サンダル2 ? ふろく (循環器EBM)
2005年9月21日以下、勉強会の要約を最近の知見と僕の表現も入れてまとめてみた。
※ 代表的な循環器系のEBMについて
・ SAVE(1992) ・・ AMI後の症状なし左室機能低下にACEI(カプトプリル)投与で予後が改善。これを受けてAMI発症後は
アスピリン系統だけでなくACEIもすぐ投与されるようになった。
・ VALIANT(1992) ・・ ARB(バルサルタン)によっても、カプトプリルの試験と同様、AMI発症後投与による予後改善が認められた。カプトプリルに比べて副作用少なく長期継続投与できる。
・ CAPRICORN(2001) ・・ 頭文字のCは「カルベジロール(日本ではアーチスト)」。少量漸増投与はAMI発症後の左室機能低下患者の死亡率を低下。βブロッカーで同様の成績があるが、よりリスクが高い症例に行われたことがよい評価となった。
・ BIP(2000) ・・ べザフィブラートはHDL↑、T-Chol↓、TG↓させ特にTG 200以上の群で冠動脈疾患(←すでに既往のある)の2次予防に有効。
・ APSIS(1996) ・・安定した狭心症に、メトプロロール(セロケンなど)投与した群ととベラパミル(ワソランなど)を投与した群を比較、予後はともに改善したが差はなし。仲良く引き分け。しかし肝心のプラセボ群との比較がなく、この両剤が本当に狭心症に対して有効なのかどうかが論じられていない。
・ TREND(1996) ・・ ACEI(キナプリル)で、アセチルコリンによる血管収縮反応を軽減し(冠動脈造影でのアセチルコリン負荷試験にて)、これにより血管内皮機能の改善を証明。
・ HOPE(2000) ・・ 心臓にまだ問題の出ていないハイリスク患者対象に、ACEI(ラミプリル)投与。プラセボに比し予後改善を証明。
・ ACME(1992) ・・ 安定狭心症に対する、PTCAと内科薬物療法の比較。結果はPTCAに軍配。今はステントが主流なのでこの試験はもはや過去の遺物。
・ BARI(1996) ・・ 多枝病変の冠動脈疾患をもつ糖尿病患者に、CABGしたほうがPTCAするより予後がよかったという試験。これもステントなし時代の過去の遺物試験。
・ CAVEAT(1993) , CAVEAT-?(1995) ・・ DCAとPTCAを比較するも差は出ず。しかし当時のDCA自体アテローマ切除不十分という指摘、これが課題となりDCA発展のケガの巧妙となった。のち1999年のSTARTではDCAとステントの比較が行われ、再狭窄でDCAに軍配が上がった。その後はDCA→ステント併用のデータが多数、良好な成績をはじきだしている。
・ BENESTENT(1994-1998) ・・ まずステントがバルーンより優秀であることが証明され、さらにheparin coated stentによって、従来問題であった血栓閉塞を減らししかもコスト削減に有用なことまで証明した。
・ SAVED(1995) ・・ CABG術後のバイパス血管の狭窄に対して行う血管拡張について、ステントとPOBA(バルーンのみ)で比較。半年後の再狭窄率は差はなしで出血副作用はステントで多かった。
・ CONSENSUS(1987) ・・ 重症心不全患者にACEI(エナラプリル)投与し、二重盲検で比較。投与群で死亡率を低下。
・ SOLVD(1990) ・・ 予防試験(無症状の左心機能低下患者の心不全を予防)と治療試験(慢性心不全の予後改善)、双方とも有効とわかった。
・ ELITE(1997) , ELITE-?(2000) ・・ ARB(ロサルタン)がACEI(カプトプリル)に正面から立ち向かった試験。安全性の面ではARBが勝ったが、肝心の予後には差が出なかった。
・ V-HeFT-1(1986)および2(1991) ・・ 血管拡張剤が慢性心不全の予後を改善すると証明してみせた試験。硝酸イソソルビド、ヒドララジン、ACEIなどの血管拡張剤が豪華競演。
・ Val-HeFT(2001) ・・ ACEIにARB(バルサルタン)を追加することで予後をさらに改善できたよ、という試験。しかしあちこちから叩かれ、結局有意なデータがないと騒がれた。Val-HeFT自体が失敗という認識が多い。
・ CHARM(2003) ・・ ARB単剤でも、症状有する心不全(しかも重症ぎみにシフト)の総死亡を減らすことができた。心不全への薬剤の組み合わせではARB+ACEI+β遮断薬が一番成績がよかった。Val-HeFT試験で落ち込んだARBに光明をもたらした。
・ PRAISE(1999) ・・ 重症心不全に対してのカルシウム拮抗剤(アムロジピン)の有効性を証明しようとしたがその後の指摘であまり第一選択にすべきでないと警告された。
・ RALES(1999) ・・ 重症心不全に抗アルドステロン薬を追加することで死亡率が3割も減ったという成績が出て周囲を驚かせ、本剤は見直されるようになった。副作用といえば女性化乳房が問題だがエプレレノンの開発で解決できそうだ。
・ PROGRESS(2001) ・・ 脳卒中既往患者の降圧(ACEIのぺリンドプリルを使用)によって、脳卒中の再発だけでなく心血管事故の抑制や認知機能低下抑制などのよい成績が出た。それまで降圧が消極的だった脳卒中患者の血圧管理に影響をもたらした。
・ EUROPA(2003) ・・ これまでACEIが有用性を示したのが重症心不全、ならば軽症のハイリスク群への予防はどうかと実施された。ACEIのぺリンドプリルが使用され、結果は予後改善のデータが出た。したがってたとえリスクの少ない冠動脈疾患患者でもACEIも併用投与しとけよとりあえず、という考えが広まった。
・ ANZ(1997) ・・ 虚血性心疾患による慢性心不全(ACEI内服中)にβ遮断薬のカルベジロールを投与すると、1年7ヶ月後の評価にて(症状改善のデータは出なかったが)死亡・入院となるリスクを減らした。
・ COPERNICUS(2001) ・・ 重症心不全にカルベジロールを約10ヶ月投与。非投与群に比べて死亡率が大幅に低下した。これで本剤は軽症〜重症に至るまで有用性が認められたことになった。
・ COMET(2003) ・・ 心不全をカルベジロール治療群とメトプロロール治療群に分けて比較。結果はカルベジロールのほうに軍配、生存率を改善した。すげえぞ、カルベジロール!
※ 代表的な循環器系のEBMについて
・ SAVE(1992) ・・ AMI後の症状なし左室機能低下にACEI(カプトプリル)投与で予後が改善。これを受けてAMI発症後は
アスピリン系統だけでなくACEIもすぐ投与されるようになった。
・ VALIANT(1992) ・・ ARB(バルサルタン)によっても、カプトプリルの試験と同様、AMI発症後投与による予後改善が認められた。カプトプリルに比べて副作用少なく長期継続投与できる。
・ CAPRICORN(2001) ・・ 頭文字のCは「カルベジロール(日本ではアーチスト)」。少量漸増投与はAMI発症後の左室機能低下患者の死亡率を低下。βブロッカーで同様の成績があるが、よりリスクが高い症例に行われたことがよい評価となった。
・ BIP(2000) ・・ べザフィブラートはHDL↑、T-Chol↓、TG↓させ特にTG 200以上の群で冠動脈疾患(←すでに既往のある)の2次予防に有効。
・ APSIS(1996) ・・安定した狭心症に、メトプロロール(セロケンなど)投与した群ととベラパミル(ワソランなど)を投与した群を比較、予後はともに改善したが差はなし。仲良く引き分け。しかし肝心のプラセボ群との比較がなく、この両剤が本当に狭心症に対して有効なのかどうかが論じられていない。
・ TREND(1996) ・・ ACEI(キナプリル)で、アセチルコリンによる血管収縮反応を軽減し(冠動脈造影でのアセチルコリン負荷試験にて)、これにより血管内皮機能の改善を証明。
・ HOPE(2000) ・・ 心臓にまだ問題の出ていないハイリスク患者対象に、ACEI(ラミプリル)投与。プラセボに比し予後改善を証明。
・ ACME(1992) ・・ 安定狭心症に対する、PTCAと内科薬物療法の比較。結果はPTCAに軍配。今はステントが主流なのでこの試験はもはや過去の遺物。
・ BARI(1996) ・・ 多枝病変の冠動脈疾患をもつ糖尿病患者に、CABGしたほうがPTCAするより予後がよかったという試験。これもステントなし時代の過去の遺物試験。
・ CAVEAT(1993) , CAVEAT-?(1995) ・・ DCAとPTCAを比較するも差は出ず。しかし当時のDCA自体アテローマ切除不十分という指摘、これが課題となりDCA発展のケガの巧妙となった。のち1999年のSTARTではDCAとステントの比較が行われ、再狭窄でDCAに軍配が上がった。その後はDCA→ステント併用のデータが多数、良好な成績をはじきだしている。
・ BENESTENT(1994-1998) ・・ まずステントがバルーンより優秀であることが証明され、さらにheparin coated stentによって、従来問題であった血栓閉塞を減らししかもコスト削減に有用なことまで証明した。
・ SAVED(1995) ・・ CABG術後のバイパス血管の狭窄に対して行う血管拡張について、ステントとPOBA(バルーンのみ)で比較。半年後の再狭窄率は差はなしで出血副作用はステントで多かった。
・ CONSENSUS(1987) ・・ 重症心不全患者にACEI(エナラプリル)投与し、二重盲検で比較。投与群で死亡率を低下。
・ SOLVD(1990) ・・ 予防試験(無症状の左心機能低下患者の心不全を予防)と治療試験(慢性心不全の予後改善)、双方とも有効とわかった。
・ ELITE(1997) , ELITE-?(2000) ・・ ARB(ロサルタン)がACEI(カプトプリル)に正面から立ち向かった試験。安全性の面ではARBが勝ったが、肝心の予後には差が出なかった。
・ V-HeFT-1(1986)および2(1991) ・・ 血管拡張剤が慢性心不全の予後を改善すると証明してみせた試験。硝酸イソソルビド、ヒドララジン、ACEIなどの血管拡張剤が豪華競演。
・ Val-HeFT(2001) ・・ ACEIにARB(バルサルタン)を追加することで予後をさらに改善できたよ、という試験。しかしあちこちから叩かれ、結局有意なデータがないと騒がれた。Val-HeFT自体が失敗という認識が多い。
・ CHARM(2003) ・・ ARB単剤でも、症状有する心不全(しかも重症ぎみにシフト)の総死亡を減らすことができた。心不全への薬剤の組み合わせではARB+ACEI+β遮断薬が一番成績がよかった。Val-HeFT試験で落ち込んだARBに光明をもたらした。
・ PRAISE(1999) ・・ 重症心不全に対してのカルシウム拮抗剤(アムロジピン)の有効性を証明しようとしたがその後の指摘であまり第一選択にすべきでないと警告された。
・ RALES(1999) ・・ 重症心不全に抗アルドステロン薬を追加することで死亡率が3割も減ったという成績が出て周囲を驚かせ、本剤は見直されるようになった。副作用といえば女性化乳房が問題だがエプレレノンの開発で解決できそうだ。
・ PROGRESS(2001) ・・ 脳卒中既往患者の降圧(ACEIのぺリンドプリルを使用)によって、脳卒中の再発だけでなく心血管事故の抑制や認知機能低下抑制などのよい成績が出た。それまで降圧が消極的だった脳卒中患者の血圧管理に影響をもたらした。
・ EUROPA(2003) ・・ これまでACEIが有用性を示したのが重症心不全、ならば軽症のハイリスク群への予防はどうかと実施された。ACEIのぺリンドプリルが使用され、結果は予後改善のデータが出た。したがってたとえリスクの少ない冠動脈疾患患者でもACEIも併用投与しとけよとりあえず、という考えが広まった。
・ ANZ(1997) ・・ 虚血性心疾患による慢性心不全(ACEI内服中)にβ遮断薬のカルベジロールを投与すると、1年7ヶ月後の評価にて(症状改善のデータは出なかったが)死亡・入院となるリスクを減らした。
・ COPERNICUS(2001) ・・ 重症心不全にカルベジロールを約10ヶ月投与。非投与群に比べて死亡率が大幅に低下した。これで本剤は軽症〜重症に至るまで有用性が認められたことになった。
・ COMET(2003) ・・ 心不全をカルベジロール治療群とメトプロロール治療群に分けて比較。結果はカルベジロールのほうに軍配、生存率を改善した。すげえぞ、カルベジロール!
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