2NDLINE 28
2005年6月30日その視線は病棟医長を凍らせた。
配慮とも取れるし、軽蔑とも取れる。無表情は捉え方次第だ。
「うう・・・」
島の額に汗が噴き出した。
事務長は正座のまま見上げている。
「う・・・じゃあ、こ、今回かぎりだぞ」
「あ、ありがとうございます!」
事務長は鼻をすすりながらお辞儀した。
「私が先導します。立ってください」
ザッキーは手を差し伸ばし、ゆっくり起こした。
「では!こちらへ!」
出て行く間際、事務長は振り向いた。
「これで終わったと思うなよ!」
不気味な微笑は、なぜか島を凍らせた。
廊下を走りながら、ザッキーは話しかける。
「あれでよかったでしょうか?品川さん!」
「じゅ、十分!」
「新しい職場では、お願いいたします!」
「ユウキ先生へのご指導ありがとう!」
「僕がいなかったら、MOは手に入りませんでしたよ!」
事務長は医局員の内部の人間を1人、すでに釣っていたのだ。
彼らは病棟に到着した。
「これです!」
サッ、と覆いを外すと人工呼吸器のLTVが現れた。
「これは軽いので、事務長の車でも運べます!」
ザッキーはポンポンと機械の表面パネルを叩いた。
呼吸器の後ろには点滴台のような形状で、車輪がついている。
「うちもこういう呼吸器、買わなきゃな・・」
「真田病院に、僕も早く引っ越したいです!」
「わかってます。待遇面は任せてちょうだい!」
「まだ何人か、根回ししときます」
「頼みます。では・・今すぐ、借りますね!」
彼は1人でズルズル呼吸器を引っ張り、エレベーターへ。
チンと開くと、1階には大勢の白衣たち。みな大騒ぎ中のようだ。
「どいてどいて!呼吸器が通る!」
事務長は息を切らしながら、呼吸器をガラガラ前へ進めた。
車へ到着するなり、携帯を鳴らした。
高速道路ではベンツ2台が徐行運転中。
雄たけびのようなクラクションが鳴り響き、前方の車は次々と進路をゆずる。
元レース・ドライバーは混雑した高速を、縫うようにジグザグ旋回していた。サングラスした男が携帯を取る。
『事務長だ。レースドライバーさん!順調か?』
「・・・任せろ。もう着く」
『呼吸器はなんとか車に乗せた』
「報酬は大丈夫なんだろな?」
『ああ。とっくに振り込んだ』
「切る。運転の邪魔だ」
ベンツ2台は高速道路出口を斜めに降りはじめた。
事務長は大学病院駐車場でキーをまわした。
「レーサーくずれが・・!」
リンカーンは大きく吼え、マフラーから火炎が勢いよく噴射された。
配慮とも取れるし、軽蔑とも取れる。無表情は捉え方次第だ。
「うう・・・」
島の額に汗が噴き出した。
事務長は正座のまま見上げている。
「う・・・じゃあ、こ、今回かぎりだぞ」
「あ、ありがとうございます!」
事務長は鼻をすすりながらお辞儀した。
「私が先導します。立ってください」
ザッキーは手を差し伸ばし、ゆっくり起こした。
「では!こちらへ!」
出て行く間際、事務長は振り向いた。
「これで終わったと思うなよ!」
不気味な微笑は、なぜか島を凍らせた。
廊下を走りながら、ザッキーは話しかける。
「あれでよかったでしょうか?品川さん!」
「じゅ、十分!」
「新しい職場では、お願いいたします!」
「ユウキ先生へのご指導ありがとう!」
「僕がいなかったら、MOは手に入りませんでしたよ!」
事務長は医局員の内部の人間を1人、すでに釣っていたのだ。
彼らは病棟に到着した。
「これです!」
サッ、と覆いを外すと人工呼吸器のLTVが現れた。
「これは軽いので、事務長の車でも運べます!」
ザッキーはポンポンと機械の表面パネルを叩いた。
呼吸器の後ろには点滴台のような形状で、車輪がついている。
「うちもこういう呼吸器、買わなきゃな・・」
「真田病院に、僕も早く引っ越したいです!」
「わかってます。待遇面は任せてちょうだい!」
「まだ何人か、根回ししときます」
「頼みます。では・・今すぐ、借りますね!」
彼は1人でズルズル呼吸器を引っ張り、エレベーターへ。
チンと開くと、1階には大勢の白衣たち。みな大騒ぎ中のようだ。
「どいてどいて!呼吸器が通る!」
事務長は息を切らしながら、呼吸器をガラガラ前へ進めた。
車へ到着するなり、携帯を鳴らした。
高速道路ではベンツ2台が徐行運転中。
雄たけびのようなクラクションが鳴り響き、前方の車は次々と進路をゆずる。
元レース・ドライバーは混雑した高速を、縫うようにジグザグ旋回していた。サングラスした男が携帯を取る。
『事務長だ。レースドライバーさん!順調か?』
「・・・任せろ。もう着く」
『呼吸器はなんとか車に乗せた』
「報酬は大丈夫なんだろな?」
『ああ。とっくに振り込んだ』
「切る。運転の邪魔だ」
ベンツ2台は高速道路出口を斜めに降りはじめた。
事務長は大学病院駐車場でキーをまわした。
「レーサーくずれが・・!」
リンカーンは大きく吼え、マフラーから火炎が勢いよく噴射された。
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