ダル3 ? 午前診 ? のマッキッ!
2005年10月7日病棟ナースが頭部CTの写真をもってきた。
「なに?あとにして!」
外来のベテランナースが阻む。仕事の切り上げが遅れるからだ。
病棟ナースは気にしない。病棟ナースは病棟で手一杯だ。外来をカバーする余裕などない。しかし外来は外来で手一杯。こうして同じ病院でありながらも、部署ごとの壁ができあがっていく。
「ユウキ先生。転倒した方の写真です」
「トシキがオーダーしてくれたのか?」
「ザッキー先生が」
「ザッキー?今日はあいつ・・・シローと検査だぜ」
「トシキ先生、まだ機嫌悪くて」
「しようがねえな。ドイツもフランスも・・」
頭部CT。骨条件、異常なし。脳所見も・・OKだ。
「いけそうだな」
「縫合もザッキー先生が」
「縫合?切れてたのか?頭!」
「は、はい・・・」
ザッキーが縫合を・・・。
「ザッキー先生、上手なんです」
「そうか。しかし・・・」
「シロー先生がさきほど褒めてました」
「・・・・・」
当時あまり認めたくなかったが、ザッキーの器用さは一目置くべきものがあった。
次は紹介患者のようだ。紹介状の封筒を開ける。下手な破り方で、封筒が
真ん中でビリビリと破れた。
ピートが指摘していた、犯すような破り方、だ。
「えーと・・・40代男性。腫瘍マーカーのシフラ高値につき精査をお願い・・・」
シフラ4.0か。シフラの数値は少しでも異常なら数字が低くても『高値』として差し支えない。
「紹介は・・・ま、松田医院?」
「まっちゃん?」
ベテランナースが走ってきた。
「まあ、まっちゃんのとこ、はやってるんやねえ!」
「僕の昔の先輩だ・・・」
僕は以前この先生のクリニックで一時期バイトしたことがある。
最後はリストラ同然の扱いだった。
本人は厳しい経営とか言っていたが、なんだかんだやってるようだな。
新興宗教団体に入ったことを知ってから、近づくのをやめたが。
紹介状のあて先は、この病院の僕だ。
患者が入ってきた。作業着だ。
「ったく、よう待たせるとこやな!」
「すみません・・・検査依頼ですね。レントゲンやCTを本日」
「松田先生はなんと書いてある?」
「詳しく調べてほしいと」
「うん。松田先生の書いてあるとおりにしてな!」
この人も松田先生の<信者>っぽかった。
診察を終えてレントゲンへ。タバコをよく吸うらしい。
レントゲンでどうだったかの情報はないが、肺の扁平上皮癌を疑う。肺門部、つまり心臓周辺のリンパ節など要チェックだ。
さてさきほどの体育会系の警察官が1人だけで入ってきた。
「結果、できましたでありますか!」
警官は礼儀正しく礼をした。
「大まかに調べましたが。特に異常はないようで」
「おありがとうございます!」
「精神的なものも考えられるかとは思うけど」
「では、内臓はいっさい関係ないということですね!」
「いやいや、そこまでは・・・」
「と、いいますと?」
警官は眉をひそめた。
「先ほど言いましたように、大まかにまず確認したんです。急なものがないかどうか」
「では、何か実は隠れた病気があるかもしれないと?」
「ホルモン検査や画像のちょっと複雑な検査することもありますが・・」
「ふむふむ」
逐一メモしていく警官。スピード違反で切られたキップを思い出す。
「自分としては検査はここまででいいかと」
「しかし、病気自体は完全にないとは言えないわけですね?」
「そうだけど・・」
「では、現時点での病名は?」
「びょうめい・・・そうだな」
「つかれ?」
「そんな病名ないない!」
しつこい警官だな。出世せんぞ。いや、するかもしれんな。
「病名・・・自律神経失調とかまあ、うつ病とか」
「精神科へ受診させるべきでしょうか?」
「賛成!」
喜んで紹介状を書いた。
「では先生のお名前を!」
「ユウキです。逃げも隠れもしません」
「ユ・・・・ウ・・・・キ。ユウキ。ユは、ヤ・ユ・ヨのユ?」
「もう・・・はい!」
うっとうしいので、メモで渡した。
警官の名刺を見ると、松田医院の近くだ。
「あの・・・警官さん」
「はい!」
「話は外れるけど・・・ここ知ってる?」
松田医院の封書を見せた。
「松田医院・・・はいはいはい!」
「有名?」
「すごく流行ってるとこですよ!」
「そうなの?」
「人間的に魅力があるって聞いてます!やっぱり・・
おすすめですか?」
この男は警官失格だな。
ニントモカントモ・・でござる。
<ふろく>
『真田病院マニュアルノート』より抜粋
□ 意識障害の原因 ・・ アイウエオチップスが肌に合わない人のために。
「脳神経10円毒薬あるコップ」
↓
「脳神けい 10円毒薬 あるコップ」
ナンセンスですが5・7・5にしてある点(思い出しやすい)と、関連のあるものをくっつけている点(連想しやすい)に注目してください。
脳・・脳関係
神・・精神科関係
けい・・痙攣や癲癇(てんかん)
10・・糖尿関連。高・低血糖!
炎・・炎症つまり感染症!
毒・・中毒薬毒尿毒症!
薬・・ヤク
ある ・・ アル中ついでにウェルニッケ!
コップ・・シンコープ=失神
さらに・・
「ナトカリクオールフォルテシモン」
ナトカリ・・電解質異常
クオール・・CO中毒、高CO2
フォル・・ポルフィリン症
テ・・低体温
シ・・ショック
モン・・ホルモン異常→内分泌異常
を加えると、ほぼ5/7/5/7/7隊形に!
「なに?あとにして!」
外来のベテランナースが阻む。仕事の切り上げが遅れるからだ。
病棟ナースは気にしない。病棟ナースは病棟で手一杯だ。外来をカバーする余裕などない。しかし外来は外来で手一杯。こうして同じ病院でありながらも、部署ごとの壁ができあがっていく。
「ユウキ先生。転倒した方の写真です」
「トシキがオーダーしてくれたのか?」
「ザッキー先生が」
「ザッキー?今日はあいつ・・・シローと検査だぜ」
「トシキ先生、まだ機嫌悪くて」
「しようがねえな。ドイツもフランスも・・」
頭部CT。骨条件、異常なし。脳所見も・・OKだ。
「いけそうだな」
「縫合もザッキー先生が」
「縫合?切れてたのか?頭!」
「は、はい・・・」
ザッキーが縫合を・・・。
「ザッキー先生、上手なんです」
「そうか。しかし・・・」
「シロー先生がさきほど褒めてました」
「・・・・・」
当時あまり認めたくなかったが、ザッキーの器用さは一目置くべきものがあった。
次は紹介患者のようだ。紹介状の封筒を開ける。下手な破り方で、封筒が
真ん中でビリビリと破れた。
ピートが指摘していた、犯すような破り方、だ。
「えーと・・・40代男性。腫瘍マーカーのシフラ高値につき精査をお願い・・・」
シフラ4.0か。シフラの数値は少しでも異常なら数字が低くても『高値』として差し支えない。
「紹介は・・・ま、松田医院?」
「まっちゃん?」
ベテランナースが走ってきた。
「まあ、まっちゃんのとこ、はやってるんやねえ!」
「僕の昔の先輩だ・・・」
僕は以前この先生のクリニックで一時期バイトしたことがある。
最後はリストラ同然の扱いだった。
本人は厳しい経営とか言っていたが、なんだかんだやってるようだな。
新興宗教団体に入ったことを知ってから、近づくのをやめたが。
紹介状のあて先は、この病院の僕だ。
患者が入ってきた。作業着だ。
「ったく、よう待たせるとこやな!」
「すみません・・・検査依頼ですね。レントゲンやCTを本日」
「松田先生はなんと書いてある?」
「詳しく調べてほしいと」
「うん。松田先生の書いてあるとおりにしてな!」
この人も松田先生の<信者>っぽかった。
診察を終えてレントゲンへ。タバコをよく吸うらしい。
レントゲンでどうだったかの情報はないが、肺の扁平上皮癌を疑う。肺門部、つまり心臓周辺のリンパ節など要チェックだ。
さてさきほどの体育会系の警察官が1人だけで入ってきた。
「結果、できましたでありますか!」
警官は礼儀正しく礼をした。
「大まかに調べましたが。特に異常はないようで」
「おありがとうございます!」
「精神的なものも考えられるかとは思うけど」
「では、内臓はいっさい関係ないということですね!」
「いやいや、そこまでは・・・」
「と、いいますと?」
警官は眉をひそめた。
「先ほど言いましたように、大まかにまず確認したんです。急なものがないかどうか」
「では、何か実は隠れた病気があるかもしれないと?」
「ホルモン検査や画像のちょっと複雑な検査することもありますが・・」
「ふむふむ」
逐一メモしていく警官。スピード違反で切られたキップを思い出す。
「自分としては検査はここまででいいかと」
「しかし、病気自体は完全にないとは言えないわけですね?」
「そうだけど・・」
「では、現時点での病名は?」
「びょうめい・・・そうだな」
「つかれ?」
「そんな病名ないない!」
しつこい警官だな。出世せんぞ。いや、するかもしれんな。
「病名・・・自律神経失調とかまあ、うつ病とか」
「精神科へ受診させるべきでしょうか?」
「賛成!」
喜んで紹介状を書いた。
「では先生のお名前を!」
「ユウキです。逃げも隠れもしません」
「ユ・・・・ウ・・・・キ。ユウキ。ユは、ヤ・ユ・ヨのユ?」
「もう・・・はい!」
うっとうしいので、メモで渡した。
警官の名刺を見ると、松田医院の近くだ。
「あの・・・警官さん」
「はい!」
「話は外れるけど・・・ここ知ってる?」
松田医院の封書を見せた。
「松田医院・・・はいはいはい!」
「有名?」
「すごく流行ってるとこですよ!」
「そうなの?」
「人間的に魅力があるって聞いてます!やっぱり・・
おすすめですか?」
この男は警官失格だな。
ニントモカントモ・・でござる。
<ふろく>
『真田病院マニュアルノート』より抜粋
□ 意識障害の原因 ・・ アイウエオチップスが肌に合わない人のために。
「脳神経10円毒薬あるコップ」
↓
「脳神けい 10円毒薬 あるコップ」
ナンセンスですが5・7・5にしてある点(思い出しやすい)と、関連のあるものをくっつけている点(連想しやすい)に注目してください。
脳・・脳関係
神・・精神科関係
けい・・痙攣や癲癇(てんかん)
10・・糖尿関連。高・低血糖!
炎・・炎症つまり感染症!
毒・・中毒薬毒尿毒症!
薬・・ヤク
ある ・・ アル中ついでにウェルニッケ!
コップ・・シンコープ=失神
さらに・・
「ナトカリクオールフォルテシモン」
ナトカリ・・電解質異常
クオール・・CO中毒、高CO2
フォル・・ポルフィリン症
テ・・低体温
シ・・ショック
モン・・ホルモン異常→内分泌異常
を加えると、ほぼ5/7/5/7/7隊形に!
コメント