プライベート・ナイやん 3-8 育児なし!
2005年4月18日うたたねしていると、耳元でハアハア、という声が聞こえた。
目を覚ますと・・。
そこには例の赤ん坊が、うつ伏せで顔を上げてこっちを見ている。
「ハア、ハア・・・」
「おう」
思わず言葉を返すと、赤ん坊はにっこり笑った。
「?・・・おう!」
すると赤ん坊はまた笑顔を返した。
「面白いな、これ・・・おうう!」
「キィッ」
とまたしても笑顔が。
何度もやっていると、赤ん坊の笑顔が次第に曇ってきた。
「あれ?」
「ふ・・・・ふんげ・・・」
「どうした・・・?」
赤ん坊の両頬が、赤い。それに・・・
「熱い!」
机の体温計で計測。
「38.3℃!」
夜間に連れ出したせいか、それとも病院でウイルス・菌をもらったか・・。
抱っこした赤ん坊はまた泣き出した。
「ふんげっ!ふんげっ!」
「さっきのはもう通じないか・・?おう!」
「キャッ」
なぜか分からないが、赤ん坊は笑顔になった。しかしまた表情が崩れてきだした。
「させるかよ!・・おうう!」
「キッ」
「おおう!」
「キィッ」
なんとかもたせながら時間が過ぎていった。
でもな。熱があるんだからな。なんとかしないと・・。
『困ったときノート』を見ると、『発熱時』のページがある。
『突発性発疹か、感染を疑う。緊急性がなければ婦人に報告の上、小児科医へ紹介・・』
扉のガチャンという音が聞こえた。婦人が帰ってきたんだろう。
部屋のドアも開けられた。僕は思わず正座した。
「あ!おお、おはようございます」
「!」
母親は買い物袋をいったん置き、赤ん坊を見下ろした。
赤ん坊は徐々に泣き顔に変わっていった。
「ふふ・・・ふんげ・・・ふんげ!ふんげ!」
「しまった・・・おううう!」
僕は勢い良く声をかけた。
「うるさい!」
そう怒鳴ったのは母親だった。彼女は子供を抱え、高い高いをし始めた。
「おおよしよし!おうよし・・ん?」
彼女は下半身を眺めた。
「オムツの交換は・・?」
「昨日はバタバタしまして・・」
「ウソ?変えてないのお?」
長髪で上品な顔の母親は、鬼の面に変わった。
「すみません。ミルクが精一杯で・・」
「ウソ?じゃあ風呂も?」
「風呂も自信がなくて・・」
「何これ!」
彼女は台所を見つめた。
「この散らばってる粉は何?」
「ミルクを作るときに少々・・」
「汚い!」
彼女はぞうきんで台所を拭きはじめた。
「ウッソー最悪!」
彼女の怒声で、赤ん坊はますます泣き始めた。
「もう、世話に来ないで!」
彼女は僕を睨んだ。
「すみません・・・本当に。あ、熱がありまして」
「何度よ?」
彼女は敵意むき出しだ。
「38℃・・・前後かな」
「前後って何よ!」
「原因は自分には・・」
「なんで?どうして?」
「小児科のほうへ・・」
「医者なんでしょ?」
「そうですが・・」
アンタもそうじゃないか・・。
「紹介?小児科に?それでハイハイ帰ります?」
「いや、そんな・・」
「こんないい加減な育児して?なに?どーいう事?」
彼女のパニックは収まらない。
「も、もうすぐ自分は勤務先に戻らないと・・」
「ハア?待ちなさいな!」
ピンポーン、と外からだ。
「宅急便かな。いい?そこで待ってて!」
「はい・・」
1分もしないまま、彼女は戻ってきた。
「ちょっとアナタ!いったいどういうつもり?」
「?」
「救急車なんか、ここに寄こして?どうして?なぜ?」
「それはいろいろと」
「信じられない?これは夢?」
「違います。げんじ・・」
「それで?病院で?処置かなんかして?そんな報告もしないで」
「びょ、病院は小児科でなくて・・」
「小児科で診てもらう前に、あたしの許可・・もう!グズ!」
「僕の用事で・・どうしても」
「バカ!アホ!」
彼女はあらゆる罵声を僕に浴びせ続けた。
だが正常とは思えないリアクションだ。パニクる母親は何度も見たが。
僕は玄関へ出た。タクシーは外で呼ぶことに。
「何か言ってよ!ねえ!」
彼女は追いかけてきた。
「ではお願いします」
「ハア?何をお願いするのよ!このバカ!バカ医者〜!」
彼女は中腰で大口を開けていた。
この時間では・・・タクシーで山の上病院に直接向かうしかない。
やっと彼女を引き離し、大通りへ出た。ヘナヘナだ。
とたん、タクシーが目の前を通った。
「たた、タクシー!」
無常にも通り過ぎた。と思ったら、Uターンした。
とりあえず、助かりそうだ。
後ろで小学生たちが笑って真似をしている。
「たた!たっくしー!たっくしー!ははは。バーカ!」
「うるせえぞ、この!」
子供たちは笑いながら一目散に逃げ出した。
怒りをおもわずぶつけてしまった。
『頭に神経を集中してはいかん。指先に集中を』
「わかってるって!」
僕はフォースにも逆らうようになっていた。
目を覚ますと・・。
そこには例の赤ん坊が、うつ伏せで顔を上げてこっちを見ている。
「ハア、ハア・・・」
「おう」
思わず言葉を返すと、赤ん坊はにっこり笑った。
「?・・・おう!」
すると赤ん坊はまた笑顔を返した。
「面白いな、これ・・・おうう!」
「キィッ」
とまたしても笑顔が。
何度もやっていると、赤ん坊の笑顔が次第に曇ってきた。
「あれ?」
「ふ・・・・ふんげ・・・」
「どうした・・・?」
赤ん坊の両頬が、赤い。それに・・・
「熱い!」
机の体温計で計測。
「38.3℃!」
夜間に連れ出したせいか、それとも病院でウイルス・菌をもらったか・・。
抱っこした赤ん坊はまた泣き出した。
「ふんげっ!ふんげっ!」
「さっきのはもう通じないか・・?おう!」
「キャッ」
なぜか分からないが、赤ん坊は笑顔になった。しかしまた表情が崩れてきだした。
「させるかよ!・・おうう!」
「キッ」
「おおう!」
「キィッ」
なんとかもたせながら時間が過ぎていった。
でもな。熱があるんだからな。なんとかしないと・・。
『困ったときノート』を見ると、『発熱時』のページがある。
『突発性発疹か、感染を疑う。緊急性がなければ婦人に報告の上、小児科医へ紹介・・』
扉のガチャンという音が聞こえた。婦人が帰ってきたんだろう。
部屋のドアも開けられた。僕は思わず正座した。
「あ!おお、おはようございます」
「!」
母親は買い物袋をいったん置き、赤ん坊を見下ろした。
赤ん坊は徐々に泣き顔に変わっていった。
「ふふ・・・ふんげ・・・ふんげ!ふんげ!」
「しまった・・・おううう!」
僕は勢い良く声をかけた。
「うるさい!」
そう怒鳴ったのは母親だった。彼女は子供を抱え、高い高いをし始めた。
「おおよしよし!おうよし・・ん?」
彼女は下半身を眺めた。
「オムツの交換は・・?」
「昨日はバタバタしまして・・」
「ウソ?変えてないのお?」
長髪で上品な顔の母親は、鬼の面に変わった。
「すみません。ミルクが精一杯で・・」
「ウソ?じゃあ風呂も?」
「風呂も自信がなくて・・」
「何これ!」
彼女は台所を見つめた。
「この散らばってる粉は何?」
「ミルクを作るときに少々・・」
「汚い!」
彼女はぞうきんで台所を拭きはじめた。
「ウッソー最悪!」
彼女の怒声で、赤ん坊はますます泣き始めた。
「もう、世話に来ないで!」
彼女は僕を睨んだ。
「すみません・・・本当に。あ、熱がありまして」
「何度よ?」
彼女は敵意むき出しだ。
「38℃・・・前後かな」
「前後って何よ!」
「原因は自分には・・」
「なんで?どうして?」
「小児科のほうへ・・」
「医者なんでしょ?」
「そうですが・・」
アンタもそうじゃないか・・。
「紹介?小児科に?それでハイハイ帰ります?」
「いや、そんな・・」
「こんないい加減な育児して?なに?どーいう事?」
彼女のパニックは収まらない。
「も、もうすぐ自分は勤務先に戻らないと・・」
「ハア?待ちなさいな!」
ピンポーン、と外からだ。
「宅急便かな。いい?そこで待ってて!」
「はい・・」
1分もしないまま、彼女は戻ってきた。
「ちょっとアナタ!いったいどういうつもり?」
「?」
「救急車なんか、ここに寄こして?どうして?なぜ?」
「それはいろいろと」
「信じられない?これは夢?」
「違います。げんじ・・」
「それで?病院で?処置かなんかして?そんな報告もしないで」
「びょ、病院は小児科でなくて・・」
「小児科で診てもらう前に、あたしの許可・・もう!グズ!」
「僕の用事で・・どうしても」
「バカ!アホ!」
彼女はあらゆる罵声を僕に浴びせ続けた。
だが正常とは思えないリアクションだ。パニクる母親は何度も見たが。
僕は玄関へ出た。タクシーは外で呼ぶことに。
「何か言ってよ!ねえ!」
彼女は追いかけてきた。
「ではお願いします」
「ハア?何をお願いするのよ!このバカ!バカ医者〜!」
彼女は中腰で大口を開けていた。
この時間では・・・タクシーで山の上病院に直接向かうしかない。
やっと彼女を引き離し、大通りへ出た。ヘナヘナだ。
とたん、タクシーが目の前を通った。
「たた、タクシー!」
無常にも通り過ぎた。と思ったら、Uターンした。
とりあえず、助かりそうだ。
後ろで小学生たちが笑って真似をしている。
「たた!たっくしー!たっくしー!ははは。バーカ!」
「うるせえぞ、この!」
子供たちは笑いながら一目散に逃げ出した。
怒りをおもわずぶつけてしまった。
『頭に神経を集中してはいかん。指先に集中を』
「わかってるって!」
僕はフォースにも逆らうようになっていた。
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