ブレよろ 47

2004年12月29日
病棟では石丸先生が相変わらず孤軍奮闘している。しかし今度の相手は患者ではなく・・・

詰所だ。

「絶対におかしい!対策などホントはしてないんだ!」
「また揉め事か?」
トシキ先生は後ろに詰め寄った。
「あ、先生」
「MRSAの話か?」
「そうなんです。あんまりです」
「今度はどこに移った?」
「僕の心疾患の患者にも出ました」
「呼吸管理してる?」
「入院してまだ間もないのに。入院時の喀痰は検出されてなかったのに・・」
「誰かが運んできたんだろな。肺炎を?」
「今は起こしてないようです。しかし・・・」

石丸先生はカルテを見せた。するとキンキチームの字が書いてある。

「シロー。あいつらの指示か?」
「僕らがいないとき、ナースが彼らに痰の結果を」
「それでバンコマイシンが出てるのか」
「炎症もないのに。昔のやり方ですよ。こんなの!」

ナースが主治医に黙って他のドクターに指示を請うたのが、シロー先生には気に入らなかったのだ。

シロー先生は文字を消しにかかった。

「先生、いいんですか?そんなことして!」
ナースが睨んだ。トシキ先生も慌てた。
「シロー。消さなくていいぞ。公文書だし」
「でも・・!」
「下の行に、中止と書けばそれでいい」
「先生。あいつら、もう我慢ならないんです!」
「シロー。ここではそんな話・・」

トシキ先生は少し狼狽した。何人ものナースが耳ダンボになるからだ。

「じゃあこのカルテ、見てください!」
シロー先生は何冊もカルテを運んできた。
「腎不全の患者に座薬!」
「ホントだ」
「肺気腫患者に酸素の大量投与!」
「そりゃいかんな・・」
「DM型ネフローゼにステロイド投与!」
「あいつら・・」
「これ、全部僕の患者に彼らがしたことです」
「いったい、いつこんな指示を・・?」
「トドロキですよ。内科医長の回診で出してる指示なんです」
「いちおう、最年長だからな」
「先生!昔みたいに、先生がここの総元締めをやってください!」
「シロー、待てよ」
「最年長だろうが、関係ないです!封建社会とはもうオサラバしたじゃないですか!」
「・・・・・」

だが間違いだった。封建社会はどこにでも存在していた。

「また以前のように!先生がされれば、きっとまともな診療がやれます!」

トシキ先生自体、もう「責任者」という概念自体は興味がなかった。

トラブルのもとと思っているだけだ。以前の経験がそう思わせる。

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