サンダル2 ? 閾値
2005年9月21日すると誰かの携帯がピロリロリ〜!と鳴った。
「うわ!あたしの!」
ビックリして飛び起きた若いナースは、あわてて背中のイスにかけたカバンをまさぐった。
「あれあれ!うそどこ?」
トシキは神妙にうつむいた。
「携帯くらい、切っとけ!」
彼の怒りは爆発した。
「常識がないな!ここの病棟は!」
彼はホワイトボードの字を消した。
「みんなが医療の最新統計を知りたいっていうから、僕は準備したんだ!こんな態度!」
シーンとあたりが静まった。
「勉強会に気をぬくってことは、それだけ日頃身が入ってないってことだと思う!」
沈黙が続く。
「自分への甘えは、やがて医療ミスなどの形になってふりかかる!」
すごいこと言うな・・。こうなるとこの男は歯止めが効かない。
「無知であることは罪なんだ!」
僕がつい昨日、学生に言った言葉だ。案の定、後ろから指でわき腹を突付いてきた。
「てて・・やめろよ」
なおも突付いてくる。
「やめやめ・・くく、こそばい」
「くく・・(笑)」
「やめ・・やめ」
「・・・・(笑)」
「やめってんのに!もう!」
振り向いて手を握ると、それは若いナース(医局人気No.1)の指だった。
「は、はうわ!ごご、ごめん!」
「ああ・・・ああ・・・」
21そこそこの美しい彼女は思いっきり手を握られ、赤面していた。
トシキは僕を見下ろした。
「もう先生まで。やめてください」
「トシキ。な、今日はま、これぐらいで」
僕も慌てて意味不明にしゃべった。
トシキの機嫌は直らず、1秒おきに足踏み。
そこにタイミング悪く、MRが現れた。
「ちわ!これ誕生日の!あれ!」
しかもケーキを持って現れた。たぶんお気に入りナースへのプレゼントだろう。
「出ろ!」
トシキが吼えた。あんな冷静な男が。でも昨日もキレてたな。
MRは泣きそうになりながら姿を消した。
「今日はもうここまで!あとは各自!」
気まずい雰囲気が漂う。
彼はカバンを抱え、出ようとした。
「来週、確認のテストをする!8割以下は再試験!」
みな、ざわめいた。
「勉強会は漫然とやるものじゃない!」
言い残し、彼は去っていった。
ナースらの視線はミチル婦長に注がれた。
「トシキ先生、怒ったわよ・・・あのめったに怒らない先生が!」
「おいおい、誰か機嫌取りに行かせろよ!あいつ怒ったら・・」
みんなゴクリと唾を飲み込んだ。
「怒ったら・・泣くんだぞ!」
僕らドクターは爆笑した。本当の話なのだ。たぶん今頃、どっかで泣いていると思う。
しかし婦長は深刻だった。今後の予後につながる。
「許してくれるかしら・・」
「今頃、どっか引きこもりに行ってるよ。慰めを待ってると思う」
「そうなの?」
「頭を下げたら、ああいうタイプはすぐ許してくれるさ。な!」
僕は学生の肩をたたいた。
「みなさんも、聞かない勉強会だったらしなければいいのに・・・トシキ先生が可愛そうです!」
学生の声1つで、皆さらなるどん底へ叩き落された。
僕は彼の手を引っ張り、詰所へ出た。
「いたたた!何するんですか!」
「ええから来い!ええから!もうお前!だるだるもええとこだよ!」
とりあえず僕らは医局へ戻った。
「それにしてもアイツ、よくもまあこんな資料を・・」
僕は関心しながら読んでいた。英語の論文をすべて掲載、和訳も
している。
「ただ、要約してくれないと困るよな・・だるぅ」
シローは赤線を引きながら食べかけをまた食べ始めた。
「トシキ先生のまとめたものを、また要約してまとめてみます」
「いつも悪いな」
僕はシローに感謝した。
「でもユウキ先生、うまく手、握りましたね」
シローがうらめしそうに笑った。
「ちち、ちがわい!オレは学生だと思って・・そんで」
「その手、洗わないんじゃないですか?」
「そそ、そんなわけない!ましてや変なことになんか、なあ北野くん!」
僕は学生を見上げた。
「そんな趣味、僕にはありません」
うちの医局の資料は、こうやって出来上がっていく。
・・・だる(5分、昼寝)。
「うわ!あたしの!」
ビックリして飛び起きた若いナースは、あわてて背中のイスにかけたカバンをまさぐった。
「あれあれ!うそどこ?」
トシキは神妙にうつむいた。
「携帯くらい、切っとけ!」
彼の怒りは爆発した。
「常識がないな!ここの病棟は!」
彼はホワイトボードの字を消した。
「みんなが医療の最新統計を知りたいっていうから、僕は準備したんだ!こんな態度!」
シーンとあたりが静まった。
「勉強会に気をぬくってことは、それだけ日頃身が入ってないってことだと思う!」
沈黙が続く。
「自分への甘えは、やがて医療ミスなどの形になってふりかかる!」
すごいこと言うな・・。こうなるとこの男は歯止めが効かない。
「無知であることは罪なんだ!」
僕がつい昨日、学生に言った言葉だ。案の定、後ろから指でわき腹を突付いてきた。
「てて・・やめろよ」
なおも突付いてくる。
「やめやめ・・くく、こそばい」
「くく・・(笑)」
「やめ・・やめ」
「・・・・(笑)」
「やめってんのに!もう!」
振り向いて手を握ると、それは若いナース(医局人気No.1)の指だった。
「は、はうわ!ごご、ごめん!」
「ああ・・・ああ・・・」
21そこそこの美しい彼女は思いっきり手を握られ、赤面していた。
トシキは僕を見下ろした。
「もう先生まで。やめてください」
「トシキ。な、今日はま、これぐらいで」
僕も慌てて意味不明にしゃべった。
トシキの機嫌は直らず、1秒おきに足踏み。
そこにタイミング悪く、MRが現れた。
「ちわ!これ誕生日の!あれ!」
しかもケーキを持って現れた。たぶんお気に入りナースへのプレゼントだろう。
「出ろ!」
トシキが吼えた。あんな冷静な男が。でも昨日もキレてたな。
MRは泣きそうになりながら姿を消した。
「今日はもうここまで!あとは各自!」
気まずい雰囲気が漂う。
彼はカバンを抱え、出ようとした。
「来週、確認のテストをする!8割以下は再試験!」
みな、ざわめいた。
「勉強会は漫然とやるものじゃない!」
言い残し、彼は去っていった。
ナースらの視線はミチル婦長に注がれた。
「トシキ先生、怒ったわよ・・・あのめったに怒らない先生が!」
「おいおい、誰か機嫌取りに行かせろよ!あいつ怒ったら・・」
みんなゴクリと唾を飲み込んだ。
「怒ったら・・泣くんだぞ!」
僕らドクターは爆笑した。本当の話なのだ。たぶん今頃、どっかで泣いていると思う。
しかし婦長は深刻だった。今後の予後につながる。
「許してくれるかしら・・」
「今頃、どっか引きこもりに行ってるよ。慰めを待ってると思う」
「そうなの?」
「頭を下げたら、ああいうタイプはすぐ許してくれるさ。な!」
僕は学生の肩をたたいた。
「みなさんも、聞かない勉強会だったらしなければいいのに・・・トシキ先生が可愛そうです!」
学生の声1つで、皆さらなるどん底へ叩き落された。
僕は彼の手を引っ張り、詰所へ出た。
「いたたた!何するんですか!」
「ええから来い!ええから!もうお前!だるだるもええとこだよ!」
とりあえず僕らは医局へ戻った。
「それにしてもアイツ、よくもまあこんな資料を・・」
僕は関心しながら読んでいた。英語の論文をすべて掲載、和訳も
している。
「ただ、要約してくれないと困るよな・・だるぅ」
シローは赤線を引きながら食べかけをまた食べ始めた。
「トシキ先生のまとめたものを、また要約してまとめてみます」
「いつも悪いな」
僕はシローに感謝した。
「でもユウキ先生、うまく手、握りましたね」
シローがうらめしそうに笑った。
「ちち、ちがわい!オレは学生だと思って・・そんで」
「その手、洗わないんじゃないですか?」
「そそ、そんなわけない!ましてや変なことになんか、なあ北野くん!」
僕は学生を見上げた。
「そんな趣味、僕にはありません」
うちの医局の資料は、こうやって出来上がっていく。
・・・だる(5分、昼寝)。
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