< オーベン&コベンダーズ 2-11 オーベンの影 >
2004年7月31日先日オーベンから頼まれていたカテーテル検査の患者へのムンテラ。なんとか無難に終わった。
話した内容をカルテへ記入。関西の病院ではムンテラをビデオ撮影するところまであると聞く。
その日はしばらく行ってなかった飲み屋へ。
オバちゃんはいつもの通り、真っ白の顔で出迎えた。
「こんばんは」
「やあ!トシキちゃん。久しぶりねえ!」
「なんか今日は少ないね」
「ああ。お客さんかい。そうなんだよ」
「ストレス、たまりまくりだよ」
「患者さん、増えたのかい?」
「うん。知ってる?オーベンと僕が実質的に病棟を任されたこと」
「いや、それは初耳だねえ」
「オーベンは凄いよ。しかも僕らレジデント3人のオーベンだよ」
「ああ・・・そういやこの前。まっちゃんが来て言ってたねえ」
「この前退職された松田先生が・・来たの?」
「辞める前にね。なんか、良し悪しみたいだねえ・・」
「何が悪いの?」
「おおっと、そんな深い意味じゃないさ。なんかあんた一瞬。オーベンみたいだったわよぉ」
「またですか・・」
「まっちゃんがアンタを心配してたのはね。あんたらが医局員に強硬手段を貫くことで、かえって医局のいいところや人間関係まで壊れないかって」
「強硬?そんなことは・・」
「でもいろいろ厳しくなったんだろ。それもいっぺんに」
「そうだけど・・」
「まっちゃんがいいたとえ話をしてたよ。今は抗生剤で菌を叩きすぎて、かえっていい菌まで殺してしまうって。それが
かえって、もっとよくない菌を生み出すってさあ」
「よくない菌・・・何でしょうね?」
「あたしも考えたんだが・・・どうやら・・人の怒り・憎しみ、とかじゃないかねえ」
「怒り・憎しみ・・僕らのですか?」
「憎しみは憎しみを生むっていうだろ?」
「中東戦争みたいですね」
「そうやってお互いがいがみ合わなければいいんだけどねえ・・」
「・・・・・」
「まあ、若かったってことは、後になって思うものさ」
「・・・オバちゃん。僕らも間違ってるってことかな?」
「まさか!あんたらは大事なお客さんだ!でね、いいかい?」
「?」
僕は想像がついた。
「オバちゃん、金かい?また・・」
「うん。期限が近づいていてね」
「な、何の期限?」
「まあいろいろと複雑なんだよ」
「また、貸せってこと?」
「まあそうなんだが。今度は必ず返せるさ」
「待ってよ。もうこれまで何十万と・・」
「お願いだ!あと8万ほど!」
「こっちは忙しくって、バイトも最近行けてないんだ!」
ホントのことだった。
「あんたしか頼める人間がいないんだ!」
「そんなことないでしょ」
「いい情報、流してあげるし・・・」
「やめてくれよ」
「そうだ。グッチゃんが、あんたを気に入ってたよ」
「川口先生が?またそんな。ウソばっかり」
「いやあ、ウソじゃない」
「ああいうキレイな人は、絶対いい人いますよ」
「それがさ。今フリーなんだよ!どうだい?」
「なんでオバちゃんが仲介するんだよ」
「あんたの役に立ちたいんだ。去年はあのコ・・とんでもない男にひっかかってねえ」
「?だれに?」
「お前の先輩の誰かさ。二股かけようとしてさ」
「ひどい男ですね・・殴ってやりたい」
「だからあたしがこっそり彼女に教えてやった。彼女、ショック受けてねえ。泣いてたよ」
オバちゃんもオバちゃんだな。
「・・・ところで、オバちゃんが何でそんな情報を知ってるの?」
「あたしはあんたの医局のかかりつけ医だからさ。心の病のね!」
「へえ・・」
「あんたのオーベンがいろいろ情報を教えてくれてるから、今の彼女があるんだ!」
「え?僕のオーベンが?」
オーベン、ここの隠れた常連なのか・・?
「あんたのオーベンがいろいろここで話してくれるんだよ。最近は来ないがね」
オーベン、口が軽いのかな・・・。僕は今後1本だけ、防衛線を張ることにした。
話した内容をカルテへ記入。関西の病院ではムンテラをビデオ撮影するところまであると聞く。
その日はしばらく行ってなかった飲み屋へ。
オバちゃんはいつもの通り、真っ白の顔で出迎えた。
「こんばんは」
「やあ!トシキちゃん。久しぶりねえ!」
「なんか今日は少ないね」
「ああ。お客さんかい。そうなんだよ」
「ストレス、たまりまくりだよ」
「患者さん、増えたのかい?」
「うん。知ってる?オーベンと僕が実質的に病棟を任されたこと」
「いや、それは初耳だねえ」
「オーベンは凄いよ。しかも僕らレジデント3人のオーベンだよ」
「ああ・・・そういやこの前。まっちゃんが来て言ってたねえ」
「この前退職された松田先生が・・来たの?」
「辞める前にね。なんか、良し悪しみたいだねえ・・」
「何が悪いの?」
「おおっと、そんな深い意味じゃないさ。なんかあんた一瞬。オーベンみたいだったわよぉ」
「またですか・・」
「まっちゃんがアンタを心配してたのはね。あんたらが医局員に強硬手段を貫くことで、かえって医局のいいところや人間関係まで壊れないかって」
「強硬?そんなことは・・」
「でもいろいろ厳しくなったんだろ。それもいっぺんに」
「そうだけど・・」
「まっちゃんがいいたとえ話をしてたよ。今は抗生剤で菌を叩きすぎて、かえっていい菌まで殺してしまうって。それが
かえって、もっとよくない菌を生み出すってさあ」
「よくない菌・・・何でしょうね?」
「あたしも考えたんだが・・・どうやら・・人の怒り・憎しみ、とかじゃないかねえ」
「怒り・憎しみ・・僕らのですか?」
「憎しみは憎しみを生むっていうだろ?」
「中東戦争みたいですね」
「そうやってお互いがいがみ合わなければいいんだけどねえ・・」
「・・・・・」
「まあ、若かったってことは、後になって思うものさ」
「・・・オバちゃん。僕らも間違ってるってことかな?」
「まさか!あんたらは大事なお客さんだ!でね、いいかい?」
「?」
僕は想像がついた。
「オバちゃん、金かい?また・・」
「うん。期限が近づいていてね」
「な、何の期限?」
「まあいろいろと複雑なんだよ」
「また、貸せってこと?」
「まあそうなんだが。今度は必ず返せるさ」
「待ってよ。もうこれまで何十万と・・」
「お願いだ!あと8万ほど!」
「こっちは忙しくって、バイトも最近行けてないんだ!」
ホントのことだった。
「あんたしか頼める人間がいないんだ!」
「そんなことないでしょ」
「いい情報、流してあげるし・・・」
「やめてくれよ」
「そうだ。グッチゃんが、あんたを気に入ってたよ」
「川口先生が?またそんな。ウソばっかり」
「いやあ、ウソじゃない」
「ああいうキレイな人は、絶対いい人いますよ」
「それがさ。今フリーなんだよ!どうだい?」
「なんでオバちゃんが仲介するんだよ」
「あんたの役に立ちたいんだ。去年はあのコ・・とんでもない男にひっかかってねえ」
「?だれに?」
「お前の先輩の誰かさ。二股かけようとしてさ」
「ひどい男ですね・・殴ってやりたい」
「だからあたしがこっそり彼女に教えてやった。彼女、ショック受けてねえ。泣いてたよ」
オバちゃんもオバちゃんだな。
「・・・ところで、オバちゃんが何でそんな情報を知ってるの?」
「あたしはあんたの医局のかかりつけ医だからさ。心の病のね!」
「へえ・・」
「あんたのオーベンがいろいろ情報を教えてくれてるから、今の彼女があるんだ!」
「え?僕のオーベンが?」
オーベン、ここの隠れた常連なのか・・?
「あんたのオーベンがいろいろここで話してくれるんだよ。最近は来ないがね」
オーベン、口が軽いのかな・・・。僕は今後1本だけ、防衛線を張ることにした。
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