2NDLINE  46

2005年7月1日
病棟。

「どうなってるんだ!」
シローは頭を抱えた。
「これじゃあ、患者さんに多大な迷惑が・・・」
「ミチルさん、代わってくれ!」
疲れたトシキはアンビューをミチルに渡した。

「お・・・俺も」
トドロキ元医長が現れた。どういう風の吹き回しなのか。

「みんな疲れて、あまり力が入ってないような気がする。だから俺が・・」
「いいのか?トドロキ・・」
トシキはしばらく彼を見つめていたが、やがて柔和な表情に変わった。

「ではトドロキ先生・・・頼みます」
「ありがとう」
彼が礼をするのは初めてだった。
「オレは・・」

「呼吸器がもう来る!」
田中事務員が走ってきた。
「駐車場に来るよ!」

大勢が病棟の窓から外をのぞいた。

僕と事務長は息を切らしながら、駐車場のスペースに入った。
事務長は歌い続ける。

「♪はしる〜はしる〜!おれ〜た〜ち!」
「♪ながれ〜る汗もそのま、ま〜に!」
「♪ことば〜もない〜、おれ〜たち!」
「♪ひどく〜あつかったひの」
「♪あさだ〜ち!」
「夕立ちだろ?」

僕らは台車ごと、玄関に突っ込んだ。

病棟の連中は上から拍手を送った。

みな安堵の表情だ。ミチルはヘナヘナと床に座った。
トドロキはちと上目遣いで、トシキを見やった。

「トシキ医長」
「え?」
「これからオレは、心を・・心を入れ替えて、そして」
「いや、もうそれは・・」
トシキはうなだれた彼の背中を押した。
「これからうまくやろう。それでいい」

ミチルとシローはもらい泣きしていた。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索