2NDLINE 14
2005年6月29日車はまさに渋滞に巻き込まれていた。車は左側。なかなか
追い越し車線に入れない。
「あれが島先生っていうんですか。怖い顔だったな・・」
事務長はクラクションを鳴らしつつ前方を覗き込んだ。
「あの振り向いた顔が忘れられませんな。♪ふりむくだ〜けで、あな〜た!」
「ほらほら、始まったぞ!」
僕は体を沈めていた。トシキは寝ている。
「♪つみなおと〜こ!シャンシャンシャンシャン」
「♪いのちをもや〜して〜」僕も続いた。
「♪おどれば」
「(2人同時)♪たんご!(間)たんご!」
「うるさいなあ・・」トシキは眠りから呼び覚まされた。
事務長は続ける。
「♪あいしただあけで、わたし!ダメ!(>)こわれてゆく・・・」
「♪シャンシャンシャンシャン」
「♪のけぞる!胸元!」
「(2人同時)くちづれられタンゴノアアアアアアアアアアアアア!」
「やめてくれ!」
トシキがとうとう怒った。
「うーん・・・うーん」
事務長は困っていた。
「いっそ、左の道に入りたいなあ」
彼は左を同じ向きに走っている一般道の車を指差した。
気持ちよく、スイスイと流れている。
「今日の高速道路、ハズレでしたね」
「この左の壁を飛び越えてくれよ。せいぜい1メートルぐらいだろ」
僕はシートを傾かせていた。
「一般道を選ぶべきだったな」
「一般道はイヤですよ。信号があるから」
「信号に身を任せたほうが、楽な人生もあるよ。な、トシキ!」
「・・・はい?」
彼はどうやらまた眠っていたようだ。
「楽な・・・ラクナ梗塞?」
「もうええ!」
事務長はハンドルから手を放した。
「先生方も、けっこうお金、たまったでしょう?」
「なんだよ急に・・」
僕は悪い気はしなかった。
「この不況の中、先生方はまさにバブリーボブリーですよね」
「病気を診て慢性過労で、バブリーだと思われたくはないなあ」
「でもバブリーだから、病気が診れてるんでしょうが?」
「皮肉かよ。どうも気になってしようがない」
「なにが?」
「こういう話題になったときの、お前のセリフだよ。金・金・金!」
「だってそうじゃないですか!世の中!」
トシキが首運動をして、座りなおした。
「金で解決できるものはない・・・ですか?」
「そうそう!こいつの口癖!」
「だって、そうでしょうが?みなさん!」
事務長はアクセルだけ操作していた。
「例をあげましょうか?ユウキ先生らがうつつを抜かしてる、アイドル」
「抜かしてないよ!」
「抜いてる?」
「アホか!」
「でね。アイドルとか歌手とかいるじゃないですか。彼らの資金源はどこから出てます?」
「事務とかプロダクションだろ?」
「事務所の背後に、いろんな企業があるんですよ」
「スポンサー?」
「ま、聞こえはいいですけどね。いろんな組織がからんでるんです」
「組織?」
「宗教団体、政治団体、暴力団・・・いわば不況をものともしない団体の連中です」
「そんなとんでもない奴らがバックアップしてんの?」
「そうですよ。彼らの資金なくして、メディアは成り立たないんです」
「じゃあなんだ?俺らはそんな組織のためにCD買ったりテレビ見たりしてるのか?」
「そういうこと」
「俺。アイドルにならなくてよかったな・・・」
渋滞はようやく前に進み出した。事務長は話を続けた。
「病院も似てますよね」
「病院のバックも、そうなのか?」
「うちは違いますが」
「そういや、うちのスポンサーはどこ?」
「言えません」
「グリコ?マクドナルド?」
「言えませんってのに」
「まさか、どっかの暴力団じゃないだろな!この前みたいな!」
「あ!あれは!草波氏の団体でしょうが!」
「まったくあの野郎。名前、いろいろ変えやがって!」
トシキはふと何か気づいた。
「最近、M&Aが流行なんだろう?事務長」
「ええ。それもあるようで」
「病院とは全く無縁の企業が乗っ取り、それを売りつける」
「そうなんです。真珠会は、その<買い手>側にあるんです」
「真珠会が近くに越してくるのは本当?」
「そのようですね。来年・・」
病院 対 病院 の図式か。最近は病院も、生き残り作戦だ。
「さ。シローは頑張ってるかな?」
僕は街を眺めた。
「トシキ。シローは1人立ちできるか?」
「心カテ、気管支鏡、ともに要介護です」
「見守りが、必要か・・・火の不始末はない?」
全くウケなかった。奥が深すぎた?
追い越し車線に入れない。
「あれが島先生っていうんですか。怖い顔だったな・・」
事務長はクラクションを鳴らしつつ前方を覗き込んだ。
「あの振り向いた顔が忘れられませんな。♪ふりむくだ〜けで、あな〜た!」
「ほらほら、始まったぞ!」
僕は体を沈めていた。トシキは寝ている。
「♪つみなおと〜こ!シャンシャンシャンシャン」
「♪いのちをもや〜して〜」僕も続いた。
「♪おどれば」
「(2人同時)♪たんご!(間)たんご!」
「うるさいなあ・・」トシキは眠りから呼び覚まされた。
事務長は続ける。
「♪あいしただあけで、わたし!ダメ!(>)こわれてゆく・・・」
「♪シャンシャンシャンシャン」
「♪のけぞる!胸元!」
「(2人同時)くちづれられタンゴノアアアアアアアアアアアアア!」
「やめてくれ!」
トシキがとうとう怒った。
「うーん・・・うーん」
事務長は困っていた。
「いっそ、左の道に入りたいなあ」
彼は左を同じ向きに走っている一般道の車を指差した。
気持ちよく、スイスイと流れている。
「今日の高速道路、ハズレでしたね」
「この左の壁を飛び越えてくれよ。せいぜい1メートルぐらいだろ」
僕はシートを傾かせていた。
「一般道を選ぶべきだったな」
「一般道はイヤですよ。信号があるから」
「信号に身を任せたほうが、楽な人生もあるよ。な、トシキ!」
「・・・はい?」
彼はどうやらまた眠っていたようだ。
「楽な・・・ラクナ梗塞?」
「もうええ!」
事務長はハンドルから手を放した。
「先生方も、けっこうお金、たまったでしょう?」
「なんだよ急に・・」
僕は悪い気はしなかった。
「この不況の中、先生方はまさにバブリーボブリーですよね」
「病気を診て慢性過労で、バブリーだと思われたくはないなあ」
「でもバブリーだから、病気が診れてるんでしょうが?」
「皮肉かよ。どうも気になってしようがない」
「なにが?」
「こういう話題になったときの、お前のセリフだよ。金・金・金!」
「だってそうじゃないですか!世の中!」
トシキが首運動をして、座りなおした。
「金で解決できるものはない・・・ですか?」
「そうそう!こいつの口癖!」
「だって、そうでしょうが?みなさん!」
事務長はアクセルだけ操作していた。
「例をあげましょうか?ユウキ先生らがうつつを抜かしてる、アイドル」
「抜かしてないよ!」
「抜いてる?」
「アホか!」
「でね。アイドルとか歌手とかいるじゃないですか。彼らの資金源はどこから出てます?」
「事務とかプロダクションだろ?」
「事務所の背後に、いろんな企業があるんですよ」
「スポンサー?」
「ま、聞こえはいいですけどね。いろんな組織がからんでるんです」
「組織?」
「宗教団体、政治団体、暴力団・・・いわば不況をものともしない団体の連中です」
「そんなとんでもない奴らがバックアップしてんの?」
「そうですよ。彼らの資金なくして、メディアは成り立たないんです」
「じゃあなんだ?俺らはそんな組織のためにCD買ったりテレビ見たりしてるのか?」
「そういうこと」
「俺。アイドルにならなくてよかったな・・・」
渋滞はようやく前に進み出した。事務長は話を続けた。
「病院も似てますよね」
「病院のバックも、そうなのか?」
「うちは違いますが」
「そういや、うちのスポンサーはどこ?」
「言えません」
「グリコ?マクドナルド?」
「言えませんってのに」
「まさか、どっかの暴力団じゃないだろな!この前みたいな!」
「あ!あれは!草波氏の団体でしょうが!」
「まったくあの野郎。名前、いろいろ変えやがって!」
トシキはふと何か気づいた。
「最近、M&Aが流行なんだろう?事務長」
「ええ。それもあるようで」
「病院とは全く無縁の企業が乗っ取り、それを売りつける」
「そうなんです。真珠会は、その<買い手>側にあるんです」
「真珠会が近くに越してくるのは本当?」
「そのようですね。来年・・」
病院 対 病院 の図式か。最近は病院も、生き残り作戦だ。
「さ。シローは頑張ってるかな?」
僕は街を眺めた。
「トシキ。シローは1人立ちできるか?」
「心カテ、気管支鏡、ともに要介護です」
「見守りが、必要か・・・火の不始末はない?」
全くウケなかった。奥が深すぎた?
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