ダル6 ? 軍法会議

2005年12月2日
気胸の山本さんのとこへ。

 昨日ドレナージチューブをクランプしてせき止め、今日CTを確認。部屋へ写真を持っていった。

「肺の外に空気はもうたまってきてないようです」
「だろな」
「なんで分かる?」
「もう何回も起こしてるんでっせ」
「関係ないって・・・今後も油断しないようにね」
「突然起こるものやから、油断もなにもないでしょうが!」
「風邪ひいたりとかして治療もせず咳ばっかり出てると・・・!」

そういうのもブラの破裂につながることがある。

「じゃ、抜きますね。よっと!」
「ふん!」
「別に力入れなくても・・・」
チューブをスッと抜くと同時に、あらかじめかけた糸をキュッと結び、傷口が閉じられる。
「この糸は1週間ぐらいして抜くから」
「じゃ、帰れる?」
「風呂はダメ。抜糸まで、外来は毎日来てください」
ベッド稼働率のこともあり、早々の退院に。

ピンポン!と天井から放送。

『各部署の代表者の方々は会議がありますので、最上階の会議室に集合してください』

医局からは医長が代表だが、今回は僕も特別に呼ばれている。
「さ。行こうかな・・・」
手袋をはずし、廊下へ。顔に覚えのある中年ぽっちゃりナースがニヤニヤしている。

昨日、僕のトランクスに手をかけた奴だ。気持ちだるう・・・!
僕は心の中で叫んだ。<貴様らには地獄すら生ぬるい!>←北斗の拳より

 会議室に入ると、どうやら僕が1番乗りのようだった。最上階で外は空・・・ビル群が見渡せ、飛行機・ヘリも見える。机・イスは円形に配置されており、さながら<ジェダイ元老院>のようだ。

僕はイスの1つに腰掛けた。

「諸君。昨日の飲み会の出費は、皆の給料からの天引きということにしてはくれまいか?」
独り言が虚しく響く。

やることがないので、財布を開けた。

自動車免許証、ツタヤの会員証、銀行のカード、給与明細書。明細書は社会人の通信簿らしい。

思えばこの1年の業績のアップに伴って、最近年収アップでの契約を更新した。<年俸>の契約更新は通常1年ごと。業績が上がれば次回の契約で年収を伸ばすことも可能だが、逆もありうる。
全ては交渉しだい。個人の売り上げが抜きん出ていることが必須の条件だ。

当院(民間)では僕くらいの年数(7-8年)なら内科医で年俸1100-1200万。これに当直があれば年250-300万が上乗せ(平日1泊5-6万が相場として)される。臨時のバイトが週1あればさらに200(外来1コマのみ)-400(半日勤務)万がプラス。

もちろん当院(民間病院)での話という事にしてはおくが、整形の頑固じいらの外科系はさらに200-300万が上乗せ。麻酔科は僕らより200-300万下。

一般からすると高額ではあるが、「明日は我が身」的な仕事のリスクを考えると、単に高い安いで論じるべきではない。それらを考慮すれば、これぐらいの額がモチベーション(動機つまりやる気)につながるものと思われる。

あとは能力・交渉に応じての昇給あり。大学からつながれている医師に関しては<交渉>というのは難しく、一方的に決まった相場でもらうことが多い。こういう言い方は失礼だが、あちらは『文句あるなら代わりがいますから』の世界なので。

実際は税金がかなりかかるので、手取りはこれらのうちの7割ぐらいと思っていい。当時の税率はhttp://www.taxanswer.nta.go.jp/2260.htm
のような形で、1800を越えるかどうかで税率がガラリと変わる。当院では大半が30%税率までにとどめようと努力する者が多かった。1800万を越えて税率が上がったら働き損、だというのが彼らの言い分だ。これを巧みに計算して事務と交渉している医者の多いこと多いこと・・・。

※ 以上はこの関西であちこち聞きまわった話を基にしている。ウソを書く気は毛頭ないので。

「うっ?」
気がつくと、ドヤドヤと1人ずつ入ってきた。みな席につく。事務長、総婦長、ミチル婦長、総務課長に医長・・・僕だけが浮いて見える。

「では・・・いきましょうか」
事務長が周囲を見回す。
「ユウキ先生は・・・いいですかね」
「なにを?」
「真実のみを述べることを誓いますか?」
「誓います!・・・ってこれは裁判かよ?」

軍法会議が始まった。

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