講義終わり

2人は銃を構えたまま固まったままだ。

「わわ・・わかった。教えてやろう」
「・・・」
「銃を下ろせ！」

逆に、女生徒は銃の安全装置を外した。

「大学の人事にしばられていた頃は、仕事内容、年収なども年功序列じゃった」
「つまり、高齢なほど楽でリッチってこと？」
「そ、そりゃそうじゃ。会社でもそうだろう？」
「さあ、それは分かりかねますが」
「むう！」

教師はラオウの如く顔をしかめた。

「あたしはおかしいと思う。なんで一生懸命働いてる若いドクターたちが報われないのか」
「報われとる奴もおる」
「たいして働いてもない年寄りドクターが、多すぎる！」
「年とともに、欲は加速するもんじゃ」
「どうして？自分達はもう十分、いい思いしたじゃない？」
「・・・若いドクターたちへの待遇改善を、わしに頼まれてもなあ」

彼女は涙目になった。

「私達は、そういった腹黒い奴らの駒（コマ）にはなりたくないわけ！」
「そうか。なら大学から抜け出るこった！」
「先生の場合は不可解ね」
「ぬわにがじゃ？」
「大学病院をあっさり抜け出したけど、あれは・・」
「ああ、そうじゃ。これまでの話で、それは分かったじゃろう？」
「カネのため？逃避？」
「・・・」
「確かにわしは、大学を出てバブリーな青春時代を数年送った。年収は大学関連病院のおよそ2倍」
「に、2倍・・」
「じゃが、リスクは5倍あった」
「リスク？」
「すまんが、そういった話はもうちょっと暫くしてからに・・させてもらえんかの？」

彼女は銃をしまった。

「いいわ。許す」
「これはどうも・・？ん？なんでわしが謝らんといかんのじゃ？」
「話を続けて」
「そ、そうじゃな。ピロリの除菌率は・・」
「≪サーガ≫の続きを！」

生徒がみな口々に立ち上がった。

≪始めろ！始めろ！始めろ！≫

「う・・・」

≪始めろ！始めろ！始めろ！≫

「うう・・・」

≪始めろ！始めろ！始めろ！≫

「うるさ〜い！」