ブレよろ 27

2004年12月29日
島先生はゆっくり近づいてきた。

「先生。教授に一言、申し上げておかないと!」
「言わなくていいよ。もう教授の外来には行かないだろうし」
「そうはいきません」
「じゃ、電話しといてくれ」
「なんで私が!」
「俺の書記係だろ!」
「先生がすべきです!」
「学生さん、メシ行く?」
「先生!」
彼は思わず僕の白衣ごしに左腕ををつかんだ。

「ぐうぇあ!」

また記憶が蘇った。

ドカンドカンドカン・・・ゆっくり倒れる僕。
去っていくグッチ。

『グッチ、待って・・・』
『知らない・・』
『待って・・・』
『一生ここで苦しんで』
『なんでだ?イヤだ』
『苦しみなさい・・あたしだって』
『そうかい。イヤだ!もうこんなとこに、いるもんか!』

島先生は驚いて、手を離した。
「イテテ。何すんだ?力、強いな・・」
「ど、どうも・・」
「なんだ?ひょっとしてまたこのセリフか・・・?≪カラテやってましたんで≫?」
「しつこいな・・」
「はいはい、次・次!ボサッとせずに!島っていこうぜ!」

僕は平常心に戻り、もとのペースを取り戻した。

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