ダル6 ?   集会

2005年12月3日
トイレで小をしていると、横に事務長が現れた。

「ちょっとキツイ言い方をしましたが・・・」
「あっそ」
「建前上、ああいう言い方をせざるを得ないと思って」
「まあな」
「気を落とさないでください。僕は先生を一番頼りにしてますし」
「ウソつけ。じゃ、公衆の面前で恥をかかせたそのお詫びとして」
「ええ」
「1つだけ願いを聞くか?」
「はい。先生の望みであれば」
「何でもいいんだな?」
「はい」
「真実のみを誓うか?」
「誓います。これが望みで?」
「アホ。今から言うわ!」

僕は手を洗った。事務長はまだ小。

「ならおい、昨日の金は全部オマエが払えよ」
「わかりました・・いいっ?」
「望み聞く、って言っただろ?」
「ひええ〜しかしそれは・・・」

僕は鏡に向かってガッツポーズした。
「いやったああああああああ!」
そのまま職員駐車場へダッシュした。

「よっしゃ!みんなに言いふらそう!」
「あっ!待て!」
事務長はファスナーを閉める間もなく、追いかけてきた。

「おおいみんなあ!」
「待ってくれよ!」
「事務長がなあ!」

最上階の6階から1階まで、僕らはダッシュし続けた。

「はあはあはあ!」
必死の追撃をかわすためジャンプ、手すりにダンと右肘を乗せる。
そうしてまたたく間に事務長を引き離す。
「どけどけどけ!」
誰もいないが、とりあえずクラクションを鳴らしながら・・・1階へ到着。

病院前の広大な駐車場には、ダラダラではあるが100人余りの職員がたむろしていた。
田中事務員がマスターダブル用の台をエッサホイサと運んでいる。

台は病院側に接して置かれた。引き続きマイクのテスト、と忙しい。
「あ、あ」
キーンという音が病院外のスピーカーから響く。
みな徐々に列を作ってきた。小学生の集まりよりも統制が悪い。

ドクターの列はど真ん中で、医長が先頭に立った。僕は最後尾に。左はすべてナース。その中の半数はオーク軍団が混じる。

事務長は息を切らしながら、台に立った。
「はあ、はあ・・・・ちょっと運動してたんで・・・はあはあ」
田中事務員の持ってきた水を飲み干す。

『今週も!はあ。今週もこれで終わりですね。やっと終わったふうう』
「(一同)ははははは」
『向かいには大きなスーパーができるようだし・・・』

みな後ろを振り向くと、当院の数倍はある巨大な建築物がある。

『冬の到来、そしてこの地域の活性化・・・私たちの重要性は増すばかりです。それに加え、今後は病診連携にも重点を置くことにしました』

スタッフらは手足をブランブランさせ、ある者は突付きあったりしている。

『その診療所は当院のユウキ先生のもと先輩で、病院以外のコネなどいろいろ
持っていらっしゃるそうです』
「(一同)おおおおおおおお」

宗教団体だろが、スカタン・・・。

『それに合わせて当院も病床を拡大し、経営規模のさらなる充実を図っていこう
と思う!』
数人だけが拍手した。たぶんサクラだ。

引き続いて、白衣を着た老人が台に立った。
『失礼をばいたします・・・料亭の主人です』
この主人は・・・・昨日僕らが襲われた料亭にいた。靴をはかしてくれた人だ。

『昨日は、誠にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます』

なんで料理人がここまで来るんだ・・・?ひょっとして催促か?

『実は、真田病院にはうちの家内が非常にお世話になりまして。かれこれ3年前のことです』
しんみりとした話が始まったようだ。
『彼女は68歳。B型の肝炎を患っておりました。当時私は腰の調子が悪く、妻にこの料亭を
任せておりました』

泣けそうな話が、始まりそうなヨカン・・がします。ヨカンがします。

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