ブレよろ 20
2004年12月29日「どういう意味でしょうか?」
「お前がいつもそうやってドンくさいから、詰所はみんな迷惑してんだ」
「ドンくさい?1つ1つコマメにやってるつもりですけど」
「1つ1つがおせえんだよ。処置にしても何にしても」
「・・・・・」
「オーベンがいなきゃ、何もできないのかよ。4年目!」
ハヤブサは石丸先生の腕を本で叩いた。
「院長には報告しておくからな!」
品川くんはハヤブサに近づいた。
「あのう、新患が3名・・」
「ああ。早く連れて来い!急げ!」
それを尻目に、石丸先生は手洗いを始めた。
≪ くそう。なんて失礼な連中なんだ。雰囲気の悪い職場。僕はまるでのけ者だ。
大学にいたときのほうがまだよっぽど・・・! ≫
あのとき、「先生についていきます」なんて言わなければよかった・・・という
気持ちだけは、認めるわけにはいかなかった。プライドは捨てるな。
時々滲んでは出てくる涙を軽く拭うが、それはどうやらしばらく止まりそうになかった。
かつて先輩先生から厳しい仕打ちをうけて、出て行った大学病院。
だが思えばそこには自分と同じ同類もいた。遅くまで残って、苦労をともにして・・・。
自分は少し甘えていただけではないか・・?
それでよかったのではないか・・?
病院横の大型駐車場に面した非常口出口。ここで隼と轟はタバコをふかしていた。
「ハヤブサ。内視鏡のドクターは別にいなくても同じだな」
「そうですね。宮川先生も金ばっか要求するから・・」
半年前、宮川先生という内視鏡専門のドクターが解雇されていた。
もとは僕と同じ医局にいた先生だ。給料釣り上げを迫り、女性のトラブルなどもあって解雇された。
「医長。そろそろ新しい医者が来るようですよ」
「分院の小さなうちの病院に来るぐらいだから、まあ大した医者じゃないだろな」
「本院と、うちはどっちが残るのかな・・?」
「さあ、たぶん俺たちんとこだろな」
「なぜわかるです?」
「売り上げの違いを見てみろ。こっちはダントツだ」
トドロキ医長はタバコを投げ捨て、足で踏みにじった。
「ハヤブサ。ここがヤバくなったら、どうする?」
「本院へ行きましょうよ」
「あそこはヤバイと思う。できたら全く別のところがいい」
「といいますと?」
この2人はジャニーズ系の風貌から、詰所で<医局のキンキキッズ>と呼ばれていた。
「ここだけの話だが・・」
トドロキが本題に入り始めたとき、駐車場の向こうからゆっくり人影が近づいてきた。
ハヤブサもタバコを投げ捨てた。
「ヤベ、行きましょうか・・」
2人は振り向いて、院内へと戻った。
途中、トドロキ医長は1人トイレに入った。
「もしもし?トドロキです。分院の状況ですが・・・」
「その医者がまだ来ておらんわけか」
話し相手は、あの会長だ。真珠会の理事長。
「来たら、私が追い出します」
「石丸という医者は追い出せるか?」
「造作もないことです。自滅寸前です」
「本院を買い取れば、次は分院だ」
「会長先生。乗っ取りはお見事でした。次のターゲットである本院は、どのようにして買い取りを・・?」
「真田の内部情報を漏らせば、1発で潰れよう」
トドロキはすでに、この会長に買収されていた。
「お前がいつもそうやってドンくさいから、詰所はみんな迷惑してんだ」
「ドンくさい?1つ1つコマメにやってるつもりですけど」
「1つ1つがおせえんだよ。処置にしても何にしても」
「・・・・・」
「オーベンがいなきゃ、何もできないのかよ。4年目!」
ハヤブサは石丸先生の腕を本で叩いた。
「院長には報告しておくからな!」
品川くんはハヤブサに近づいた。
「あのう、新患が3名・・」
「ああ。早く連れて来い!急げ!」
それを尻目に、石丸先生は手洗いを始めた。
≪ くそう。なんて失礼な連中なんだ。雰囲気の悪い職場。僕はまるでのけ者だ。
大学にいたときのほうがまだよっぽど・・・! ≫
あのとき、「先生についていきます」なんて言わなければよかった・・・という
気持ちだけは、認めるわけにはいかなかった。プライドは捨てるな。
時々滲んでは出てくる涙を軽く拭うが、それはどうやらしばらく止まりそうになかった。
かつて先輩先生から厳しい仕打ちをうけて、出て行った大学病院。
だが思えばそこには自分と同じ同類もいた。遅くまで残って、苦労をともにして・・・。
自分は少し甘えていただけではないか・・?
それでよかったのではないか・・?
病院横の大型駐車場に面した非常口出口。ここで隼と轟はタバコをふかしていた。
「ハヤブサ。内視鏡のドクターは別にいなくても同じだな」
「そうですね。宮川先生も金ばっか要求するから・・」
半年前、宮川先生という内視鏡専門のドクターが解雇されていた。
もとは僕と同じ医局にいた先生だ。給料釣り上げを迫り、女性のトラブルなどもあって解雇された。
「医長。そろそろ新しい医者が来るようですよ」
「分院の小さなうちの病院に来るぐらいだから、まあ大した医者じゃないだろな」
「本院と、うちはどっちが残るのかな・・?」
「さあ、たぶん俺たちんとこだろな」
「なぜわかるです?」
「売り上げの違いを見てみろ。こっちはダントツだ」
トドロキ医長はタバコを投げ捨て、足で踏みにじった。
「ハヤブサ。ここがヤバくなったら、どうする?」
「本院へ行きましょうよ」
「あそこはヤバイと思う。できたら全く別のところがいい」
「といいますと?」
この2人はジャニーズ系の風貌から、詰所で<医局のキンキキッズ>と呼ばれていた。
「ここだけの話だが・・」
トドロキが本題に入り始めたとき、駐車場の向こうからゆっくり人影が近づいてきた。
ハヤブサもタバコを投げ捨てた。
「ヤベ、行きましょうか・・」
2人は振り向いて、院内へと戻った。
途中、トドロキ医長は1人トイレに入った。
「もしもし?トドロキです。分院の状況ですが・・・」
「その医者がまだ来ておらんわけか」
話し相手は、あの会長だ。真珠会の理事長。
「来たら、私が追い出します」
「石丸という医者は追い出せるか?」
「造作もないことです。自滅寸前です」
「本院を買い取れば、次は分院だ」
「会長先生。乗っ取りはお見事でした。次のターゲットである本院は、どのようにして買い取りを・・?」
「真田の内部情報を漏らせば、1発で潰れよう」
トドロキはすでに、この会長に買収されていた。
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