ダル5 ? 罠っ!
2005年11月22日2列のオーク軍団は、ザッザッザッザッザッザッ・・・と隊列を乱すことなく繁華街を奔走した。
「どこへ行く気だ?」
後ろから押され走りながら聞いたが、彼らは必死で目的地へ向かっていた。
やがて足音は緩やかになり、ミナミの料亭に到着した。
「いらっしゃいませ・・」
高齢だが背筋のしっかりした老紳士が、ドアを開けた。
「予約のユウキ様で?」
「え?おれ?はい」
反射的に返事した。誰かが携帯で電話してたのか・・・。
ナース軍団は玄関で次々と靴を脱ぎ捨て、紳士はそれを1つずつ丁寧に拾う。
「ごゆっくりどうぞ・・・」
廊下をズンズンズンズン軍団は行進し、奥の大広間へ。
知らない間にまた増員された20余名の軍団は、ドカッと一斉に長大なテーブルに足を崩した。
「(一同)おおおおおお!」
拍手が鳴り響く。やがてお喋りが始まる。見渡したところ、平均年齢40歳だ。おごる価値などない。
「すまんが、みんな!」
「(一同)ざわざわざわざわざわ」
「聞けよ!」
みなシーンとこちらを注視した。
「いくらなんでも、オレの財布ではカバーしきれんよ!」
「カードがあるやん」
そう呟いたのは中年ナースだった。
「カードで一括払い。先生やったらラクラクやろ?」
「ちょっと待てよ・・・!」
彼らは待たない。いきなり注文を始めていく。
配られた3つほどのメニューに、ナースらは狂喜乱舞し飛びかかっていく。
「たいの造り!」「てんぷら盛り合わせ!」「貝の網焼き!」「茶碗蒸し!」
おいおい・・・。
「カルパッチョ!」「コロッケ全種!」「鍋のセット!」「たこ焼き!」「焼き鳥!」
「そんなに食えるのかよ!」
僕が叫ぶと、また彼らはこちらを凝視した。するとまた中年ナースが顔を上げた。
「食べれるよ。ねえ」
「(一同)ねええええええ!」
僕は圧倒され、目の前のお茶をズズった。
「うわあ、オッサンや、きも!」
右のオーク(40歳過ぎ)がたじろぐ。
「オッサンって・・・あんたもオバハンだろが!」
「何言うてんの先生!レディに失礼やん!」
左のオーク(これもたぶん50歳過ぎ)がジョッキを飲み干す。
「へっへ〜、あたし、ここでええかな?」
オバタリアンが左のオークと交代する。
「今日は飲まして飲まして、お持ち帰りするでえ!」
「だる・・・」
「なあなあ先生。重症病棟の婦長さんは、事務長とできてんの?」
みな食べながら耳をそばだてている。
「できてるって何がだ?」
「またあ。とぼけて!ぷあっぷあっ!」
「ツバ飛ばすなよボケ!」
「まええやんか。な?やったんかな?」
「何をじゃ!」
一般的にナースら同士の会話っていうのは下品だ。
寮生活とかの<女社会>がそうさせたのか。
「やっとるわ絶対あの2人!」
向こうから声が聞こえる。この中では最年少の34歳(推定)ナースだ。
「手、つなぎよったで!マイカルで見たで!」
「え?映画何やったん?」別のナースが聞く。
「えーとな。ミッション、なんやったっけ?」
僕は指差した。
「ミッションインポッシ・・あ、すんません」
料理が運ばれたので思わず礼が出た。
「ええっ?インポやってえ!」また別のオークが叫ぶ。
「みんな聞いて!インポやてえ!」また別のオーク。
「だれが?」「ユウキ先生?」「かわいそう!」「なんで知ってんの?」
僕は相手にせず、刺身を1つずつ・・・と思ったら、造りはもうない。
「おいおい。オレの分・・・」
コの字型になった宴会席のど真ん中に、オークら5人が携帯撮影を始める。
あちこちで皿が落ちる音も聞こえてきた。あまりにうるさいので、僕は携帯を
確認してみた。
「呼ばれてないな・・・ん?」
近くの請求書を一瞥すると・・・・途方もない注文数だ。
「あの、すんません」
端で無表情に立っている店の人に聞く。
「今のところ、値段は・・・?」
「お待ちを」
店員はオークらの携帯撮影の犠牲になりながらも、一生懸命ソロバンをたたいた。
「・・・ざっと8万円になりますね」
「マジ?」
「あ。すみません」
「違ってた?」
「11万4千円・・ですね」
「オーマイ!ガッド!ジーザスクライス!スーパースター!」
僕は立ち上がった。
「悪いけど、みんなからも徴収するからな!」
しかし誰も耳を貸さない。早くも意識不明者が数名、続出してきた。
服を脱ぐ者、壇上で肩を組んで歌う者・・・。
近くのナースが畳を這いながら店員に近づいていく。
「ずみまで〜ん。冷酒のおかわりぃ〜・・・」
「ただちに」
「おい!」
僕はそのナース(推定48歳)を揺り起こした。
「もう頼むな!なあたのむ!」
「どど、どっちよ?」
「金、あるのかよ?」
「へえ?みんな持ってないよ」
「どあるう!」
僕はまた立ち上がってその光景を目にした。みな乱れまくり、吐いてる者まで出だした。
髪を引っ張り合ったり、互いの胸を揉みまくったり・・・。もはや事態は収拾不可能。
それでも酒の注文は殺到、店員はどんどん請求書を書き綴っていく。
僕はヘルプを要請することにした。携帯が汗ですべる。
「いてくれ・・・お前が頼りだ!」
「どこへ行く気だ?」
後ろから押され走りながら聞いたが、彼らは必死で目的地へ向かっていた。
やがて足音は緩やかになり、ミナミの料亭に到着した。
「いらっしゃいませ・・」
高齢だが背筋のしっかりした老紳士が、ドアを開けた。
「予約のユウキ様で?」
「え?おれ?はい」
反射的に返事した。誰かが携帯で電話してたのか・・・。
ナース軍団は玄関で次々と靴を脱ぎ捨て、紳士はそれを1つずつ丁寧に拾う。
「ごゆっくりどうぞ・・・」
廊下をズンズンズンズン軍団は行進し、奥の大広間へ。
知らない間にまた増員された20余名の軍団は、ドカッと一斉に長大なテーブルに足を崩した。
「(一同)おおおおおお!」
拍手が鳴り響く。やがてお喋りが始まる。見渡したところ、平均年齢40歳だ。おごる価値などない。
「すまんが、みんな!」
「(一同)ざわざわざわざわざわ」
「聞けよ!」
みなシーンとこちらを注視した。
「いくらなんでも、オレの財布ではカバーしきれんよ!」
「カードがあるやん」
そう呟いたのは中年ナースだった。
「カードで一括払い。先生やったらラクラクやろ?」
「ちょっと待てよ・・・!」
彼らは待たない。いきなり注文を始めていく。
配られた3つほどのメニューに、ナースらは狂喜乱舞し飛びかかっていく。
「たいの造り!」「てんぷら盛り合わせ!」「貝の網焼き!」「茶碗蒸し!」
おいおい・・・。
「カルパッチョ!」「コロッケ全種!」「鍋のセット!」「たこ焼き!」「焼き鳥!」
「そんなに食えるのかよ!」
僕が叫ぶと、また彼らはこちらを凝視した。するとまた中年ナースが顔を上げた。
「食べれるよ。ねえ」
「(一同)ねええええええ!」
僕は圧倒され、目の前のお茶をズズった。
「うわあ、オッサンや、きも!」
右のオーク(40歳過ぎ)がたじろぐ。
「オッサンって・・・あんたもオバハンだろが!」
「何言うてんの先生!レディに失礼やん!」
左のオーク(これもたぶん50歳過ぎ)がジョッキを飲み干す。
「へっへ〜、あたし、ここでええかな?」
オバタリアンが左のオークと交代する。
「今日は飲まして飲まして、お持ち帰りするでえ!」
「だる・・・」
「なあなあ先生。重症病棟の婦長さんは、事務長とできてんの?」
みな食べながら耳をそばだてている。
「できてるって何がだ?」
「またあ。とぼけて!ぷあっぷあっ!」
「ツバ飛ばすなよボケ!」
「まええやんか。な?やったんかな?」
「何をじゃ!」
一般的にナースら同士の会話っていうのは下品だ。
寮生活とかの<女社会>がそうさせたのか。
「やっとるわ絶対あの2人!」
向こうから声が聞こえる。この中では最年少の34歳(推定)ナースだ。
「手、つなぎよったで!マイカルで見たで!」
「え?映画何やったん?」別のナースが聞く。
「えーとな。ミッション、なんやったっけ?」
僕は指差した。
「ミッションインポッシ・・あ、すんません」
料理が運ばれたので思わず礼が出た。
「ええっ?インポやってえ!」また別のオークが叫ぶ。
「みんな聞いて!インポやてえ!」また別のオーク。
「だれが?」「ユウキ先生?」「かわいそう!」「なんで知ってんの?」
僕は相手にせず、刺身を1つずつ・・・と思ったら、造りはもうない。
「おいおい。オレの分・・・」
コの字型になった宴会席のど真ん中に、オークら5人が携帯撮影を始める。
あちこちで皿が落ちる音も聞こえてきた。あまりにうるさいので、僕は携帯を
確認してみた。
「呼ばれてないな・・・ん?」
近くの請求書を一瞥すると・・・・途方もない注文数だ。
「あの、すんません」
端で無表情に立っている店の人に聞く。
「今のところ、値段は・・・?」
「お待ちを」
店員はオークらの携帯撮影の犠牲になりながらも、一生懸命ソロバンをたたいた。
「・・・ざっと8万円になりますね」
「マジ?」
「あ。すみません」
「違ってた?」
「11万4千円・・ですね」
「オーマイ!ガッド!ジーザスクライス!スーパースター!」
僕は立ち上がった。
「悪いけど、みんなからも徴収するからな!」
しかし誰も耳を貸さない。早くも意識不明者が数名、続出してきた。
服を脱ぐ者、壇上で肩を組んで歌う者・・・。
近くのナースが畳を這いながら店員に近づいていく。
「ずみまで〜ん。冷酒のおかわりぃ〜・・・」
「ただちに」
「おい!」
僕はそのナース(推定48歳)を揺り起こした。
「もう頼むな!なあたのむ!」
「どど、どっちよ?」
「金、あるのかよ?」
「へえ?みんな持ってないよ」
「どあるう!」
僕はまた立ち上がってその光景を目にした。みな乱れまくり、吐いてる者まで出だした。
髪を引っ張り合ったり、互いの胸を揉みまくったり・・・。もはや事態は収拾不可能。
それでも酒の注文は殺到、店員はどんどん請求書を書き綴っていく。
僕はヘルプを要請することにした。携帯が汗ですべる。
「いてくれ・・・お前が頼りだ!」
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