<オーベン&コベンダーズ 4-2 新メンバーカンファ続き >
2004年8月25日野中先生は周囲を確認した。
「経過の長い人が増えてます。さっさと退院させてください。
それと、新3年生の人たち。カルテの記載が不十分です」
野中先生の同期の、影で『傭兵』と呼ばれている、例の4人を指しているようだ。
間宮先生はきちんとしており、別と思う。
一方グッチ先生は院生になった水野・森と実験オンリーの生活を送っている。
「あと2年目の3人。来週から患者当てますのでそのつもりで。1年目は来月くらいから。
それまでは各自、オーベンの手伝いと医局の書籍の片付けなどを。以上!」
やっと開放された。カンファは4時間続き、もう夜の9時になる。
1年目の石丸君が、注文する弁当の確認をしている。
「・・・ですね。野中先生は・・」
「要らん。女と約束がある」
「間宮先生は」
「要らない。晩は食べない主義なの」
「トシキ先生は?」
「そうだね。どこに注文を?」
「今日はお好み焼きにしようかと」
「じゃあ、ブタ玉のモダン焼き」
「分かりました。では・・・ブタ玉のモダン焼きを8つ」
「え?みんな同じでいいの?」
「え、ええ。私たち、それに水野・森先生も、トシキ先生と同じでいいと」
「安易だなあ・・はいこれ。自由に使って」
「1万?お、おつり返します」
「要らない。今は貧乏でしょ?」
「は、はい・・」
こうして1・2年生は同じメニューで注文する習慣となった。1年目はもちろんだが2年目も極力大学での仕事を
優先しているため、バイトの数も少なかった。
3年目の例の4人はかなり裕福らしく、毎日外のレストランでゆったり食事、喫茶店でゆっくりしてから
また夜間にカルテ書きに病院へ戻っていた。
野中先生はマイオーベンを外れてから、どこかの病棟のナース、短大生などと食事に行くようになっていた。
僕はチューベンとしての役割があり、1・2年目の面倒を常にこうしてみておく必要があった。監視の意味合いが強い。
僕も彼らコベンダーズも、オーベンが戻ってくるまでに仕事を完了させておかねばならない。
長いす4つに囲まれた僕は、さながら学習塾の講師のようだった。
「うん、そこは、こうだから・・・そうそう。それをグラフで」
「この表現は、こう直して・・」
「そこは回診では言わなくていいから・・・大丈夫大丈夫。教授?忘れてる忘れてる」
各オーベンへの報告を終え、夜中の1時。
こんな生活が、ずっと続くんだろうか。相変わらず呼吸器・循環器グループの分裂は続いていた。
<つづく>
「経過の長い人が増えてます。さっさと退院させてください。
それと、新3年生の人たち。カルテの記載が不十分です」
野中先生の同期の、影で『傭兵』と呼ばれている、例の4人を指しているようだ。
間宮先生はきちんとしており、別と思う。
一方グッチ先生は院生になった水野・森と実験オンリーの生活を送っている。
「あと2年目の3人。来週から患者当てますのでそのつもりで。1年目は来月くらいから。
それまでは各自、オーベンの手伝いと医局の書籍の片付けなどを。以上!」
やっと開放された。カンファは4時間続き、もう夜の9時になる。
1年目の石丸君が、注文する弁当の確認をしている。
「・・・ですね。野中先生は・・」
「要らん。女と約束がある」
「間宮先生は」
「要らない。晩は食べない主義なの」
「トシキ先生は?」
「そうだね。どこに注文を?」
「今日はお好み焼きにしようかと」
「じゃあ、ブタ玉のモダン焼き」
「分かりました。では・・・ブタ玉のモダン焼きを8つ」
「え?みんな同じでいいの?」
「え、ええ。私たち、それに水野・森先生も、トシキ先生と同じでいいと」
「安易だなあ・・はいこれ。自由に使って」
「1万?お、おつり返します」
「要らない。今は貧乏でしょ?」
「は、はい・・」
こうして1・2年生は同じメニューで注文する習慣となった。1年目はもちろんだが2年目も極力大学での仕事を
優先しているため、バイトの数も少なかった。
3年目の例の4人はかなり裕福らしく、毎日外のレストランでゆったり食事、喫茶店でゆっくりしてから
また夜間にカルテ書きに病院へ戻っていた。
野中先生はマイオーベンを外れてから、どこかの病棟のナース、短大生などと食事に行くようになっていた。
僕はチューベンとしての役割があり、1・2年目の面倒を常にこうしてみておく必要があった。監視の意味合いが強い。
僕も彼らコベンダーズも、オーベンが戻ってくるまでに仕事を完了させておかねばならない。
長いす4つに囲まれた僕は、さながら学習塾の講師のようだった。
「うん、そこは、こうだから・・・そうそう。それをグラフで」
「この表現は、こう直して・・」
「そこは回診では言わなくていいから・・・大丈夫大丈夫。教授?忘れてる忘れてる」
各オーベンへの報告を終え、夜中の1時。
こんな生活が、ずっと続くんだろうか。相変わらず呼吸器・循環器グループの分裂は続いていた。
<つづく>
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