プライベート・ナイやん 3-10 こっちも頭痛・・
2005年4月20日彼に同情し、新人ナースに接近した。
「さっきはすまなんだが・・」
「はい?何でしょうか?」
彼女は向こうを向いたままだ。
「さっきの件。あのカラオケの話」
「それはもういいです!」
「いや、行こうよ。歌いたい歌があるし」
「え?」
「いろいろ練習してるんだよ」
「練習?」
「<エキセントリック少年ボウイ>とか」
「♪エ〜キセントリック、エ〜キセントリック」
歌うなよ。このアホが。でも実はタイトルを知ってるだけだ。
「へえ。行こうかなあ・・」
彼女は早くも許し始めた。
「あたし、ビビアンにしようかな」
「ビビアン・リー?」
「ビビアン・スーですよ、先生!」
彼女が明るさを取り戻した。
後ろの卸業者もホッとしている。
患者が帰ってきた。
「写真撮ったら、余計頭が痛くなってきた・・」
「それはないでしょう・・」
「放射能が出てるんじゃろう?」
放射線だ!スカタン!
今日はスカタン野郎が多いな・・。
「何もないねー・・」
写真を見つめてつぶやいた。
「何もないことはないじゃろ?」
バアサンは鼻息を荒げながらフィルムを見入った。
「いや。ないですよ」
「脳はあるじゃろ!」
「ああ。そうですね。あるある」
「じゃあ痛みはなぜ?」
「う・・・」
「神経?」
「そうですね・・・表面上のものか、ストレス性、まあいろいろ・・」
正直、見当がつかない。
「痛み止め出します。とりあえず」
「痛み止め?ピンクの?」
「よく分かりましたね」
「あれはええ。胃を悪くした」
「胃薬とセットで」
「いらんいらん。それなら家にある」
こういうこと言う患者、いるよな・・。
「モービック(COX-2阻害剤)という薬があるのですが・・」
「それのほうが効くの?」
「評判は今ひとつ・・ですがまず使ってみて。これがサンプル」
「ああ。これ知ってる。あまりええ噂聞かん」
確かに即効性がないなど評判はあまりよろしくない。
「そうだ。漢方・・・!」
「漢方か。まあええやろ」
そうだ。こういうときは漢方だ。とにかく症状のみ取りたいとき!
『今日の治療薬』を探す。
「これだ。<釣藤散(ちょうとうさん)>。中年以降で高血圧の傾向。慢性の頭痛・・・ピッタリだ!」
「ほお。それは絶対効くわけでんな?」
「適応だと思います」
「ふん。じゃあ、それちょうだい」
なんとか、これにて閉廷。
引き上げようとしたが・・
「息子がほんとふびんでなあ・・」
「え?」
「若い女にたぶらかされて」
「何かあったの?」
「若い女ゆうても、嫁やけどな。嫁!」
「そっか・・」
周囲のスタッフは分散し始めた。僕は孤立。
「あんな若い嫁、どうせ遺産が目的やっちゅうのに!」
「息子さんの年は?」
「44歳と25歳やで!あんた!」
あんたと言われてもな・・。
なんとか切り上げないと。
前にオーベンから教わったやり方で。
僕は立ち上がり、近くの洗面所で手洗いを始めた。
「大変ですねえ」
「そんなんアンタ、うちのじいさんに比べたら序の口や!」
「・・・」
「じいさん、近所に散歩に行きよんねん」
「?別にいいじゃないですか」
「何でじゃ!」
「何怒ってるんです?」
「下半身、丸出しでもかあ!」
大声に驚き、事務員が駆け込んできた。
品川氏はバアサンを後ろから支えた。
「大丈夫ですか?」
「は、離せ!まだ話の途中じゃ!」
「・・・どうしましょう。ユウキ先生」
「すまないが、話を聞いてあげて」
「かしこまりました」
彼は玄関までバアサンを連れて行った。
処方はさきほどの漢方で決着。漢方なので効果判定は2週間
以降といったところか。とにかく気長に飲まないといけない。
来週カラオケか・・。約束した日の次の日がバイト先だ。
また赤ん坊の世話をさせられるのか・・?
鬱な日々は過ぎていく・・。
その日はツタヤで久しぶりにCDを借りた。
※ COX-2阻害剤は昨年(ファイザーの海外での薬:セレブレクス)心疾患との関連が指摘されている。
「さっきはすまなんだが・・」
「はい?何でしょうか?」
彼女は向こうを向いたままだ。
「さっきの件。あのカラオケの話」
「それはもういいです!」
「いや、行こうよ。歌いたい歌があるし」
「え?」
「いろいろ練習してるんだよ」
「練習?」
「<エキセントリック少年ボウイ>とか」
「♪エ〜キセントリック、エ〜キセントリック」
歌うなよ。このアホが。でも実はタイトルを知ってるだけだ。
「へえ。行こうかなあ・・」
彼女は早くも許し始めた。
「あたし、ビビアンにしようかな」
「ビビアン・リー?」
「ビビアン・スーですよ、先生!」
彼女が明るさを取り戻した。
後ろの卸業者もホッとしている。
患者が帰ってきた。
「写真撮ったら、余計頭が痛くなってきた・・」
「それはないでしょう・・」
「放射能が出てるんじゃろう?」
放射線だ!スカタン!
今日はスカタン野郎が多いな・・。
「何もないねー・・」
写真を見つめてつぶやいた。
「何もないことはないじゃろ?」
バアサンは鼻息を荒げながらフィルムを見入った。
「いや。ないですよ」
「脳はあるじゃろ!」
「ああ。そうですね。あるある」
「じゃあ痛みはなぜ?」
「う・・・」
「神経?」
「そうですね・・・表面上のものか、ストレス性、まあいろいろ・・」
正直、見当がつかない。
「痛み止め出します。とりあえず」
「痛み止め?ピンクの?」
「よく分かりましたね」
「あれはええ。胃を悪くした」
「胃薬とセットで」
「いらんいらん。それなら家にある」
こういうこと言う患者、いるよな・・。
「モービック(COX-2阻害剤)という薬があるのですが・・」
「それのほうが効くの?」
「評判は今ひとつ・・ですがまず使ってみて。これがサンプル」
「ああ。これ知ってる。あまりええ噂聞かん」
確かに即効性がないなど評判はあまりよろしくない。
「そうだ。漢方・・・!」
「漢方か。まあええやろ」
そうだ。こういうときは漢方だ。とにかく症状のみ取りたいとき!
『今日の治療薬』を探す。
「これだ。<釣藤散(ちょうとうさん)>。中年以降で高血圧の傾向。慢性の頭痛・・・ピッタリだ!」
「ほお。それは絶対効くわけでんな?」
「適応だと思います」
「ふん。じゃあ、それちょうだい」
なんとか、これにて閉廷。
引き上げようとしたが・・
「息子がほんとふびんでなあ・・」
「え?」
「若い女にたぶらかされて」
「何かあったの?」
「若い女ゆうても、嫁やけどな。嫁!」
「そっか・・」
周囲のスタッフは分散し始めた。僕は孤立。
「あんな若い嫁、どうせ遺産が目的やっちゅうのに!」
「息子さんの年は?」
「44歳と25歳やで!あんた!」
あんたと言われてもな・・。
なんとか切り上げないと。
前にオーベンから教わったやり方で。
僕は立ち上がり、近くの洗面所で手洗いを始めた。
「大変ですねえ」
「そんなんアンタ、うちのじいさんに比べたら序の口や!」
「・・・」
「じいさん、近所に散歩に行きよんねん」
「?別にいいじゃないですか」
「何でじゃ!」
「何怒ってるんです?」
「下半身、丸出しでもかあ!」
大声に驚き、事務員が駆け込んできた。
品川氏はバアサンを後ろから支えた。
「大丈夫ですか?」
「は、離せ!まだ話の途中じゃ!」
「・・・どうしましょう。ユウキ先生」
「すまないが、話を聞いてあげて」
「かしこまりました」
彼は玄関までバアサンを連れて行った。
処方はさきほどの漢方で決着。漢方なので効果判定は2週間
以降といったところか。とにかく気長に飲まないといけない。
来週カラオケか・・。約束した日の次の日がバイト先だ。
また赤ん坊の世話をさせられるのか・・?
鬱な日々は過ぎていく・・。
その日はツタヤで久しぶりにCDを借りた。
※ COX-2阻害剤は昨年(ファイザーの海外での薬:セレブレクス)心疾患との関連が指摘されている。
コメント