ブレよろ 68
2004年12月31日真田分院の透視室では、僕と同じような体勢でシロー先生が
ペースメーカー挿入の準備にかかっていた。
トシキ先生が見守る。
「シロー。要領は中心静脈の場合と変わりない」
「ええ」
シロー先生は麻酔を終え、右の鎖骨下に太い注射器を挿入した。
「シロー。注射器の向きは水平より若干、上に」
「肺を刺さないためですね」
「そうだ」
「あ、逆流した」
「よし。ペースメーカーのリードを渡す」
トシキ先生はリード線を渡し、透視画面を見ながら先端を右心室の壁に押し当てた。
「少したわみをつけるんだ。そう・・・できたな」
「まだです。側面での確認を」
透視画面の側面像が写った。尖端はきちんと前側を向いている。
「いいぞ。では出力、閾値、感度を確認して終了だ」
トシキ先生はマスクを外した。
品川くんが待っていた。
「トシキ先生。お疲れのところ・・」
「疲れたよ」
「どうしても1床、空きませんでしょうか」
急な催促に、トシキ先生はいらだった。
「俺とシローを足して、どれだけの患者を診てると思ってるんだ?」
「はは、87名・・」
「だったのが本院からの患者が追加で129人。そのうち重症が37名。うち16人が人工呼吸器管理だ」
「え、ええ」
「めいっぱいやってる。もうこれで精一杯だ!」
「は、はい・・」
「本院から来た患者だって、まだ診てないんだぞ!」
処置を終えたシロー先生が入ってきた。
「どうしたんです?」
「シロー。ほっとけ。満床なのにもう1床空けろと。こいつが」
「僕らの患者は無理ですよね」
「そうだ。な。品川くんよ!」
品川君は肩を落とした。
「1人、こちらへ向かってるんです」
「なに?」
トシキ先生は眉を吊り上げた。
「マスコミの騒動とかで、どこの病院も受けてくれんのです」
「重症か?」
「呼吸器がついてて、透析もしてて・・」
「持続透析?」
「はい・・・」
「おいおい・・じゃあ重症部屋じゃないと」
品川くんと2人は重症部屋に入った。
シロー先生は先に入っていった。
「トシキ先生・・どうでしょうか?」
品川君は頭を下げ続けた。
「だから、見ろ!みんな呼吸器がついてるわけ!それを外せってのか?」
「でで、ですよねえ・・・」
シロー先生が走ってきた。
「なんとかなるかも」
「え?」
品川君は目を丸くした。
ペースメーカー挿入の準備にかかっていた。
トシキ先生が見守る。
「シロー。要領は中心静脈の場合と変わりない」
「ええ」
シロー先生は麻酔を終え、右の鎖骨下に太い注射器を挿入した。
「シロー。注射器の向きは水平より若干、上に」
「肺を刺さないためですね」
「そうだ」
「あ、逆流した」
「よし。ペースメーカーのリードを渡す」
トシキ先生はリード線を渡し、透視画面を見ながら先端を右心室の壁に押し当てた。
「少したわみをつけるんだ。そう・・・できたな」
「まだです。側面での確認を」
透視画面の側面像が写った。尖端はきちんと前側を向いている。
「いいぞ。では出力、閾値、感度を確認して終了だ」
トシキ先生はマスクを外した。
品川くんが待っていた。
「トシキ先生。お疲れのところ・・」
「疲れたよ」
「どうしても1床、空きませんでしょうか」
急な催促に、トシキ先生はいらだった。
「俺とシローを足して、どれだけの患者を診てると思ってるんだ?」
「はは、87名・・」
「だったのが本院からの患者が追加で129人。そのうち重症が37名。うち16人が人工呼吸器管理だ」
「え、ええ」
「めいっぱいやってる。もうこれで精一杯だ!」
「は、はい・・」
「本院から来た患者だって、まだ診てないんだぞ!」
処置を終えたシロー先生が入ってきた。
「どうしたんです?」
「シロー。ほっとけ。満床なのにもう1床空けろと。こいつが」
「僕らの患者は無理ですよね」
「そうだ。な。品川くんよ!」
品川君は肩を落とした。
「1人、こちらへ向かってるんです」
「なに?」
トシキ先生は眉を吊り上げた。
「マスコミの騒動とかで、どこの病院も受けてくれんのです」
「重症か?」
「呼吸器がついてて、透析もしてて・・」
「持続透析?」
「はい・・・」
「おいおい・・じゃあ重症部屋じゃないと」
品川くんと2人は重症部屋に入った。
シロー先生は先に入っていった。
「トシキ先生・・どうでしょうか?」
品川君は頭を下げ続けた。
「だから、見ろ!みんな呼吸器がついてるわけ!それを外せってのか?」
「でで、ですよねえ・・・」
シロー先生が走ってきた。
「なんとかなるかも」
「え?」
品川君は目を丸くした。
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