< レジデンツ・フォース 18 NEVER GIVE UP! >
2004年4月22日 連載僕はVf寸前だった。
『最悪の事態は、身内の内容で切り抜けろ』
「・・・両親です」
「あにぃ?」
「両親と新大阪で合流するんです。彼らの旅行をかねて今回の学会に」
「親?そんなん勝手に行かせたらいいだろがぁ!」
「あ、あまり体調が好ましくなくて・・・」
畑先生が早足で近づいてきた。
「おまえなあ、天下の山城先生がいっしょに行こうって言ってくださってるのに!」
山城先生は目を細め、サングラスをかけた。
「ネズミよ、まあいいわ。こいつは言ってもきかんようだし」
他のドクターも諦めたようで、山城先生が振り向くと同時に後ろへ振り向いた。
一応外まで見送ることにした。山城先生はずっと後姿だ。
「でも・・・携帯は絶えず出れるようにしとけよな」
「は、はい。そうします。来週からは宜しくおねが・・・」
「おいネズミ!早く車出せ!」
すぐそこに止めてあった大型ベンツは急発進し、あっという間に駅前を去った。
5時半過ぎ。しかしまだ間に合う!
改札へと急いだ。
「クソッ・・・さっきの電話。たぶん彼女だったんだ・・・!」
7番乗り場下の階段まで来た。大勢が降りてくる。
たぶん・・今ちょうど電車が来たところだ。
掻き分けながら止まってる電車のところへ。
なんとか乗れた。携帯はあれから鳴ってないが・・・
「なっ?」
電源が切れている。そうなんだ。当時の充電時間は相当短いものだった。
充電器は持ってきてはいるが。
「どうしよう・・どうしよう」
電車は大きな川を渡り始めた。夕日は地平線に隠れてしまった。
「・・・しかし、間に合いそうだから、いいか・・・」
電車はゆっくりと新大阪に到着した。
「しん、おおさか、です・・・」
再び人ごみを掻き分け、階段を登った。
登り終わったあと、ふと気づいた。
「・・・どこで待ち合わせを?」
そうだよ。新大阪駅、そこまではよかったが。この駅のどこで?
あまり考えてる時間はない。
そこらの係員に聞く。
「あの、新幹線の乗り場は?」
「あああんた、そりゃあっちだ。逆方向!」
「ひえっ・・・」
足がもつれながらも、階段を歩き続けた。
あれが改札だ。くぐるため、入場券を・・・。しかし列ができている。
前のオバさんがモタモタ1万円札を取り出している。横の列も同様だ。
「はやく!はやく!」
足早に足踏みするが、オバさんの動きはとろい。こうしている間にも
時間は過ぎていく。
「もう何だよ!」
オバサンはムスッとした表情でチケットを取り出したようだ。
しかしまだ前に2人いる。
「ダメだ・・・間に合わない」
僕は肩を落とした。しかし最後の手段に出た。
「すみません。どうしても乗らないと」
非常識にも先頭のおじさんに頭を下げ、割り込んだ。
チケットを持って改札の中へ。目前の階段を、一気に駆け上がった。
もう時計なんて見てる場合じゃない。
「行かないで・・・これ以上!」
呑気にも頭の中では光ゲンジの歌が33回転で廻っていた。
階段を登りきって、強くステップ・・・しかし、もう遅かった。
新幹線はゆっくりと加速していた。
「ああ・・・」
客席を覗くにもよく分からない。どうしようもなく、客席の顔をただただ眺めた。
ファーン・・・と、新幹線はホームを離れていった。
ドラマだったら、ホームにポツンと彼女が1人立ってたりするはずだが・・・そんなわけもなかった。
「寝台車の券ももうないし・・・どうしよう」
このままホームに立っても時間が過ぎるだけだし。
僕はトボトボと梅田の改札を出た。全ての列車に乗り遅れた・・・。車で行くにも無理があるし、金も足りない。
高速道路をフルに走ると片道2万はする。ガソリンでも片道2万。ヒッチハイクで横断、など電波少年での話だ。
ある考えが浮かび、足早に歩き始めた。足はどんどん速くなり・・・・・。
暗くなったころ、ガガガ、ガルーン・・・と1台の大きなバスが駅前に止まった。
その最後尾・左に僕は腰掛けた。両足を伸ばし、寝る体勢に。夜行バスだ。早朝には東京へ着く。
「絶対、出席するぜ!」
<つづく>
『最悪の事態は、身内の内容で切り抜けろ』
「・・・両親です」
「あにぃ?」
「両親と新大阪で合流するんです。彼らの旅行をかねて今回の学会に」
「親?そんなん勝手に行かせたらいいだろがぁ!」
「あ、あまり体調が好ましくなくて・・・」
畑先生が早足で近づいてきた。
「おまえなあ、天下の山城先生がいっしょに行こうって言ってくださってるのに!」
山城先生は目を細め、サングラスをかけた。
「ネズミよ、まあいいわ。こいつは言ってもきかんようだし」
他のドクターも諦めたようで、山城先生が振り向くと同時に後ろへ振り向いた。
一応外まで見送ることにした。山城先生はずっと後姿だ。
「でも・・・携帯は絶えず出れるようにしとけよな」
「は、はい。そうします。来週からは宜しくおねが・・・」
「おいネズミ!早く車出せ!」
すぐそこに止めてあった大型ベンツは急発進し、あっという間に駅前を去った。
5時半過ぎ。しかしまだ間に合う!
改札へと急いだ。
「クソッ・・・さっきの電話。たぶん彼女だったんだ・・・!」
7番乗り場下の階段まで来た。大勢が降りてくる。
たぶん・・今ちょうど電車が来たところだ。
掻き分けながら止まってる電車のところへ。
なんとか乗れた。携帯はあれから鳴ってないが・・・
「なっ?」
電源が切れている。そうなんだ。当時の充電時間は相当短いものだった。
充電器は持ってきてはいるが。
「どうしよう・・どうしよう」
電車は大きな川を渡り始めた。夕日は地平線に隠れてしまった。
「・・・しかし、間に合いそうだから、いいか・・・」
電車はゆっくりと新大阪に到着した。
「しん、おおさか、です・・・」
再び人ごみを掻き分け、階段を登った。
登り終わったあと、ふと気づいた。
「・・・どこで待ち合わせを?」
そうだよ。新大阪駅、そこまではよかったが。この駅のどこで?
あまり考えてる時間はない。
そこらの係員に聞く。
「あの、新幹線の乗り場は?」
「あああんた、そりゃあっちだ。逆方向!」
「ひえっ・・・」
足がもつれながらも、階段を歩き続けた。
あれが改札だ。くぐるため、入場券を・・・。しかし列ができている。
前のオバさんがモタモタ1万円札を取り出している。横の列も同様だ。
「はやく!はやく!」
足早に足踏みするが、オバさんの動きはとろい。こうしている間にも
時間は過ぎていく。
「もう何だよ!」
オバサンはムスッとした表情でチケットを取り出したようだ。
しかしまだ前に2人いる。
「ダメだ・・・間に合わない」
僕は肩を落とした。しかし最後の手段に出た。
「すみません。どうしても乗らないと」
非常識にも先頭のおじさんに頭を下げ、割り込んだ。
チケットを持って改札の中へ。目前の階段を、一気に駆け上がった。
もう時計なんて見てる場合じゃない。
「行かないで・・・これ以上!」
呑気にも頭の中では光ゲンジの歌が33回転で廻っていた。
階段を登りきって、強くステップ・・・しかし、もう遅かった。
新幹線はゆっくりと加速していた。
「ああ・・・」
客席を覗くにもよく分からない。どうしようもなく、客席の顔をただただ眺めた。
ファーン・・・と、新幹線はホームを離れていった。
ドラマだったら、ホームにポツンと彼女が1人立ってたりするはずだが・・・そんなわけもなかった。
「寝台車の券ももうないし・・・どうしよう」
このままホームに立っても時間が過ぎるだけだし。
僕はトボトボと梅田の改札を出た。全ての列車に乗り遅れた・・・。車で行くにも無理があるし、金も足りない。
高速道路をフルに走ると片道2万はする。ガソリンでも片道2万。ヒッチハイクで横断、など電波少年での話だ。
ある考えが浮かび、足早に歩き始めた。足はどんどん速くなり・・・・・。
暗くなったころ、ガガガ、ガルーン・・・と1台の大きなバスが駅前に止まった。
その最後尾・左に僕は腰掛けた。両足を伸ばし、寝る体勢に。夜行バスだ。早朝には東京へ着く。
「絶対、出席するぜ!」
<つづく>
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