『今日は喘息の話だそうだな?』
「喘息は苦しい」
『英語では、アズマ』
「喘息発作はアズマ・アタック!」
『楽しそうに言うな!不謹慎な』
「心不全だと思ったら喘息だった、ってことあるだろ?」
『そうだ。非常に紛らわしいことがある。気管支喘息なのか、
心臓喘息(心不全による喘息様の発作)なのか・・』
「だが喘息だと思ったら心不全だった、ってこともあったな。ま、ここは気管支喘息の話題
ということで」
『夜間の救急では日常茶飯事だな』
「季節の変わり目、特に春・秋は多い」
『台風とも関係あるというのはマジか?』
「台風が去ったとき、気圧の関係で発症することが多いらしい」
『そうか。じゃあ台風が来たらとりあえず国外脱出だな』
「(無視)お前は循環器だから、喘息は苦手だろう?」
『そうでもない。テオフィリン入れた点滴すりゃいいだろ?』
「ノーノー!この日記の本編にもあるが、日頃テオフィリン系製剤を内服
してる人は要注意だよ」
『中毒症状か?』
「そうだ。高齢者は不整脈も出やすいしな」
『フン。不整脈は俺の専門だ。怖くない』
「お前が怖くないとか、そういう問題じゃないんだよ」
『じゃあ何を点滴するんだ?』
「ステロイド」
『サクシゾンやソルメドロールか?』
「自分はサクシゾン300mgかソルメドロール125mgだな」
『点滴する前に、メプチンとか吸入させたらどうだ?』
「そういう医者がいて困る。発作が強くて来てるのに、いきなり吸引して
吸えるかこのアホが」
『点滴→吸入の順か』
「当然だ」
『発作がひどいとボスミンか?』
「ああ。頼むから静注しないでくれよ」
『呼吸器科医は心疾患の有無をよく気にするな』
「そりゃそうだ。ボスミンで頻脈→心不全・不整脈にでもなったら・・」
『でもステロイドも怖くないか?』
「感染は気にはしてる。だから感染を伴っているときは使用をためらう。
あるいは少量ですます」
『小児ではアトピーの合併が多いな』
「そういやアトピーってどんどん増えてないか?」
『らしいな。同期の小児科医も言ってた』
「なんで増えてるんだ?」
『そいつの話では、生活の欧米化など・・』
「なんかおかしいな、それ」
『そうか?』
「欧米ではアトピーはむしろ減っているらしいんだ」
『?外国に知り合いでもいるのか?』
「いないいない。ただ外国ではアトピーに対しての知識がしっかりしてるんだって」
『医者の?』
「そう」
『日本ではあまり真剣に取り組んでない?』
「みたいだ。特に生活様式の面で」
『食い物か?』
「鋭い!さすがもと主席だ。わが大学病院の金成日主席」
『うるせえなあ・・もう過去の話だろ』
「食い物といっても・・・どうやら乳幼児期の、離乳食のことらしい」
『ミルク離れか?』
「最近僕もたまに子供を診るんだが、離乳食の開始が異常に早い」
『いけないか?』
「消化管の発達が未熟な時期に高分子の物質が吸収されることで、アレルギー
の機序が起こる」
『免疫学の内容だな』
「医者なら理解しやすい内容だ」
『じゃあなんで話題にならないんだ?』
「小児科学会などの悪しき伝統などがジャマしてるようだ」
『ジジイらは頭が固いしな』
「それに思うんだが、テレビなどであまり言わないよな。離乳食が遅いほうがいいとか
なると、食品メーカーの反発は必至だろう」
『そんなことお前が知ってるとは。また誰かから影響されたか?』
「冒頭の本がそうだ」
『西原・・・?知らんな。お前、回し者か?』
「そうじゃねえよ!回し蹴り!」
『うわっ?ところで喘息から話がずれてないか?』
「そうだった」
『喘息患者っていうのは夜間での発作受診が多いから、あまりいいイメージがねえな』
「なんだと?通常の外来は来てないか?」
『夜間に来た患者のカルテ見るとな、けっこう受診が不定期なんだよ』
「信用されてないんじゃないのか?」
『ほっとけ!』
「だがあるアンケートによると、喘息の患者の半数以上が、現在の治療になにがしかの不満を
抱いているんだって」
『不満があれば、いつでも言え!』
「そう!そういう態度が患者の心を閉ざしてしまうんだ!」
『こっちだって言われなきゃ分からん!』
「ひとおおり薬が出ていても、発作が完全に抑えられてないことの証明だな」
『頓服のスプレーも十分でないのか・・?』
「そうなんだろね。中途半端に抑えている人が多いんだろうな」
『いい医者も選ばないとな』
「お前に言われたくはなかったな。だがそれも大事だ」
『だが難しいんだ。いい医者を見つけるのは・・』
「俺もそう思う。俺らですら困ってるものな」
『性格悪くても治療をうまくやる医者もいるし・・』
「性格良くても治療がズボラな医者もいる」
『どうすりゃいいんだ?』
「そうだな。でも医者の評判ってのは、待合室でベラベラ喋っているオバサンの噂のほうが
的確だったりする」
『俺は若いのがいい』
「(無視)外来で、いかに患者の訴えを聞きだすか。これだろう?」
『つまり話をよく聞く医者になれってことか?』
「そう。そして一貫性」
『治療をあれこれ変えたりするなってことか・・』
「患者にも治療への希望があったりもする。そこも聞いてあげよう」
『それにしても、ここまで進歩がない分野もなあ・・』
「臨床では確かにそうだね。最近長時間作用型のセレベントが発売されたぐらいか?」
『それくらいだろ?別に目新しさはない。だから俺は呼吸器が・・』
「いや。新しいものに頼らず、方法論で解決する。やりがいがあると思うよ」
『コイツ、医者の立場で話しやがって。お前こそ、患者と向き合え!』
「なに?お前こそ!」

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