3RDSPACE ?

2005年12月31日
午後。医局長が土方先生に申し送り。

「・・・という振り分け方で主治医を決めるシステムにしてまして」
「ははは。先生。カタイカタイ。もっと肩の力を抜いて。緊張型頭痛になりますよ!」
土方は医長の両肩を揉んだ。

「緊張型の頭痛が頭痛の大半なんですな。実は」
「は、はい・・たた」
「ミオナールとか処方するみたいですが、アレは効かないでしょう?」
「たしかに・・シップの処方しか」
「先生。処方するよりもマッサージですよ」
「マッサージ・・・」
「風呂で自分ですればいいんですな。肩を揉む!これですわ!」
そう言いながら、土方はカルテを1つずつ確認していく。
「君らの世代は、何かと薬に頼ってしまうところがあるんですな!ははは!」

医長は唇を少し噛んでいる。土方はカルテを一通り確認し終わった。

「この病院は、呼吸器疾患と循環器疾患・・が主体ですかな?」
「当院は主に呼吸器と循環器。消化器は特殊な場合は消化器外科です。でも大半は僕らが」
「消化器は、もう消化器外科に回しましょうや!」
「土方先生は呼吸器学会の専門医で・・」
「そ!」
「学会誌でよく見ました。評議員をたしか・・」
「うん。まあ名前だけですわ」

大学では呼吸器の権威として重宝されている。

「じゃ、新患はわしがドンドン持たせてまらいますわな!他、主治医は当てていっても・・・」
「ええ。では自分はこれで」
医長はさびしそうにその場を去った。

トシキはあっという間に医長の座を奪わ・・譲った。

シローが詰所に入って、土方の近くの真吾を呼び止める。
土方先生の命により、シローが基本的指導を行うことになった。

「シンゴ先生!じゃあいっしょに回診しようよ!」
「はい」
真吾は忠実に従った。

「僕の患者のカルテは・・・見た?」
「はい」
「これからは左半分が君で、右半分が僕」
「はい」
「君が先に書いて、僕がそれを直したりしていくから」
「よろしくお願いします・・・」

66歳男性。三尖弁狭窄症。シローが患者に頭を下げる。

「この方は弁膜症による心不全で入院した」
「・・・・・・・」
「TSってあまりお目にかかれない疾患だよ」
「・・・」
「カルテを昨日の夜チェックしたはずだよね・・復習は?」
「あ。心不全のとこしか」
「それだけの勉強じゃダメだよ。心不全の原因によっては治療が全く異なるんだから」
「心不全の治療は酸素と利尿剤・・・」
「だけとは限らないよ。注意して。昨日は泊まりを?」
「いえ」
「うちではそういう強制はしないけど。最初はレジデント気分のほうがいいよ!」

真吾は聴診を終えた。シローがカルテをめくりながら聞く。

「逆流した血液が、右心室から右心房へ流れる。すると?」
「すると?」
「君に聞いているんだよ。心拍出量は?」
「増える・・減少します・・増える?」
「適当はダメだよ。減る。で、そうするとどんな症状が?」
「えっ?まだそこの学習は・・・」
「拍出量が減るってことは、全身への血液が・・」
「減少します」
「するとどんな症状?」
「・・・・・」
「貧血と同じさ。脱力感。めまい・・・。それと静脈圧が上昇するよね」
「逆流のせいで・・」
「そう。静脈圧が上昇したら?」
「顔がむくんだり、足がむくんだり・・・」
「頭痛や腹部の不快感も生じる。これもうっ血によるものだ」

シローは超音波を当てている。

「三尖弁だけでなく、僧房弁の逆流症がある。弁は石灰化が著明だ。なので僧房弁のほうの原因は・・・」
「関節リウマチ」
「リウマチ熱だよ。ウケ狙い?間違えないように」
「・・・・・・」
「TSはどうやらむしろこの僧房弁疾患に合併したもののようだ。三尖弁も石灰化が著しいしね」
「・・・・・・」
「典型的な例だよ」
「治療は?」
「酸素と利尿剤。それくらい言えなきゃ!」
「あのさっき私が・・」
「治療抵抗性なら弁置換!さ!次!」

ちなみにシローもB型野郎だ。

70歳女性。軽度痴呆あり高血圧。

「肝臓のCTができたんだ。見てくれないかな」
シローは写真をかざした。
「君から向かって肝臓の右葉の・・・左下の部分。まずここの区域は何番?」
「ええっと・・・」

真吾は天井を見た。

「そこには何も書いてないよ?」
「っと・・・」
「分からなければ、メモを見る!」
「はい」
「やれやれ・・・今日は<だるスコア>高いな」
そこまでは言ってない。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索