ブレよろ 1

2004年12月28日
大雨。


亡くなった患者を、業者が2人でゆっくりと車に乗せた。

「では、私たちはこれで。先生、どうもありがとうございました」
業者は車に乗り、エンジンがかかった。

マフラーからの蒸気とともに、後ろで立つ僕らスタッフの口からも白い吐息が漏れた。
スタッフ10人くらいが見送る中、僕はオドオドと最後尾に立っていた。

「(患者さんの娘さんがいないな・・・)」

そのとき、僕は右斜めに弾き飛ばされた。そのまま右腕は泥に着地、左腕も遅れて地面にめりこんだ。大雨はひどくなり、後ろからたたきつけた。

メガネを拾い、前を見た。

若い女性が斜めに見える。堂々と前を歩いていく。

そのとき一昔前の記憶が蘇った。

『ユウキくん。正気・・?』
『なにが?』
『あたしがいつ、あなたを好きって言った?』
『いや、その・・』
『さよなら』
『(グッチ、待ってくれ・・・・・・待って!)』

そうだ。あのときと同じだ。

女性は車に乗り込み、ブレーキランプが点灯。
車はゆっくりと走り出した。

僕は左肩を押さえたまま、四つんばい状態で顎を上げていた。

再び激痛が走った。

「うわあ!」





以下は、それからもう3〜4年が経過しようとしていた頃の話だ。







1999年ーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

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