ブレよろ 52
2004年12月29日僕は正面玄関をくぐった。
すると、外来の待合はかなりの数の患者がひしめきあっていた。
震災でもあったのか。
受付窓口を覆うほどの勢いで、事務員がかなり激しい対応に追われている。
待合室で携帯3台両手に走り回る、若き事務長がいた。品川くんだ。
「もうこれで精一杯です!」「これ以上、患者取れません!」
「先生、病棟はそこまで!急いで戻ってください!」
「品川くん!」
「あ!ユウキ先生!」
思わず彼は携帯を落とした。拾いながらも、彼は汗だくで見上げた。
「ユウキ先生!よかったあ!」
「品川くん。1つ聞きたいことが」
「白衣ですね。持ってきます!おい!」
僕は彼の襟をつかまえた。
「そうじゃない。招待状を、どうし・・」
「紹介状?ああそうそう、先生。履歴書!早く用意してください!」
他の事務員が僕の後ろから白衣を着せた。
「いつもこんなに繁盛してるのか?」
「今日は特別!」
「なに?」さわがしい。
「今日はトクベツ!」
白衣のナースが走ってきた。
「この先生?」
「そう。内科2診を!」
品川君が携帯で話しながら指示した。
「外来は明日だろ?」
「ユウキ先生。助けて!」
僕はナースに腕を引っ張られ、胸部内科診察室に座らされた。
机には天井に迫るほどのカルテ量。
「なに?これどうすんの?」
ナースが廊下へ出、患者を呼んだ。即、患者は現れた。
一番目のカルテは・・経過が長い。わけもわからん。とりあえずは・・。
「どうか、されました?」
「なんや?トシキ先生ちゃうんかいな?」
「ぼ、僕はユウキといいまして・・」
とりあえず3ページはチェックした。57歳男性のC型慢性肝炎だ。肝機能は1ヶ月毎チェックしてる。
ウイルス量は横ばい。インターフェロンは様子見の段階。診察・処方だけだ。
「血圧を・・」
「そこに書いてる」
「・・・じゃ、服を」
ナースが服を剥ぎ取った。目は会話で見た。黄疸なし。
「酒飲んでもええかいな、そろそろ。わしの知ってる・・」
「はい、大きく息を吸って!」
よくしゃべる患者の対応法だ。
「では今度は横に!酒はダメですよ」
無駄な間を作らず、会話をはさむ。
「ではまたお願いします・・・次の方を!」
ナースはゆっくりと出て行った。
だがこの数のカルテだ。あまりうかうかはしてられん。
次の患者が座る間、ざっとカルテに目を通した。初診が3人。
「看護婦さん。この3人、メモしたこの検査を」
「はい」
「かわりなし?」
目の前の中年女性はぐったり座り込んだ。
「だるいんです」
太ってるな。糖尿病か?外科院長のカルテでは血糖は・・半年前の302mg/dl以来測ってない?
「看護婦さん。一般採血の緊急分、HbA1c。BNPもついでに。一般検査項目はこれか・・!朝ごはんは?」
「しんどくて食べられまへんねん」
患者はだるそうに答えた。
「血中IRIも追加。ついでにCEAとCA19-9」
近くの事務員がやってきた。
「先生。腫瘍マーカーは、どうして・・?」
「膵癌のスクリーニング!」
「あそうか・・」
49歳女性、めまい。自律神経の病名。
「今はどうもないです」
「看護婦さん。この検査を。採血にはFeとフェリチン、TIBCも。あと心電図。1分記録で」
「まあ検査はきょうはよしとくわ」
「看護婦さん!キャンセル!」
74歳の高血圧。院内血圧計190/100mmHg。
「家で測ったら、150くらいやがなあ」
「家での記録を?」
「いや。してないが・・」
「これを」
「血圧手帳」を差し出した。聴診しながら話。
「朝起きて30分後と寝る前の2回、記録を」
「そうですか。はいはい」
「1週間後に受診を」
「はいはい」
「家庭の血圧計は肘で調べる?」
「肘ちゃ。手首」
「よかったら肘のほうで」
「どうしてやろうか?」
「心臓に近いから」
「さようで」
「次の人!」
すると、外来の待合はかなりの数の患者がひしめきあっていた。
震災でもあったのか。
受付窓口を覆うほどの勢いで、事務員がかなり激しい対応に追われている。
待合室で携帯3台両手に走り回る、若き事務長がいた。品川くんだ。
「もうこれで精一杯です!」「これ以上、患者取れません!」
「先生、病棟はそこまで!急いで戻ってください!」
「品川くん!」
「あ!ユウキ先生!」
思わず彼は携帯を落とした。拾いながらも、彼は汗だくで見上げた。
「ユウキ先生!よかったあ!」
「品川くん。1つ聞きたいことが」
「白衣ですね。持ってきます!おい!」
僕は彼の襟をつかまえた。
「そうじゃない。招待状を、どうし・・」
「紹介状?ああそうそう、先生。履歴書!早く用意してください!」
他の事務員が僕の後ろから白衣を着せた。
「いつもこんなに繁盛してるのか?」
「今日は特別!」
「なに?」さわがしい。
「今日はトクベツ!」
白衣のナースが走ってきた。
「この先生?」
「そう。内科2診を!」
品川君が携帯で話しながら指示した。
「外来は明日だろ?」
「ユウキ先生。助けて!」
僕はナースに腕を引っ張られ、胸部内科診察室に座らされた。
机には天井に迫るほどのカルテ量。
「なに?これどうすんの?」
ナースが廊下へ出、患者を呼んだ。即、患者は現れた。
一番目のカルテは・・経過が長い。わけもわからん。とりあえずは・・。
「どうか、されました?」
「なんや?トシキ先生ちゃうんかいな?」
「ぼ、僕はユウキといいまして・・」
とりあえず3ページはチェックした。57歳男性のC型慢性肝炎だ。肝機能は1ヶ月毎チェックしてる。
ウイルス量は横ばい。インターフェロンは様子見の段階。診察・処方だけだ。
「血圧を・・」
「そこに書いてる」
「・・・じゃ、服を」
ナースが服を剥ぎ取った。目は会話で見た。黄疸なし。
「酒飲んでもええかいな、そろそろ。わしの知ってる・・」
「はい、大きく息を吸って!」
よくしゃべる患者の対応法だ。
「では今度は横に!酒はダメですよ」
無駄な間を作らず、会話をはさむ。
「ではまたお願いします・・・次の方を!」
ナースはゆっくりと出て行った。
だがこの数のカルテだ。あまりうかうかはしてられん。
次の患者が座る間、ざっとカルテに目を通した。初診が3人。
「看護婦さん。この3人、メモしたこの検査を」
「はい」
「かわりなし?」
目の前の中年女性はぐったり座り込んだ。
「だるいんです」
太ってるな。糖尿病か?外科院長のカルテでは血糖は・・半年前の302mg/dl以来測ってない?
「看護婦さん。一般採血の緊急分、HbA1c。BNPもついでに。一般検査項目はこれか・・!朝ごはんは?」
「しんどくて食べられまへんねん」
患者はだるそうに答えた。
「血中IRIも追加。ついでにCEAとCA19-9」
近くの事務員がやってきた。
「先生。腫瘍マーカーは、どうして・・?」
「膵癌のスクリーニング!」
「あそうか・・」
49歳女性、めまい。自律神経の病名。
「今はどうもないです」
「看護婦さん。この検査を。採血にはFeとフェリチン、TIBCも。あと心電図。1分記録で」
「まあ検査はきょうはよしとくわ」
「看護婦さん!キャンセル!」
74歳の高血圧。院内血圧計190/100mmHg。
「家で測ったら、150くらいやがなあ」
「家での記録を?」
「いや。してないが・・」
「これを」
「血圧手帳」を差し出した。聴診しながら話。
「朝起きて30分後と寝る前の2回、記録を」
「そうですか。はいはい」
「1週間後に受診を」
「はいはい」
「家庭の血圧計は肘で調べる?」
「肘ちゃ。手首」
「よかったら肘のほうで」
「どうしてやろうか?」
「心臓に近いから」
「さようで」
「次の人!」
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