『』・・野中:現在循環器専門医・内科専門医
「」・・ユウキ:内科認定医

『今思い起こすと、トシキは大変だったよな』
「お前のせいだろ!」
『(無視)今日は気道感染について』
「身近な内容からだな。ところで気道感染って、病名なのか?」
『いや。たくさんの疾患が含まれる。急性気管支炎、肺線維症、肺結核・・』
「ああ、もう頭痛くなってきた・・」
『お前、それでも医者か?』
「もっとホラ、大雑把に説明してよ!」
『ま、大きく分けると・・・風邪と、慢性気道感染だな』
「風邪はまあ分かる。オレでも。原因の9割がウイルスで、治療がないんだろ?で、慢性気道感染・・って?何による感染?」
『いろいろだ』
「はあ?」
『まあ慢性と付くくらいだから、何かしら基礎疾患がある、抵抗力の弱い老人とかに多い』
「じゃあオレも将来なるかな?」
『お前はタバコ吸わないだろ?まだマシだよ』
「お前かなり吸うよな。将来は肺気腫か?」
『やめたほうがいいのは知ってる。それがなかなか難しいんだ』
「患者に指導できる立場か?」
『オレの専門は循環器だ。呼吸器と同様、タバコは心臓病のもと。オレはその専門家らしく・・これ(タバコ)で殉じる』
「まあ、だれも同情しないだろな・・医者やってて同情できない疾患が、肺気腫とアルコール性肝硬変だなあ」
『肺気腫にも先天性のとかあるぞ』
「α-AT欠損か?見たことないぞ?」
『調べてないからかもな?ふつう調べんしな』
「でも肺気腫のほとんどはヘビースモカーだ!」
『ま、オレも肺気腫にならん程度に吸う事にするか・・』
「でもオイ、肺気腫の手前の慢性気管支炎にはもう該当するんじゃないか?」
『咳・痰が6ヶ月以上続くという、あれか。タバコ吸ってるヤツはほとんどそうだぜ』
「つまり、肺気腫予備軍なんだよ」
『国は禁煙にあまり力を入れないな』
「いや、主要な施設は禁煙運動やってるだろ?」
『俺たちをストレスで殺す気か?』
「病院でもそうだ。喫煙室すら撤去した所だってある」
『じゃ、駐車場ででも吸うかな・・』
「あのな・・」
『おい!話が脱線してないか?』
「あ!」
『そうだ、風邪と慢性気道感染。後者はたいてい基礎疾患がある。肺気腫とか慢性気管支炎』
「だが、老人ならそれだけで基礎疾患みたいなもんだろ?」
『そうだな。で、各論。風邪のほうだが』
「9割がウイルスだろ?さっき言ったか」
『ウイルスだから、治療が本来要らないわけだな』
「違うだろ?ヘルペスウイルスは治療薬があるだろ」
『今は風邪の話だろ!』
「B型・C型肝炎ウイルスはどうすんだ!」
『(無視)風邪の場合、患者はたいてい咳・痰・鼻水・咽頭痛で受診する』
「単に倦怠感で来る人もいるしな」
『熱もあるとは限らない』
「子供はヤだな。突発性発疹とか紛らわしいから」
『ま、ここでは大人の話だ。お前は抗生剤を処方するタチか?』
「ああ、つい出してしまうな」
『学会でも言ってるな。抗生剤の出しすぎも医療費高騰の原因だと。だから極力出すなと』
「学会か。学会は厚生省とかからの監視・指導もあるだろ?だから奴ら、医療費にこだわるんだよ」
『奴ら、薬屋の講演会ではこの抗生剤出せ、とか言ってるくせにな。だからオレはこの分野はキライなんだ!』
「でもまあ彼らも仕方ない。薬屋の講演会で、みなさん抗生剤の使用は控えましょう、って言えるか?」
『かもしれんが、1割の確率である細菌感染にしか効かない抗生剤を毎回出すのもどうかな・・』
「いや・・やっぱ出すよ。今後も。患者が病院から帰って、全然効かなかったって、オレ言われたくないもん」
『それが人情か』
「オマエはどういう処方を?」
『とりあえずPL顆粒と去痰剤(ムコダインやダーゼン)、鎮痛剤(ロキソニン)は外せないな』
「誰にでも出すのか?」
『いや、たまに〔ロキソニン禁〕とかあるからな。カルテの表紙は要注意だ』
「〔PL禁〕っていうのもあったな。なんか〔18禁〕みたいだな?」
『ダン・リッチはもう発売されてないようだな?』
「脳出血の話題が何度か続いたからなあ」
『で、うがい薬か。そういやあの話を・・』
「い、言うな!」
『お前レジデントのとき、マックのドライブスルーで〔イソジンガーグルM1つ〕って注文したんだろ?
飲み屋のババアから聞いたぜ』
「そんなのあるわけねえだろ!」
『オレのセリフだ!』
「お前こそ脱線しまくりじゃないか!」
『で。抗生剤は何を?』
「セフゾンだな。とりあえず、セフゾン」
『誰でもセフゾンかよ?』
「ああ、とりあえず。なんてウソだよ。だが癖になるんだよなあ。4文字だしな。あ、でもバナンは3文字だ」
『オマエが癖になってどうすんだ?適応への配慮は?』
「しつこい咳が目立つ場合はクラリスだな」
『マイコプラズマを疑ってか』
「マイコプラズマ・クラミジアニューモニエ・オウム病クラミジアの御三家」
『動物飼ってるか問診してるわけか?』
「そりゃ聞くさ。どんな動物かまでは聞かないが。ああそれと、流行性も」
『オレは循環器だからか、そういうのはつい聞き忘れるな。ネチネチしててイヤだな』
「専門のせいにするなよ。カテばっかりせずに、ちっとは患者と向き合え!」
『だがさっきの御三家、いちいち採血して調べるのか?』
「いや、めったに調べないよ。肺炎で入院したら別だけど。それに使う薬は同じだろ?」
『やっぱりクラリスか』
「いや!あなたの心です!」
『なに?』
「なんでもない。点滴ならミノマイシン」
『しつこい咳がなかったらセフェム初代のセフゾンか?』
「いや・・・高齢者とか基礎疾患があったりで、とにかく弱そうな人にはセフェム3世代とか出す」
『なんだよ、ちゃんと適応考えてるじゃないか』
「と思ったら実はMRSAだったり・・・」
『おいおい』
「だから、絶対的なもんじゃないんだな。いろいろガイドラインはあるけども」
『だろ?その確実性がないから、オレは呼吸器はイヤなんだ』
「そういう奴が〔これはどれにでも効くから〕って、ニューキノロンやペネム系を出すんだろ?」
『ああ、ニューキノロンはよく使うな』
「ダメだぞそれ。呼吸器学会は菌の耐性化を阻止するためにも、しょっぱなから使わず
ここぞというときに取っておけと勧告してたぞ」
『知ったことか。俺らが控えてもみな我先に使ってるさ』
「そうかもしれんな・・だがお前・・」
『あん?』
「最近、黒いような・・」
『どこがだ?』
「副作用では?」

使いすぎに注意しましょう・・。

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