プライベート・ナイやん 4-8 鬼軍曹
2005年5月12日「おい!透視使うぞ!」
次のケースが入ってきた。
「イレウスチューブを入れる?誰か?」
「はい!」
ジェニーが進み出た。
「やらせてください!」
彼女。なんのためらいもない。この間あんなに落ち込んでたけど・・。
どうやら心配は要らんようだな。
「ユウキ先生!ワイヤーでの補助を!」
「え?ああ、僕が?」
僕はワイヤーにゼリーをつけて、チューブ内にせっせと入れた。
「早く!ユウキ先生!」
「はいはい・・・」
尻に敷かれっぱなしだ。
「ジェニー!病棟の採血結果!」
他のレジデントがジェニーに伝票を見せた。
「・・・ふんふん・・・」
僕はその間にチューブを挿入していった。
十二指腸入口部も問題なく、通った。
「ああ!」
彼女が気づいたときには、もうテープで固定中だった
「待っててほしかった・・!」
「あのですね。待たしたら、患者さんに悪い」
身の程知らぬ言葉を残し、また救急部屋へ。
弘田先生はなにやら袋を背負ったまま、あちこち行き来している。
「アパム!注射器!」
「アパム!モニターを!」
怒声を浴びつつ、弘田先生はヒイヒイ歩いていた。彼はこの部屋で
どうやら・・補給係をしているようだ。
「ユウキ先生!この患者のIVHを入れろ!」
「はい!」
「さっさとやれ!さっさと!」
中堅ドクターの中の鬼軍曹だ。
「か、介助を」
「僕が」
またこの男。冷酷レジデントだな。
「右鎖骨下から・・・消毒を!」
「おいこら!」
鬼軍曹に後ろから殴られた。
「あたた・・・」
「あたたじゃねえコラ!おめえ、この患者さんの病態知ってやってんのか?」
「だ、だって教えてもらってもない・・」
「だあれに向かってものを言うか?オンドレア!」
僕は側のカルテを見たが・・・2行書いてあるだけ。
「・・・・」
「そこに俺がきちんと書いてあるだろがあ!」
「読めません」
「なぬ?」
「字が・・・解読不能です」
「うははは・・・!」
冷酷レジデントが真っ青になり退いた。
「うははは・・・・なんやとコラア!」
鬼軍曹はカルテを取り、また僕の頭を一撃した。
「いいですか!」
パンとまた一撃。
「この方は!LungのmalignancyのステージIIIb!わかる?この字!」
文節になるごとに叩かれた。
「これ、<?>って書いてあるわけね。?!ええかコラ!」
「?なのか?なのか読めなくて・・」
「お前、眼科に行って来い!アホンダラア!」
「・・・・」
「?bってことはですね!バカでも分かるわけだよな!」
「き、胸水が・・」
「ピシバニ−ルで癒着して、自宅に外泊してた。そしたら3日後呼吸苦で戻ってきた!」
「・・・?」
「主治医のボケは誰ですか?」
「え?主治医・・・」
「君のコベンのアパム・・・なんじゃあボケが!」
僕は片足を蹴られ、もう片方の足をついた。
「いたた・・」
「きちんと指導せんかい!きちんと!」
「ユウキ先生は週1回のバイトだ」
側の副院長がつぶやいた。
「あ?お?そうか・・・ふうん」
僕は軍曹を睨みながら立ち上がった。
軍曹はしばらく素(す)の顔でこちらを見ていたが・・・
「さっさとIVH、入れないか!」
「は、はい!」
足の痛みを殺しながら、IVHの準備を続けた。
処置後、軍曹が歩み寄ってきた。
「やっと終わったのか。マヌケ」
「・・・・」
「あと一ヶ月、ビシバシ、鍛えてやる」
「・・?」
「バイト日しか来る気、ないんだろうがあ!」
「いえ!やります!」
とっさに言葉が出た。
「ほおお?」
彼は顔だけ僕に近づけた。
「言うたな。よっしゃ!おいみんな、聞け!」
閑散としてきた部屋に大声が響いた。
「この先生が、残りの1ヶ月間の間、常勤なみに働いてくれるとな!」
拍手があちこちから鳴った。
「むろん、子育てのほうもな!わはは!」
拍手はいっそう高らかだった。
「いいかお前ら!最後の1日まで!俺は手は抜かん!」
こんな鬼軍曹がいたのか・・。
聞いたところによれば、僕の出勤していたバイト日がちょうど鬼軍曹の
休憩日(研究日)だったらしい。今日は多忙なため顔出しに来たという。
残り1ヶ月間の、鬼の特訓が始まる。
次のケースが入ってきた。
「イレウスチューブを入れる?誰か?」
「はい!」
ジェニーが進み出た。
「やらせてください!」
彼女。なんのためらいもない。この間あんなに落ち込んでたけど・・。
どうやら心配は要らんようだな。
「ユウキ先生!ワイヤーでの補助を!」
「え?ああ、僕が?」
僕はワイヤーにゼリーをつけて、チューブ内にせっせと入れた。
「早く!ユウキ先生!」
「はいはい・・・」
尻に敷かれっぱなしだ。
「ジェニー!病棟の採血結果!」
他のレジデントがジェニーに伝票を見せた。
「・・・ふんふん・・・」
僕はその間にチューブを挿入していった。
十二指腸入口部も問題なく、通った。
「ああ!」
彼女が気づいたときには、もうテープで固定中だった
「待っててほしかった・・!」
「あのですね。待たしたら、患者さんに悪い」
身の程知らぬ言葉を残し、また救急部屋へ。
弘田先生はなにやら袋を背負ったまま、あちこち行き来している。
「アパム!注射器!」
「アパム!モニターを!」
怒声を浴びつつ、弘田先生はヒイヒイ歩いていた。彼はこの部屋で
どうやら・・補給係をしているようだ。
「ユウキ先生!この患者のIVHを入れろ!」
「はい!」
「さっさとやれ!さっさと!」
中堅ドクターの中の鬼軍曹だ。
「か、介助を」
「僕が」
またこの男。冷酷レジデントだな。
「右鎖骨下から・・・消毒を!」
「おいこら!」
鬼軍曹に後ろから殴られた。
「あたた・・・」
「あたたじゃねえコラ!おめえ、この患者さんの病態知ってやってんのか?」
「だ、だって教えてもらってもない・・」
「だあれに向かってものを言うか?オンドレア!」
僕は側のカルテを見たが・・・2行書いてあるだけ。
「・・・・」
「そこに俺がきちんと書いてあるだろがあ!」
「読めません」
「なぬ?」
「字が・・・解読不能です」
「うははは・・・!」
冷酷レジデントが真っ青になり退いた。
「うははは・・・・なんやとコラア!」
鬼軍曹はカルテを取り、また僕の頭を一撃した。
「いいですか!」
パンとまた一撃。
「この方は!LungのmalignancyのステージIIIb!わかる?この字!」
文節になるごとに叩かれた。
「これ、<?>って書いてあるわけね。?!ええかコラ!」
「?なのか?なのか読めなくて・・」
「お前、眼科に行って来い!アホンダラア!」
「・・・・」
「?bってことはですね!バカでも分かるわけだよな!」
「き、胸水が・・」
「ピシバニ−ルで癒着して、自宅に外泊してた。そしたら3日後呼吸苦で戻ってきた!」
「・・・?」
「主治医のボケは誰ですか?」
「え?主治医・・・」
「君のコベンのアパム・・・なんじゃあボケが!」
僕は片足を蹴られ、もう片方の足をついた。
「いたた・・」
「きちんと指導せんかい!きちんと!」
「ユウキ先生は週1回のバイトだ」
側の副院長がつぶやいた。
「あ?お?そうか・・・ふうん」
僕は軍曹を睨みながら立ち上がった。
軍曹はしばらく素(す)の顔でこちらを見ていたが・・・
「さっさとIVH、入れないか!」
「は、はい!」
足の痛みを殺しながら、IVHの準備を続けた。
処置後、軍曹が歩み寄ってきた。
「やっと終わったのか。マヌケ」
「・・・・」
「あと一ヶ月、ビシバシ、鍛えてやる」
「・・?」
「バイト日しか来る気、ないんだろうがあ!」
「いえ!やります!」
とっさに言葉が出た。
「ほおお?」
彼は顔だけ僕に近づけた。
「言うたな。よっしゃ!おいみんな、聞け!」
閑散としてきた部屋に大声が響いた。
「この先生が、残りの1ヶ月間の間、常勤なみに働いてくれるとな!」
拍手があちこちから鳴った。
「むろん、子育てのほうもな!わはは!」
拍手はいっそう高らかだった。
「いいかお前ら!最後の1日まで!俺は手は抜かん!」
こんな鬼軍曹がいたのか・・。
聞いたところによれば、僕の出勤していたバイト日がちょうど鬼軍曹の
休憩日(研究日)だったらしい。今日は多忙なため顔出しに来たという。
残り1ヶ月間の、鬼の特訓が始まる。
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