ブレよろ 67

2004年12月31日
高速は大渋滞、ドクターズ・カーは真ん中車線で停車を余儀なくされた。

「先生、さっきからピーピーうるさいんですが」
家族の指摘で、僕は患者のほうへ。ナースも1人ついてはいる。

「・・・脱血不良ってあるな・・」
僕はナースを思わず見た。ナースはびっくりしたようだ。
「えっ?えっ?あたしは・・・何も」
「(俺、透析よく知らないんだ・・)」
「(わわ、私だって知りませんよ)」

横から婆さん(患者の母親)が僕らを伺っている。
「あのー・・・どうなんでしょうか」
「だっけつが・・ふりょうのようで・・」
「?」

字の通りだと、血液が血管から十分引けてないことを指す。
僕は何かせねばならなかった。

「かか、看護婦さん!この機械のマニュアルとかは?」
「きき、機械の横に!」

運良く機械の横に小冊子が入ってあった。

「えーなになに。次のいずれかの確認を・・・カテーテルの閉塞?うそ?」

カテーテルはさっき病棟でマーブルたちが入れ替えてたはず・・。

それに閉塞ってなんで・・そうか。血栓か。

たぶんさっきこの車に乗せるまでの間に出来てしまった血栓が悪さしてるんだ。

おはロック、いやヘパロック(ヘパリンロック)してなかったじゃないか?そういやそうかも。

バカ、バカ・・・!

俺のせいじゃない!

「誰がバカですの?」
家族が下からのぞいていた。
「え?いえ・・かか、看護婦さん!」
「はい?」
「ここ、こここ!」
「先生、落ち着いて!」
「こここ、こけ、こけっこ!」
「先生!きゃっ!」

車が急に傾いた。どうやら急ブレーキがかかったようだ。

点滴瓶などの備品が落ちてきた。

アラームは今も激しく鳴り響いている。

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