< DEEN  瞳そらさないで >

 いつもこのじかあんわぁ〜 ウチにい〜たあ〜のに〜

 サイキン君は〜留守がチだねぇえ〜

 ぃやっと出たでんんわのぉ〜 くぉえもいままあで〜とぅ〜

 違う〜かん〜じが変わああったあよぉ〜

 ま〜だぁ!き〜みのな〜か〜に 僕が〜どれくらいぃ!
 居〜るのか! 確かめてみ〜たいんだあああああ!

( look in your eyes )

 ひ〜とみ〜!すぉらさなああいで〜!

 あ!ついな〜つのぉ〜! ト〜キメキのな〜かぁでぇ〜

 サ〜マブリ〜 心く〜すぐ〜るよ〜!

 ひと〜り占め!し〜たくて! だああ!き寄せたぁ〜!
 
 あ〜つい午後〜!
 
 

1994年。

 大学を卒業後、正直、何科を選択するとか訳もわからないまま、とりあえず僕が選んだのが<胸部内科>だ。

 学生の段階で科を選ぶなんて、本来ちょっと無茶すぎる。そういう意味ではスーパーローテは理想かもしれない。

 職員駐車場でウロウロする古いシビック。止めるところがどこにもない。まだ朝の8時というのに。

「これが全部職員の車だって?そんなはずがない」
 しかしどこを探しても空きがない。このままでは8時半の医局集合に間に合わない。
「仕方ない・・路駐で!」

そのとき、向こうから早足で駆けてくる年老いた警備員。
「あー、あー、そこは止められんのですー!」
「だって止めるとこないのに」
「すみませんが、空いているところに」
「ないってのに」
「さあ私ではそちらの判断はしかねますが」
「わかった、いいよ」

結局別のところに路駐した。

8時半、医局。平成6年。一室に中年の白衣男性と数人の若造たち。中年医師の脂ぎった額・??分け。何でもいい、目に映るものは新鮮だ。

「揃いましたね、1,2・・君で6人。まずは合格おめでとう。私は医局長の長井(以下、個人名は仮名)です。さてこれから、渡り廊下を通って、病棟まで行きましょう。病棟ではちょうど新患のプレゼンと教授回診が始まっているところです。今日は見学と・・さっそく主治医としてオーベンと、患者さんを診てもらいます。で・・夕方で私ははずしますので。今後質問などありましたら、私に」
 実に淡々としたしゃべり方だ。
「じゃ、行きましょうか・・。」

 初めて顔を合わす新入医局員と、ゾロゾロと渡り廊下を歩く。
みんな無表情で無機質だ。

 いきなり長井先生が振り返る。
「あー、君・・えーと、名前・・」
僕か?
「ユウキです」
「あ、そうそう、ユウキ先生。君がいっしょに組む先生は講師の先生でね。他の研修医の先生は助手なのだが。でね。ユウキくん。講師の和田くんなんだが、彼は今日は欠勤となっている。他の先生に聞くように。そうだねえ・・。またあたっておくから」
「わかりました」

コンコン。

「ノイへイレンの先生方、連れてきました・・よろしいですか、ハイ、ははぁ、そうでございますか・・ははは」
やけに弱腰だな。態度がコロッと変わるというか。
「はい、じゃあ入って入って。ほらほら!グズグズせずに!」

 1つの教室に40人ほどがギッシリ。教壇にあたるところでは若い先生がなにやら英語交じりで説明。前方席では教授と思われる白髪の細い老人。その横の少し年下っぽい中年は助教授か。医局長がさらにその横に座る。
 あとの数十人がこちらに振り向いた。冷たい視線。寝ぼけた顔。緊迫感。仕事場というより・・なんなんだ、この雰囲気は・・。

 ちょうど2年目の先生によるプレゼンのようだ。
「80歳の女性。主訴は胸痛です。現病歴ですが、3日間より突然の胸痛があり・・」
「違うでしょ・・」
「はっ」
白髪の老人が呟く。
「3日間より突然の、じゃなくて3日目前に突然、でしょう。君、日本語の勉強からしたほうがいいんじゃないか。はっはっは・・。」
ワンテンポ遅れて周囲がドッとどよめく。こちらは笑うわけにもいかない。

えらいところに来てしまったぞ・・。

今までの社会と、何かが違う。いや、何もかもが・・。僕は白衣のエリを正した。

第一話から、いきなりのピンチだ!

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