2NDLINE 21
2005年6月29日「病棟、上がるよ!」
「待って、先生!」
外来ナースが追いかけてきた。
「検査結果待ちが5人います」
「そろったら呼んで!」
「5分間隔で結果が揃うかと・・」
「そんな、いちいち外来へ戻れないよ。まとめて!」
僕は病棟へ上がった。
重症病棟でミチルは待っていた。
「あ、来たな!ユウキ先生!」
「ミチルさん。おはよう」
「こんにちは。もう2時ですよ」
「報告は?」
「とりあえずトシキ先生にいろいろしていただきましたが」
「今日は、僕が手を抜ける曜日だからね」
「それは私たちは知る由もないですけど・・」
「で?」
「重症患者、うち2人が依然高熱」
「抗生剤を昨日変えたとこだ」
「様子見?」
「明日の結果で評価する」
「高熱時はクーリングのみ?」
「そう。冷やすだけ。1人は喘息。できれば使いたくない。もう1人は以前に腎不全になりかけた」
「グロブリン製剤を足すとかの指摘がありましたけど」
「2人とも抗生剤は4世代。保険上、使えないよ」
「はいはい!あ!待って!」
僕は廊下へ出ようとしていた。
「なに?」
「大腸癌の肺転移の患者さん・・」
「共診の?」
「トドロキ先生は、今後は胸部内科で診てくれと」
「ダメだよ。本来はあいつらが診始めた患者だ」
「ですが、今は心不全と肺炎が主体で」
「その発見が遅れたのも、奴らが原因だろ?」
「原因は癌でしょう?」
「奴らだってな・・・まあいい!」
僕はふんぞり返るように、カルテを奪った。
「こんなんじゃあ、あいつら同じ過ちを繰り返すよ」
「先生。お願いよ。先生同士、仲良くして!」
「それは・・言うな!」
「迷惑をこうむるのは、患者さんなのよ!」
「うるさいんだよ!大声で言うな!」
僕は廊下へ出て行った。
また引き返した。
「いいか!絶対に!言うなよ!」
しまった。またイライラが・・。
僕は病室へ。
「はー・・・」
ミチルはうつむいた。
「ミチル。大丈夫?」
同僚のナースが肩をトンとたたいた。
「あの件、まだ根に持ってるのよ・・」
「あの件?」
「ユウキ先生が引っ張ってきた患者さんたちの・・」
「心不全の患者さんのこと?」
「キンキらが主治医になって・・すぐ亡くなったのよね」
「心不全なのに、消化器グループが診たのよね」
「シロー先生が断ったからよ。あまりにも患者数が多いから」
僕は部屋を回り終わり、医局へと上がっていった。
「よう、みんな!」
ソファーでみんなだべっている。
「ヒルメシは?食べた?」
僕はドカッと腰掛けた。
「ユウキ先生のは頼みました。のり弁でしょう?」
「そ!」
「いつもそれですから。あーあ!」
シローはソファに埋もれるように座った。
「もう、体がもちませんよ!」
しばらく沈黙。
キンキの2人は僕ら3人と向かい合ってる。
「医長。医長!」
トドロキ元医長がトシキを呼んだ。
「うん?」
「眠いところを失礼。心エコー当番は、いつさせてもらえるんだ?」
「オレからの合格通知が出てからだ」
「偉そうに。とりあえず、長軸・短軸はわかったぜ」
「アシナジーの評価がまるでなってない。任せられない」
トシキはズバッと言い放った。
「心臓の壁の動きか?あれは、それを基準にして覚えればいいんだ?スコアとかないのか?客観的なものが何か」
トドロキは突っ込んだ。
「そんな甘えた基準はない。経験、症例の数がすべてだ」
「胃カメラだってそうだ。お前らの胃カメラだって、見れたもんじゃない」
「俺たちはきちんとした内視鏡専門医に教わってる」
「専門医なら俺も持ってるぜ」
「ペーパー試験でもらえる資格だけなら、誰だって取れるだろ?」
「ほざくな!」
相変わらず僕らの仲は悪かった。
「待って、先生!」
外来ナースが追いかけてきた。
「検査結果待ちが5人います」
「そろったら呼んで!」
「5分間隔で結果が揃うかと・・」
「そんな、いちいち外来へ戻れないよ。まとめて!」
僕は病棟へ上がった。
重症病棟でミチルは待っていた。
「あ、来たな!ユウキ先生!」
「ミチルさん。おはよう」
「こんにちは。もう2時ですよ」
「報告は?」
「とりあえずトシキ先生にいろいろしていただきましたが」
「今日は、僕が手を抜ける曜日だからね」
「それは私たちは知る由もないですけど・・」
「で?」
「重症患者、うち2人が依然高熱」
「抗生剤を昨日変えたとこだ」
「様子見?」
「明日の結果で評価する」
「高熱時はクーリングのみ?」
「そう。冷やすだけ。1人は喘息。できれば使いたくない。もう1人は以前に腎不全になりかけた」
「グロブリン製剤を足すとかの指摘がありましたけど」
「2人とも抗生剤は4世代。保険上、使えないよ」
「はいはい!あ!待って!」
僕は廊下へ出ようとしていた。
「なに?」
「大腸癌の肺転移の患者さん・・」
「共診の?」
「トドロキ先生は、今後は胸部内科で診てくれと」
「ダメだよ。本来はあいつらが診始めた患者だ」
「ですが、今は心不全と肺炎が主体で」
「その発見が遅れたのも、奴らが原因だろ?」
「原因は癌でしょう?」
「奴らだってな・・・まあいい!」
僕はふんぞり返るように、カルテを奪った。
「こんなんじゃあ、あいつら同じ過ちを繰り返すよ」
「先生。お願いよ。先生同士、仲良くして!」
「それは・・言うな!」
「迷惑をこうむるのは、患者さんなのよ!」
「うるさいんだよ!大声で言うな!」
僕は廊下へ出て行った。
また引き返した。
「いいか!絶対に!言うなよ!」
しまった。またイライラが・・。
僕は病室へ。
「はー・・・」
ミチルはうつむいた。
「ミチル。大丈夫?」
同僚のナースが肩をトンとたたいた。
「あの件、まだ根に持ってるのよ・・」
「あの件?」
「ユウキ先生が引っ張ってきた患者さんたちの・・」
「心不全の患者さんのこと?」
「キンキらが主治医になって・・すぐ亡くなったのよね」
「心不全なのに、消化器グループが診たのよね」
「シロー先生が断ったからよ。あまりにも患者数が多いから」
僕は部屋を回り終わり、医局へと上がっていった。
「よう、みんな!」
ソファーでみんなだべっている。
「ヒルメシは?食べた?」
僕はドカッと腰掛けた。
「ユウキ先生のは頼みました。のり弁でしょう?」
「そ!」
「いつもそれですから。あーあ!」
シローはソファに埋もれるように座った。
「もう、体がもちませんよ!」
しばらく沈黙。
キンキの2人は僕ら3人と向かい合ってる。
「医長。医長!」
トドロキ元医長がトシキを呼んだ。
「うん?」
「眠いところを失礼。心エコー当番は、いつさせてもらえるんだ?」
「オレからの合格通知が出てからだ」
「偉そうに。とりあえず、長軸・短軸はわかったぜ」
「アシナジーの評価がまるでなってない。任せられない」
トシキはズバッと言い放った。
「心臓の壁の動きか?あれは、それを基準にして覚えればいいんだ?スコアとかないのか?客観的なものが何か」
トドロキは突っ込んだ。
「そんな甘えた基準はない。経験、症例の数がすべてだ」
「胃カメラだってそうだ。お前らの胃カメラだって、見れたもんじゃない」
「俺たちはきちんとした内視鏡専門医に教わってる」
「専門医なら俺も持ってるぜ」
「ペーパー試験でもらえる資格だけなら、誰だって取れるだろ?」
「ほざくな!」
相変わらず僕らの仲は悪かった。
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