ダル4 ? 火花散る・・・
2005年11月4日 患者はいったん重症部屋に運ばれていた。シローが主治医のようだ。
側について家族に説明している。
詰所から覗きながら、詰所内でみんなと話。
「73歳女性・・・」
表紙だけのカルテを見る。
「既往歴は何か?」
「なにも・・」
医長が淡淡と答える。
「コロナリーリスク(冠危険因子)は?」
「ないようですね。国道43号線沿いの方です」
「はあ?」
「大気汚染が・・」
「それは喘息の多発地帯だろ?」
ま、高齢なのでそれだけで動脈硬化があってもおかしくない。
「心電図はV1-6にかけてのST上昇か・・キツイな」
「ザッキーによると、壁運動は異常ないと」
「お前は見たのか?」
「いえ」
「疑わしいのなら、自分で見ろよ・・」
採血伝票を見る。
「トロポニンTが陽性か。ま、AMIで間違いなかろう」
僕は放射線科に電話した。
「もう降ろすよ・・いい?わかった」
医長は各資料を脇に抱えた。
「窪田大先生には、連絡しました」
「インターベンションは間違いないもんな!」
僕らはインターベンション必要時は、最寄の病院に勤務するドクターの補助をお願いしていた。大ざっぱだが、こういった大掛かりな処置には10年以上の経験者が付き添う必要があると思う。
僕と医長は、一足先にカテ室へ。例によって、先に着替える。
ザッキーが準備中。シローはナースらと患者を搬送。
医長と並んで手洗い。防護服は着用した。
「先輩。朝の気胸起こした肺気腫の・・」
「ああ。今はいいんだろ?」
「厳重にムンテラしておきました。反対の肺の爆弾が破裂したら危ないと」
「すまんな。主治医はオレなのに」
「・・・婦長が気にしてましたが・・どちらへ行かれてたので」
「は?いいだろ、別に・・」
「知らないと気がすまない性質で」
「直せよ・・」
僕らは両手を挙げて、帽子・マスクで入る。中で技師さんらが清潔ガウンを着せる。
ザッキーは今しがた、準備が終わったようだ。
小走りの彼をよけて、僕らはカテ台の横に立つ。
「医長先生。ザッキーの患者はどうなった?頸部の膿瘍・・」
「アブセスは出続けてます。熱はまだ高いです。CRP 11.0mg/dl」
「まだまだかな・・・」
「ザッキーがですか?患者さんの状態?」
「だる。両方だよ・・」
患者が運ばれてきた。北野が患者に話しかけて安心させている。
僕らは1歩退き、みなが患者下のシーツを抱えて移動。
「(一同)よいせ!」
僕と医長はそれぞれ消毒、シーツかけ。医長が穿刺にかかる。
「医長先生。総統はもう来たのか?」
「着替えしてます」
「そっか・・」
ガラス越しに、資料を見ているハゲ頭が映った。
僕のもとオーベンだ。もう何年前になるのか・・。
「さ、いくわよ!」
総統が注射器を持って入ってきた。
「キシロ!」
モニターでVPC単発。カテ室ナースが持続分もとりつける。
医長はいつもどおり、この先生には愛想がない。
「早く手洗い、お願いします」
「はいはい・・」
総統も遠慮しており、また外へ出た。
医長は穿刺を終えて、左右両用カテーテルを挿入した。
「透視。出せ。あ、出してください。ユウキ先生」
「アカンよ医長先生。うちのガイドラインでは、総統がここに入ってからだ」
「さっき入ってきたし・・」
「きちんとガウンを着てからだ!」
大学で何かあったのか?この2人・・・。
「じゃ、どうぞ」
総統は真後ろで立った。
医長はカテを進めていく。僕は角度調整。
「じゃお願いします。ユウキ先生。左冠動脈、造影!」
医長がペダルを踏み、ウイーンと、造影される冠動脈。
「狭窄が・・」
見当たらない。しかし血栓でぼやけて見えることもありうる。
「角度、変えるぞ・・」
僕は角度を変えて、総統が後ろから微調整。
「よし。いけ」
「はい」
ウイーンとまた造影。だが細いとこは見当たらない。
「自然と解除されたんですかね。狭窄が」
医長は僕に尋ねた。
「だが・・モニターの心電図は上がったままだぞ」
「コラテも来てないようですね・・血栓だったんですかね」
「TIAみたいにか?」
いろいろ角度を変えたが、狭窄はない。
「はいはい、じゃあサッサと右を映しましょう!」
総統が促す。
「知ってます」
医長は相変わらず愛想なし。カテはすぐ入った。
なんでこの男の表情をいちいち気にしなくてはならんのか・・・!
まあこいつも人間だ。それは男の怒り、というものだ。
また歌が出てきた。
♪おとこのいかりかぁ〜・・えっどのくっろひお〜!
バン! ババン!
側について家族に説明している。
詰所から覗きながら、詰所内でみんなと話。
「73歳女性・・・」
表紙だけのカルテを見る。
「既往歴は何か?」
「なにも・・」
医長が淡淡と答える。
「コロナリーリスク(冠危険因子)は?」
「ないようですね。国道43号線沿いの方です」
「はあ?」
「大気汚染が・・」
「それは喘息の多発地帯だろ?」
ま、高齢なのでそれだけで動脈硬化があってもおかしくない。
「心電図はV1-6にかけてのST上昇か・・キツイな」
「ザッキーによると、壁運動は異常ないと」
「お前は見たのか?」
「いえ」
「疑わしいのなら、自分で見ろよ・・」
採血伝票を見る。
「トロポニンTが陽性か。ま、AMIで間違いなかろう」
僕は放射線科に電話した。
「もう降ろすよ・・いい?わかった」
医長は各資料を脇に抱えた。
「窪田大先生には、連絡しました」
「インターベンションは間違いないもんな!」
僕らはインターベンション必要時は、最寄の病院に勤務するドクターの補助をお願いしていた。大ざっぱだが、こういった大掛かりな処置には10年以上の経験者が付き添う必要があると思う。
僕と医長は、一足先にカテ室へ。例によって、先に着替える。
ザッキーが準備中。シローはナースらと患者を搬送。
医長と並んで手洗い。防護服は着用した。
「先輩。朝の気胸起こした肺気腫の・・」
「ああ。今はいいんだろ?」
「厳重にムンテラしておきました。反対の肺の爆弾が破裂したら危ないと」
「すまんな。主治医はオレなのに」
「・・・婦長が気にしてましたが・・どちらへ行かれてたので」
「は?いいだろ、別に・・」
「知らないと気がすまない性質で」
「直せよ・・」
僕らは両手を挙げて、帽子・マスクで入る。中で技師さんらが清潔ガウンを着せる。
ザッキーは今しがた、準備が終わったようだ。
小走りの彼をよけて、僕らはカテ台の横に立つ。
「医長先生。ザッキーの患者はどうなった?頸部の膿瘍・・」
「アブセスは出続けてます。熱はまだ高いです。CRP 11.0mg/dl」
「まだまだかな・・・」
「ザッキーがですか?患者さんの状態?」
「だる。両方だよ・・」
患者が運ばれてきた。北野が患者に話しかけて安心させている。
僕らは1歩退き、みなが患者下のシーツを抱えて移動。
「(一同)よいせ!」
僕と医長はそれぞれ消毒、シーツかけ。医長が穿刺にかかる。
「医長先生。総統はもう来たのか?」
「着替えしてます」
「そっか・・」
ガラス越しに、資料を見ているハゲ頭が映った。
僕のもとオーベンだ。もう何年前になるのか・・。
「さ、いくわよ!」
総統が注射器を持って入ってきた。
「キシロ!」
モニターでVPC単発。カテ室ナースが持続分もとりつける。
医長はいつもどおり、この先生には愛想がない。
「早く手洗い、お願いします」
「はいはい・・」
総統も遠慮しており、また外へ出た。
医長は穿刺を終えて、左右両用カテーテルを挿入した。
「透視。出せ。あ、出してください。ユウキ先生」
「アカンよ医長先生。うちのガイドラインでは、総統がここに入ってからだ」
「さっき入ってきたし・・」
「きちんとガウンを着てからだ!」
大学で何かあったのか?この2人・・・。
「じゃ、どうぞ」
総統は真後ろで立った。
医長はカテを進めていく。僕は角度調整。
「じゃお願いします。ユウキ先生。左冠動脈、造影!」
医長がペダルを踏み、ウイーンと、造影される冠動脈。
「狭窄が・・」
見当たらない。しかし血栓でぼやけて見えることもありうる。
「角度、変えるぞ・・」
僕は角度を変えて、総統が後ろから微調整。
「よし。いけ」
「はい」
ウイーンとまた造影。だが細いとこは見当たらない。
「自然と解除されたんですかね。狭窄が」
医長は僕に尋ねた。
「だが・・モニターの心電図は上がったままだぞ」
「コラテも来てないようですね・・血栓だったんですかね」
「TIAみたいにか?」
いろいろ角度を変えたが、狭窄はない。
「はいはい、じゃあサッサと右を映しましょう!」
総統が促す。
「知ってます」
医長は相変わらず愛想なし。カテはすぐ入った。
なんでこの男の表情をいちいち気にしなくてはならんのか・・・!
まあこいつも人間だ。それは男の怒り、というものだ。
また歌が出てきた。
♪おとこのいかりかぁ〜・・えっどのくっろひお〜!
バン! ババン!
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