プライベート・ナイやん 3-11 できないできないできない・・
2005年4月20日夕食をレストランで済ませ、僕らはカラオケボックスに集合した。
男性は僕、卸業者(既婚)、品川氏の3人。
女性はミーコ(新人ナース・かわいい系。以前はジャイ子系)とその連れ(2人ともジャイ子)。3人とも茶髪でイヤリングなどして・・
まあそれはいいのだが・・。タバコをスパスパだ。
僕は救急病院のヒロスエが気になっているので、今回の合コンは息抜き休憩番組だ。
「何にしようかな〜?」
わざとらしく2人のジャイ子が分厚い本をパラパラめくっている。
「いれちゃえいれちゃえ!」
彼らはリモコンをさっそく独占していた。
男子3人と女子3人が向かい合っている。あまり打ち解けた雰囲気ができていない証拠だ。
「ユウキ先生。飲み物を頼みましょう」
紳士の品川くんが電話で注文した。
「チューハイが・・・それとポテトフライ・・」
マメな奴だ。僕は気に入っていた。
「私は歌えませんので、どうぞ」
彼はマイクを差し出した。
「品川くん。頼むよ。何か唄って・・」
「自分は歌は・・」
「まだ僕と同じ、30歳くらいだろ?」
「ウッソー?ミソジイ?」
ジャイ子2人が顔をしかめた。またタバコをスパスパ。
絶えず携帯が鳴っているもよう。
いきなり歌が始まった。
「おおおお!きたきた!」
画面は『大スキ!』とある。
広末の歌じゃないか・・。
ジャイ子の1人が僕からマイクを奪った。
「!とってもとってもとってもとってもとっても大好きよ〜!」
馬鹿でかい声が室内を揺るがす。
「ダアリンアイラ〜ビュダア〜リイイイイン」
僕は目をそむけた。帰りたい・・・。
卸業者はけっこう楽しんでいて、一緒に歌っている。
「先生もそら!頑張って!アイアイアイアイアイ・・」
「僕は一休さんのほうが好きだな」
「というと?」
「スキスキスキスキ・・のほうだよ!」
「ああ!ナイス!」
彼は親指を立て、本をめくり始めた。
「次んとこ、あたしがやるゥ〜!」
ジャイ子たちはマイクを奪い合いはじめた。1人は携帯がかかり、そのスキに
もう1人がマイクを取った。
「やった!いくぞ!」
「お待たせ・しました〜」
ヨレヨレのじいさんが入ってきた。
「注文、お持ちしました〜」
いいタイミングだ!
「ええっと・・・チューハイ・・・ライム!」
「そこです」
品川君が指示する。
「レモン!」
「ここです」
じいさんは反応が鈍く、注文を配るだけで2分ほど要した。
おかげで歌は中断したまま曲は終了した。
「(エコー付→)くそお!マジで腹立つ!マッジッで!」
品川くんは席についた。
「1番風呂があったまらない、と言われるように・・」
「?」
「カラオケの1番手も盛り上がりに欠けるんですよね」
「な、なるほど・・」
2曲目が始まった。新人ナースだ。画面は・・
『さくら・川本真琴』
「♪さらなりたいいっぱいかぜのなでいっぱいひとりぼちになるれんしゅうしてるのしんこきゅうのとちゅう
でえええきないできないできないできなあい(やっと息継ぎ)」
「品川くん。速すぎて・・」
「ついていけませんね」
「品川君はここに来る前はどこに・・?」
「病院の事務ですが・・・昔はラーメン屋の店長も」
「凄いなそれ!」
「営業面では厳しいです」
「ここもな・・」
ジャイ子のうちの1人が携帯で話しながら立ち上がった。
「だからあ!もう、しつこいな!捨てたろか!」
カラオケマシンは無常にも3曲目に入る。
『ロード・第2章』
卸業者が入れた曲だ。
「♪なんでもないようなことが・・・幸せだったとおもおおう」
みんなめいめいが曲探しと携帯に没頭している。当時はまだ
メールがなかったからマシだ。
曲が終わったとたん、ミーコやジャイ子らは盛大に拍手した。
「うわーっ!しぶーい!」
「いやいや・・じゃ!メイクアップシャドウでもいくか!」
僕の入れた曲がようやく入った。
『BE MY BABY』前奏が始まった。
品川くんが耳打ちする。
「先生!これ私知ってます!」
「そうか!」
「コンプレックスでしょ!」
「画面に書いてあるだろ!」
「いえいえ!ホントですって!」
「なら歌えよ!」
「どこを?」
「サビのとこ!いっしょ!♪愛して!いるのさ狂おしいほど〜(↑一瞬高音)!ハ!」
みんな呆然となった。何の歌かイマイチ分かってないようだ。
だがそこが狙いだ。
「もおはなさないいいい!きみいがすべてサ↑!さ!品ちゃん!」
「ビ〜マイバイビ〜」
「バカ!ベイビ〜だろうが!」
「すみません。ベイビ〜!」
「遅い!アホフ!ビーマイベイビービーマイベイビー・・・!」
この歌を思いついたのは、先日の赤ん坊騒動がきっかけだ。
それと、もう1つの意味もある。
トイレのために出ると、さきほど男に罵声を浴びせていたジャイ子が三角すわりしている。
どうやら・・泣いている?
「クスン、クスン・・・ごめんね・・ごめん」
何、仲直りしてんだよ・・。
僕のほうの携帯を見ると・・
「ウソ?着信あったのかよ?」
救急病院からだ。出勤は明日だぞ?
トイレから電話。
「ユウキといいますが・・とりあえず医局を」
何なんだ。明日の業務の申し送り・・?
「ひ・・・」
アパムだ。嫌な予感。夜の十時だ。
男性は僕、卸業者(既婚)、品川氏の3人。
女性はミーコ(新人ナース・かわいい系。以前はジャイ子系)とその連れ(2人ともジャイ子)。3人とも茶髪でイヤリングなどして・・
まあそれはいいのだが・・。タバコをスパスパだ。
僕は救急病院のヒロスエが気になっているので、今回の合コンは息抜き休憩番組だ。
「何にしようかな〜?」
わざとらしく2人のジャイ子が分厚い本をパラパラめくっている。
「いれちゃえいれちゃえ!」
彼らはリモコンをさっそく独占していた。
男子3人と女子3人が向かい合っている。あまり打ち解けた雰囲気ができていない証拠だ。
「ユウキ先生。飲み物を頼みましょう」
紳士の品川くんが電話で注文した。
「チューハイが・・・それとポテトフライ・・」
マメな奴だ。僕は気に入っていた。
「私は歌えませんので、どうぞ」
彼はマイクを差し出した。
「品川くん。頼むよ。何か唄って・・」
「自分は歌は・・」
「まだ僕と同じ、30歳くらいだろ?」
「ウッソー?ミソジイ?」
ジャイ子2人が顔をしかめた。またタバコをスパスパ。
絶えず携帯が鳴っているもよう。
いきなり歌が始まった。
「おおおお!きたきた!」
画面は『大スキ!』とある。
広末の歌じゃないか・・。
ジャイ子の1人が僕からマイクを奪った。
「!とってもとってもとってもとってもとっても大好きよ〜!」
馬鹿でかい声が室内を揺るがす。
「ダアリンアイラ〜ビュダア〜リイイイイン」
僕は目をそむけた。帰りたい・・・。
卸業者はけっこう楽しんでいて、一緒に歌っている。
「先生もそら!頑張って!アイアイアイアイアイ・・」
「僕は一休さんのほうが好きだな」
「というと?」
「スキスキスキスキ・・のほうだよ!」
「ああ!ナイス!」
彼は親指を立て、本をめくり始めた。
「次んとこ、あたしがやるゥ〜!」
ジャイ子たちはマイクを奪い合いはじめた。1人は携帯がかかり、そのスキに
もう1人がマイクを取った。
「やった!いくぞ!」
「お待たせ・しました〜」
ヨレヨレのじいさんが入ってきた。
「注文、お持ちしました〜」
いいタイミングだ!
「ええっと・・・チューハイ・・・ライム!」
「そこです」
品川君が指示する。
「レモン!」
「ここです」
じいさんは反応が鈍く、注文を配るだけで2分ほど要した。
おかげで歌は中断したまま曲は終了した。
「(エコー付→)くそお!マジで腹立つ!マッジッで!」
品川くんは席についた。
「1番風呂があったまらない、と言われるように・・」
「?」
「カラオケの1番手も盛り上がりに欠けるんですよね」
「な、なるほど・・」
2曲目が始まった。新人ナースだ。画面は・・
『さくら・川本真琴』
「♪さらなりたいいっぱいかぜのなでいっぱいひとりぼちになるれんしゅうしてるのしんこきゅうのとちゅう
でえええきないできないできないできなあい(やっと息継ぎ)」
「品川くん。速すぎて・・」
「ついていけませんね」
「品川君はここに来る前はどこに・・?」
「病院の事務ですが・・・昔はラーメン屋の店長も」
「凄いなそれ!」
「営業面では厳しいです」
「ここもな・・」
ジャイ子のうちの1人が携帯で話しながら立ち上がった。
「だからあ!もう、しつこいな!捨てたろか!」
カラオケマシンは無常にも3曲目に入る。
『ロード・第2章』
卸業者が入れた曲だ。
「♪なんでもないようなことが・・・幸せだったとおもおおう」
みんなめいめいが曲探しと携帯に没頭している。当時はまだ
メールがなかったからマシだ。
曲が終わったとたん、ミーコやジャイ子らは盛大に拍手した。
「うわーっ!しぶーい!」
「いやいや・・じゃ!メイクアップシャドウでもいくか!」
僕の入れた曲がようやく入った。
『BE MY BABY』前奏が始まった。
品川くんが耳打ちする。
「先生!これ私知ってます!」
「そうか!」
「コンプレックスでしょ!」
「画面に書いてあるだろ!」
「いえいえ!ホントですって!」
「なら歌えよ!」
「どこを?」
「サビのとこ!いっしょ!♪愛して!いるのさ狂おしいほど〜(↑一瞬高音)!ハ!」
みんな呆然となった。何の歌かイマイチ分かってないようだ。
だがそこが狙いだ。
「もおはなさないいいい!きみいがすべてサ↑!さ!品ちゃん!」
「ビ〜マイバイビ〜」
「バカ!ベイビ〜だろうが!」
「すみません。ベイビ〜!」
「遅い!アホフ!ビーマイベイビービーマイベイビー・・・!」
この歌を思いついたのは、先日の赤ん坊騒動がきっかけだ。
それと、もう1つの意味もある。
トイレのために出ると、さきほど男に罵声を浴びせていたジャイ子が三角すわりしている。
どうやら・・泣いている?
「クスン、クスン・・・ごめんね・・ごめん」
何、仲直りしてんだよ・・。
僕のほうの携帯を見ると・・
「ウソ?着信あったのかよ?」
救急病院からだ。出勤は明日だぞ?
トイレから電話。
「ユウキといいますが・・とりあえず医局を」
何なんだ。明日の業務の申し送り・・?
「ひ・・・」
アパムだ。嫌な予感。夜の十時だ。
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