3RDSPACE 33.
2006年1月3日林道に入り、運転すること3時間。
大雪の中、車は到着。携帯電話の電波は届いてない。
3階建ての灰色病院。年季が入っている。
入り口は開いているが、人の気配がない。
ピート・眼科医は2階へと上がっていった。
「これは・・・なんだおい?」
ピートは詰所に入ったとたん驚いた。
詰所の中が・・も抜けの殻だ。モニターだけがピロピロリンと鳴っているだけ。
ナースコールも頻回だ。
「誰もいねえ・・・?」
引き続き、事務長らが入る。
事務長はイスをあちこち座ってみた。
「温かくない・・・けっこう時間たってる」
「スタッフの奴ら。患者らみな放って逃げ出したのか?」
廊下の向こうから田中が走ってきた。
「事務室も、誰もいません!」
「ウソ・・・?夜逃げ?」
事務長は頭を抱えた。
「ウソ?私らは騙されたのか・・・?」
ピート、眼科医は各ベッドへ回っていった。
「どど、どうしよう・・・」
事務長は事務室に入り、あちこち探し始めた。何か手がかりは・・・。封筒など見つけるが、どれも医療用だ。
まあ、まだ正式な契約を結んでいないからよかったが。
なんでまた合併の話を出しておいて、逃げるのか・・・?
事務長はそこのパソコンを立ち上げた。
たぶんここの事務長が座っていた・・・。
田中らはあちこち引き出しを開けようとしていた。
「待て!それじゃまるでドロボウだ!」
事務長は制した。
「彼らが戻ってこないと決まったわけじゃないし!」
「し・・しかし事務長!」
「追いかけるさ!」
「どこへ?」
「さあ?」
「だる!ああユウキが感染した!」
やがて自然とホームページが開かれた。この病院のだ。
いきなりパスワードが要求。これを入力しないとパソコンに入れない。
「やれやれ。パスワードなきゃネットできないのか・・・」
「事務長。いまごろネットなんか!」
田中や他の事務員があちこちチェックしている。
「ま、いまどきどこかの病院みたいにマウスパッドの裏に・・」
裏に・・・それはまさしく書いてあった。
「やってみるもんだなあ!」
パスワード入力し、ネット画面。病院の紹介。どうでもいい。
「速く動けよこの!」
あちこちクリックしていくうち・・・<履歴表示>が出た。
「履歴・・・」
よく見ると、その中には。
「<航空券予約>?」
2階詰所。
ピートは患者を1人ずつカルテと照らし合わせていった。
「じいさんこんにちは!」
67歳の男性。返事が乏しい。聴診しようとすると・・・腹部に穴、そこからチューブが出ている。
「胃ろうが入っているのか。今日はまだゼロなのか・・・?うわ!」
オムツから便がはみ出している。
「仕方ねえな。あとで代えるからよ!」
脱水の傾向があり、点滴の用意をすることに。ピートは詰所で点滴を用意しはじめた。眼科医も戻ってきた。
「ピート。なにのんびり注射当番やってんの?」
「脱水がひどいんだ!注入食も入ってないし!」
眼科医はピートの点滴をつかんだ。
「待てよ。どうして俺たちがそこまでしないといかんのだ?」
「た、助けがいるだろ・・?しゃあねえじゃねえかよ」
「話が違う。僕らは治療しに来たんじゃない。入院患者の大まかな把握・・ん?」
耳を澄ますと、電話が遠方で鳴っている。
「取ってくる!」
眼科医は事務室まで走っていった。
ピートは点滴を準備、じいさんのところへ。
「じいさん。オレはオペの番人だ。だが点滴は久しぶり・・・」
ピートにとって留置針を刺すのは8年ぶりだった。
「大丈夫、痛くない。ノーペイン!」
「もしもし?」
眼科医が電話を取った。
『救急隊です』
「えっ?」
『52歳男性。狭心症あり今回胸痛発作です』
「すみませんが、今は・・」
『搬送しますのでお願いします』
「今は診療が・・・」
『3分で来ます。ブチッ』
「あ!お〜い!」
叫びも虚しく、叩いても受話器は答えず。
眼科医は周囲に何も言えず、固まった。
ピートは3人目の処置にかかった。
「カルテによれば・・・<酸素マスクで酸素飽和度不十分>。なんだ?<不十分>って?」
「ピート!ピート!」
眼科医が怒り狂っていた。
「なんだよ。うるせえな!」
「きゅ、きゅうきゅう!きゅうきゅうが来る!」
「ほおそうか。よかったな・・・なにい?」
「一方的に切られたぞ!」
「どんな救急が?」
「ええっと・・・」
「忘れた?」
「うーん・・・」
そのようだ。
「外傷ではないと聞いた」
「そんな伝え方するかよこのオカチメンコが!」
サイレンは到着した。
52歳男性は胸を押さえている。
「いつつつ・・!」
「寝て寝て!いやいや!セミファーラーで!」
眼科医は呆然と立っていた。
「どうして・・どうして」
「心電図取れよオッサン!」
「ひっ?心電図?」
「よく国試通ったな?」
「わ、わかった。言う事はするから」
「心電図をとれ!」
「取る?こう?」
眼科医は心電図の機械を自分の手前に引っ張った。
「取ったよ・・あっ?えっ?」
「なめてるのかテメエは・・・?」
ピートは呆れた。
ピートは眼科医をパシリとして働かせる覚悟を決めた。
それでも眼科医はなんとか心電図を記録した。
「なんとかやってみたぞ。心電図はこれだ!ピート!?誘導のR波が陰性だ!病名は?」
「バカヤロー!左右の手の誘導が逆さだろうが!」
「付け間違い?」
「aVRが上向きだろが!イカサマだ!」
「じゃあ先生がすべてやってくれよ!」
「オマエはナースか?」
患者は不安になり起き上がってきた。
「な、なんかイカサマがされよるんですかいな」
「誰が動けと言った?」
ピートは押さえつけた。
STが広範に低下。検査室から持ってきたトロポニンキットは陰性。二トロペンは十分な効果なし。
「発症から数時間はたってる。心筋梗塞ではないが典型的な狭心症でもなし・・」
「ど、どうしますか?次は?」
眼科医は指示を待つ。
「アンステーブルとして対処!ヘパリンは冷蔵庫のこれを使用する。眼科医は亜硝酸剤を用意!」
「お、おしょうさん?」
「バカが!」
ピートは薬局の倉庫に向かった。
大雪の中、車は到着。携帯電話の電波は届いてない。
3階建ての灰色病院。年季が入っている。
入り口は開いているが、人の気配がない。
ピート・眼科医は2階へと上がっていった。
「これは・・・なんだおい?」
ピートは詰所に入ったとたん驚いた。
詰所の中が・・も抜けの殻だ。モニターだけがピロピロリンと鳴っているだけ。
ナースコールも頻回だ。
「誰もいねえ・・・?」
引き続き、事務長らが入る。
事務長はイスをあちこち座ってみた。
「温かくない・・・けっこう時間たってる」
「スタッフの奴ら。患者らみな放って逃げ出したのか?」
廊下の向こうから田中が走ってきた。
「事務室も、誰もいません!」
「ウソ・・・?夜逃げ?」
事務長は頭を抱えた。
「ウソ?私らは騙されたのか・・・?」
ピート、眼科医は各ベッドへ回っていった。
「どど、どうしよう・・・」
事務長は事務室に入り、あちこち探し始めた。何か手がかりは・・・。封筒など見つけるが、どれも医療用だ。
まあ、まだ正式な契約を結んでいないからよかったが。
なんでまた合併の話を出しておいて、逃げるのか・・・?
事務長はそこのパソコンを立ち上げた。
たぶんここの事務長が座っていた・・・。
田中らはあちこち引き出しを開けようとしていた。
「待て!それじゃまるでドロボウだ!」
事務長は制した。
「彼らが戻ってこないと決まったわけじゃないし!」
「し・・しかし事務長!」
「追いかけるさ!」
「どこへ?」
「さあ?」
「だる!ああユウキが感染した!」
やがて自然とホームページが開かれた。この病院のだ。
いきなりパスワードが要求。これを入力しないとパソコンに入れない。
「やれやれ。パスワードなきゃネットできないのか・・・」
「事務長。いまごろネットなんか!」
田中や他の事務員があちこちチェックしている。
「ま、いまどきどこかの病院みたいにマウスパッドの裏に・・」
裏に・・・それはまさしく書いてあった。
「やってみるもんだなあ!」
パスワード入力し、ネット画面。病院の紹介。どうでもいい。
「速く動けよこの!」
あちこちクリックしていくうち・・・<履歴表示>が出た。
「履歴・・・」
よく見ると、その中には。
「<航空券予約>?」
2階詰所。
ピートは患者を1人ずつカルテと照らし合わせていった。
「じいさんこんにちは!」
67歳の男性。返事が乏しい。聴診しようとすると・・・腹部に穴、そこからチューブが出ている。
「胃ろうが入っているのか。今日はまだゼロなのか・・・?うわ!」
オムツから便がはみ出している。
「仕方ねえな。あとで代えるからよ!」
脱水の傾向があり、点滴の用意をすることに。ピートは詰所で点滴を用意しはじめた。眼科医も戻ってきた。
「ピート。なにのんびり注射当番やってんの?」
「脱水がひどいんだ!注入食も入ってないし!」
眼科医はピートの点滴をつかんだ。
「待てよ。どうして俺たちがそこまでしないといかんのだ?」
「た、助けがいるだろ・・?しゃあねえじゃねえかよ」
「話が違う。僕らは治療しに来たんじゃない。入院患者の大まかな把握・・ん?」
耳を澄ますと、電話が遠方で鳴っている。
「取ってくる!」
眼科医は事務室まで走っていった。
ピートは点滴を準備、じいさんのところへ。
「じいさん。オレはオペの番人だ。だが点滴は久しぶり・・・」
ピートにとって留置針を刺すのは8年ぶりだった。
「大丈夫、痛くない。ノーペイン!」
「もしもし?」
眼科医が電話を取った。
『救急隊です』
「えっ?」
『52歳男性。狭心症あり今回胸痛発作です』
「すみませんが、今は・・」
『搬送しますのでお願いします』
「今は診療が・・・」
『3分で来ます。ブチッ』
「あ!お〜い!」
叫びも虚しく、叩いても受話器は答えず。
眼科医は周囲に何も言えず、固まった。
ピートは3人目の処置にかかった。
「カルテによれば・・・<酸素マスクで酸素飽和度不十分>。なんだ?<不十分>って?」
「ピート!ピート!」
眼科医が怒り狂っていた。
「なんだよ。うるせえな!」
「きゅ、きゅうきゅう!きゅうきゅうが来る!」
「ほおそうか。よかったな・・・なにい?」
「一方的に切られたぞ!」
「どんな救急が?」
「ええっと・・・」
「忘れた?」
「うーん・・・」
そのようだ。
「外傷ではないと聞いた」
「そんな伝え方するかよこのオカチメンコが!」
サイレンは到着した。
52歳男性は胸を押さえている。
「いつつつ・・!」
「寝て寝て!いやいや!セミファーラーで!」
眼科医は呆然と立っていた。
「どうして・・どうして」
「心電図取れよオッサン!」
「ひっ?心電図?」
「よく国試通ったな?」
「わ、わかった。言う事はするから」
「心電図をとれ!」
「取る?こう?」
眼科医は心電図の機械を自分の手前に引っ張った。
「取ったよ・・あっ?えっ?」
「なめてるのかテメエは・・・?」
ピートは呆れた。
ピートは眼科医をパシリとして働かせる覚悟を決めた。
それでも眼科医はなんとか心電図を記録した。
「なんとかやってみたぞ。心電図はこれだ!ピート!?誘導のR波が陰性だ!病名は?」
「バカヤロー!左右の手の誘導が逆さだろうが!」
「付け間違い?」
「aVRが上向きだろが!イカサマだ!」
「じゃあ先生がすべてやってくれよ!」
「オマエはナースか?」
患者は不安になり起き上がってきた。
「な、なんかイカサマがされよるんですかいな」
「誰が動けと言った?」
ピートは押さえつけた。
STが広範に低下。検査室から持ってきたトロポニンキットは陰性。二トロペンは十分な効果なし。
「発症から数時間はたってる。心筋梗塞ではないが典型的な狭心症でもなし・・」
「ど、どうしますか?次は?」
眼科医は指示を待つ。
「アンステーブルとして対処!ヘパリンは冷蔵庫のこれを使用する。眼科医は亜硝酸剤を用意!」
「お、おしょうさん?」
「バカが!」
ピートは薬局の倉庫に向かった。
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