ブレよろ 60
2004年12月29日「ユウキ先生。シートベルトを」
「ああ。本を持ってきたんで読む」
「どうぞ」
透析の本。
透析に関わったことないってのは嘘だな。
急性心筋炎のときに施行した。あのときはペースメーカーもあったしIABPもあったし・・。
左肩の奥がまた痛み出した。
ドカン・・・・ドカン!
「なぜ、助けられなかった・・・?」
ドカン!
「なぜ助けられなかった・・・・・・・・!」
肩がうずく。
「あなたが元凶!」
松田ワイフの声だ。
前に進まなきゃ・・・。本だ、本。
「脱血した血液は、まず血液ポンプのところを通って・・・うわっ?」
いきなり急ブレーキだ。
「なんだよ?」
前を見ると、高速道路を果てしなく渋滞車が占めている。2車線の阪神高速。
「どかしてよ!」
「端からいきます」
彼はハンドルを激しくきり、路側帯にあたるところからの脱出を試みた。
どうやらゆっくりででも進めるようだ。左車線の車がどんどん右によっていく。
「おい!ぶつか・・・うわ!いいの?わわ!」
彼は涼しい顔で、難なく交わしながら進んだ。
車はやがてまたスムーズに進みだした。渋滞は解消だ。
しかしまた、詰まってきた。
「車が詰まってきたぞ・・」
「事故のため1車線規制・・」
「詰まったか。ならば・・」
「え?」
「浣腸でもするか!」
無視された。
「しばらくは1車線規制のようです」
彼はナビを見ながら答えた。
「でも車は混んでない。前の軽トラが遅いだけだ」
僕はもう本はそっちのけだった。
前の軽トラは少しふらふらしながら時速40kmくらいで進んでいる。
乗ってるのはどうやら老夫婦。
「サイレンも、聞こえてないようですね・・」
「難聴なんだろ」
「少しぶつけてみましょうか」
「アカンだろ?それ?」
「責任は私が・・」
この男、かなり忠実な男と見える。しかしものには限度が・・。
「事務員さん。あんたは・・真田氏の手下?」
「手下?」
彼は少し機嫌を悪くした。
「もとはそうかもしれません」
彼の少し露出した手首にはイレズミらしきものが。
「・・・いや。いいんです」
僕は話を中断した。
「どうしました?いきなり話を・・」
「あわわ・・いいんです」
彼は正面を直視し、少し心を開き始めた。
「彼の脱税は全く知りませんでした」
「・・・・?」
「それ以外は、忠実にやってきたつもりです」
「今後は・・」
「ええ。私も巻き込まれるかもしれません」
「あなたは別になにもやってないんでしょう?」
「いえ・・・ないとはいえません」
「?」
「私の組では、いろいろありますので」
組?赤組、白組・・・。違うよな。まさか・・。
「ははあ、組ですか。組ね」
「あれです」
右手側に、巨大な病院が現れた。古さは感じるが、こんな大きな
病院が潰れるなんて・・。玄関前には救急車はなく、マスコミも
どんどん引き上げているようだった。
「ではどうぞ!」
僕はダッシュで病棟へ向かった。
「ダッシュ!ダッシュ!バンバンババン!」
「ああ。本を持ってきたんで読む」
「どうぞ」
透析の本。
透析に関わったことないってのは嘘だな。
急性心筋炎のときに施行した。あのときはペースメーカーもあったしIABPもあったし・・。
左肩の奥がまた痛み出した。
ドカン・・・・ドカン!
「なぜ、助けられなかった・・・?」
ドカン!
「なぜ助けられなかった・・・・・・・・!」
肩がうずく。
「あなたが元凶!」
松田ワイフの声だ。
前に進まなきゃ・・・。本だ、本。
「脱血した血液は、まず血液ポンプのところを通って・・・うわっ?」
いきなり急ブレーキだ。
「なんだよ?」
前を見ると、高速道路を果てしなく渋滞車が占めている。2車線の阪神高速。
「どかしてよ!」
「端からいきます」
彼はハンドルを激しくきり、路側帯にあたるところからの脱出を試みた。
どうやらゆっくりででも進めるようだ。左車線の車がどんどん右によっていく。
「おい!ぶつか・・・うわ!いいの?わわ!」
彼は涼しい顔で、難なく交わしながら進んだ。
車はやがてまたスムーズに進みだした。渋滞は解消だ。
しかしまた、詰まってきた。
「車が詰まってきたぞ・・」
「事故のため1車線規制・・」
「詰まったか。ならば・・」
「え?」
「浣腸でもするか!」
無視された。
「しばらくは1車線規制のようです」
彼はナビを見ながら答えた。
「でも車は混んでない。前の軽トラが遅いだけだ」
僕はもう本はそっちのけだった。
前の軽トラは少しふらふらしながら時速40kmくらいで進んでいる。
乗ってるのはどうやら老夫婦。
「サイレンも、聞こえてないようですね・・」
「難聴なんだろ」
「少しぶつけてみましょうか」
「アカンだろ?それ?」
「責任は私が・・」
この男、かなり忠実な男と見える。しかしものには限度が・・。
「事務員さん。あんたは・・真田氏の手下?」
「手下?」
彼は少し機嫌を悪くした。
「もとはそうかもしれません」
彼の少し露出した手首にはイレズミらしきものが。
「・・・いや。いいんです」
僕は話を中断した。
「どうしました?いきなり話を・・」
「あわわ・・いいんです」
彼は正面を直視し、少し心を開き始めた。
「彼の脱税は全く知りませんでした」
「・・・・?」
「それ以外は、忠実にやってきたつもりです」
「今後は・・」
「ええ。私も巻き込まれるかもしれません」
「あなたは別になにもやってないんでしょう?」
「いえ・・・ないとはいえません」
「?」
「私の組では、いろいろありますので」
組?赤組、白組・・・。違うよな。まさか・・。
「ははあ、組ですか。組ね」
「あれです」
右手側に、巨大な病院が現れた。古さは感じるが、こんな大きな
病院が潰れるなんて・・。玄関前には救急車はなく、マスコミも
どんどん引き上げているようだった。
「ではどうぞ!」
僕はダッシュで病棟へ向かった。
「ダッシュ!ダッシュ!バンバンババン!」
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