医師の年収など・・・についての本当の真実は↓　　（大学病院人事のケース中心に）

「新聞や他のサイトで多く触れられているように、ドクターの年収などの話が盛んじゃ。今日はこれについて話そう」

眠そうな生徒一同、みな正気を取り戻す。

「一般にはみな最初は大学病院で勤務、一部の者は一生そこに残るわけじゃが。まあヒヨっ子研修医の頃は月10-15万じゃて」
「でも先生。アルバイトがあるのでは？」
学級委員がまたでしゃばる。

「そそ、それを今から話そうと思っとったんじゃ！た、たわけが！立っとれ！」
「・・・」
「全く！こんな途中で口を挟むような奴は、医者の世界ではとかく嫌われるんじゃぞ！さてと！」

黒板に＜アルバイト＞と書く。

「アルバイト、っちゅうたってな。よその病院で医師として働くわけじゃ。楽して金もらうわけではない」
「先生。一番楽なのは何ですか？」
「こら小川。このバカチンが！楽することばかり考えおって！」
「献血車や検診はおいしいと聞きますが」
「献血車では血圧測定ボタンを押すのと軽い問診くらいかの」
「医者じゃなくてもできますね」
「じゃが、献血で気分が悪くなったりした者の介抱などはしないとな」
「あ、しょっか」
「アショカ王！カニシカ王！」

全くウケが得られず、時間は過ぎる。

「早朝から夕方が多く、寝る間はない。それで2−3万かな」
「上の先生に取られてしまうのでは？」
「小川よ。それは心配ない。このバイトは普通、研修医にしか回ってこんよ。上のドクターらがしたがるのは・・まず検診」
「検診かあ」
「これもピンキリ。ど田舎まで行かされて一日中老人の検診、で、戻ってきたらもう夜中。あるいは都会でギャルの検診1時間」
「ギャルがいいなあ！」
「たっとれ！」

小川君も立たされた。

「まあ楽なのは上のドクターが持っていく。検診の相場は時間1万、というところかのう」
「朝から夕方なら7万くらいとか？」
女生徒が目を輝かせた。
「そうだな。その前後だろうな」
「昼ごはんはでますか？」
「なぬ？ま、ふつうは出るがな」
「あたし、そばアレルギーなんですが」
「そ、そんなん、し、知るか！た、立っとれ！」

女生徒はまたも不服そうに立たされた。

「さて、以上のは大学病院から出向くケースが大半だな。だがこれから述べる＜当直＞。日直・夜間当直に分かれる」

黒板に＜当直＞。

「日直はふつうは休日だな。夜間当直は平日の場合と、休日の場合がある。学級委員！」
「はい」
「いちばん儲かるのは？」
「そりゃ休日の当直でしょうね」
「そうじゃ。平日の夜間が3−4万とすれば、休日の日直は5万、夜間もまあそんなところか。時間帯で数万前後するな」
「へえ。じゃあ、休日に24時間したら、10万とかも？」
「ありうる。じゃがな。こういうケースというのはな、大変じゃぞ。なんせ1人の医者ですべて対応するわけじゃ。病棟の患者が急変する。救急車が来る。あるいは急患が自分から来たりもする。それらを全部、診ないといかん！」

みなメモを取っている。

「できるかの？学級委員！」
「やります！」
「たく！カネの話になるとこやつら！全員起立！」

全員が、立たされた。

「まあそれでだ。大学病院から離れて、民間病院へ移ったとしよう。だいたい30歳くらいで落ち着くことが多いかな。まあそれを数年ごとに繰り返していく」
「同じ病院にずっとはいられないんですか？」
学級委員が申し立てる。

「若い医者に何年も居座られたら、退職金が発生してしまう。あと人事があるよな。大学の場合」
「そっか・・」
「年寄りのドクターほど家庭があって、それなりに希望が通る。子持ちの場合、学校のこととかあるからのう。転校ばっかりさせるわけにもいかん」
「なるほど。じゃあすぐに結婚すればいいのか」
「彼女もおらんくせに！」
「・・・」

学級委員は図星なのか、顔が真っ赤になった。

「ま、ドクターが結婚して家を建てて、子供が学校行きだして・・だいたいドクター年齢30後半以降かのう？」
「じゃあ、そのくらい落ち着いたら、1箇所の病院に永住できるんですかね？」
「そういうケースが多いようだよ。ミスター・小川。じゃが、それなりに経験と信頼のあるドクターでないとな」
「じゃあ先生、そこで落ち着いたとして・・どれくらいもらえるんですか？」
「くく、最近のガキは・・そうだな。30代でボーナス入れたら、内科で800から1200ってとこかな？」
「そんなに？」
「手取りではない。そこが落とし穴」
「税金多いでしょうね」
「確定申告、所得税でかなり取られる。目を覆うくらいにな」

女生徒が挙手した。

「ユウキ先生は、どうなんですか？」
「わわ、わしか？」

まさか教師が質問されるとは・・。

「どうなんですか？」


＜つづく＞