医局でウトウトするうち、ふと目が覚めた。
消化器外科のドクターが1人、到着。

「ばんは!」
「ばんは!輸血もオーダーしたよ」
「ああ。写真は詰所で見てきた」

夜中に呼ばれたせいか、機嫌があまりよろしくない。

「じゃ、オレ今度こそ帰るから!」
「当直は?」
「ずっと寝てるよ。あそこで」
「じじいが・・・!」

僕はサッサと白衣を脱いで、ロッカーへ戻した。

ペタン、ペタンと薄暗い廊下を歩き、エレベーターへ。
降りると、事務室のほうで声がする・・・。

ドアノブをゆっくり回すと、事務長の声だ。

「・・・・・んとかそれは。ええ」
「・・・・・・・」

僕は彼を脅かすため、わざと息を殺した。

「もちろん支払いのほうは・・明日間違いなしで。へえ」

 どうやら、彼はお偉いさんと電話しているようだな・・。しかし事務長の服はやぶれかぶれ、髪はボサボサだ。オーク軍団にかなりやられたようだ。

「明日は定期の集会がありますので、よろしければそれには出席・・・はい」

定期の集会・・・うちでは毎週土曜日の昼に行われている。

「出席で・・よろしいでしょうかね。ええ。できれば・・・そのあとの支払いということで」

誰か出席するのか・・?

ひょっとして経営者とかが来るのか?

経営者がやってきて、雷でも落としに来るんだろうか。支払いとは、それに対するギャラ?

 息をひそめた僕に気づかないまま、事務長は電気を消して部屋を出て行った。僕はゆっくり立ち上がり、さきほどの電話のメモに近づいた。そこには・・・

こんなことが書いてあったのだ。

『 ラーメン4つ チャーハン2つ ギョーザ3つ 』

なんだよ。事務の昼ごはんの注文かよ。

「どあるう。はああ、つまんね・・・」
駐車場へ出る。ちょうど外科がもう1人到着したようだ。エンジンは止まり、また静かに。事務長の車もすでにない。

「よっこいしょっと」
マーク?にやっと乗れた。
「明日は半ドンか・・・!それ、あとひとふんばり!」
キーを回し、即発進。

飲み会は、いくらかかったのか。ツケはこっちに回ってこないか。ハッと我に返った。

「いかんいかん!患者の心配もせんと!」

 土曜日は週1回の会議、それと前述の集会がある。スタッフの士気を高めるのが目的だ。以前は月曜日にされていたが、月曜日に重圧を持ってくるのは逆効果と事務長が判断した。

MDのボタンを押したが、やはり壊れたままだ。作動せず。
仕方ない。何か歌うか・・・。

ハンドルを2つ叩く。

「きょおんがとってもお〜ウ〜、たんのしいいっとお〜ウ〜!

あっすんもきいいぃっとウ〜、たんのしっくって〜ウ〜!

そんなひんびがあ〜ウ〜、つんず〜いってく〜ウ〜!

そう想って〜ウ〜、いたあんのころお〜ウ〜!」

<SEASONS> 歌・詞 浜崎あゆみ  曲 D・A・I

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