5

2009年6月9日 連載

「えっ?今・・・」

真吾は一瞬射した赤い光に、素早く気づいた。

ナースらは平然と、真吾の肩を両側からどついた。
「はーやーく!」
真吾は、フ・・・とまた口をすぼめたが。

「いや。やっぱり・・・!」

 彼はさっきのナースが眺めた窓を開け、身を乗り出した。

 見下ろしたそこには・・・

「あれは・・・あれはなんだ?」

黒い救急車が1台。あとは黒い外車3台。
「さっきの赤い照明は、あの救急車のだったのか・・・!」

 確か、黒い救急車は・・・そうだ。<真珠会グループ>の病院の所有する・・・!でもしばらくあそことは何もなかった。今は円満だと噂されてた。仮に攻撃があるなら、大阪の真田病院のはずだ。もしかしてあそこも・・・。

 いや、あそこはうちとはもう・・・。

 真吾は無我夢中になり、階段を駆け降りた。さっきのヘルパー2人が立ち話しているが。
「院長!それから!」
「ちょっとどいて!」

 階段を一気に駆け下り。事務らは、うらめしそうに振り返る。みな、怖がって正面玄関からは出られない様子。まるで虐待された子供たちのようだ。

 大人の世界・・これが今を象徴する、大人の世界の雰囲気か。

 ビニールシートを大量に敷いてある滑り台の前で、彼は何かを感じた。
「とうとう。この日がきたか・・・!」

 動転しっぱなしでは今後が持たない。彼は毅然とした態度で自分を操縦することにした。ユウの言葉をまた思い出す。

≪パニックになったら、お前という体を動かす操縦桿になれ!≫

 やっとの思いで、正面玄関を出た。かつての友の名言で落ち着けた。

≪人類にとっては小さな一歩でもそれがどうした。俺には大きな一歩なんだ!≫
 そう思うと、また楽になった。

 そこには・・・賞状のような紙を丸めて持っている、ゴリラのような白衣医師が立っている。

4

2009年6月9日 連載
 
3階から2階へ。

 詰所では笑い声がしていたが、やがてそれもおさまる。

「院長!」「院長!」カーテンの向こうから、中年とおぼしきナースらがキャップをおさえて出てくる。

「いいよ。出てこなくて」
「院長先生!誕生日祝い、これからするんですよ!」
「い、いいってのに・・・」

 特別の日だが、彼は逆に曇った。

 カーテンの向こうにケーキがあるんだろう。匂いで分かる。真吾はカルテを数冊取り出し、出した指示を再確認する。

「院長先生!ローソクつきました!」
「やれやれ・・・」

 真吾はカルテを置き、カーテンをくぐった。だがその前、若いヘルパーが2人。彼らだけ雰囲気が違う。

「院長先生・・・」
「あ、あの件だね」
「はっきりと返事ください。どうしても今。今」
「うーん・・・」

 カーテンの向こうが静かだ。やけに。ナースらとヘルパーの距離は知っていた。これは田舎も都会も同じだな・・・

「自治体には、きちんと申し立てたんだが・・・君らの待遇のことは」
「またダメなんですか。先生ちゃんとするって言ったじゃないですか!」

小声だが、鋭く刺す。

「わわ!わかった!で、でも。村長はいい人なんだ。きっといいように」
「いい人?そりゃ口約束は誰だって・・」
「この病院の繁栄のため、いろいろ努力してくれている。約束したんだ。そのためには、どうしても我慢しなきゃならないことだって。い、今の小泉首相みたいにさ。痛みを伴う改革っていう・・・」

 彼らが全く動じてなく、続きをやめた。
ヘルパーのうち1人は爆発的に泣き出す寸前だ。

 真吾は何としてでも、給与面でのもめごとは先送りしたかった。というより、実績を上げれば皆を説得できるという自信があった。というかその時を待っているのだった。医局では<律速段階>と呼んでいた。

真吾はポケットを探り、クシャクシャの紙幣の塊を出した。

「とりあえず。これで」
「えっ?また。いや・・・じゃあ預かっときますけど。い、今はこれでも・・・」
「分かってる。交渉はする。するよ。絶対!するから!だからちょっと」

 逃げるように、いや彼はカーテンの向こうへ逃げた。
とたん、静寂からお祭り騒ぎに変わった。

「(ナースら一同)ヒューヒュー!」
「お~っ!」

真吾は平均40代にまみれたハーレム王と化した。

「医局のあいつらも、呼ぼうかな・・・」
「(ナースら)いいのいいの!」

 実は、このイベント自体・・・どことなく不安を感じたナース側からの要望だったという話もある。真吾から、何か話が聞けるんじゃないかと。いい話にしろ、悪い話にしろ・・・田舎でもレアな情報は価値を持つ。

 ゴロゴロ・・・と、外で雷の音。昼間のはずが、やけに暗くなる。
「やだ・・・洗濯物!」
 ナースの1人が、そう遠くは離れてない宿舎に目をやる。

彼らのために建てられた新築の宿舎。家賃は自治体が負担。

・・・そのナースらは、外のヘルパーは気にしなかった。それだけで彼らの格差がみてとれる。

「(一同)ハッピバースデー!シンゴー!」

その名の通り、青いハッピが真吾の頭から被せられた。
「うおーっと!じゃあ!フーッといくか!」

あるナースがそれまでサンサンとついていた電気をリモコンで消した。

「・・・・?」

一瞬、赤い照明が動いて、部屋に入ってきたような気がした。

3

2009年6月9日 連載

舞台は、奈良の僻地病院へ戻る。

昼間。戦争など縁のない村。

 ただ、村民たちは平和だけでなく、年齢まで共有しているようだ。

 平均年齢60-70台。次の世代に乏しい。田舎がいくら村おこししようと、職が安定しないと意味がない。だが若者らの田舎離れには、もっと深く根ざしたものがあった。親の背中を見ながら育った彼らには、<トシ取りながら、ここで終わりたくない>という願望が強かった。

 長寿社会が、彼らをより不安にかきたてた。医学は長寿の方向に偏り、QOLの意味さえはきちがえてしまっている。

 ところでここ1年頑張った村の経済効果としては、コンビニ・スーパーがいくつか並んだことくらいだ。


夏。


 医局では、いつものような平和な日々が続いていた。テーブルで向かい合わせる、4つの深いイス。4人とも昼寝状態だが、ただ院長だけが天井を眺めている。

 真吾院長は、この1年でやや太った自分の腹と、天井を交互に見つめていた。数々の息吹きが聞こえる。

「(・・・・・・・この病院も、やっと軌道に乗り出した。村民の夜間受診が減少したのも、誠にありがたい・・・な!)」

 と、ゴルゴ13風に回想してみる。

 この病院に来てよかった・・・それはすべての医師が望むことだ。

 外を見ると、夏祭りの様相だ。遠くの山に提灯が多数見える。当直はある意味楽しみだった。ここから夜景を楽しめる。

 しかし、彼はどこか釈然としない表情だった。さっきから鳴ってる机の携帯のバイブにも、一切気づかない、というか気づこうとはしない。避けているとしか思えない。

「・・・・・・・・さて、と!病棟でも見に行くか!」

 聴診器を首に改めてかけなおし、立ち上がる。
「横綱・・・おい横綱!」

 グーグー眠る太っちょは、ムニャムニャ口を動かした。ハエが頬に止まっても動じない。

「弘田さん!・・・アパムさん!」

 額の狭い小心者も、目覚めない。別に彼らは忙しかったわけじゃない。昨日は夜中まで飲み会があった。こじんまりと、それでも楽しかった。それぞれの夢を語った。

 1つの夢が走りだし、それに酔うことさえできた。そこには無限の可能性が溢れ出ていた。それがまた仕事の頑張りにつながる。

 寝ているあと1人は若い女医であり、気を遣ってそのままとした。近畿の医学雑誌を読んで募集で来てくれた、貴重な存在だ。この打算の時代に。

「ありがとうな・・・みんな。夢からは、覚ますまい」

 まるで別れを告げるように、彼は医局をあとにした。

 バイブの携帯が、とうとう我慢できずに落ちた。彼は気づかなかったが、打ちどころ悪く不吉に分解した。

 パシーン、パシーン、とスリッパ音がエコーする。古い病院の匂いだが、これもいい。村長は近く、建て替えの希望も聞いてくれてる。実現できると院長は信じてる。

 ただ彼は、ユウの言葉を今になってかみしめていた。

≪いい時は、いいに決まってるだろ・・・俺たちのおかげだと思うな≫

 問題は、いかにその時<そうでないときのための備え>をするかにあった。

 しかし、この院長の場合は・・・。


2

2009年6月9日 連載
夜の関西国際空港。悪天候。

 スマートな小型ジェットが着陸した。この悪天候にもかかわらず、機体は予定時刻のずれを1分も許さなかった。

 大雨の外界とは関係なく、黒ぶち眼鏡の中年男性は、黒いスーツで背を伸ばし、歩く。迎えに来た黒い外車に乗り込む前、彼の眼鏡に黒い夜景が反射した。すべてが、黒。黒、黒。

 彼の頭にあるのは、ただ・・・ボスから与えられたノルマとその期限のみ。彼のこれからの出世如何もそれにかかっている。彼は一応、日本人ではある。

「新理事長、そろそろ・・・」会長と呼ばれる人間が、乗るよう促す。
「書類を見せてください」

 渡された書類を1枚ずつ読む。車は知らない間に走り出していた。
「・・・・・・・・」

<第一目標 病院の買取り目標、その数・・・・・>
<第二目標 標的病院の、スタッフに関する詳細情報・・・>
<第三目標 今回のプロジェクトに関する、雇われ兵のプロフィール・・・>

「勝てるのは分かってます。その後の処理が私の関心事です」
「なるほど・・・すでに遠くを見ておられる。いやはや、頼もしい」

 どんどんめくる書類。必要なところだけ赤でチェック。要注意人物リストに移る。

「今からをもちまして、すべて私の指示に従っていただきます」
「ははっ!」

 大阪の病院のリスト、設計図、個人情報・・・。

「誰か1人でも私情に従って計画が崩れた場合はアメリカの上司に報告し、私は利益だけ受け取り撤退しますので」

「し、私情など。とんでもない!スタッフはみな従順なイエスマンばかりでして」

 彼はムッとなり、ペンにキャップし睨んだ。

「そこは日本人ですから。分かりません」

 外車は高速に入り加速し始めた。時計を確認、メモを確認と落ち着きがない。だが1つ1つの動作は目的があり効率的だった。

「市場を揺るがす問題は何であろうと、門番である私が排除します」
「まずは、どちらを・・・」
「天候の回復を待ち、出撃に備えましょう」
「用意するものは・・」
「力仕事向けの若者20名に医師1人、救急隊長1人。車はこの外車3台と救急車を1台」
「それだけで?」
「あと特殊技能傭兵を2名」
「1名は行かせますが。あと1名は交渉中でして」
「今回は1名でいいです。あとは、任せてください」

ブロロ・・・と車は闇に消えていった。




1

2009年6月9日 連載
 
 無限に広がる、雑木林。

 僻地の中型病院。前方の駐車場に、住民が多数見送りに出ている。真田病院スタッフは関連病院を1つ造り上げ、再び本院に戻るべく出発の準備をしていた。

 6両トレーラーのコンテナに、間横のハッチから患者を1人ずつ搬入していく作業。
「オーライ、オーライ!」
 事務員や役所の人間らが指示。

 ユウら医師らは、汚れきった白衣のまま地べたで寝ている。そこへ、歩いてくる女医。これもまた疲れ切っている。彼女に、若さはもうない。

「先生・・・先生」
「あ?ああ。ジェニーか・・・」
「先生。どうしよう。あたしたち、どうしよう」
「どうしよう、って・・そんなの」

 ジェニーという女医の向こう、返事を待つかのように数十人の医師らが群れをなしている。彼らは覇権争いに敗北し、行き場を失った。

「そんなの。自分らが決めろよ。お前らの手にもしこの病院が渡ってたら・・・そっちのほうが<どうしよう>だよ」
「・・・・・・(小声)あたしだけでも、だめかな」
「くどい!」

 思わぬ暴言に内心傷つきながらも、今は怒りの方が強かった。

ジェニーは表情が鬼のようになり、唾を飛ばすがごとく狂いまくった。
「バカヤローバカヤロー!こんな病院!潰れちまえどうせ続けへんわ!泣きごとぬかしても知らへんでー!」

「(本性が出たか・・・)」

 だが彼女は信号が処理しきれず、爆発的に泣き崩れた。

 ユウは起き上がり、ボーッと突っ立ってる真吾医師に歩み寄った。片足をひきずり、親友へとやっと辿り着く。

「真吾。おい真吾」
「・・・・・・」
「行くぞ!重症患者は、大阪に到着後に振り分けよう」
「・・・・・・」
「今日の晩は、すべて当直医に任せよう」

皆の乗り込んだトレーラーの車輪が、ゆっくり回り始めた。

「(住民ら)ありがとーぅ!」
みな、一斉に旗を振る。50人ほどの医療スタッフと、百名余りの住民ら。

ユウらは最後尾車両の後窓から手を振った。

「ちょっと、最後が嫌だったな・・・」
ユウは足元を見た。シナジーが横に立つ。

「彼ら、沖縄で頑張るそうですよ」
「なんだよ。もう決まってたのか?」
「あっせんの業者からコンタクトがあったようで」
「情報が早いな・・・」
「病院をそのまま貸す契約だとか」
「太っ腹な業者もいるもんだな・・・」

すると、三角座りしていた真吾が立ち上がった。

「おれ・・・おれやっぱ!」
「あ?」
「ここに残るわ!」

真吾は運転手への無線を取った。
「降りる!」

だが、予測していたことだった。

 最後部のハッチが開き、彼は走りだした。病院は遠くだが、瞬時に辿り着く勢いだった。

 事務長のシナジーは、あえて驚かなかった。
「・・・・・やっぱ、そうきましたか」

ユウも、同様だった。

「あいつは、初めて自分で居場所を選んだんだ・・・」
「院長に収まることになりそうですね」
「俺の居場所は、どこなんだろう・・・」
「ちょっと辞めんといてくださいよ先生!さっそく1人失ったんですから・・・」

 真吾は、どんどん加速していき、解散寸前の人ごみの中に入っていった。


 奈良の僻地の、120床の老人病院。かつてこの病院を擁したグループは、とある病院グループと覇権を争い・・・住民投票でその地位を勝ち取った。以後、村は活気で溢れ人口は増加、平和が続いていくかのように思えた。

 やがてその経営権は自治体へと移り、1年が経とうとしていた・・・。



< EMER-Z-ENCY FALLS >

 エネルギー充電のため、しばらく休診。といってもあと数日。

 長い内容となるため、1話ずつのアップ形式(1日10話くらいのペース)。詳しい医療内容は時代でかなり色褪せるため、万人向け的なものに。

 会話のところどころに、日常の現場で取り交わすようなセリフを取り込むのに、非常に苦労した。また今回は非現実的な戦闘場面が多いが、対応内容・業務態度・心理面の弱さなどにリアルさを取り入れている。

 影響された作品としては「ハゲタカ」「ダークナイト」。


( 公開直前の、人物紹介 )


<真田病院>

(医師)

・ トシ坊=トシキ(院長) ・・ 融通利かない真面目な男。過保護で育っており、弱虫だが嫉妬深い。

・ ユウ=ユウキ(最年長) ・・ 主役。敵を作りやすく好戦的。

・ ザッキー ・・ 技術は一流。のせいか利己主義。冷めた世代。

・ シロー ・・ 最年少。ナイーブで、生活に秘密あり。自閉的。

・ 新任医師

・ ピート ・・ 救急外来担当の麻酔科医。



(事務)

・ 品川=シナジー ・・ 事務長。イケメンで頭が切れる。人を小馬鹿にした態度。
・ 田中 ・・ 品川の補佐。

(その他)

・ ミチル ・・ 看護部長。2重人格。



<真珠会・ファンド合併グループ>


・ ?津  ・・ 黒ぶち眼鏡の男。アメリカから来た男で、病院買い叩き専門。
         真珠会の経営を一手に引き継ぐ。

・ 会長 ・・ もと真珠会の理事。臨床経験なくただの富豪。
・ 赤井院長 ・・ (今回は登場しません)
・ マーブル=槇原 ・・ ゴリラのような風貌。実質的な副院長。
・ 藤堂隊長 ・・ 専属の救急隊長。星一徹ライクな高齢者。
・ 藤堂ナース ・・ その娘。自衛隊あがり。


<大学病院>

・ 野中=ノナキー ・・ 胸部内科の医局長・講師。医学博士・専門医・指導医。ユウのもと同級。出征街道をばく進中。

・ 島 ・・ 同じく医局の(万年)助手。野中のイエスマン。医学博士・専門医・指導医。利己的。

・ ミタライ女医 ・・ ユウの、もとコベン。専門医。大学院生。臨床経験乏しい。

・ 彼らの新教授 ・・前任者と異なり若手。医局員に同化しようとはするが。


<僻地病院>

・ 真吾 ・・ 真田病院から抜擢された院長。
・ 横綱 ・・ メタボ医者。副院長。
・ 弘田=アパム ・・ 臆病者。
・ 女医

<松田すこやかクリニック>

・ 松田院長 ・・ ユウらのOB。宗教団体と手を結び患者増加、真珠会へと差出し共謀。



※ イメージ主題歌 : 浜田省吾「凱旋門」
  






N「話のそもそもの始まりは、研修医時代の失敗談や脱線話」
Y「脱線して悪かったな」
N「教育病院をいくつか経て・・・ある意味自由になったのはいつ?」
Y「このストーリーの中で、<プライベート・ナイやん>というのがある。これは自分のターニング・ポイントだ」
N「というと聞こえはいいが?」

(ユウ、殴るかっこう)

Y「フー。ご覧のとおり、自分は3年目終了後に僻地へと送られる。そこは国立病院が崩壊したあとの惨状で、ハコモノ営業だった。建物がでかいだけの」
N「ずっとそこにいればいいと思った?」
Y「ノーだ。その不安があった。なければおそらく、そこに安住しただろう。安住するのは意外と簡単だ。上にゴマをすり、出過ぎたことはしない。情報はすべて上に報告。新入りは手なずける」

(ブーイング)

Y「おいおい!俺はやってないだろ!」
N「安住する医者は多い?」
Y「<医者は保守的な動物だ>と故人も言ってるすまん!言ってない言ってない!でも俺がそう言ってる」
N「途中からそうなる?」
Y「そうだ。大学にずっといる人間を見ればすぐ分かる。独特の鈍感さと、保身への抜け目ない攻撃力。ま、それはいい。自分が感じた不安は・・こうだった。<自分から動かないと、いいようにされるのではないか?>というものだ」
N「(間)・・・・常識ですよね皆さん」

(爆笑)

Y「ノー!常識と、実際に自分で感じることは違うんだ!その事実に改めて気づいて、さあ行動しようとする態度は必要だろ?」
N「ならもっと研修医のときに頑張って・・・」
Y「ジーザス。元も子もない」

(会場、気を遣い冷笑)

Y「で、自分はみつけた。非常勤先に研修病院がある。自分にはチャンスだった。研修医でないのに、研修医のように学べる」
N「なんのつながりもない病院を選んだ理由もそこに?」
Y「そうだ。先入観なしでやりたかったからだ。もちろんこれが最後のチャンスだと思って通った」

(拍手)

N「院長の息子の子育てまでして?」
Y「あれは大まかな実話だが、いい経験だった。育児を通して、皆で1つの命をリレーしていく。相手は妥協を許さないだろ?ああいう経験は大事だ。今では許されないかもしれないが・・・」
N「その教育病院のことが励みになり、真田病院へ行くことになった」

(拍手)

Y「その前に、大学病院で地固めをした。6月の新作はここからの話がけっこう関わってくるんだが・・・そこでミタライという女医のオーベンを引き受けることになる。研修医なので、どう化けるかどうかは分からない段階だ」
N「約、半年?」
Y「自分にとって、最初で最後のコベンだ。一生の思い出だ」
N「恋愛感情は?」
Y「ノーだ。そういう発想すら浮かばなかった」

(冷笑)

N「松田先生という、OBが開業する」
Y「かつて優しい先輩だったが、開業がうまくいかず自分が援助することになる。この頃の自分はまだ素直だったので引き受けた」
N「結果的に、大学の患者を・・・」
Y「そう、持っていかれる。一番の悲劇は彼が・・・宗教団体に入ってしまったことだ。これが全てを狂わせていく」

(会場、沈黙)

N「真田病院は大型の民間病院。若い事務長のもと人材が揃った」
Y「事務長のシナジー(品川)は経営を受け継ぎ、オーナーを通して病院経営を徹底していくことになる」
N「真珠会グループの病院が崩壊し、2000年問題があり・・・?」

(拍手)

Y「大学からの刺客である土方ドクター、いずれも乗り越えた」
N「しかし、思わぬ敵がいたね。僻地の関連病院?」
Y「そうだ。ハカセという真珠会の脱退組が、関連病院を乗っ取ろうとした。なんとか調印は阻止したが・・そこで病院同士の争いが始まった」
N「彼らの手段は、テロめいたものだね?」
Y「彼らは急病患者を送りつけ、医師の戦力を疲弊させる目的があった」
N「エリート集団の目標は、確か田舎の支配?」
Y「田舎を1つの医療コミュニティーとし、高齢者の支配を除去した社会のモデルを作ることにあった。それは結局、阻止される」

(拍手)

N「新作は、関係ない話?」
Y「敵の手段が最初は似ているが、全く別のベクトルだ。今回は<ハゲタカファンド>がやってくる」
N「病院を買い取る?」
Y「買いたたく。だが、交渉に応じない場合は手段を選ばない」
N「だいたい予測できるが、いつものように真田病院が奮闘する話?」
Y「全く違うな。まず、真田病院の関連病院がいとも簡単に崩壊するところから話が始まる」

(会場、沈黙)

Y「で、これは今までと比にならない敵であることに気づく」
N「で、敵が真田病院へ?」
Y「と思ったら大間違いだ。今度は意表を突く形で奇襲攻撃が始まる」
N「大学病院を出す話があったが・・・」
Y「今度のハゲタカは無差別攻撃で、大学スタッフも打撃を受ける。真田は大学の関連病院でもあり、派遣をお願いする立場にある。従って、かつて犬猿の大学と真田病院は協力せざるを得なくなる」
N「大学ならスタッフが多いから、問題ないだろう?」
Y「そこだ。彼らはその<問題>さえもクリアに攻略していく。真田からの裏切り者も、株主さえも、使えるものなら何でも利用する。自分が守るべきものとは?だが本当に守ったものとは?これが実に、皮肉な結果をもたらすことになる・・・アー!ここからはまだ話せない!」

(会場、ため息)


Y「ただ話が長くなりすぎたため、3部に分けて少しずつ載せようとする企みもある」

(会場、ズッコケ)

N「ではまた。シーユーネクストウイーク!」

(拍手)

N「不景気の影響は、出ている?」
Y「もう出ている。医療業界の景気は、一般の景気より数年遅れてやってくると言われている」
N「倒産した病院も?」
Y「大阪で?もちろんある。病院の数自体が多いので目立たないだけだ。それに・・倒産といってもすべてが企業ではない。公立・町立など、自治体の予算の関係で潰れる病院もある」
N「予算と、医師不足・・・」

(拍手)

Y「大学から医師が引き揚げて・・・まあ実際そうなんだが、今や多くのドロップアウト医師たちがバンクに登録している。そこに流れた影響も大きい」
N「そこのほうがメリットが」
Y「ホワッ?」
N「登録した医師に・・よりメリットがあるわけ?」
Y「そりゃそうだ。だから登録したわけだ。おかしいな君は?」

(ブーイング)

Y「すまんすまん。安易な失言だった」
N「ついその一言が」
Y「患者を追い詰める。何を言わせるんだ!」

(ブーイング)

N「医師が少ないなら、バンクからどんどん雇えば済むことでは?」
Y「ノーだ。今では1年の契約で年収の2割を要求するといわれてるバンクだ。病院の経営が成り立たなくなる」
N「金の問題?」
Y「そうだ、すべてに金がからんでる」

(会場、騒然)

Y「ところで人間誰でも忙しいと、その忙しさに飲まれてしまう」
N「するとどうなる?」
Y「それが不思議なことに、適応していく」
N「ではいいのでは?それは・・マラソンと同じ?」
Y「ザッツァー・・・そうだな。その後、妙な達成感が生まれてくる。これが今回のキーワードだ」

(ざわめき)

N「満足感ってこと?」
Y「とも言えるかな。達成感は脳を常に目覚めさせておく効果があるらしい。その達成感は次の意欲という姿勢を生み、また新たな達成感が生まれて・・・」
N「毎日、達成している?」

(会場、嘲笑)

Y「というか、何かを達成できるようにできている。特に医療関係者はそのような環境にいるんだ。簡単なことから複雑なことまであるよ、そりゃ。だがほとんどが経験的なものなので、演習のような形で収束していく」
N「・・・・なるほど」
Y「なので、達成感に包まれるほど妙にその人間が輝いていくのを見る。果たして達成できたのかどうかの客観的判断は別として」
N「自己満足?」
Y「それを言われるとつらいな!そりゃ、今の知識だって完成したものかどうか分からない」
N「治療での話だね?」
Y「ああ。僕らはこれまで百科事典くらいの知識を叩きこまれ、あ、技術的・アクシデンタルな経験もそうだが。・・その中から日々選択をしていく。正しいと思う選択をね」
N「間違うこともある。だが正しいと分かったときには・・・」
Y「そこには達成感があり、次への意欲が出るのは間違いない」
N「間違い続きだと?」
Y「達成感がないままでは、生き生きしなくなる。それが診療態度にも出てくる。」
N「・・・・皆さんも主治医は選ばないとね」
Y「オーイ!」

(会場、爆笑)

Y「付け加えるが、診療態度というのはつまり・・・自分に思うような結果が出ないとき、そのときに要求される粘り強さだ」
N「いろんな試みを考えたり・・」
Y「ああ。だが医者も人間だ。限界がある。考えにも体力・気力があるし」
N「話を戻しますが。その達成感が最近、失われていると?」
Y「そうだ!よくその話に戻ったな!」

(拍手)

Y「モンスター患者・家族、偏った報道、自治体の横柄な態度など・・・すべてが物事を<達成しにくく>している。このような流れが続けば、次への意欲が生まれない」
N「献身的にできなくなる?」
Y「それは正確な言い方ではないが・・・そうだな。してあげてたことを・・しなくなってくる。分かるかな」
N「我々が当たり前と思ってた内容が減ってくる?」
Y「親子や恋人関係でもあるだろ?無くしてしまって気づくものだ」
N「国が黙って見過ごせないのでは?」
Y「彼らの利益にかかわらない限り、見過ごされるだろう」
N「以上、ヘチマの大予言でした」
Y「オーイ!」

(会場、爆笑)

Y「医療に限らず、達成感を期待して日々を過ごすのは重要だと思う」
N「これ、何の番組?」

(爆笑)

Y「そのためには、その対象となる出来事がいくら魅力的でも・・自分の器でもって計算しておく必要がある」
N「結婚の話かな?」
Y「ジー・・なるほどな。いい例だ。自分の例えでは、ある高額なアルバイトがあるとする。だがそれには高額なる理由が必ずある。それをある程度推定して、自分は果してそれに耐えうるかどうか。ついていけそうか」
N「男が近寄らない美人がいると、それには理由がある。その理由・・・性格が悪い、美しすぎる・・・」
Y「美人局。あるいはニューハーフかもしれない」

(爆笑)

Y「いやいや。要するに、~かもしれない~かもしれない、と冷静に石橋を叩けるかどうかだ。で、結論を出して自分が永続的に耐えうるものかどうか、考える」
N「その態度でもってしても、最近は満たされない?」
Y「(国の上層部の)急な決定や、(上層部・患者側・マスコミの)一方的な対応・態度というのが増えた・・そのデリカシーのなさが、考える価値をなくさせる」
N「そのうち思うわけだね」
Y「ああ、言わせてくれ。誰がもうガンダムに乗るもんか!ってね」
N「・・・やっぱり医者を選ぼう」
Y「オーイ!」

(爆笑)

Y「簡略化するとこうだ。一生懸命やっても、安易に踏みにじられる環境にあるのなら・・・達成は無理ということだ。むしろ安定を目指し自分を守る」
N「あるいは環境・・・仕事場などを変わる?」
Y「ちょと前までは、金の利回りのよさで達成感そのものが軽視されていたように思う」
N「豊かさは罪?」
Y「そうではない。しかし豊かな間にしたそのツケが、俺たち世代にやってきたってことさ」

(拍手)

N「そのツケを払う時代になっても・・・達成する希望は見いだせる?」
Y「成功して金を作ることが達成だとは言ってない。それまでに達成の階段を作る。ワンステップ、ツーステップ・・という風に。いきなり一段で上がろうとしないこと。器が小さければ、階段を多くすればいい。<自分なら登れるであろう>という階段だ」
N「目の前の目標にいきなり飛びつくなってことだね?」

(拍手)

Y「目の前のものに安易にすがるのが、どういう結果を生むか・・・新作でそれを明らかにしたい」


<お次は、6月公開作に向けてのクランクアップ情報です!>



N「不景気で、ここのところ落ち込み気味ではありますが・・・病気が減ることはありません。そんな戦乱の中、今回ゲストをお呼びしました」

(会場、拍手)

Y「イエア!」

(離れた椅子に座る)

N「今日は、仕事は終わったの?」

(会場、爆笑)

Y「待機制だから、呼ばれたら行くよ!あっ!(呼ばれたフリ)」
N「わざとらしいね。電話の音が聞こえた?」
Y「バイブだよ。ブルブルブル!(椅子ごと揺れる)」

(会場、拍手)

Y「いっそ、自分が電話かと思うよ。電話になろうかってね。ペースメーカーみたいに、内蔵して欲しいよ」

(間)

N「不景気の影響は、ある?」
Y「あるな。大いに感じる。5年前ぐらいの時期では、サラリーマンの3割負担が話題だったが、今は話の次元が大きく異なる」
N「というと?」
Y「今の社会、組織、仕事・・・まあ仕事というものが社会の末端単位だとすると・・・あまりにも割に合わない、理不尽なものが増えている。まるで病気に気づくことすら許されないような」
N「それは背景?」
Y「そうだ。確かに背景だ。仕事が病気を作るわけではない。しかし、その仕事がもしキャパ(許容量)を超えたもので、持続するとなると・・・」

(鎮まる視聴者)

N「ちょっと待って。仕事の内容が忙しくなったってこと?」
Y「イエスだ。詳しくは後述する。しかし、仕事を狭い意味で取るなよ。大きな意味でいえば、生きていく上での自分が課した義務・・・子育て、買い物なども含まれる」
N「やっと分かった」

(会場、微笑)

Y「そうか。で、今の時代の特徴は・・・会社と家庭面、とに分けて考えてみよう」
N「まず社会では?」
Y「ガッデメ!会社だ!間違うな!ちょっと怒りやすくなったかな最近」
N「キャパの問題?」

(会場、大爆笑。一部ブーイング)

Y「オーマイ・・・やられたな。会社の話といこう。<サーガ>でも提示するように・・・上層部と末端との神経線維が途切れた状態だ。上位ニューロンと下位ニューロンが断絶した状態」
N「つながりが、ない?」
Y「中間に立つ人がない。というか、存在しない。上は上の集まり。下はみな均等」
N「それによって弊害が?」
Y「そりゃあるだろ。まるで患者を見ない医者と同じで、上は勝手に物事を決められる」
N「下は?」
Y「大多数の<下>は、不満を訴えようにもその窓口がない・・・」

(会場、拍手)

N「それが、変わった点?」
Y「イエア。上層部にとって末端は数として計算しやすくなり、理不尽なノルマを平気で与えることができる」
N「その結果・・・」
Y「末端は、大事なものを失った」
N「マネー?」
Y「かもしれないが、それはやはり<達成感>だろう。僕は・・人間にとって生きがいは何か聞かれたら、そう答える。オーイ?今日は何の話だ?」

(会場より花束)

N「私も欲しいね」
Y「ただし、達成は自信につながる。そのためにも何かを達成する日常でないと、鬱になりやすい」
N「うつ状態が増えてるね。病院でもそう?」
Y「ホワッ?」
N「達成感を感じることは・・・?」

(会場より激励)

Y「病院で勤務しての達成感は、やはり治療がうまくいったときだ。もちろん自分の裁量で。必ずしも患者側の利益と一致しないが」
N「アーハン」
Y「しかし、心外なことは増えている。モンスターペイシャントとか一時流行したな?」
N「やはり今でも?」
Y「そりゃそうさ。理解の努力もせず、土足で平気で荒らしまくる・・・」
N「病院側の責任は?」
Y「あるケースもあろうが、たいていは逆だろう、と思ってる」

司会者、ネクタイを正す。
N「私も、病院を選ばないとな」
Y「オーイ!」

(会場、爆笑)

N「会社での理不尽は分かった。家庭では?」
Y「少子化や母子家庭など・・・扶養の問題だ。これだけ老人が増えてくると・・・自分が将来歩けなくなったらどうなるか?などと考えてしまう」
N「早く結婚を!」

(会場、大爆笑)

Y「じゃあ、早く病院から帰らせてくれよ!」

(会場、ブーイング)

Y「すまない。冗談だ。帰っても、そのまま寝るだけだ」
N「話を元に。家庭のキャパも、限界?」
Y「超過勤務で子供の面倒が大変だったり、介護が過酷で疲れている家族が増えているということだ」
N「これからの話の伏線として、重要?」
Y「もちろんだ。さきほどのユーのイントロダクション同様、今は乱世の世の中だからな」
N「ユーは豪傑を見習う?」
Y「ミーには英雄の血は流れていない。従って院長として天下を取ることなく、一国の勤務医として民を守る!赤兎馬(せきとば)ハー!パカランパカラン!」

(会場、まばらな拍手)

<次は、作者が現場周囲の現状を、語ります!>










尾瀬

2009年5月20日 時事ニュース

 夏休みを取れるのは(もうそんな話か?)8月に入ってからが多く、尾瀬の水芭蕉・富良野のラベンダーをリアルタイムで見たことがない。

 水芭蕉はともかく、尾瀬には真夏に2度ほど行ったことがある。憧れの(?)木の歩道はある程度山に入ってから。山に入るまで列車、バスなど延々と乗り継ぐ。

 宿は小規模なところだと、お風呂がサバイバル。男性風呂では3人1セットで、「よーいドン」形式で浴槽にギュウギュウ詰め、制限時間1分。大規模な宿はふつうの民宿と同様な暮らしぶり(ただ、シーズンにより相部屋あり)。
 ※)10年以上前の話

 食事の時間が何ともいえない。みな、揃ったところで「えー!すべて地元の食材です!おかわり自由!」「いただきまーす!」とみんなの心が1つになる。腸閉塞を起こすほど食べた記憶がある。←これも大規模宿でのはなし。

 見知らぬ人と話。昨日はどこから来て、今日は何を見て、明日はどこへ行って・・・話が進むにつれ誰でも年齢に関係なく、活き活きとしてくる。いつもの自分ではないような、そんな自分になるのも楽しい(意味深)。



 

 どうやらヤマトが本気で走りだすようだ。ヤマトがフルCGになるのは時代の流れだから、仕方がない。ただヤマトは依然<2520>というOVAでCGまがいの描写に挑戦しており不評に終わっている。

 今回は長いこと堀の中にいた西崎が、角川映画同様に再起をかける。西崎が堀の中で温め続けていたものとは?

 気がかりなのは、古代役の声優だ。富山敬は、もういない。まさかヤッターマンの流れで山寺が・・・?あるいは僕のごひいき声優、ホウチュウが・・・?いずれもイメージに合わない。テレビのものまね大会でも、ルパンはあっても古代は見たことがない。

「ヤマト、発進!」
「主砲、発射!」
「対ショック、対閃光防御!」
「コスモタイガー、発進!」
「さ・な・だ・さん!」

 まさか、妙な細工で声を造ったりはしないよな・・・?

 だが、なんで6発なのか?ひょっとしてレボルバー式か?はたまたパチンコ・ゲームソフトと関係があるのか?松本零二がまた訴えたりしないのか?パルス療法的な意味か?真田さんテストは?などと考えてしまう。



 ヨーロッパ・ハワイへ留学・豪遊(?)中の仲間によると、今の日本の騒ぎはかなり大袈裟らしい。今のインフルエンザが従来の季節型と予後的・治療内容的に有意な差が感じられておらず、そういう理性に基づいた報道がされているからだそうだ。

 今の日本の報道は感染源がどうたらと、まるで犯罪者か魔女狩りのようなことに一生懸命になっていて、過熱しすぎて医療者の隔離・医療機関の一時停止などまでエスカレートしそうな雰囲気だ。

 もちろん油断はできないが、おそらくフェーズ的(つまり6)には拡大するのは確実とされていて、その場合今のような限定された入院施設では数的に間に合わず、結局のところ一般の機関でも受け入れをする体制を整えることになるだろう(またも遅い対応)・・・というのが僕ら仲間の勝手な予測だ。

 インフルのキットも消費しきったところもある。医師会に属してないところは不足しやすいので(なかなか回ってこない)、受診して検査してもらおうと思うなら、その有無を前もって確認したいところ。

 あと、マスクが売りに売れているが、眼の保護をしないと予防効果が十分とはいえない(アメリカCDC)。どうやら、人ごみは今まで以上に避けた方がいいのは確実だ。


 動物パニックものといえば主役が人間で、相手が獰猛な動物という図式が当たり前だったが、本作はそんなとき逆の立場で描いた。つまり獰猛な人間と、家族を殺された何の罪もない動物。しかし人間も単純な悪ではなく、こちらにも家族のカタキという大義名分がある。怒りを怒りで裁く戦いが始まる。何となくイングランドの香りがする。

 テレビCMではパニック・ムービーのように宣伝されていたが、実際の内容は非常に哀しみ漂うもので、モリコーネの音楽がそれをいっそう劇的なものにした(バラエティ番組の再開場面などで流用)。映画にしては意外なクライマックスも衝撃的。

 

 

診察拒否

2009年5月7日 連載
 診察拒否が医師法違反だと指摘するのは、むしろモンスターの言い分。こうした心ない一言が医師らの感情を逆なでし、思わぬ逆効果を生む。

 診察拒否するケースは何も

・ 取り込み中の時(急患・急変などに対応中)

 だけとは限らず、実際は

・ 病棟が満床で、診察希望患者に入院の可能性を考慮したとき
   (結局よそへ紹介することになり患者にいっそうの負担)

・ 診察希望の患者の症状から察して、それが自分の専門外のとき

・ 病院の姿勢として、症状の程度に応じて前もった<基準>があるとき
   (たとえばこういうケースはここまでにしようとか)

・ ブラックリスト患者
   (迷惑行為などの既往があるケース)

・ これまで対応にかなり追われて当直医そのものが疲弊、または当直医そのものが体調不良

・ 臨床経験の乏しい医者が当直に当たったとき
   (例えば飲み会・出張で常勤が穴埋め的にしょうがなく雇った医者)

・ <依頼してきたのが救急隊の場合>
  その救急隊がふだんから信用ならん場合
   (連れてきたら実は酒飲みだったなどの前科あり)
 
 などなど、事情があることも。

 しかし、窓口に患者が直接やってきた場合はとりあえず待合室に入ってもらい、(よそに行ってもらうにしても)次の手続きまでの手助けをしてあげるのが好ましい。



 パンデミックの警告が出た。今日は大阪をあちこち仕事で回ったが、マスクをしている人はほぼ皆無。関空は重要拠点だが、衛生的にしばしば問題となる地域(人種が混在しているケース多い)こそ隠れた流行予測地。医師はバイトの時とかも頭に置いておきたい。

 今のところ検査キットでA陽性と出てなおかつ豚インフル流行地域との接触(渡航歴など)がある場合など、診断の流れがとても十分とは思えない。今の段階ではその人の日常の足跡を問診にて辿り、高熱の人はまずキットで検査してもらおう。

 肺炎は毎度のように入院を経験する。その中で一部が重篤化し死に至る。肺炎は呼吸が苦しく、逃げ場なしにつらいものだ。肺炎など重篤な病気には何か背景(キッカケや基礎疾患など)がある。自分にはその背景はないか。今後さらされる背景はないか。するとGWはどうか。どういう場所が背景になりやすいか。なら予防するためには。白紙に矢印で関連図を作ると、自ずと分かる。
 
 手洗いとマスクが強調されているが、軽く見られがちなのが普段の抵抗力。睡眠不足、やせ(食欲低下・極度のダイエット)、過労、不潔、アバウトな生活など。これらこそが病気につけこまれやすい背景だ。




 今のところ手元に情報がなく何ともいえないが、世界的な緊急事態であることは確かだ。

 メキシコのyahoo。

 http://mx.yahoo.com/

 スペイン語は分からないが、今は便利な翻訳サイトがある。

 http://www.excite.co.jp/world/spanish/

 まだまだ十分な訳とはいかないようだが、画像などの情報などリアルなものがあり予防の重要さを呼び起こせる。

 こちらでも明日から独自で調べるつもり。


 

 

GW

2009年4月25日 連載

 どうしても「ガイドワイヤー」に見えてしまうが、今回のGWは割と長期。世間並に休んだら、土曜日~水曜日が休日・・・自分にはありえない。開業医も休みを返上するところが目立つ(医師会に入ってたら無理だが)。

 高速道路の大渋滞が予測されるのなら、外傷はもちろん、気温によっては熱中症や脱水、エコノミークラスもありか?いろいろ予測すると、結局のとこ救急マニュアルを全部読むことになる。

 もし医者がいそうな場所を手っ取り早く探すとしたら・・・?

 ゴルフ場。それと朝8時台のコンビニ(直前の買い出し!)で、外車停めて買いこんでる奴(雑誌+食糧)!
かつて開拓したはずの、僻地病院。

 駆けつけ、玄関先で立ち止まる医師ら。全員何かに圧倒され、そのまま下に崩れる。

          <時は、2002年>

 院長の頬をつたう、涙。

         <恐れた事が、起こった>


騒然とする、真田本院。

事務員「一晩で僻地の病院が崩壊・・・」
事務長「奴らの次なる目標は・・・」
事務員「本院なわけですか?」
事務長「いや・・・」

     <最大の危機が>

事務長「もっと。大きいものだと思う」

     <やってくる!>

鷲津風の男「我々には遊んでる時間がありません。強硬手段もやむを得ないでしょう」作図。

大学学長「どうか皆さんの力を・・・」土下座。ざわめく会議室。

別病院。

鷲津風の男「淘汰されるべきです。皆さんには額面通り・・」

大型トラック出発。

鷲津風の男「働いてもらいますので」

病院玄関、滑り台を滑走する白衣7人。

過労でうずくまる医師。

飛んできたベッドで胸を打つ医師。

そして、事務長の横で慌てる医師。

ユウ 「品川!何か策を!」
事務長「あるわけないでしょうそんなの!」
ユウ 「逃げるな!」
事務長「ぼく医師じゃないし!」

滑走からジャンプする7人。

上から崩れていく大病院。

玄関めがけ、バウンドし突っ込んでいく乗用車。

ゆっくり落ちてくる7人。下で両手を上げ立つ女。

トレーラー、道路で横転。

           <見えてくる限界>

事務長「彼らは本気ですよ。ここで先生らがくたばれば・・・」
ユウ「?」
事務長「ハゲタカが来ますよ!あ!」鳴るユウのPHS。
ユウ「カアッ!ペッ!」背中のチューブ持ち振り向き、喧噪の中出動。
事務長「何すんですか!」

           <そして・・・>

立つ女から放たれる、謎の力。7人、上空で吹っ飛ぶ。

「(7人)うわあああああ!」

           <見えない敵>

 テントをあちこち徘徊するユウにつきまとう、医学生。

医学生「僕は卒業できるんでしょうか?」
ユウ 「こっちは失業だ!」

 またダッシュ。

医学生「マイナーにするお!」

           <2009 6. 6. >













 ・・・PLってことは宗教法人の?以下、ニュース。



 健康診断施設「PL大阪健康管理センター」(大阪市中央区)は、昭和59年から平成16年に行った健康診断の血液検査で、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロール値を、測定していないにもかかわらず、虚偽の数値を記載し受診者に通知していたことが24日、分かった。同センターは「対象者は約3万人」としているが、大阪市保健所は「調査が不十分」としてさらに説明を求めている。

 同センターによると、初回に正常値を示した受診者について、その後の健診は5回に1回しか実施せず、それ以外は、前回の数値を参考にした架空の数値を記載していた。当時、健康診断の受診者が多いため検査の処理が間に合わず、手抜きを行ったという。



 HDL-CはLDL-Cと密接な関係にあり、数式上では LDL-C ÷ HDL-C
 つまりこれらの比が1.5以下であれば動脈硬化を予防できる(つまり治療の目安)という便利データがある。HDL-Cが適当ならこの比はどうとでもなるわけで、当然低めに偽装するほど高い数値になる。

 この数式で言えば、比が高いほど動脈硬化リスク大なわけで、(結果を渡されれば)僕らは自動的に内服を勧めることになる。通常処方する<スタチン>には筋肉痛ひいては横紋筋融解などの侮れない副作用がある。これを意味もなく出された人が多いかもしれない。

 健診業務は完全なサービス業になりつつあり、あちこちで患者の争奪戦が続いている。特に大阪では今でもクビ寸前しかし777狙いの<末端>が営業をかけている。

 ここでの話からずれるが、一部の狂信的な<末端>は何か弱みを握られていて、気の遠くなるノルマを達成するよう常に脅迫されている。彼らには達成した時の快感が強烈なため、それを成就させるためなら手段を選ばない。こういうのが各病院に1人はいるものだ。

 ここで健診を受けた人は、委託先検査会社の検査伝票を直接見せてもらう必要がある(もうないかもしれんが)。

 



 http://www.shinseido.co.jp/nm/nm/ozakiyutaka.html

 我が人生の両面教師、尾崎豊の歴代アルバムがニュースペックで登場!

 音質が良くなるということだが、これなら小音量でも十分な効果が期待できるだろう。MP-3の情報量は紙のように薄いことも分かり、音楽配信には全く興味なくなったところだ。

 ぜひ「forget-me-not」を高音質で聴いてみたい。カラオケ・結婚式で尾崎を歌う人間は山ほどいたが、この歌のクライマックスは原盤でしか心に響かない。

『ふたあ~りがは~ぐくむ!ああ~いいのな~まえは!まぁ~っちにうもぉ~れソ~なちィ~さ~なわす~れな~グぅさぁぁぁ・・・・』

 ええ歌やなあ・・・車から降りたくねえ。

 僕にとっては予備校~医学生全般を通して聴いていたから、やたら試験勉強・アルバイト行き帰りのときに流れていたことを記憶している。今は試験もなんにもない(キタロウ?)から、クエスチョンバンクでも買っておさらいしてみるか(横にタコヤキ)!

 

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