ダル3 ? 午前診 ?
2005年10月7日病棟患者の緊急検査結果が出来上がる時間だ。
「もしもし。検査?いつもの報告を」
検査室へ連絡し、目だった所見の問い合わせだ。
『機械の調子で、病棟分は遅れます』
「虫垂炎疑いの、有木さんのデータを」
『白血球12000にCRP 3.4mg/dl。ほか目だったものはなし』
「アーハン!」
『波多野じいさんはCRP陰性化してます。あと重症肺炎の方は貧血が今回も進行』
「ありがとう!FAXをここへ。この電話を放射線部へ」
『まわします』
電話が転送される。
「病棟のレントゲンは一通りできた?」
『持ってきます』
1分もしないうちにこっちへ。
ベテランナースは不快な表情だ。
「ふん・・・・ふん。はいはい」
FAXできた検査データを確認。こうして簡単な評価を終えて病棟へ連絡。
「輸血の準備。同意書はもうもらってる。それと波多野じいは安静度をアップ」
『すみません。1人転倒して・・』
「様子は?」
『本人は大丈夫だと』
「病棟にトシキがいるはずだから、診察を頼んで」
『トシキ先生・・・機嫌・・・大丈夫でしょうか?』
「治ってたよ。悪かったって反省してた」
ホントは知らん。
「ネクスト!」
39歳男性。健診で尿蛋白を指摘。
「再検しましょう。尿検査を・・」
「尿は・・してきた」
「あのなあ・・じゃ、採血を」
「いくら?」
最近こういう問い合わせが増えた。
68歳女性。関節リウマチ=RAによる間質性肺炎。つまりRA lung。
整形外科を受診したあと、こっちへ来た。
「痛いの、なんとかならんかの?」
「腰か・・整形の先生は?」
「リウマチの薬、始まったけど・・・」
「効果を待ちましょうよ」
「でも先生、1ヶ月くらいしないと効果出んって言うよ」
MTX(リウマトレックス)だからな・・。
背部を聴診。両下肺領域にバリバリとラ音が聞こえる。
「先生。痛み止めがちっとも効かん」
「整形で出た・・モービックっていう薬は?あれどう?」
「前の薬のほうがマシじゃったよ」
ロキソニンなどの従来のNSAIDは胃腸障害の副作用が多かった。
そこで受容体をしぼって副作用軽減を狙ったCOX-2阻害薬が
登場した。
だがこれの評判は散々だ。
「ユウキ先生から何とか言うてえや!」
「今日受診したときに相談したらよかったのに」
「なんか、怖いもん」
確かに整形の先生はツンとした年配の先生だった。
話したことはほとんどない。
「なあ、言うてえな!」
「前の痛み止めに戻してくれって?」
「そうや」
「わかったよ・・もう」
僕は内線を押した。
「当たり障りなく、言うてえよ!」
患者は上目遣いに受話器を睨んでいた。
「もしもし?整形の先生・・・はい・・すみません」
僕は電話を切った。
「も、もう済みましたんの?」
「ごめん。間違って小児科に」
「・・・・・・・・・・」
気を取り直し、整形へ。
『はい。もしもし』
無愛想な声の先生だ。
「お忙しいとこすみません。内科のユウキです」
『なんじゃおお?』
ケンカごしだな。
「さきほど受診されたリウマチの方ですが」
『リウマチいうたら大勢おるがな』
「名前は左京・・」
『名前で言わんと分からんだろが!』
「左京さ・・」
『筋道立てて言えや、ボケ!』
ベテランナースがメモをサッと書いて僕に渡す。
≪雨 時々 雷≫
この先生の機嫌のことを表している。
こういうやりとりは僕自身のアイデアでされていた。
なんせ分かりやすい。
「左京さんですが、痛み止めを前回のロキソニンに戻してほしいと」
『なぜや?わしは聞いとらんがな!』
「本人の希望で・・」
『おいお前!勝手なことすな何を考えとんねん!ボケ!』
電話はいきなり切られた。
「なんだよ・・?」
「うまく、いきましたの?」
患者は僕の顔を覗き込んだ。
「ま、なんとか・・・・します」
「?」
「看護婦さん。事務長を」
事務長が走ってきた。
「ホワッツプロブレム?」
「整形の医者がカンカンに怒ってさ」
「また何かしでかしましたか?」
「いやいや。オレはただ・・」
事情を説明。
「ああ、あの整形の先生ね。今日は特別機嫌が悪いんですよ」
「サラリと言うなよ」
「手術後の患者さんが高熱を出しまして」
「?」
「そのあとナースから報告がなくて、それで」
「それって機嫌が悪いんじゃなくて、怒って当然の話だろ!」
「医学のことはよく・・」
「逃げるな!」
あとは事務長側から解決してもらうことにした。
次は全身倦怠感の60歳。うしろの2人の警察官。
「お世話になります!」
うち1人の警官が体育会系に叫ぶ。
患者の両腕の上のタオルをサッととると・・・・手錠だ。
学生は一歩退いた。
僕はまだ状況が分からなかった。
「こはいかに?」
「現在、署内に留置中の者です。政治汚職で・・」
「そ、そこまで聞いては・・」
「全身がだるいので、調べて欲しいと」
「調べる・・・何を?」
「い、いえ。その、ですから」
聴診など診察・・・。採血や心電図などの一般検査。
「ありがとうございます!さ!行くぞ!」
警官は不快そうな<患者>を引き連れて出て行った。
こんな患者の多い時間帯に、連れて来るなよな・・。
「もしもし。検査?いつもの報告を」
検査室へ連絡し、目だった所見の問い合わせだ。
『機械の調子で、病棟分は遅れます』
「虫垂炎疑いの、有木さんのデータを」
『白血球12000にCRP 3.4mg/dl。ほか目だったものはなし』
「アーハン!」
『波多野じいさんはCRP陰性化してます。あと重症肺炎の方は貧血が今回も進行』
「ありがとう!FAXをここへ。この電話を放射線部へ」
『まわします』
電話が転送される。
「病棟のレントゲンは一通りできた?」
『持ってきます』
1分もしないうちにこっちへ。
ベテランナースは不快な表情だ。
「ふん・・・・ふん。はいはい」
FAXできた検査データを確認。こうして簡単な評価を終えて病棟へ連絡。
「輸血の準備。同意書はもうもらってる。それと波多野じいは安静度をアップ」
『すみません。1人転倒して・・』
「様子は?」
『本人は大丈夫だと』
「病棟にトシキがいるはずだから、診察を頼んで」
『トシキ先生・・・機嫌・・・大丈夫でしょうか?』
「治ってたよ。悪かったって反省してた」
ホントは知らん。
「ネクスト!」
39歳男性。健診で尿蛋白を指摘。
「再検しましょう。尿検査を・・」
「尿は・・してきた」
「あのなあ・・じゃ、採血を」
「いくら?」
最近こういう問い合わせが増えた。
68歳女性。関節リウマチ=RAによる間質性肺炎。つまりRA lung。
整形外科を受診したあと、こっちへ来た。
「痛いの、なんとかならんかの?」
「腰か・・整形の先生は?」
「リウマチの薬、始まったけど・・・」
「効果を待ちましょうよ」
「でも先生、1ヶ月くらいしないと効果出んって言うよ」
MTX(リウマトレックス)だからな・・。
背部を聴診。両下肺領域にバリバリとラ音が聞こえる。
「先生。痛み止めがちっとも効かん」
「整形で出た・・モービックっていう薬は?あれどう?」
「前の薬のほうがマシじゃったよ」
ロキソニンなどの従来のNSAIDは胃腸障害の副作用が多かった。
そこで受容体をしぼって副作用軽減を狙ったCOX-2阻害薬が
登場した。
だがこれの評判は散々だ。
「ユウキ先生から何とか言うてえや!」
「今日受診したときに相談したらよかったのに」
「なんか、怖いもん」
確かに整形の先生はツンとした年配の先生だった。
話したことはほとんどない。
「なあ、言うてえな!」
「前の痛み止めに戻してくれって?」
「そうや」
「わかったよ・・もう」
僕は内線を押した。
「当たり障りなく、言うてえよ!」
患者は上目遣いに受話器を睨んでいた。
「もしもし?整形の先生・・・はい・・すみません」
僕は電話を切った。
「も、もう済みましたんの?」
「ごめん。間違って小児科に」
「・・・・・・・・・・」
気を取り直し、整形へ。
『はい。もしもし』
無愛想な声の先生だ。
「お忙しいとこすみません。内科のユウキです」
『なんじゃおお?』
ケンカごしだな。
「さきほど受診されたリウマチの方ですが」
『リウマチいうたら大勢おるがな』
「名前は左京・・」
『名前で言わんと分からんだろが!』
「左京さ・・」
『筋道立てて言えや、ボケ!』
ベテランナースがメモをサッと書いて僕に渡す。
≪雨 時々 雷≫
この先生の機嫌のことを表している。
こういうやりとりは僕自身のアイデアでされていた。
なんせ分かりやすい。
「左京さんですが、痛み止めを前回のロキソニンに戻してほしいと」
『なぜや?わしは聞いとらんがな!』
「本人の希望で・・」
『おいお前!勝手なことすな何を考えとんねん!ボケ!』
電話はいきなり切られた。
「なんだよ・・?」
「うまく、いきましたの?」
患者は僕の顔を覗き込んだ。
「ま、なんとか・・・・します」
「?」
「看護婦さん。事務長を」
事務長が走ってきた。
「ホワッツプロブレム?」
「整形の医者がカンカンに怒ってさ」
「また何かしでかしましたか?」
「いやいや。オレはただ・・」
事情を説明。
「ああ、あの整形の先生ね。今日は特別機嫌が悪いんですよ」
「サラリと言うなよ」
「手術後の患者さんが高熱を出しまして」
「?」
「そのあとナースから報告がなくて、それで」
「それって機嫌が悪いんじゃなくて、怒って当然の話だろ!」
「医学のことはよく・・」
「逃げるな!」
あとは事務長側から解決してもらうことにした。
次は全身倦怠感の60歳。うしろの2人の警察官。
「お世話になります!」
うち1人の警官が体育会系に叫ぶ。
患者の両腕の上のタオルをサッととると・・・・手錠だ。
学生は一歩退いた。
僕はまだ状況が分からなかった。
「こはいかに?」
「現在、署内に留置中の者です。政治汚職で・・」
「そ、そこまで聞いては・・」
「全身がだるいので、調べて欲しいと」
「調べる・・・何を?」
「い、いえ。その、ですから」
聴診など診察・・・。採血や心電図などの一般検査。
「ありがとうございます!さ!行くぞ!」
警官は不快そうな<患者>を引き連れて出て行った。
こんな患者の多い時間帯に、連れて来るなよな・・。
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