2NDLINE  47

2005年7月1日
僕は台車を病棟まで運んできた。
「サイジョウくんサイジョウくん!これこれ!」

みんな拍手で出迎えた。

台車の上には呼吸器と事務長。

「なに?血だらけ?」
ミチルは事務長を見て驚いた。

「どうして?うそ?」
「暴走族とケンカしてね。なんとか僕が倒した」
「ウソつけ!」
僕はそう言いながら、呼吸器をセッティングした。
「接続する!」

呼吸器は無事、駆動を開始した。
「これでやっと、二酸化炭素が飛ばせる(減らせる)」
僕らはみな拍手した。

家族が入ってきた。また孫たちが群がってくる。家族はみな感謝でむせび泣く。

僕は悠々と廊下へ出て行った。

「とおせんぼ!」
孫の1人が通せんぼした。5歳くらいか。
「通るな!」
「マジ?通してよ・・」
「通らさん!」
「疲れてんだ!」
「お前らホントは悪人!」

困ったな・・。しゃれになっとらん。

僕は台車を持ってきた。

「ほら。乗れよ!」
孫は喜んで台車に乗った。そのままエレベーターへ。

「じゃ、今年もよろしく」
僕は頭を下げ、1階ボタンを押した。
「おい、まて・・!」
エレベーターは閉まった。

「ユウキ」
後ろにトドロキが立っていた。
「トドロキ?」
「す、すまん・・?」
「なにを?」
僕は知らない振りをしたが、彼の表情から読み取った。

「新年・・・いや、21世紀、おめでとう!」
「それは来年だろ?」彼は指摘した。
「あ、そっか・・ハハ」

事務員、ナースらは1人ずつ手袋・マスクを外し、ゆっくり部屋を出て行った。

シローは家族に再び説明を始めた。

「どうしたんだ?あの先生」
事務長はトドロキを廊下で見送った。

僕は事務長に近づいた。
「どうしてかは分からんが。あの目はホンモノだった」
「気がある?」
「スカタン!」

「いけね!外来をやらないと!」
僕はダッシュで外来まで走っていった。
「シロー!お疲れさん!」

シローは業務が終わり、私服で病院を出るところだった。
「先輩!今年もよろしくお願いします!」

♪ 天球儀が “2000”を象ったウィンドウ 
  足元にこぼれる まぶしい星
  いつもの冬と みんな少し違う顔してるのは なぜ?

「疲れてるからだよ!スカポン!」
シローは上機嫌だ。

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