ダル4 ? 就寝
2005年11月7日 アパートに戻ると、もう夜の10時。明日の金曜日は朝から外来。今日は早く寝ないといけない。
また呼び出しがあるかもしれないし。
自宅では勉強はしない。本はほとんど病院に置いてある。だがふと思い出したりして衝動的に調べものをすることもある。インターネットは便利な発明だ。ただ実際に使えそうな情報が載ってることは少ない。
しかしもうくたびれて、洗濯干し入れ→コンビニで買った弁当食べる→フロ→寝る、といった流れだけでたくさんだった。
そういや学会の会費も振り込めず、ツタヤで当直用のDVDを
新たに借りることもできなかったな。
僕は電話に手を伸ばした。その日の問題は、なるべくその日に解決したい。
『もしもし・・・』
「シローか。いま、いいか?」
『ええ。ちょっとボリューム下げます』
車の中だな・・。
『・・はい。どうぞ』
「シロー。言いにくいんだが・・・」
『すんません。尾崎豊のCD、まだ借りてまして。今度こそ返しますんで!』
「いや、それは別に・・」
『さっき聴いてましてね。仕事帰りにはいいですね!』
「ああ」
『車から降りるのがイヤになりますね!』
「ああ。あのな、シロー」
『?』
「バイト、まだ行ってるよな・・・」
彼は沈黙した。
「いや、その。バイトはまあ、オレ黙っててやるのはいいんだけど」
『・・・・・』
「場所が、そうだよ。バイト先がその、問題だよ」
『知ってましたか・・』
「なんでまた、あんな開業医のとこに?」
『松田先生は・・・別に悪い先生では』
「巻き込まれるぞ。あんなレベルの低い・・・」
『僕は・・僕ですよ。先生』
「やめとけ。シロー。いいか。とにかく・・・やめとけ」
これといった説得力もなく、電話は切られた。
僕は洗濯物を1つずつたたんでいった。
だる。
シロー先生。
君はまだ若いながら所帯を持って、家事もやりながら家も持ち、ローンも抱えながら子供を一生懸命育てている。何のために生きたらいいかハッキリ目的を持っている。そういう人は多いだろうが、実は今のところ、君が近場で唯一見習える人間なのだ。
自分の存在は、今のところ正直自分のためでしかない。なので君がうらやましいし、君らが幸せであることを願うし、自分もそのような普通の家庭をいつか持ちたいと思っている。
そんなとき、ああいう人間と君が関わるのを、黙っては見過ごせない。これまでいろんなものを見てきた。
などと、くよくよ考えることが多くなったな。ところでユウキ、おまえ自身はどうなんだ?
独身の悲しさよ・・・。
僕はふとんを敷き、ブラブラ揺れるヒモをパッとつかまえ、パチンと電気を落とした。
「1、2、3、だる。グウ・・・」
明日も頑張ろう。
また呼び出しがあるかもしれないし。
自宅では勉強はしない。本はほとんど病院に置いてある。だがふと思い出したりして衝動的に調べものをすることもある。インターネットは便利な発明だ。ただ実際に使えそうな情報が載ってることは少ない。
しかしもうくたびれて、洗濯干し入れ→コンビニで買った弁当食べる→フロ→寝る、といった流れだけでたくさんだった。
そういや学会の会費も振り込めず、ツタヤで当直用のDVDを
新たに借りることもできなかったな。
僕は電話に手を伸ばした。その日の問題は、なるべくその日に解決したい。
『もしもし・・・』
「シローか。いま、いいか?」
『ええ。ちょっとボリューム下げます』
車の中だな・・。
『・・はい。どうぞ』
「シロー。言いにくいんだが・・・」
『すんません。尾崎豊のCD、まだ借りてまして。今度こそ返しますんで!』
「いや、それは別に・・」
『さっき聴いてましてね。仕事帰りにはいいですね!』
「ああ」
『車から降りるのがイヤになりますね!』
「ああ。あのな、シロー」
『?』
「バイト、まだ行ってるよな・・・」
彼は沈黙した。
「いや、その。バイトはまあ、オレ黙っててやるのはいいんだけど」
『・・・・・』
「場所が、そうだよ。バイト先がその、問題だよ」
『知ってましたか・・』
「なんでまた、あんな開業医のとこに?」
『松田先生は・・・別に悪い先生では』
「巻き込まれるぞ。あんなレベルの低い・・・」
『僕は・・僕ですよ。先生』
「やめとけ。シロー。いいか。とにかく・・・やめとけ」
これといった説得力もなく、電話は切られた。
僕は洗濯物を1つずつたたんでいった。
だる。
シロー先生。
君はまだ若いながら所帯を持って、家事もやりながら家も持ち、ローンも抱えながら子供を一生懸命育てている。何のために生きたらいいかハッキリ目的を持っている。そういう人は多いだろうが、実は今のところ、君が近場で唯一見習える人間なのだ。
自分の存在は、今のところ正直自分のためでしかない。なので君がうらやましいし、君らが幸せであることを願うし、自分もそのような普通の家庭をいつか持ちたいと思っている。
そんなとき、ああいう人間と君が関わるのを、黙っては見過ごせない。これまでいろんなものを見てきた。
などと、くよくよ考えることが多くなったな。ところでユウキ、おまえ自身はどうなんだ?
独身の悲しさよ・・・。
僕はふとんを敷き、ブラブラ揺れるヒモをパッとつかまえ、パチンと電気を落とした。
「1、2、3、だる。グウ・・・」
明日も頑張ろう。
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