2NDLINE  35

2005年6月30日
国道でドクターズ・カーが未だ待機中。

「業者の奴。連絡つかねえぞおい!」
助手席のピートはとうとうシビレを切らした。
「ああ、痛かった!しょうどくしょうどく!」
バアサンは後ろに座っている。

「バアサン。処置代の金はまた今度病院に来てからでいいから。とりあえず降りてくれるかな?」
「麻酔科の先生やったら、痛みを感じさせんもんちゃうんか!」
「メチャクチャだな・・さ、降りて!」
ピートは外から無理やりバアサンを引きずり降ろした。

「すまんな。バアサンよ!」
「初詣の寺に遅れる!」
「ゆっくり歩けよ!」
「これで乗せてってもらえんかな?」
「無理だ!」
「わし、待つから!」
「あのな!」
「わかったもうええ!警察に言うたる!」
バアサンはプンプン怒って戻っていった。

「業者とレーサーのやつ、遅いな・・こうなりゃ、業者の支社に直接電話だぜ!」

彼は大阪支社に電話を入れた。

『大阪支社です』
「あんたんとこの呼吸器扱う業者がよ!いったいぜんたい!」
『おつなぎします』
「・・・・・」

業者のオジサンが出た。
『もしもし。申し訳ありません!』
「こっちは待ってるんだぜ?どうなってる?」
『向かっておりましたトラックが、途中事故に遭いまして。物凄く速い2台の車に囲まれたらしくて』
「事故?・・・で?」
『軽症ですんだとのことで』
「ケッ!トーシローがあ!てめえんとこの社員じゃねえよ!呼吸器のほう!」
『トラックが動けない状態でして。したがって呼吸器の到着はかなり・・』
「かなりっておい!もう0時になるんだぜ!」
『そうでございますか』
「俺は麻酔科のドクターなんだぜ?あまり舐めたマネしやがったら、おたくとの取引をやめてもいいんだぜ!」
『はあああ!それだけは!』

ピートは麻酔科のパシリで、そんな権限はない。

キャッチが入ったもよう。

「もしもし?」
『品川だ。ピート!助けてくれ!』
「こっちを先に助けてほしいな!変なバアサンが現れるし!」
『高速道路が混んでてな!』

ピートはニヤついた。

「何やってんの?また女遊びかよ?事務長さん。ミチルと
デートしたんだろ?彼女のダチが喋ったぜ!」
『なにい?誰だそいつは?クビだ!』
「で?今度はもう別の女とデートか?デート三昧だな!」
『違う違う。大学から呼吸器を1台借りたんだ!それがその・・でもそっちは業者が着かないんだって?』
「おれっちもガックリだぜ!」
『ここまで来てくれないか?出口までもうそこなんだ!』
「ここって、どこ?」
『高速と一般道が併走してる・・船場センタービルが近い』
「なんだ。オレのマンションの近くだ。それなら話が早いぜ!」

すぐ近くだと分かったピートは、人ごみにクラクションを流しながら、高速道路の入り口に向かった。

詳しい事情も気にしない彼の血液型は、B型だった。

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