抗菌剤が消失してからも病原菌の増殖がある期間抑制されること。つまり菌と接触する濃度が高いほどいい→1回の投与量が多いほどいい。PAEをもつ薬剤の代表は、ニューキノロン系とアミノグリコシド。つまり『濃度依存性』とも表現される。これに対して『時間依存性』なのがβラクタム、マクロライド系だが、この中で濃度依存性でもあるのがアジスロマイシン(ジスロマック)、テトラサイクリン、バンコマイシン。
□ paf(パフ) ・・ 発作性心房細動。ふだん正常の洞調律であったのが、突然頻脈性の心房細動になること。睡眠不足などが引き金になるケースもある。以前は薬物投与にて予防を行うことが多かったが現在はカテーテル・アブレーションによる根治治療が推奨される。この背景には、薬物療法によっても年間5.5%が慢性化(14年で77%が慢性化)してしまう現実がある。
□ Patient=患者 ・・ 「ペイシャント」と呼ぶ。略して「Pt」と記載することも。
□ PAP=異型肺炎
□ PBC-AIHオーバーラップ症候群 ・・ 所見はその名前の通りで、PBC(原発性胆汁性肝硬変)とAIH(自己免疫性肝炎)のどちらの要素ももつ、その境界型。あくまでも臨床経過による総合的な診断名で、診断基準も存在せず、特異的なマーカーもない。実際は双方の診断基準にそれぞれ当てはまるかどうかでなされる。臨床経過によりPBCが優勢であったりAIHが優勢であったりする。治療はまずPBCの薬であるUDCAを基本とし、肝炎の要素が強ければステロイドをそのつど投与という形になる。
□ PCPS ・・ 体外循環。人工心肺。心臓の前後に管を入れることで、心臓・肺を通さずに、きれいで圧の十分な血液を循環させる。オペのときによく使用される。長期の使用は心臓・回路内の凝固を招くのですべきでない。
□ PE=pericardial effusion ・・ 心嚢液(しんのうえき)。心臓を包む嚢に入った液。通常は少量あって、嚢(ふくろ)と中の心臓の潤滑液的な役割がある。増えすぎると「タンポナーデ」。炎症を起こして少量増えるのが「心膜炎」
□ PEEP(ピープ)=持続的陽圧呼吸 ・・ 人工呼吸器の設定の1つで、肺をより広げて酸素をいきわたらせる。ただしそれによる血圧低下、気道内圧上昇などの副作用に注意。
□ PEF=ピークフロー=最大呼気流量 ・・ ピークフローメーターで、一気に吹き出した呼気(努力性呼気)の流量を測定。喘息日誌に記録し、外来での喘息治療の指標とする。ただ調子悪いときの測定だと発作が誘発されることがある。自覚症状からそれが予想されるなら測定は休むべき。
■ ペグ=PEG=percutaneous endoscopic gastrostomy=内視鏡的胃瘻増設術
内視鏡下にてチューブを腹壁→腹膜を貫通させ胃内に留置、流動食や薬剤を注入する手技。穿刺部位は、内視鏡で胃内部から腹壁を見上げ、腹壁上から指で目安(場所と穿刺角度)をつける。念のため腹部レントゲンでガスの位置などを把握しておく場合もある(大腸への誤穿刺を回避)。腹膜を貫くので、創部感染だけでなく腹膜炎への波及もありうる。
<Pull法>
内視鏡で胃内部から腹壁を見上げる→腹壁を穿刺し胃内部へワイヤーを通す→内視鏡を引っ張り、内視鏡ごと口腔外へと持っていく→出たワイヤーの先とカテーテルを接続→今度は逆に引っ張りカテーテルを腹壁経由で抜き出しストップ→固定→内視鏡をもう1回入れて確認。
<Direct法>
内視鏡で胃内部から腹壁を見上げる→腹壁を穿刺し胃内部へワイヤーを通す→瘻孔拡張後に「イディアルボタン」という広径の(詰まりにくい利点)バンパー型カテーテルを挿入、留置。
□ PEG-IFN=ペグインターフェロン ・・ C型慢性肝炎に使用。インターフェロン分子にポリエチレングリコール(PEG)を加えたもののため、こう呼ばれる。これにより持続的な体内動態が得られるようになり、従来のインターフェロンと違って週1回の投与でOK。利便性に優れる。
□ pericarditis(ペリカルダイティス)=心膜炎 ・・ 何らかの原因で心臓の周囲に炎症性の液がたまった状態。悪性腫瘍の除外が必須。多いのは肺癌・乳癌。
□ PH=肺高血圧
肺動脈の圧が亢進した状態。安静臥位での平均肺動脈圧が右心カテーテル検査で25mmHgを越える場合。なおこのとき肺動脈楔入圧は正常である(純粋な右心負荷)。
症状(呼吸困難ん・動悸など)出現時はすでに進行していることが多いので心エコーによるスクリーニングが推奨されている。なお慢性肺血栓塞栓性肺高血圧を除外する
必要があり、そのためには肺血流シンチが不可欠である。
たいていは肺疾患、それも慢性呼吸不全に起因するものが多い。先天性心疾患、弁膜症、膠原病でもみられる。心臓超音波検査、あるいはカテーテル検査で診断する。
膠原病での合併率(この場合CTD-PHという)はMCTDで最多(7%)、SSc(5%)、SLE(2%)、PM/DM(0.5%)とつづく。
2004年の新分類では肺動脈そのものに起因するもの、つまり?特発性と?家族性をそれぞれ
?IPAH=idiopathic PAH=特発性肺動脈性肺高血圧症
?FPAH=Familial PAH=家族性肺動脈性肺高血圧
BMP受容体(BMPR-II)遺伝子が責任遺伝子であると同定された。
※ BMP経路:血管を構成する内皮細胞・平滑筋細胞増殖を抑制するシステム。ここの障害で異常増殖が起こり微小血管の内腔閉塞が起こる
わけである。
という。これらとあと2次性のもの、ということになる。
治療は2次性のものに関しては当然、原疾患の治療ということになる。
ではIPAHとFPAHの治療について。
基本は下の●。
● 酸素投与 ・・低酸素は肺血管収縮を起こす事実がある。SpO2は90%以上に保持する。
● 右心不全の治療(特にNYHA?・?で)
● 抗凝固療法 ・・ 病態に微小血栓の存在が考えられるためで、効果あるのも証明済み。具体的にはワーファリンでPT-INRを1.5-2.5に調節する。
● 血管拡張療法 (特にNYHA?・?では<急性肺動脈拡張試験>を行い、ガイドライン治療の適応であることを確認してから)
?カルシウム拮抗剤大量投与で予後改善 → 効果ありは25%程度、血圧低下もあり日本ではあまり使用せず。
?プロスタサイクリン(PGI2)持続静注療法 → 有効であり予後を改善するという事実は以前から知られ、2004年6月に保険適応となった。NYHA ?・?度に適応とされるが?の段階では予後改善効果が乏しい。右心不全急性増悪には禁忌。持続静注射であること・高コストといった管理の点が問題。カテ感染、甲状腺機能亢進に注意。
?プロスタサイクリン・アナログ → ?と異なり静脈投与以外でも(経口剤)使用可能。IPAH , FPAHの症状、運動耐容能の改善効果あり。
?エンドセリン受容体拮抗薬 → 肺高血圧で増加するエンドセリン-1は血管収縮作用をもつ。これの結合するレセプターを阻害する。2005年6月に認可。
?PDE阻害薬 → 肺血管だけに作用し全体の血圧に影響があまりなく、副作用少なく経口が可能、と良い面が多いが、肝心の保険適応が取れてない。
・ ステロイド ・・ 肺血管炎などの炎症病態に対して。自覚症状が出現するような例では(PHがすでに出来上がっていると考えられるため)無効が多い。
・ 肺移植 ・・ 部分移植ならば成功例が報告有。
・ 心房中隔裂開術 ・・ 右心房と左心房との間の壁に穴を作り、肺動脈行きの血液を逃がす。しかし肺への血流・酸素は減る。移植までの橋渡し的な方法。
□ PIH=pregnancy induced hypertension=妊娠高血圧症候群 ・・ 従来『妊娠中毒症:高血圧、尿蛋白、浮腫を3主徴とする』と呼ばれていたものの、新しい名称。2005年4月に日本産婦人科学会が発表した。さて新しい定義とは『妊娠20週以降、分娩12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれか』で、それまで妊娠中毒症に必須であった『浮腫』が除外された。つまり高血圧に重きを置くようになっている。
□ pin point pupils ・・ 両側の縮瞳。?脳幹部(橋)の出血、?有機リン中毒、?麻薬中毒。胃洗浄で白濁してるか確認して?を鑑別する必要あり。
□ piping(パイピング) ・・ 呼吸音で、笛のような音。水や痰がたまっていることを示唆する。
□ PL顆粒=ホグス顆粒 ・・ 用途の広い、総合感冒薬。眠気が難。前立腺肥大の有無に注意しよう。
□ PMDD=月経前不快気分障害 ・・ セロトニン(セロトニン:いらいら、怒りっぽい、うつ、食べすぎ、寝すぎなどを抑制してくれている)作動性神経系の異常が原因と考えられている。治療は?向精神薬で具体的にはSSRI、clomipramine、?排卵抑制剤。
□ point out = 指摘。『p/o』と略されることも。
□ poor study ・・ 通常は超音波検査で「視界不良でよく見えない」というときに使う表現。「poor echo」ともいう。
□ PPI=ピーピーアイ=プロトンポンプ阻害剤
胃・十二指腸潰瘍の薬で一番強いもの。なら最初からそれを出せという声もあるが、通常は胃カメラできちんと確定診断がついてから投与するものだ(誰にでも処方すると機関に目をつけられる)。
ガスター10が薬局で発売されているが、胃の調子が悪くてこれが効かなければPPIが必要になるだろう。となると受診しないといけない(もしくは知り合いの病院スタッフ)。
ガスターなどのH2受容体拮抗薬は日中の酸分泌が弱いのが弱点(その代わり夜間に効果著明)。PPIは24時間効果が持続する。またPPIそのものにピロリ菌の除菌作用がある。
なので除菌治療後の判定の前にはPPIを中止してから(一ヶ月間以上)臨むことになっている。またPPIとH2受容体拮抗薬の併用が相乗効果をもつことも言われてはいるが、保険適応上無理がある。
保険上の投与期間は胃潰瘍で8週間、十二指腸潰瘍で6週間(ジイは出ろ!=G8、D6 ※G・Dはそれぞれ胃・十二指腸の頭文字)。
※05/07/27 医薬品等安全性情報215/厚労省医薬食品局
【1】重要な副作用等に関する情報。
◆オメプラゾール(オメプラール錠、オメプラゾン錠、オメプラール注用)..重大な副作用:血小板減少、急性腎不全。
医薬品安全性情報http://www.jah.ne.jp/~kako/cgi-bin/topics_disp.cgi/~kako/topics/log.txt?topics_kubun&;;;;;iy&1は常に確認する必要がある(そのまま情報として鵜呑みにするのはどうかとは思うが)。
□ PROactive(プロアクティブ) ・・ 2型糖尿病に合併する大血管障害をピオグリタゾン(アクトス)によって初めて抑制した、という試験(二重盲検)。最近(2006年9月)ではさらに2型糖尿病の脳卒中再発を半減させるという好成績が追加された。
□ prognosis(プログノーシス)=予後。今後予測される寿命の長さ。
□ prolapse(プロラプス) ・・ 「逸脱」のこと。通常は「僧房弁逸脱」のことを指す。動きに協調性がないことを指す。
例文)「軽度のプロラプスだったら、若年でもけっこう認める」
□ prolong ・・ 延長
□ PSA=前立腺特異抗原 ・・ 前立腺癌の早期診断・経過観察のための腫瘍マーカー。上昇につれ精度が高い。4.1-10ng/ml(グレーゾーンという)で20-30%、10ng/ml以上では30-50%に前立腺癌が検出。PSA上昇と直腸診、経直腸エコーにより生検をするかどうか決める。ただし前立腺肥大、前立腺炎でもPSAが上昇することあり。なおPSAの値が2.1-4.0ng/mlでは1年ごと、2.0ng/ml以下では2年ごとの測定が推奨されている。
□ Psy(プシ)科 ・・ 精神科
□ PSVT=発作性上室性頻拍 ・・ 「P」は「paroxysmal=パロキシマル(と読む)=発作性」の略。心房の過剰興奮が原因となって頻脈が続き、動悸・脱力感をもたらす。自然軽快も多いが、長時間なら迷走神経反射(?瞼を押さえる、?右の頚動脈を押す、?息こらえする)するか、病院で注射する。通常、命にはかかわらない。
□ PT ・・ 2つある。
? プロトロンビン時間
? 理学療法士(リハビリ)。リハビリできる病院でも、PTがいなくてナースがやってる場合がある。
□ PTCA=経皮的冠動脈形成術 ・・ バルーンによる冠動脈拡張。しかし1990年後半からステントが登場して、バルーンによる拡張術は名前を改め<POBA(ポバ)>と呼ばれるようになった。
□ PTSD=post traumatic stress disorder=心的外傷後ストレス障害 ・・ 心的な外傷体験を経験したときのストレスを処理できず、反応が遷延し社会生活に支障を来たした状態。阪神大震災で増加。映画では『エイリアン2』冒頭でのリプリー。『ジョーズ2』『ヒッチャー2』でも同様。最近では伸介の暴行事件。治療・ケアの基本は、トラウマによって打ち砕かれた安全感をまず立て直し、無力感から自己のコントロール感を取り戻し、トラウマによって断片化された記憶を統合することにあるという。なのでトラウマを根掘り葉掘り聞き出すのは言語道断。患者側の会話のペースを重視し、聞き手に回って「話せる範囲でいいんですよ」など相手のコントロール感に常に配慮する。無神経に言葉の選び方を間違うと(「嘆いてもしょうがないから頑張りましょう」「元気そうですね」など)、かえって二次的トラウマを与えかねない。
□ pulse decifit(パルス・デシフィット) ・・ 脈拍欠損。頻脈性の心房細動ではカラ打ちが生じ、実際に心臓が(例えば)5回動いたとしても実際に全身に送られるのは3回だったりする。つまり心音は5回聞こえてても手首の脈は3回しか触れない
ことになる。この2回の欠損をいう。
□ PTE ・・ ?肺血栓塞栓症、または?下腿浮腫、の略。
□ pulse ・・ 脈。ナースは「プルス」と呼んでいることが多い。
□ QOL ・・ 生活の質。快適さを意味する。
サーガマニュアル2007秋 R S-1
2007年9月17日□ RA=慢性関節リウマチ=関節リウマチ ・・ 膠原病の1つ。関節が変形する前に食い止めるのが内科の使命。したがって早期リウマチの段階での診断が重要。
□ RCA=右冠動脈
□ reciprocal change(レシプロカル・チェンジ)=対側性変化 ・・ 心電図用語。四肢誘導でのST上昇にともない、それの裏側的変化として胸部誘導に現れるST低下。
□ RFA=経皮的ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術 ・・ 比較的早期の限局した肝癌に対する、局所的治療で最近(2000年〜)さかんに行われている。現時点では外科手術を超える予後成績は出てはいないが、何しろ最近の治療法なので今後のデータを待とう。
□ Rituximab ・・ キメラ型抗CD20抗体。CD20抗原は正常B細胞と大半のBリンパ腫(←悪性リンパ腫の1つ)細胞に発現している、特異性の高い抗原。これのみターゲットにするので骨髄毒性が少ない。RituximabはヒトBリンパ腫細胞にアポトーシスを誘導し、抗癌剤感受性も増強する。毒性が少ないから化学療法の併用も期待されている。
※ キメラ抗体に関してはhttp://www.biowonderland.com/BioWorld/KotaiMono/20041201.htmlを。
□ RNP抗体 ・・ MCTDの診断に必須の検査項目。
□ RPLS=Reversible posterior leukoencephalopaty syndrome ・・ 特徴的な症状(痙攣・意識障害・視覚異常・高血圧)・画像所見(後部白質中心の脳浮腫)・経過(治療により可逆性)を呈する神経疾患の1群。要因は多彩で、高血圧、子癇、薬剤など。視覚異常(半盲や複視など)は画像での後頭葉の所見を反映。治療は?二カルジピンなどでゆっくり降圧、?血管内皮細胞傷害の可能性あり薬剤中止、?痙攣対策(子癇は硫酸マグネシウム、その他はジアゼパム静注)の3本柱。
□ RVS=Real-time Virtual Sonography ・・ 腹部超音波検査での各画面に合わせ、あらかじめ取り込んだCT画像を同時に表示させる検査。肝癌に対して行われるラジオ波治療の際に有用と期待されている。2004年1月発売。
□ SARS=severe acute respiratory syndrome=重症急性呼吸器症候群
2003年に世界を震撼させた(医師が中国広東省で感染→香港で10人に伝染→飛行機経由で全世界に撒き散らし)、SARSコロナウイルス=SARS-CoVによる全身性の感染症。
流行がみられたのは中国本土、香港、台湾(この3つで9割!)、シンガポール、カナダ。総計して感染者は8098人、死者774人。感染者に日本人は、いませんでした〜いませんでした〜と、呑気に言ってはいられない。
宿主としてはハクビシンやタヌキなどと言われているが実は分かっていない。SARSで最も被害の大きいのは肺で、ARDSの病態を呈する。
潜伏期は2-10日、初発症状は高熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状。発症3〜7日ともなると下気道症状(乾性咳、呼吸困難)。この時点ではレントゲン写真で浸潤影を認める。血液では白血球中のリンパ球減少(98%で1000/μl以下との報告あり)が発症2週目に最低ピーク。
病期は3つに分かれ、
?一週目でインフルエンザ症状
?二週目で抗体(発病10日以上たつとやっと検出なので早期診断には使えない)が陽性、下痢やレントゲン陰影などの激しい症状・所見がみられる。なおこの時期特に発病10日目にはウイルス量が最大となるので感染力がピーク、つまり院内での感染力が最も強い時期。
?3週目以降で、8割が回復し2割が悪化→ARDS化するという決着の時期となる。
なおトータルとしてのSARSの死亡率は10%。高齢ほど予後が悪い。
治療としては病像そのものが異型肺炎に類似するので、まずはこれに使用する抗生剤を使用することになる。抗ウイルス薬はまだエビデンス不足。
※ 2003年の流行後の追跡調査で、生存者の3分の1に呼吸機能(1秒量や肺拡散能)の低下がみられたことが報告された(シンガポールの感染者94人が対象で呼吸器疾患既往はわずか9%)。つまり後遺症を残したということだ。
□ SAH(ザー) ・・ クモ膜下出血。外傷性と動脈瘤破裂によるものがある。起こしたにもかかわらず意識清明なケースもあり、その場合に見過ごされると数時間〜数日後に再出血して重篤化することあるのだから、要注意だ。頭痛の特徴としては?バットできなり殴られたような、?生まれて初めてぐらい強い頭痛、など。
□ SAS=サス=睡眠時無呼吸症候群 ・・ 無呼吸ー低呼吸指数(AHI)が5/h以上の睡眠呼吸障害を呈し、日中の眠気などの自覚症状がある場合。
※ 無呼吸ー低呼吸指数 ・・ 睡眠中1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数。
※ 無呼吸 ・・ 10秒以上の気流停止
・ 有病率は30歳以上男性で4%、女性の2%。
・ 放置すると高血圧の原因となり、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
・ SAS(サス)のほとんどは舌や咽頭軟部組織、顎顔面形態などの異常に基づいて発症する。
・ 6-7割に肥満あり。ただし診断に肥満は必須ではない。
・ 95%以上はOSAS(閉塞性)・・咽頭の狭小化によって物理的に発症する・・・である。睡眠により咽頭の筋肉の緊張が低下し、気道はさらに狭小化→上気道抵抗↑→吸気時の陰圧によりますます咽頭が閉塞。これにより無呼吸〜低呼吸を繰り返す。これにより?呼吸障害 ・・ 低酸素、高炭酸ガス、呼吸性アシドーシス、?睡眠障害 ・・ 昼間の眠気、倦怠感、集中力低下をきたす。
○ SDB=sleep disordered breathing ・・ 自覚症状あるなしにかかわらず、AHIが5-10/h以上の病態。これに症状(日中傾眠、中途覚醒、倦怠感など)を伴う場合にSASと呼ばれる。SDB自体もSASと同様に高血圧の原因となりうるもので、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
○ 睡眠時呼吸障害の分類
? 閉塞性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(OSAHS)
? 中枢性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(CSAHS)
? チェーン・ストークス呼吸症候群(CSBS) ・・ 重症心不全に伴うこと多い。特に LVEF 40%未満の30-50%にみられる。
? 睡眠時低換気症候群(SHVS) ・・ 呼吸補助筋・横隔膜の活動低下による。
※ 酸素飽和度低下の程度に関しては、?〜?は数十秒単位、?は数分〜十数分単位にまでなる。
PSG(ポリソムノグラフィー)での評価 ・・ PSGで測定するのは脳波、眼球運動、頤(おとがい)筋電図、心電図、下肢筋電図、気流(鼻内圧・サーミスター)、呼吸運動(胸部・腹部)、いびき音、SpO2。これらよりAHI、睡眠ステージ、中途覚醒の有無<awaking(30秒間で15秒以上の覚醒)、arousal(3秒以上の覚醒)>が判定される。AHI>5/h、awaking+arousal 20/h以上が異常所見となる。
? → 鼻・口の気流は停止するが呼吸運動は継続。
? → 鼻・口の気流は停止し呼吸運動も停止。
? → 次第に呼吸が大きくなりまた次第に低下、ついには中枢型無呼吸となる。
? → 低換気は特にREM睡眠時に悪化し、無呼吸は少なくとも数分以上。
※ PSGは大掛かりで人手も要するため、脳波などを省いて簡略化したのが<簡易測定>。これなら在宅でもできる。測定項目は心拍数、鼻の内圧変化、胸部呼吸運動、SpO2、イビキ音、姿勢。簡易測定では中等症〜重症のOSAHSの診断が可能であるので、この検査で異常がなくとも症状が明らかならPSGを受ける必要がある。
● 治療
○ nCPAP=nasal continuous positive airway pressure=経鼻的持続気道陽圧療法=ネーザルシ−パップ=シ−パップ
鼻マスクを装着して気道に圧を加える。閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に対する治療法の1つ(他には口腔内装具、耳鼻科での手術)。1998年より保険適応で、一定の基準をクリアする必要がある。目安はAHI=無呼吸低呼吸指数(1時間あたりの10秒以上無呼吸+安静覚醒時の50%以下の低換気)が20以上、脳波上で睡眠障害あり、症状(昼間の眠気)あり、が主なもの。流れとしては、入院→ポリソムノグラフィーで適応決定→nCPAP施行し設定を決定→退院、となることが多い。nCPAPによって症状の改善、合併症の減少などいい報告は多いのだが、実際のコンプライアンス(いわば継続率みたいなもの)は50-80%と、脱落例が多いのが主治医を悩ませる。機械の扱いに患者がついていけてない、または治療そのものによる不快感・違和感という理由が大半。
・ 種類
? 固定圧型 ・・ 患者側に関係なく一定の圧がかかるので、閉塞を解除する適切な圧を決定する必要がある。
? 自動圧調節型 ・・ 無呼吸・気流制限をそのつど判断して臨機応変に送気圧を変化させる。しかし患者によっては圧の変化により覚醒を促してしまうことがある。
?と?の適応基準、有用性などの比較は十分なされていない。
○ 口腔装置=Oral appliance=ORAP ・・ 上気道を拡大する目的(主にいびき症の治療)で口腔内に装着する器具。適応はAHI<20またはnCPAP処方圧<7-8cmH2Oの症例。
○ 耳鼻科的手術
・ 鼻腔形成術 ・・ 鼻中隔矯正術、鼻甲介整形術・レーザー、鼻茸切除術、鼻内副鼻腔手術
・ 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(OSASに最も一般的) ・・ 中咽頭腔を物理的に拡大し、狭窄を改善
・ アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術
・ レーザー下口蓋垂軟口蓋形成術
など。
□ SAT=subacute thrombosis=亜急性血栓閉塞 ・・ 冠動脈拡張術、とくにステント挿入後、しばらくしてできてしまうことがある血栓による閉塞。当然、再び拡張の必要に迫られる。予防のためチクロピジンの内服を行う。副作用出るならシロスタゾールへ変更。
□ sc(エスシー) ・・ 皮下注射=皮下注
□ SE=side effect=副作用
□ sepsis(ゼプシス) ・・ 感染症が増悪してSIRSの状態(免疫応答が起こりまくっている)。以下欧米のガイドライン(2004)から→重症化すると死亡率は40-80%。感染症の原因菌では以前はグラム陽性菌・陰性菌が同程度だったが最近は陽性菌が増えている。また真菌の合併も多く、その場合中でもカンジダによるものが最多。感染初期は広域スペクトルの抗菌薬から開始し、培養結果が戻ったらその結果に基づいて抗菌薬を再検討する。βラクタムは抗菌域の広いもの(3・4世代、カルバペネム)が出ているので、あえてアミノグリコシド併用をすることでのメリットはあまりない。また抗グラム陽性菌薬の使用はルーチンではないが、あえて使うならグリコペプチド系、オキサゾリジノン系(リゾネリド)、ストレプトグラミン系を。
□ RCA=右冠動脈
□ reciprocal change(レシプロカル・チェンジ)=対側性変化 ・・ 心電図用語。四肢誘導でのST上昇にともない、それの裏側的変化として胸部誘導に現れるST低下。
□ RFA=経皮的ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術 ・・ 比較的早期の限局した肝癌に対する、局所的治療で最近(2000年〜)さかんに行われている。現時点では外科手術を超える予後成績は出てはいないが、何しろ最近の治療法なので今後のデータを待とう。
□ Rituximab ・・ キメラ型抗CD20抗体。CD20抗原は正常B細胞と大半のBリンパ腫(←悪性リンパ腫の1つ)細胞に発現している、特異性の高い抗原。これのみターゲットにするので骨髄毒性が少ない。RituximabはヒトBリンパ腫細胞にアポトーシスを誘導し、抗癌剤感受性も増強する。毒性が少ないから化学療法の併用も期待されている。
※ キメラ抗体に関してはhttp://www.biowonderland.com/BioWorld/KotaiMono/20041201.htmlを。
□ RNP抗体 ・・ MCTDの診断に必須の検査項目。
□ RPLS=Reversible posterior leukoencephalopaty syndrome ・・ 特徴的な症状(痙攣・意識障害・視覚異常・高血圧)・画像所見(後部白質中心の脳浮腫)・経過(治療により可逆性)を呈する神経疾患の1群。要因は多彩で、高血圧、子癇、薬剤など。視覚異常(半盲や複視など)は画像での後頭葉の所見を反映。治療は?二カルジピンなどでゆっくり降圧、?血管内皮細胞傷害の可能性あり薬剤中止、?痙攣対策(子癇は硫酸マグネシウム、その他はジアゼパム静注)の3本柱。
□ RVS=Real-time Virtual Sonography ・・ 腹部超音波検査での各画面に合わせ、あらかじめ取り込んだCT画像を同時に表示させる検査。肝癌に対して行われるラジオ波治療の際に有用と期待されている。2004年1月発売。
□ SARS=severe acute respiratory syndrome=重症急性呼吸器症候群
2003年に世界を震撼させた(医師が中国広東省で感染→香港で10人に伝染→飛行機経由で全世界に撒き散らし)、SARSコロナウイルス=SARS-CoVによる全身性の感染症。
流行がみられたのは中国本土、香港、台湾(この3つで9割!)、シンガポール、カナダ。総計して感染者は8098人、死者774人。感染者に日本人は、いませんでした〜いませんでした〜と、呑気に言ってはいられない。
宿主としてはハクビシンやタヌキなどと言われているが実は分かっていない。SARSで最も被害の大きいのは肺で、ARDSの病態を呈する。
潜伏期は2-10日、初発症状は高熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状。発症3〜7日ともなると下気道症状(乾性咳、呼吸困難)。この時点ではレントゲン写真で浸潤影を認める。血液では白血球中のリンパ球減少(98%で1000/μl以下との報告あり)が発症2週目に最低ピーク。
病期は3つに分かれ、
?一週目でインフルエンザ症状
?二週目で抗体(発病10日以上たつとやっと検出なので早期診断には使えない)が陽性、下痢やレントゲン陰影などの激しい症状・所見がみられる。なおこの時期特に発病10日目にはウイルス量が最大となるので感染力がピーク、つまり院内での感染力が最も強い時期。
?3週目以降で、8割が回復し2割が悪化→ARDS化するという決着の時期となる。
なおトータルとしてのSARSの死亡率は10%。高齢ほど予後が悪い。
治療としては病像そのものが異型肺炎に類似するので、まずはこれに使用する抗生剤を使用することになる。抗ウイルス薬はまだエビデンス不足。
※ 2003年の流行後の追跡調査で、生存者の3分の1に呼吸機能(1秒量や肺拡散能)の低下がみられたことが報告された(シンガポールの感染者94人が対象で呼吸器疾患既往はわずか9%)。つまり後遺症を残したということだ。
□ SAH(ザー) ・・ クモ膜下出血。外傷性と動脈瘤破裂によるものがある。起こしたにもかかわらず意識清明なケースもあり、その場合に見過ごされると数時間〜数日後に再出血して重篤化することあるのだから、要注意だ。頭痛の特徴としては?バットできなり殴られたような、?生まれて初めてぐらい強い頭痛、など。
□ SAS=サス=睡眠時無呼吸症候群 ・・ 無呼吸ー低呼吸指数(AHI)が5/h以上の睡眠呼吸障害を呈し、日中の眠気などの自覚症状がある場合。
※ 無呼吸ー低呼吸指数 ・・ 睡眠中1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数。
※ 無呼吸 ・・ 10秒以上の気流停止
・ 有病率は30歳以上男性で4%、女性の2%。
・ 放置すると高血圧の原因となり、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
・ SAS(サス)のほとんどは舌や咽頭軟部組織、顎顔面形態などの異常に基づいて発症する。
・ 6-7割に肥満あり。ただし診断に肥満は必須ではない。
・ 95%以上はOSAS(閉塞性)・・咽頭の狭小化によって物理的に発症する・・・である。睡眠により咽頭の筋肉の緊張が低下し、気道はさらに狭小化→上気道抵抗↑→吸気時の陰圧によりますます咽頭が閉塞。これにより無呼吸〜低呼吸を繰り返す。これにより?呼吸障害 ・・ 低酸素、高炭酸ガス、呼吸性アシドーシス、?睡眠障害 ・・ 昼間の眠気、倦怠感、集中力低下をきたす。
○ SDB=sleep disordered breathing ・・ 自覚症状あるなしにかかわらず、AHIが5-10/h以上の病態。これに症状(日中傾眠、中途覚醒、倦怠感など)を伴う場合にSASと呼ばれる。SDB自体もSASと同様に高血圧の原因となりうるもので、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
○ 睡眠時呼吸障害の分類
? 閉塞性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(OSAHS)
? 中枢性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(CSAHS)
? チェーン・ストークス呼吸症候群(CSBS) ・・ 重症心不全に伴うこと多い。特に LVEF 40%未満の30-50%にみられる。
? 睡眠時低換気症候群(SHVS) ・・ 呼吸補助筋・横隔膜の活動低下による。
※ 酸素飽和度低下の程度に関しては、?〜?は数十秒単位、?は数分〜十数分単位にまでなる。
PSG(ポリソムノグラフィー)での評価 ・・ PSGで測定するのは脳波、眼球運動、頤(おとがい)筋電図、心電図、下肢筋電図、気流(鼻内圧・サーミスター)、呼吸運動(胸部・腹部)、いびき音、SpO2。これらよりAHI、睡眠ステージ、中途覚醒の有無<awaking(30秒間で15秒以上の覚醒)、arousal(3秒以上の覚醒)>が判定される。AHI>5/h、awaking+arousal 20/h以上が異常所見となる。
? → 鼻・口の気流は停止するが呼吸運動は継続。
? → 鼻・口の気流は停止し呼吸運動も停止。
? → 次第に呼吸が大きくなりまた次第に低下、ついには中枢型無呼吸となる。
? → 低換気は特にREM睡眠時に悪化し、無呼吸は少なくとも数分以上。
※ PSGは大掛かりで人手も要するため、脳波などを省いて簡略化したのが<簡易測定>。これなら在宅でもできる。測定項目は心拍数、鼻の内圧変化、胸部呼吸運動、SpO2、イビキ音、姿勢。簡易測定では中等症〜重症のOSAHSの診断が可能であるので、この検査で異常がなくとも症状が明らかならPSGを受ける必要がある。
● 治療
○ nCPAP=nasal continuous positive airway pressure=経鼻的持続気道陽圧療法=ネーザルシ−パップ=シ−パップ
鼻マスクを装着して気道に圧を加える。閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に対する治療法の1つ(他には口腔内装具、耳鼻科での手術)。1998年より保険適応で、一定の基準をクリアする必要がある。目安はAHI=無呼吸低呼吸指数(1時間あたりの10秒以上無呼吸+安静覚醒時の50%以下の低換気)が20以上、脳波上で睡眠障害あり、症状(昼間の眠気)あり、が主なもの。流れとしては、入院→ポリソムノグラフィーで適応決定→nCPAP施行し設定を決定→退院、となることが多い。nCPAPによって症状の改善、合併症の減少などいい報告は多いのだが、実際のコンプライアンス(いわば継続率みたいなもの)は50-80%と、脱落例が多いのが主治医を悩ませる。機械の扱いに患者がついていけてない、または治療そのものによる不快感・違和感という理由が大半。
・ 種類
? 固定圧型 ・・ 患者側に関係なく一定の圧がかかるので、閉塞を解除する適切な圧を決定する必要がある。
? 自動圧調節型 ・・ 無呼吸・気流制限をそのつど判断して臨機応変に送気圧を変化させる。しかし患者によっては圧の変化により覚醒を促してしまうことがある。
?と?の適応基準、有用性などの比較は十分なされていない。
○ 口腔装置=Oral appliance=ORAP ・・ 上気道を拡大する目的(主にいびき症の治療)で口腔内に装着する器具。適応はAHI<20またはnCPAP処方圧<7-8cmH2Oの症例。
○ 耳鼻科的手術
・ 鼻腔形成術 ・・ 鼻中隔矯正術、鼻甲介整形術・レーザー、鼻茸切除術、鼻内副鼻腔手術
・ 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(OSASに最も一般的) ・・ 中咽頭腔を物理的に拡大し、狭窄を改善
・ アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術
・ レーザー下口蓋垂軟口蓋形成術
など。
□ SAT=subacute thrombosis=亜急性血栓閉塞 ・・ 冠動脈拡張術、とくにステント挿入後、しばらくしてできてしまうことがある血栓による閉塞。当然、再び拡張の必要に迫られる。予防のためチクロピジンの内服を行う。副作用出るならシロスタゾールへ変更。
□ sc(エスシー) ・・ 皮下注射=皮下注
□ SE=side effect=副作用
□ sepsis(ゼプシス) ・・ 感染症が増悪してSIRSの状態(免疫応答が起こりまくっている)。以下欧米のガイドライン(2004)から→重症化すると死亡率は40-80%。感染症の原因菌では以前はグラム陽性菌・陰性菌が同程度だったが最近は陽性菌が増えている。また真菌の合併も多く、その場合中でもカンジダによるものが最多。感染初期は広域スペクトルの抗菌薬から開始し、培養結果が戻ったらその結果に基づいて抗菌薬を再検討する。βラクタムは抗菌域の広いもの(3・4世代、カルバペネム)が出ているので、あえてアミノグリコシド併用をすることでのメリットはあまりない。また抗グラム陽性菌薬の使用はルーチンではないが、あえて使うならグリコペプチド系、オキサゾリジノン系(リゾネリド)、ストレプトグラミン系を。
サーガマニュアル2007秋 S-2
2007年9月17日■ SIADH=バゾプレシン(ADH)不適合分泌症候群=バゾプレシン分泌過剰症
低ナトリウム血症の原因の1つ(頻度は全体の1/3ともいわれている)。本来、脳の視床下部で産生されるADH(抗利尿ホルモン)が同部位、あるいは異所性に過剰分泌されるために起こる。
背景に基礎疾患があるはずで、悪性腫瘍(肺小細胞癌による異所性産生が最多)・中枢神経疾患(脳幹部ニューロンの調節障害により)・肺(肺炎やCOPDなどの呼吸不全により左心房の圧受容体が刺激され迷走神経経由でADH分泌抑制解除)の疾患が多い。薬剤性では抗癌剤のビンクリスチン、シクロフォスファミドがある。
症状は低ナトリウムによるものが主体で、ナトリウム濃度が120を切ると消化器症状など、110切ると痙攣・意識障害となり致命的。この病態での患者の体液量そのものは増加しているが軽度であり、病態自体が完成すると尿中ナトリウム排泄によって体液量の増大はむしろなくなる。外観としての浮腫はみられないのが特徴。
治療の基本は水分制限(1日800-1000cc)と基礎疾患の治療。薬剤ではデメクロサイクリンが第一選択で、尿細管へのADH作用に拮抗し水の排泄を促進する。あとフロセミドも有効だが水の出しすぎでナトリウムも失いのに注意。ナトリウムは食塩相当で1日10g以上は補給する。
ナトリウムの急速な補正は橋中心髄鞘崩壊=central pontine myelinolysis=CPMなどの浸透圧性脱髄症候群を合併する危険がある。実際の補正は前日比10mEq/lを超えない濃度上昇を目安に行う。初期補正到達目標値も125mEq/l程度にとどめる。
※ 「フィズリン」というバゾプレシンの経口剤が2006年7月認可。今のところ適応が<異所性バゾプレシン産性腫瘍によるSIADH>のみだが今後SIADH全体の適応承認が期待されている。
□ Sicilian Gambit ・・ 抗不整脈剤の選択においては従来Vaughan Williams分類を参考に治療がされてきたが、CAST試験(Ic薬による予後↓)を受けてその意義(経験的な分類であること)そのものが疑問視され(つまり過去の経験蓄積が否定的とされ)、欧米の専門家によって作り直された分類。分類の特徴としては、病態生理学的アプローチ・・発生機序→成立条件→受攻性因子(最も治療に適した部分)を特定→標的分子(治療のターゲットになる部分を特定)→薬剤選択というステップをたどる。このプロセスは一覧表の活用によって実行される。もっと根本的な原因(カテコラミンやホルモンのレベル)にまでさかのぼった視点で治療を行うという観点(アップストリームアプローチ)ももつ。詳細は日本循環器学会雑誌にて(ガイドライン2004年版)。
□ sigmoid septum(シグモイド セプトゥム) ・・ S字状中隔。心室中隔基部が内側に張り出し、中隔がS字状にみえる。高血圧・加齢的な所見で病的意義は通常ないが、まれに左室流出路を狭窄させるタイプもあるという。
□ SIRIUS試験 ・・ 従来型ステントと薬剤溶出ステント=DESとの予後比較試験。結果→DESで優れた改善率を示したものの、試験開始3年後の予後については改善のデータは出せなかった。自己満足の域をまだ出ていないということか。
□ SIRS=systemic inflammatory response syndrome=全身性炎症反応症候群 ・・ 種々の侵襲(感染など)によって体内で引き起こされるメディエータ(サイトカインなどの情報伝達物質)産生・放出。携帯の電波があちこち飛び交っているような状態。SIRSはつまり「高サイトカイン血症」の状態。
□ sliding hernia(スライディング・ヘルニア)=滑脱型ヘルニア ・・ 食道裂孔ヘルニア(胃が食道のほうへ引っ張られる)の中で最も多い(9割)タイプ。胃酸が逆流して逆流性食道炎を起こすことあり。食道裂孔ヘルニアは高齢者、経産婦に多く、食後の消化器症状が出現し仰臥位で増強する。
□ SLE(治療)
・ 活動性が高くなければPSL換算0.1-0.3mg/kg/dayで投与するが、活動性高く重症臓器病変を伴う場合は1.0mg/kg/dayまで増量する。
ステロイドパルスは生命予後を脅かす病態(ARDSやARFなど)に限り考慮する。
・ 活動性高く重症臓器病変を伴う場合はそれだけでなく免疫抑制剤も積極的に併用する。シクロフォスファミド・アザチオプリンは活性化リンパ球の細胞周期を制御する。
・ 重症臓器病変の中でもより炎症が激しい血管炎、ループス腎炎、中枢神経性ループス、間質性肺炎に対してはシクロフォスファミドパルス療法→シクロフォスファミドあるいはアザチオプリン内服維持が適応。
・ シクロスポリン、タクロリムスは薬剤(たとえば長期ステロイド)耐性の改善作用を有する。併用による効果を期待する。
・ 生物学的製剤<CD20抗体療法> ・・ B細胞の表面に特異的に発現するCD20陽性抗原に対する、抗体による治療。H15年9月よりCD20陽性リンパ腫に適応となる(物質名リツキシマブ。商品名リツキサン)。臓器病変合併のSLEへの応用(5例での検討)でも優秀な成績(いずれも数ヶ月で活動性をゼロまでもっていった)をあげており(2005年)今後臨床試験が予定されている。
□ SLX ・・ 肺腺癌の腫瘍マーカー。CEAと並んで測定される。
□ Silent Myocardial Ischemia=SMI=無症候性心筋虚血 ・・ 糖尿病・高齢者に多い。なので症状なくとも定期的な心電図・BNPなどのスクリーニング検査は欠かせない。
□ SP-A , SP-D ・・ 主に?型肺胞上皮細胞より分泌され、免疫調節に役立つ。臨床では肺線維症など多彩な肺病変で上昇をみることがあり補助診断的に測定される。
□ SpO2 ・・ 動脈血酸素飽和度。つまり動脈の中の酸素の濃度。96%以上がおおまかな正常値。90%を切ってると特に急を要する。患者の指先によく付いている、あれ。別名「サチレーション」あるいは「サチュレーション」。
□ SSRI ・・ 選択的セロトニン再取り込み阻害剤。抗うつ剤として使用。代表がパキシル、ルボックス。後者は強迫性障害も適応。うつでは神経間のセロトニン神経伝達が低下している。神経間のセロトニン濃度を高めて、この伝達を促進する。抗不安薬が効かない場合、試みる価値がある。
■ SSRI離脱症候群 ・・ SSRIを1か月服用後、中止または減量したときに出現しうる、めまい・不眠・嘔気・嘔吐・焦燥・頭痛などの症状(詳しくはBlackらによる診断基準を)。なお症状は再服用によって迅速に改善する特徴がある(なので指導しておく必要あり)。
□ SSS ・・ 洞機能不全症候群=洞不全症候群 ・・ 心臓の脈の出発点が怠けた状態。心臓の電気刺激が出ないから脈が出ず、全体的に遅くなったりする。また逆に刺激出しすぎて頻脈になったりする。治療はペースメーカーで。「エスエスエス」と呼ぶので間違いないが、「スリーエス」などとも呼ばれる。
□ ST ・・ 2つある。
? 心電図の虚血診断の部分。
上昇 → 早期再分極、心筋梗塞、異型狭心症、心膜炎、心筋炎など
低下 → 労作性狭心症、貧血、ジギタリス中毒など
? 言語聴覚士 ・・ 言語リハビリしてくれる人。需要が大きいが供給が少ない。
□ STA-MCAバイパス術=浅側頭動脈ー中大脳動脈バイパス術 ・・ 内頸動脈あるいは中大脳動脈本幹の閉塞・高度狭窄に対して行われる。脳梗塞(血行力学的な脳梗塞)に対する脳血管バイパス術の有効性を検討する多施設間の共同研究(JET study:Japan EC-IC bypass study)において、脳血管バイパス手術が(投薬のみによる内科治療に比して)脳梗塞再発をよりよく予防することが証明された。その後より本手術が積極的に行われるようになった。現在はより軽症例に対する治療指針を確立すべく<JET 2> が進行中。
□ stable=ステーブル ・・ 安定している状態。カルテの医師記載欄でよく見かける。
□ StageIIIB ・・ 肺癌の場合、多くは片肺の肺癌+それによる胸水貯留を指す。通常は管経由による持続排液(ドレナージ)と化学療法で対処する。
□ SVPC=APC=上室性期外収縮
低ナトリウム血症の原因の1つ(頻度は全体の1/3ともいわれている)。本来、脳の視床下部で産生されるADH(抗利尿ホルモン)が同部位、あるいは異所性に過剰分泌されるために起こる。
背景に基礎疾患があるはずで、悪性腫瘍(肺小細胞癌による異所性産生が最多)・中枢神経疾患(脳幹部ニューロンの調節障害により)・肺(肺炎やCOPDなどの呼吸不全により左心房の圧受容体が刺激され迷走神経経由でADH分泌抑制解除)の疾患が多い。薬剤性では抗癌剤のビンクリスチン、シクロフォスファミドがある。
症状は低ナトリウムによるものが主体で、ナトリウム濃度が120を切ると消化器症状など、110切ると痙攣・意識障害となり致命的。この病態での患者の体液量そのものは増加しているが軽度であり、病態自体が完成すると尿中ナトリウム排泄によって体液量の増大はむしろなくなる。外観としての浮腫はみられないのが特徴。
治療の基本は水分制限(1日800-1000cc)と基礎疾患の治療。薬剤ではデメクロサイクリンが第一選択で、尿細管へのADH作用に拮抗し水の排泄を促進する。あとフロセミドも有効だが水の出しすぎでナトリウムも失いのに注意。ナトリウムは食塩相当で1日10g以上は補給する。
ナトリウムの急速な補正は橋中心髄鞘崩壊=central pontine myelinolysis=CPMなどの浸透圧性脱髄症候群を合併する危険がある。実際の補正は前日比10mEq/lを超えない濃度上昇を目安に行う。初期補正到達目標値も125mEq/l程度にとどめる。
※ 「フィズリン」というバゾプレシンの経口剤が2006年7月認可。今のところ適応が<異所性バゾプレシン産性腫瘍によるSIADH>のみだが今後SIADH全体の適応承認が期待されている。
□ Sicilian Gambit ・・ 抗不整脈剤の選択においては従来Vaughan Williams分類を参考に治療がされてきたが、CAST試験(Ic薬による予後↓)を受けてその意義(経験的な分類であること)そのものが疑問視され(つまり過去の経験蓄積が否定的とされ)、欧米の専門家によって作り直された分類。分類の特徴としては、病態生理学的アプローチ・・発生機序→成立条件→受攻性因子(最も治療に適した部分)を特定→標的分子(治療のターゲットになる部分を特定)→薬剤選択というステップをたどる。このプロセスは一覧表の活用によって実行される。もっと根本的な原因(カテコラミンやホルモンのレベル)にまでさかのぼった視点で治療を行うという観点(アップストリームアプローチ)ももつ。詳細は日本循環器学会雑誌にて(ガイドライン2004年版)。
□ sigmoid septum(シグモイド セプトゥム) ・・ S字状中隔。心室中隔基部が内側に張り出し、中隔がS字状にみえる。高血圧・加齢的な所見で病的意義は通常ないが、まれに左室流出路を狭窄させるタイプもあるという。
□ SIRIUS試験 ・・ 従来型ステントと薬剤溶出ステント=DESとの予後比較試験。結果→DESで優れた改善率を示したものの、試験開始3年後の予後については改善のデータは出せなかった。自己満足の域をまだ出ていないということか。
□ SIRS=systemic inflammatory response syndrome=全身性炎症反応症候群 ・・ 種々の侵襲(感染など)によって体内で引き起こされるメディエータ(サイトカインなどの情報伝達物質)産生・放出。携帯の電波があちこち飛び交っているような状態。SIRSはつまり「高サイトカイン血症」の状態。
□ sliding hernia(スライディング・ヘルニア)=滑脱型ヘルニア ・・ 食道裂孔ヘルニア(胃が食道のほうへ引っ張られる)の中で最も多い(9割)タイプ。胃酸が逆流して逆流性食道炎を起こすことあり。食道裂孔ヘルニアは高齢者、経産婦に多く、食後の消化器症状が出現し仰臥位で増強する。
□ SLE(治療)
・ 活動性が高くなければPSL換算0.1-0.3mg/kg/dayで投与するが、活動性高く重症臓器病変を伴う場合は1.0mg/kg/dayまで増量する。
ステロイドパルスは生命予後を脅かす病態(ARDSやARFなど)に限り考慮する。
・ 活動性高く重症臓器病変を伴う場合はそれだけでなく免疫抑制剤も積極的に併用する。シクロフォスファミド・アザチオプリンは活性化リンパ球の細胞周期を制御する。
・ 重症臓器病変の中でもより炎症が激しい血管炎、ループス腎炎、中枢神経性ループス、間質性肺炎に対してはシクロフォスファミドパルス療法→シクロフォスファミドあるいはアザチオプリン内服維持が適応。
・ シクロスポリン、タクロリムスは薬剤(たとえば長期ステロイド)耐性の改善作用を有する。併用による効果を期待する。
・ 生物学的製剤<CD20抗体療法> ・・ B細胞の表面に特異的に発現するCD20陽性抗原に対する、抗体による治療。H15年9月よりCD20陽性リンパ腫に適応となる(物質名リツキシマブ。商品名リツキサン)。臓器病変合併のSLEへの応用(5例での検討)でも優秀な成績(いずれも数ヶ月で活動性をゼロまでもっていった)をあげており(2005年)今後臨床試験が予定されている。
□ SLX ・・ 肺腺癌の腫瘍マーカー。CEAと並んで測定される。
□ Silent Myocardial Ischemia=SMI=無症候性心筋虚血 ・・ 糖尿病・高齢者に多い。なので症状なくとも定期的な心電図・BNPなどのスクリーニング検査は欠かせない。
□ SP-A , SP-D ・・ 主に?型肺胞上皮細胞より分泌され、免疫調節に役立つ。臨床では肺線維症など多彩な肺病変で上昇をみることがあり補助診断的に測定される。
□ SpO2 ・・ 動脈血酸素飽和度。つまり動脈の中の酸素の濃度。96%以上がおおまかな正常値。90%を切ってると特に急を要する。患者の指先によく付いている、あれ。別名「サチレーション」あるいは「サチュレーション」。
□ SSRI ・・ 選択的セロトニン再取り込み阻害剤。抗うつ剤として使用。代表がパキシル、ルボックス。後者は強迫性障害も適応。うつでは神経間のセロトニン神経伝達が低下している。神経間のセロトニン濃度を高めて、この伝達を促進する。抗不安薬が効かない場合、試みる価値がある。
■ SSRI離脱症候群 ・・ SSRIを1か月服用後、中止または減量したときに出現しうる、めまい・不眠・嘔気・嘔吐・焦燥・頭痛などの症状(詳しくはBlackらによる診断基準を)。なお症状は再服用によって迅速に改善する特徴がある(なので指導しておく必要あり)。
□ SSS ・・ 洞機能不全症候群=洞不全症候群 ・・ 心臓の脈の出発点が怠けた状態。心臓の電気刺激が出ないから脈が出ず、全体的に遅くなったりする。また逆に刺激出しすぎて頻脈になったりする。治療はペースメーカーで。「エスエスエス」と呼ぶので間違いないが、「スリーエス」などとも呼ばれる。
□ ST ・・ 2つある。
? 心電図の虚血診断の部分。
上昇 → 早期再分極、心筋梗塞、異型狭心症、心膜炎、心筋炎など
低下 → 労作性狭心症、貧血、ジギタリス中毒など
? 言語聴覚士 ・・ 言語リハビリしてくれる人。需要が大きいが供給が少ない。
□ STA-MCAバイパス術=浅側頭動脈ー中大脳動脈バイパス術 ・・ 内頸動脈あるいは中大脳動脈本幹の閉塞・高度狭窄に対して行われる。脳梗塞(血行力学的な脳梗塞)に対する脳血管バイパス術の有効性を検討する多施設間の共同研究(JET study:Japan EC-IC bypass study)において、脳血管バイパス手術が(投薬のみによる内科治療に比して)脳梗塞再発をよりよく予防することが証明された。その後より本手術が積極的に行われるようになった。現在はより軽症例に対する治療指針を確立すべく<JET 2> が進行中。
□ stable=ステーブル ・・ 安定している状態。カルテの医師記載欄でよく見かける。
□ StageIIIB ・・ 肺癌の場合、多くは片肺の肺癌+それによる胸水貯留を指す。通常は管経由による持続排液(ドレナージ)と化学療法で対処する。
□ SVPC=APC=上室性期外収縮
サーガマニュアル2007秋 T U V W
2007年9月17日□ Tbc=Tb ・・ 肺結核の意味でカルテに記載される。「テーベー」とよく呼ばれる。最近では糖尿病、免疫抑制剤服用患者、エイズ患者での発症が増えている。免疫能を低下させるこれらのケースは、全て結核が易感染性であることを念頭に置く必要がある。なお厚生省は結核予防法を廃止・統合して感染症法の中に組み込む意図だが、対策内容が後退するなどの反対意見が多く、難航している。
□ TBLB=経気管支肺生検
□ TEE ・・ 経食道エコー=食道エコー
□ Tei index ・・ 心臓超音波、パルスドプラ法で求められる、心機能の総合的な指標(マニアックではある)。心機能は収縮能と拡張能に分けられ、前者はEF(左室駆出率)、後者はE/A比で評価されることが多いが、これらを総合してスコア化したのがこれ。 a・・僧房弁血流のA波終了点〜E波開始点までの時間 b・・大動脈駆出血流の開始〜終了までの時間 とし、(a-b)/b をTei (テイ)indexという。正常は0.39±0.05で、増大は予後が不良であることを示す。つまり予後・合併症の推定・予知に役立つ。
□ TIA=一過性脳虚血発作 ・・ 一瞬、脳梗塞様の症状を呈する。頭部CTなどの画像では証拠が残らない。
■ TOPOFF訓練 ・・ TOPOFF=top officials of the US government。様々な機関が協力して、国家の非常事態(バイオテロなど)を想定して行われる、マネジメント訓練。http://www.cyberpolice.go.jp/international/north_america/20050310_211347.html
□ toxicity=中毒
□ TRT=tinnitus retraining therapy ・・ 耳鳴りを根本的に治すのでなく、慣れさせることで軽減にもっていく治療法。具体的にはsound generatorで不快ない雑音を1日6-8時間流しhttp://df.sat.siemens.de/Grafiken/allgemeines/ueberblick_tinnitus/prisma-tci.jpg、カウンセリングを組み合わせる。3−6ヶ月でほとんどの例に効果がみられる。耳鳴りに束縛されるという心理的圧迫から解放されるという。
■ TTE=経胸壁エコー=心臓超音波検査=心エコー
■ TMA=thrombotic microangiopathy=血栓性細小血管障害症
溶血性貧血+血栓形成などによる微小循環系(細小血管レベル:つまり末梢)での臓器障害を特徴とする病態の総称。成人に好発するTTP、小児・若年に好発するHUS(O-157による溶血性尿毒症症候群)の総称ともいえる。これらは以下の所見を呈する。
? 血小板減少
? 溶血性貧血
? 腎機能障害
? 動揺性精神神経症状
? 発熱
・ TTP ・・ ?+?+?+?+?
・ HUS ・・ ?+?+?。神経症状は少ない特徴がある。
いずれも細小動脈の臓器障害という点で共通。
・ TTPの原因:vWFのうちの大分子成分を切断して血小板血栓を防ぐ酵素であるvWF-CPの異常型であるULvWFの存在が原因とされていた。最近ではADAMTS-13というvWF分解酵素が同定され、TTPではこれへの自己抗体が産生されるためvWFが分解されずADAMTS-13活性低下→ULvWFが増加→血小板と反応(つまり血栓の主成分はvWFである)→塞栓・溶血→臓器障害となる。
※ 先天性TTPの場合はADAMTS-13そのものの遺伝子異常。
・ HUSの原因:O-157によるベロトシキンにより血管内皮傷害によりサイトカインや接着蛋白が増加しNO産生を低下、また血小板活性は増加する。これらがすべて血栓傾向を促し病態を作る。家族性HUSは1割がこの機序。
・ TTPの治療:FFPの輸注、血漿交換。血小板輸血は禁忌。
・ HUSの治療:腎障害対策(輸液・透析)。血漿交換は有効不明。
○ 診断
・ ?〜?より疑いが出れば末梢塗抹標本を作成→赤血球破砕像を確認
・ 増加するもの ・・ 関接ビリルビン、LDH・・・溶血による。あと網状赤血球も増加。トロンボモジュリン(内皮細胞障害マーカー)も増加多い。
・ 減少するもの ・・ 血小板、ハプトグロビン
・ 合併する膠原病で最多はSLE。SLEの半数は活動性↑に伴い(TTPが)発症、残り半分は関係なく発症。
○ 治療
・ 血漿交換 ・・ ULvWFを除去しvWFを補給 神経症状を伴う場合は直ちに行うべき。投与量は50-80ml/kg/day。
・ 血漿輸注 ・・ vWFを補給
効果は前者のほうが強い。
□ TZ=ツッカー ・・ 点滴のツッカー(ブドウ糖)を指す。通常は5%TZをさす。心不全のある患者はまずこれで開始。
□ UGI=upper GI=胃透視 ・・ バリウム検査。食道〜胃〜十二指腸上部まで観察。
□ unstable AP=UAP=不安定狭心症=アンステーブル=切迫心筋梗塞 ・・ 冠動脈が今にも詰まるかもしれない狭心症。機序としては高血圧・喫煙などの冠危険因子→血管の内側の血管内皮に亀裂→血小板や凝固系のものが付着→血栓→血管を徐々に閉塞しかける→胸痛。血管が詰まりかけなので二トロペンが単純に効かず。そのため緊急カテーテル検査が必要。
□ UTI = Urinary Tract Infection=尿路感染 ・・ 膀胱炎、腎盂腎炎の総称。通常は尿中白血球の増加を認める。
□ VAP=ventilator-associated pneumonia ・・ ベンチレーター、すなわち人工呼吸器に関連した肺炎。定義では「気管挿管による人工呼吸開始48時間以降に発症する肺炎」であり、挿管前に肺炎がないことが前提。発症率は挿管している期間に相関し、具体的には7日間なら7%、30日なら30%(←覚えやすい!)。肺炎の発症時期により、?気管挿管4日以内の場合(早期VAP)と?5日以降発症(晩期VAP)とに分類。ただし?の分類でも3ヶ月以内の抗菌薬投与歴あり又は5日以上の入院歴は?に含めるものとなっていることに注意。VAPの原因菌は?では抗生剤の比較的効きやすいMSSA、インフルエンザ菌、肺炎球菌が主体で、?では耐性菌が多く、MRSAや緑膿菌、アシネトバクター、エンテロバクターが中心。早期の投薬が予後を左右するので、培養検査を待つヒマはく、できればグラム染色で確認次第方針(選択薬)を決めたいところ。最近はバンコマイシン耐性のMRSAの出現も珍しくなく、その場合はリゾネリド(というかその目的で出た薬剤)のほうが有効という意見が多い。しかしVAPの予防が基本にあり、具体的には痰の気管内貯留防ぐための溶解・吸引、それと口腔ケアである。なお挿管は経鼻だと副鼻腔炎の合併が多いので、経口が望ましい。
□ vertigo ・・ 回転性めまい。メニエル病で特徴的。http://www.memai.jp/こういう学会あるんやなあ。
□ viability(バイアビリティー) ・・ 心筋の生き生き度。血流シンチ(RI)での血液の流れを(良いほど赤、悪いほど紫)反映。ただし流れる血液の絶対量を表すものではなく、他の部分と比べてのあくまでも<相対的な>血流を表現することに注意。
□ volume overload ・・ 容量負荷。点滴の量が過剰なときなど、こう指摘される。CVP(中心静脈圧)や下大静脈径より判断される。
□ warm shock ・・ 敗血症性ショックの初期段階。発熱などによる全体的な血管拡張により、体はまだ温かい。これが進行すれば体は冷たくなり、いわゆる「cold shock」とよばれる。末梢の毛細血管を収縮させてでも大血管の循環を守ろうとする、反射的な防御機構だ(わが国の風潮に似る)。結果的に末梢組織は虚血となりアシドーシスの病態を呈する。
□ wheeze(ウィーズ)=wheezing(ウィージング)=喘鳴(ぜいめい) ・・ 気管支喘息にみられる呼吸音で、ヒューヒューと聞こえる。ただし年寄りの誤嚥による気道狭窄、心臓喘息の場合もあり注意。
□ W.N.L.(Within Normal Limit) = 正常範囲内 = 異常なし = 特記事項なし = n.p.(エヌピー)
□ TBLB=経気管支肺生検
□ TEE ・・ 経食道エコー=食道エコー
□ Tei index ・・ 心臓超音波、パルスドプラ法で求められる、心機能の総合的な指標(マニアックではある)。心機能は収縮能と拡張能に分けられ、前者はEF(左室駆出率)、後者はE/A比で評価されることが多いが、これらを総合してスコア化したのがこれ。 a・・僧房弁血流のA波終了点〜E波開始点までの時間 b・・大動脈駆出血流の開始〜終了までの時間 とし、(a-b)/b をTei (テイ)indexという。正常は0.39±0.05で、増大は予後が不良であることを示す。つまり予後・合併症の推定・予知に役立つ。
□ TIA=一過性脳虚血発作 ・・ 一瞬、脳梗塞様の症状を呈する。頭部CTなどの画像では証拠が残らない。
■ TOPOFF訓練 ・・ TOPOFF=top officials of the US government。様々な機関が協力して、国家の非常事態(バイオテロなど)を想定して行われる、マネジメント訓練。http://www.cyberpolice.go.jp/international/north_america/20050310_211347.html
□ toxicity=中毒
□ TRT=tinnitus retraining therapy ・・ 耳鳴りを根本的に治すのでなく、慣れさせることで軽減にもっていく治療法。具体的にはsound generatorで不快ない雑音を1日6-8時間流しhttp://df.sat.siemens.de/Grafiken/allgemeines/ueberblick_tinnitus/prisma-tci.jpg、カウンセリングを組み合わせる。3−6ヶ月でほとんどの例に効果がみられる。耳鳴りに束縛されるという心理的圧迫から解放されるという。
■ TTE=経胸壁エコー=心臓超音波検査=心エコー
■ TMA=thrombotic microangiopathy=血栓性細小血管障害症
溶血性貧血+血栓形成などによる微小循環系(細小血管レベル:つまり末梢)での臓器障害を特徴とする病態の総称。成人に好発するTTP、小児・若年に好発するHUS(O-157による溶血性尿毒症症候群)の総称ともいえる。これらは以下の所見を呈する。
? 血小板減少
? 溶血性貧血
? 腎機能障害
? 動揺性精神神経症状
? 発熱
・ TTP ・・ ?+?+?+?+?
・ HUS ・・ ?+?+?。神経症状は少ない特徴がある。
いずれも細小動脈の臓器障害という点で共通。
・ TTPの原因:vWFのうちの大分子成分を切断して血小板血栓を防ぐ酵素であるvWF-CPの異常型であるULvWFの存在が原因とされていた。最近ではADAMTS-13というvWF分解酵素が同定され、TTPではこれへの自己抗体が産生されるためvWFが分解されずADAMTS-13活性低下→ULvWFが増加→血小板と反応(つまり血栓の主成分はvWFである)→塞栓・溶血→臓器障害となる。
※ 先天性TTPの場合はADAMTS-13そのものの遺伝子異常。
・ HUSの原因:O-157によるベロトシキンにより血管内皮傷害によりサイトカインや接着蛋白が増加しNO産生を低下、また血小板活性は増加する。これらがすべて血栓傾向を促し病態を作る。家族性HUSは1割がこの機序。
・ TTPの治療:FFPの輸注、血漿交換。血小板輸血は禁忌。
・ HUSの治療:腎障害対策(輸液・透析)。血漿交換は有効不明。
○ 診断
・ ?〜?より疑いが出れば末梢塗抹標本を作成→赤血球破砕像を確認
・ 増加するもの ・・ 関接ビリルビン、LDH・・・溶血による。あと網状赤血球も増加。トロンボモジュリン(内皮細胞障害マーカー)も増加多い。
・ 減少するもの ・・ 血小板、ハプトグロビン
・ 合併する膠原病で最多はSLE。SLEの半数は活動性↑に伴い(TTPが)発症、残り半分は関係なく発症。
○ 治療
・ 血漿交換 ・・ ULvWFを除去しvWFを補給 神経症状を伴う場合は直ちに行うべき。投与量は50-80ml/kg/day。
・ 血漿輸注 ・・ vWFを補給
効果は前者のほうが強い。
□ TZ=ツッカー ・・ 点滴のツッカー(ブドウ糖)を指す。通常は5%TZをさす。心不全のある患者はまずこれで開始。
□ UGI=upper GI=胃透視 ・・ バリウム検査。食道〜胃〜十二指腸上部まで観察。
□ unstable AP=UAP=不安定狭心症=アンステーブル=切迫心筋梗塞 ・・ 冠動脈が今にも詰まるかもしれない狭心症。機序としては高血圧・喫煙などの冠危険因子→血管の内側の血管内皮に亀裂→血小板や凝固系のものが付着→血栓→血管を徐々に閉塞しかける→胸痛。血管が詰まりかけなので二トロペンが単純に効かず。そのため緊急カテーテル検査が必要。
□ UTI = Urinary Tract Infection=尿路感染 ・・ 膀胱炎、腎盂腎炎の総称。通常は尿中白血球の増加を認める。
□ VAP=ventilator-associated pneumonia ・・ ベンチレーター、すなわち人工呼吸器に関連した肺炎。定義では「気管挿管による人工呼吸開始48時間以降に発症する肺炎」であり、挿管前に肺炎がないことが前提。発症率は挿管している期間に相関し、具体的には7日間なら7%、30日なら30%(←覚えやすい!)。肺炎の発症時期により、?気管挿管4日以内の場合(早期VAP)と?5日以降発症(晩期VAP)とに分類。ただし?の分類でも3ヶ月以内の抗菌薬投与歴あり又は5日以上の入院歴は?に含めるものとなっていることに注意。VAPの原因菌は?では抗生剤の比較的効きやすいMSSA、インフルエンザ菌、肺炎球菌が主体で、?では耐性菌が多く、MRSAや緑膿菌、アシネトバクター、エンテロバクターが中心。早期の投薬が予後を左右するので、培養検査を待つヒマはく、できればグラム染色で確認次第方針(選択薬)を決めたいところ。最近はバンコマイシン耐性のMRSAの出現も珍しくなく、その場合はリゾネリド(というかその目的で出た薬剤)のほうが有効という意見が多い。しかしVAPの予防が基本にあり、具体的には痰の気管内貯留防ぐための溶解・吸引、それと口腔ケアである。なお挿管は経鼻だと副鼻腔炎の合併が多いので、経口が望ましい。
□ vertigo ・・ 回転性めまい。メニエル病で特徴的。http://www.memai.jp/こういう学会あるんやなあ。
□ viability(バイアビリティー) ・・ 心筋の生き生き度。血流シンチ(RI)での血液の流れを(良いほど赤、悪いほど紫)反映。ただし流れる血液の絶対量を表すものではなく、他の部分と比べてのあくまでも<相対的な>血流を表現することに注意。
□ volume overload ・・ 容量負荷。点滴の量が過剰なときなど、こう指摘される。CVP(中心静脈圧)や下大静脈径より判断される。
□ warm shock ・・ 敗血症性ショックの初期段階。発熱などによる全体的な血管拡張により、体はまだ温かい。これが進行すれば体は冷たくなり、いわゆる「cold shock」とよばれる。末梢の毛細血管を収縮させてでも大血管の循環を守ろうとする、反射的な防御機構だ(わが国の風潮に似る)。結果的に末梢組織は虚血となりアシドーシスの病態を呈する。
□ wheeze(ウィーズ)=wheezing(ウィージング)=喘鳴(ぜいめい) ・・ 気管支喘息にみられる呼吸音で、ヒューヒューと聞こえる。ただし年寄りの誤嚥による気道狭窄、心臓喘息の場合もあり注意。
□ W.N.L.(Within Normal Limit) = 正常範囲内 = 異常なし = 特記事項なし = n.p.(エヌピー)
チューイ!(うおお〜ん)
2007年9月17日コメント (2) サーガマニュアル2007秋は現段階では誌上での編集となりますので、完成してはおりません。<□>は未完成、<■>は完成形という感じになります。