3RDSPACE ?
2005年12月31日大学病院の教授室。
教授は何か考えながら、窓の外を見つめていた。
後ろにノッポのスーツ男性が立つ。
「では・・・・土方くん」
教授は上目遣いで振り向いた。
「お願いできますかな?」
後ろのノッポはコクリとうなずいた。
「君にはまあ、せっかくここまで戻ってきてもらったわけだが・・君の以前いた病院は、そのな」
教授は言葉に困っているようだ。
「その。当院の関連病院としてはもう、長い歴史を持ちすぎた。他大学の進出もあったし・・・キレイさっぱり引き上げたわけだ。決して・・・」
教授は目を逸らした。
「決して君の能力がどうとかいうわけではない。君のおかげで統制のある医局ができていたと院長から聞いていた」
「・・・・・・・・」
「で、ここに戻ってきて間もなくでアレだが・・・ヒト肌脱いではくれるね?」
「・・・・・・・・」
男はただただ小さくうなずいた。
「医局長!」
「はっ!」
鶴の一声で、隅からともなく医局長が現れた。
「お送りしろ」
「ははっ!」
医局長の古いクラウンが駐車場で待機している。
運転席には医局員が座っていた。医局員は後ろからやってくる2人に気づき、いちはやく外に出た。
「ド、ドアをお開けします!」
大柄で肥満体型の助手・島は、バタンバタンとせわしくドアを開けた。
「うう、運転のほうさせていただきます!」
大男が助手席に乗り、医局長は後部座席へ。
「島。論文の作成が遅れてるぞ。私まで迷惑だ」
「申し訳ありません医局長・・・」
「大学の人手が減ったのは分かるよ。それは分かる」
「土方(ひじかた)先生まで失うのは痛手です」
「話をごまかすな。論文が遅れて、教授も非常にご機嫌が悪い」
「来週までには必ず」
「今週までだ。そうしないとどうなるか分かってるな?」
「今日の用事が済んで大学に戻り次第、急ピッチで進めます!」
「そのほうが君のためだ」
助手席の土方は終始、無言だ。阿部寛を老けさせたような容貌。レオンのような丸メガネ。
医局長は勝手に空調をいじる。
「土方先生、失礼致します。島。運転とはいえ、よくもまあ真田まで行く気になるな」
「あそこには借り、いや貸しがあるので・・」
「貸し?名義はもう撤退したが」
「ではなくて・・・」
島はシートを調整し直し、ハンドブレーキを解除した。
教授は何か考えながら、窓の外を見つめていた。
後ろにノッポのスーツ男性が立つ。
「では・・・・土方くん」
教授は上目遣いで振り向いた。
「お願いできますかな?」
後ろのノッポはコクリとうなずいた。
「君にはまあ、せっかくここまで戻ってきてもらったわけだが・・君の以前いた病院は、そのな」
教授は言葉に困っているようだ。
「その。当院の関連病院としてはもう、長い歴史を持ちすぎた。他大学の進出もあったし・・・キレイさっぱり引き上げたわけだ。決して・・・」
教授は目を逸らした。
「決して君の能力がどうとかいうわけではない。君のおかげで統制のある医局ができていたと院長から聞いていた」
「・・・・・・・・」
「で、ここに戻ってきて間もなくでアレだが・・・ヒト肌脱いではくれるね?」
「・・・・・・・・」
男はただただ小さくうなずいた。
「医局長!」
「はっ!」
鶴の一声で、隅からともなく医局長が現れた。
「お送りしろ」
「ははっ!」
医局長の古いクラウンが駐車場で待機している。
運転席には医局員が座っていた。医局員は後ろからやってくる2人に気づき、いちはやく外に出た。
「ド、ドアをお開けします!」
大柄で肥満体型の助手・島は、バタンバタンとせわしくドアを開けた。
「うう、運転のほうさせていただきます!」
大男が助手席に乗り、医局長は後部座席へ。
「島。論文の作成が遅れてるぞ。私まで迷惑だ」
「申し訳ありません医局長・・・」
「大学の人手が減ったのは分かるよ。それは分かる」
「土方(ひじかた)先生まで失うのは痛手です」
「話をごまかすな。論文が遅れて、教授も非常にご機嫌が悪い」
「来週までには必ず」
「今週までだ。そうしないとどうなるか分かってるな?」
「今日の用事が済んで大学に戻り次第、急ピッチで進めます!」
「そのほうが君のためだ」
助手席の土方は終始、無言だ。阿部寛を老けさせたような容貌。レオンのような丸メガネ。
医局長は勝手に空調をいじる。
「土方先生、失礼致します。島。運転とはいえ、よくもまあ真田まで行く気になるな」
「あそこには借り、いや貸しがあるので・・」
「貸し?名義はもう撤退したが」
「ではなくて・・・」
島はシートを調整し直し、ハンドブレーキを解除した。
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