2NDLINE 6
2005年6月29日僕は医局のパソコンのあちこちのアプリケーションを開いてみた。
いかんせん、文書の数が多すぎる。探しているのはあくまでも「専門医用文書」という項目だ。
「実験用・・・・学会発表用・・・・違うな。これも・・・」
開いて、さらに開いて・・・。作業は困難を極めた。
「トシキ。早く来いよ・・・!」
「どちらさまですか?」
レジデントが1人、やってきた。スーツ姿の僕は固まった。
「ぼ、僕?」
「そうですよ。あなたです」
「ぼぼ・・・僕はここの医局の」
「医局員?」
「外の病院から、近々ここへ戻ってくる。6年目」
「は!そうでありましたか!」
イエスマンはいきなり態度が豹変した。
「で、では今後ともよろしくお願いいたします!。ザッキーです」
「うん。いいだろう!ザッキーくんね!覚えておいてやろう!」
僕も豹変した。
この男を利用しない手はない。
「すまないが。自分はパソコンにうとくてね」
「は!マックのほうでしょうか!」
「探してるファイルがあるんだが」
「では私が!」
彼は隣のパソコンのイスを引っ張ってきた。
「キーワードで探します!」
「なるほど。では・・・<専門医症例>で検索を」
「はい!へえ・・先生。6年目でもう専門医取得ですか!」
「に、認定医はとっとと取ったしね。ニンニン!」
「すごい・・見習わせていただきます!」
さすだがなトシキ・・僕も見習わせていただきマンモス!
事務長は教授室の扉を叩いた。
「どうぞ」
「失礼します!」
事務長はゆっくりカーペットの部屋に入った。外の世界とは別世界だ。
荘厳な雰囲気が支配する。額縁には価値のあるであろう絵画が何枚も。白黒写真の拡大額縁。歴代の偉人のようだ。
「お待ちしてましたよ」
教授はノートパソコンをゆっくりとたたんだ。
「真田病院、事務長の品川です!日頃より、大変お世話になっております!」
彼は深々と礼をした。
「うむ。ま、かけたまえ」
「はい」
教授はソファへと歩き、お互い座って向かい合った。
「事務長さん。どうですか、病院は?」
「はっ。半年前に本院が潰れてからも依然、こちらは苦しい経営が続いておりますけども・・」
「ふむ」
「少しずつ、建て直しの方向に向かっております!」
「病院の名前も変えたほうがいいのではないかな?はっは」
「け、検討しておるところでございます!」
「刑務所に入っている男の名前を未だ使っているとはな・・はっはは!」
教授は事務長の持っているメモをパッと抜き取った。
「用件は・・電話の通りか?」
「ええ」
「医局員を今後定期的に若干名差し向けて欲しい、ということと・・」
「はい。来年以降で検討していただければ、有難いです。で、今後できましたら、近々始まるスーパーローテートを含め、関連病院の1つとしての位置づけを与えてくだされば・・」
事務長はいきなり要点を切り出した。
「関連病院か。うちもジッツは多いが、確かに飽和状態だ」
「・・・・・」
「最近はネットの普及で情報のやり取りが早い。最近までは関連病院の多さを売りにしていた我が医局だが。そういう事実もあちこちに伝わってしまってなあ。いかんいかん」
「そうでございますか・・・」
「うむ。なので医局員も減ってきておる」
「・・・・・」
「君の病院にも何人か取られたし」
「もも!申し訳ありません!」
「半年前に辞めた奴。非常にナマイキな奴だったな。名前はもう忘れたが」
「あ・・・」
「今もいるのか?」
「い、いますが・・・たしかにへへ、ナマイキですかね!」
「あれは気に入らん。関連病院になるなら、ちょっとハンデだな」
「いっ?」
「だが・・前向きに検討しよう」
「ありがたきしあわせでございます!」
どうしてもイエスマンに徹してしまう事務長のつらさであった。
いかんせん、文書の数が多すぎる。探しているのはあくまでも「専門医用文書」という項目だ。
「実験用・・・・学会発表用・・・・違うな。これも・・・」
開いて、さらに開いて・・・。作業は困難を極めた。
「トシキ。早く来いよ・・・!」
「どちらさまですか?」
レジデントが1人、やってきた。スーツ姿の僕は固まった。
「ぼ、僕?」
「そうですよ。あなたです」
「ぼぼ・・・僕はここの医局の」
「医局員?」
「外の病院から、近々ここへ戻ってくる。6年目」
「は!そうでありましたか!」
イエスマンはいきなり態度が豹変した。
「で、では今後ともよろしくお願いいたします!。ザッキーです」
「うん。いいだろう!ザッキーくんね!覚えておいてやろう!」
僕も豹変した。
この男を利用しない手はない。
「すまないが。自分はパソコンにうとくてね」
「は!マックのほうでしょうか!」
「探してるファイルがあるんだが」
「では私が!」
彼は隣のパソコンのイスを引っ張ってきた。
「キーワードで探します!」
「なるほど。では・・・<専門医症例>で検索を」
「はい!へえ・・先生。6年目でもう専門医取得ですか!」
「に、認定医はとっとと取ったしね。ニンニン!」
「すごい・・見習わせていただきます!」
さすだがなトシキ・・僕も見習わせていただきマンモス!
事務長は教授室の扉を叩いた。
「どうぞ」
「失礼します!」
事務長はゆっくりカーペットの部屋に入った。外の世界とは別世界だ。
荘厳な雰囲気が支配する。額縁には価値のあるであろう絵画が何枚も。白黒写真の拡大額縁。歴代の偉人のようだ。
「お待ちしてましたよ」
教授はノートパソコンをゆっくりとたたんだ。
「真田病院、事務長の品川です!日頃より、大変お世話になっております!」
彼は深々と礼をした。
「うむ。ま、かけたまえ」
「はい」
教授はソファへと歩き、お互い座って向かい合った。
「事務長さん。どうですか、病院は?」
「はっ。半年前に本院が潰れてからも依然、こちらは苦しい経営が続いておりますけども・・」
「ふむ」
「少しずつ、建て直しの方向に向かっております!」
「病院の名前も変えたほうがいいのではないかな?はっは」
「け、検討しておるところでございます!」
「刑務所に入っている男の名前を未だ使っているとはな・・はっはは!」
教授は事務長の持っているメモをパッと抜き取った。
「用件は・・電話の通りか?」
「ええ」
「医局員を今後定期的に若干名差し向けて欲しい、ということと・・」
「はい。来年以降で検討していただければ、有難いです。で、今後できましたら、近々始まるスーパーローテートを含め、関連病院の1つとしての位置づけを与えてくだされば・・」
事務長はいきなり要点を切り出した。
「関連病院か。うちもジッツは多いが、確かに飽和状態だ」
「・・・・・」
「最近はネットの普及で情報のやり取りが早い。最近までは関連病院の多さを売りにしていた我が医局だが。そういう事実もあちこちに伝わってしまってなあ。いかんいかん」
「そうでございますか・・・」
「うむ。なので医局員も減ってきておる」
「・・・・・」
「君の病院にも何人か取られたし」
「もも!申し訳ありません!」
「半年前に辞めた奴。非常にナマイキな奴だったな。名前はもう忘れたが」
「あ・・・」
「今もいるのか?」
「い、いますが・・・たしかにへへ、ナマイキですかね!」
「あれは気に入らん。関連病院になるなら、ちょっとハンデだな」
「いっ?」
「だが・・前向きに検討しよう」
「ありがたきしあわせでございます!」
どうしてもイエスマンに徹してしまう事務長のつらさであった。
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