ブレよろ 49

2004年12月29日
真田分院の事務室では、品川事務長が片肘ついて電話対応に苦慮していた。
「本院が閉鎖?」
「私ももう、限界だ」
真田氏の声には勢いがなかった。

「本院の職員は突然知らされるわけですか。どうしてもっと早く・・」
「私の脱税関連の事件が、どうやらかなり公になるようなんだ」
「先生、せめて後任の経営をどこかに任せて・・」

分院は法人化しており問題はなかった。だが真田氏が個人経営している本院は、真田氏が倒れればパアなのだ。

「借金まみれで、後任など探す余裕もない」
「・・・・・」
「すまないが、うちの職員をそちらで・・・」
今まであちこちの病院を乗っ取ってきた人間から出てくるとは思えない言葉だった。

真田氏の本院は別名「乗っ取り養成所」と皮肉られたこともある精鋭の集まりだ。

それが結局ボスの不祥事で潰れてしまう。これを喜ぶ病院は数知れないだろう。

「分院の職員を辞職させてまで、本院のスタッフを生かすなど・・」
「・・・・・」
「できません」

品川事務長はきっぱりと答えた。分院の職員は守られた。

本院は真珠会という新手の組織によって乗っ取られることになる。

僕がいた山の上の病院も、この組織に乗っ取られた。

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