ブレよろ 39
2004年12月29日「本当は、どうなんですか?」
「え?」
親はかなり疑問視してきた。
「その写真から、肺炎のケがあると?」
「・・・・そうかもしれません」
彼のメンツのこともあり、僕はもっともらしく説明した。
「抗生剤を出します」
「抗生剤で、腸内細菌は大丈夫なんですか?」
「え?」
「抗生剤で、腸内細菌がやられたら下痢したりするとか」
最近はみんなもよく調べてるな。
「うーん・・・でも咽頭の菌が目標だし」
「溶連菌ってことはわかりますか?」
質問攻めだ。
「昨日検査したのは溶連菌の検査なんですか?」
「昨日の?ああ・・・咽頭培養ですね」
机の上に、≪咽頭培養と溶連菌迅速検査は同時にしない!≫と書いてある。保険で切られるからだ。
松田先生は咽頭培養を優先したか。では結果は1週間後だな。
「では今日、溶連菌迅速検査をしましょうか?」
「してくださいしてください」
ナースを呼び出した。ガムを噛んでいる。タバコ臭い。ここのモラルはどうなってんだ。
「溶連菌迅速検査ね。この棒で喉を」
「はい。口をあけて」
「・・・・・」
「お母さん。この子に・・」
母親は子と同様、ムスッと黙っている。
「はい。11たす22は?」
「・・・・・」
「答えてよ」
「・・・・・」
「元気百倍!これってトーマス?」
「ちゃう。あんぱんま・・・・・あ!うげっ!」
僕は棒をもらってなんとか小児の喉の奥をこすった。
「看護婦さん。結果はいつ?」
「明日です」
「は?」
「今日は出ませんよ」
「じ、迅速検査でしょう?」
「だから、明日ですって!外注検査ですよ」
「害虫?」
「院内で検査はできないんです。業者に委託して、そこで調べてここへ結果が来るから」
そうなのか。
「僕はてっきり今日結果が出るかと・・」
「小児科だったら迅速キットでその日にわかることが多いでしょうけど。このケチなクリニックでは無理」
冷めたナースは腕組みしてしゃべった。
「経費の問題なんですね」
「ついでに職員の給料もね」
「給料?」
「センセ、松田先生の後輩?言っておいてよ。ボーナス少ないぞ、って」
「なんで僕が・・」
「それとセンセ、どっかいいとこない?もっと楽でさ、給料のいいとこ」
なんだこのナースは。腐ってる・・・。顔もだが。
「患者、とぎれたね。今日はもう、終わりじゃないの?」
「ですかね・・あと1時間ある」
「今、わたしが言ったこと、喋ったら許さんからね!」
感じの悪いナースだな・・。採血か点滴しかしてないだろ?
楽なナースがしたかったら、療養病棟へでも行けよなース・・!
たしかに待合室は、診療を終えた人ばかり。
事務員は女同士でシモネタ言い合って笑ってる。
そのシコシコした手はやめろって!
早く打ち出しとか、しろよな。
開業って、こんなか?まあ1つの例だろうけど。
なんか、やりがいがなさそうだな・・。
入り口のドアが開いた。現れたのは、見覚えのある顔。
「あ!」
「おほ!ユウキ先生!」
外来でこの間診た、肺線維症の患者だ。採血をするため
やってきてくれたんだ。
「ユウキ先生!来たよ!来ましたよ!」
「こりゃどうも!まさかこんな早く・・」
「へっへ!来ました来ました!仲間も連れて!」
「仲間?」
後ろからゾロゾロと4人ほどやってきた。
「どっかで見たことが・・」
「はは。でしょうな。教授や助教授さんの外来にかかってんねん。
あんたの同級とケンカした患者もな。へへ」
野中のことか。
みないっせいに挨拶した。
「これからよろしゅうたのんます!」
「よ、よろしゅう、って・・」
不動産屋はどうやらこのグループのボスのようだ。
「ユウキ先生。先生ならたぶん内緒にしてくれようが、もう1ぺん、
先生の立場で診て欲しいんや」
「僕の立場?」
「まあ教授さんらやから、診断は正しいと思うけども。せやけど、
こっちは怖くて何も伝わってない状況なんや」
「ふーん・・」
「先生やったら、聞いてくれるやろ。わしらの話をな」
「え、ええ」
そうか。これがセカンド・オピニオンなんだな。
「では、1人ずつ!」
「え?」
親はかなり疑問視してきた。
「その写真から、肺炎のケがあると?」
「・・・・そうかもしれません」
彼のメンツのこともあり、僕はもっともらしく説明した。
「抗生剤を出します」
「抗生剤で、腸内細菌は大丈夫なんですか?」
「え?」
「抗生剤で、腸内細菌がやられたら下痢したりするとか」
最近はみんなもよく調べてるな。
「うーん・・・でも咽頭の菌が目標だし」
「溶連菌ってことはわかりますか?」
質問攻めだ。
「昨日検査したのは溶連菌の検査なんですか?」
「昨日の?ああ・・・咽頭培養ですね」
机の上に、≪咽頭培養と溶連菌迅速検査は同時にしない!≫と書いてある。保険で切られるからだ。
松田先生は咽頭培養を優先したか。では結果は1週間後だな。
「では今日、溶連菌迅速検査をしましょうか?」
「してくださいしてください」
ナースを呼び出した。ガムを噛んでいる。タバコ臭い。ここのモラルはどうなってんだ。
「溶連菌迅速検査ね。この棒で喉を」
「はい。口をあけて」
「・・・・・」
「お母さん。この子に・・」
母親は子と同様、ムスッと黙っている。
「はい。11たす22は?」
「・・・・・」
「答えてよ」
「・・・・・」
「元気百倍!これってトーマス?」
「ちゃう。あんぱんま・・・・・あ!うげっ!」
僕は棒をもらってなんとか小児の喉の奥をこすった。
「看護婦さん。結果はいつ?」
「明日です」
「は?」
「今日は出ませんよ」
「じ、迅速検査でしょう?」
「だから、明日ですって!外注検査ですよ」
「害虫?」
「院内で検査はできないんです。業者に委託して、そこで調べてここへ結果が来るから」
そうなのか。
「僕はてっきり今日結果が出るかと・・」
「小児科だったら迅速キットでその日にわかることが多いでしょうけど。このケチなクリニックでは無理」
冷めたナースは腕組みしてしゃべった。
「経費の問題なんですね」
「ついでに職員の給料もね」
「給料?」
「センセ、松田先生の後輩?言っておいてよ。ボーナス少ないぞ、って」
「なんで僕が・・」
「それとセンセ、どっかいいとこない?もっと楽でさ、給料のいいとこ」
なんだこのナースは。腐ってる・・・。顔もだが。
「患者、とぎれたね。今日はもう、終わりじゃないの?」
「ですかね・・あと1時間ある」
「今、わたしが言ったこと、喋ったら許さんからね!」
感じの悪いナースだな・・。採血か点滴しかしてないだろ?
楽なナースがしたかったら、療養病棟へでも行けよなース・・!
たしかに待合室は、診療を終えた人ばかり。
事務員は女同士でシモネタ言い合って笑ってる。
そのシコシコした手はやめろって!
早く打ち出しとか、しろよな。
開業って、こんなか?まあ1つの例だろうけど。
なんか、やりがいがなさそうだな・・。
入り口のドアが開いた。現れたのは、見覚えのある顔。
「あ!」
「おほ!ユウキ先生!」
外来でこの間診た、肺線維症の患者だ。採血をするため
やってきてくれたんだ。
「ユウキ先生!来たよ!来ましたよ!」
「こりゃどうも!まさかこんな早く・・」
「へっへ!来ました来ました!仲間も連れて!」
「仲間?」
後ろからゾロゾロと4人ほどやってきた。
「どっかで見たことが・・」
「はは。でしょうな。教授や助教授さんの外来にかかってんねん。
あんたの同級とケンカした患者もな。へへ」
野中のことか。
みないっせいに挨拶した。
「これからよろしゅうたのんます!」
「よ、よろしゅう、って・・」
不動産屋はどうやらこのグループのボスのようだ。
「ユウキ先生。先生ならたぶん内緒にしてくれようが、もう1ぺん、
先生の立場で診て欲しいんや」
「僕の立場?」
「まあ教授さんらやから、診断は正しいと思うけども。せやけど、
こっちは怖くて何も伝わってない状況なんや」
「ふーん・・」
「先生やったら、聞いてくれるやろ。わしらの話をな」
「え、ええ」
そうか。これがセカンド・オピニオンなんだな。
「では、1人ずつ!」
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