3RDSPACE 43.
2006年1月4日ロッキーの「アイ・オブ・ザ・タイガー(イントロのみ)」が頭に鳴り響く。
夜の病棟。3人が詰所で一生懸命動き回る。
シローは、土方の山積みのカルテを1冊ずつ取り出していった。
ツバを飛ばしながらも、真吾に指導する。
真吾は真剣に話を聞きながら、カルテを1ページずつ確認する。
「真吾先生。土方先生の記載は少ないけど・・・何を見ているか、
その流れを見るんだ」
「流れ・・・流れ・・・指標」
「そうだ!」
「この患者は肺炎・・・・糖尿病・・・・リウマチに不整脈」
「よくなってる?」
「土方先生の治療・・・CRP、画像」
「反面教師のおいしいとこだけを、いただくんだ!」
レントゲンが次々とかけられていく。真吾が読む。
「右下肺の肺炎像。左にも出現」
シローとザッキーは後ろから見守る。
「CTでは線維化はない・・・」
「肺炎像は?」シローが訊ねる。
「悪化。胸水もある」
「CRPは?」
「よくなってる」
「なら拡がった影は・・」
「肺炎じゃないかもしれず」
「そうだ!」
真吾は続ける。
「葉間胸水?不整脈の基礎疾患は・・・」
「なんだろ?」
「超音波、見てみました」
「そうか!」
シローは喜んで写真を確認した。
「真吾。所見は?」
「左心房が拡大。僧房弁閉鎖不全」
「そうだ!それで不整脈」
「助長したのが脱水に・・・発熱」
真吾は真剣そのものだった。
彼らの気づいた内容が、別のノートに記入されていく。
左に重要項目が重要な順に並び、その横に指標と活動性。
さらに右に矢印が引っ張られていく。
「土方先生の治療とその後の方針を・・・」
予想して書いていく。
後日、互いに照らし合わせる。
「よし!カルテを大きく分けよう!ザッキーは軽症分を!」
シローは軽症患者のカルテをザッキーに回した。
真吾はさっそく次の患者のフィルムを取り出す。
ザッキーは軽症患者の資料から、フィルムや検査所見を選ぶ。
「真吾!こっち来い!」
「はい!」真吾は走って寄った。
「検査技師の所見では肝静脈が拡大し・・・肝うっ血とある」
「証拠写真は・・」
「ないな」
「明日、見ましょう!」
重症患者の確認。当然土方のカルテだ。
「呼吸器の条件設定を変えたあと、確認してない」
真吾は土方の別カルテを確認。
「確認したい」
「朝一で確認するか」
シローは別カルテを確認中。
テーブル中央のメモに、次々とチェック項目が積まれていく。
「これは僕がして、これはザッキー・・・」
シローは振り分けを行う。真吾も真剣だ。
「シロー先生。土方先生への報告は自分が」
「真吾。いいのか?」
「当たって砕けろです」
シローはイスの後ろにもたれかかった。
「はあ。もうそろそろですよね。彼らが帰るの」
「限界を超えるよな・・」
シローもまたため息をついた。
「自分は・・・」
真吾のつぶやきに、2人は目を丸くした。
「自分は、助けのないつもりでやります」
「どうしたの?真吾」
シローはわけが分からなかった。
「自分は・・・ここで誰よりも頑張りたい。それだけです」
他の2人は互いに顔を見合わせた。どうやら本気のようだ。
「今までは、彼に追い回されていましたが・・・」
「これからずっとそうだよ」ザッキーは冷めていた。
「なら、こっちが追いかけたらいいのでは?」
「はあ?」
「こういう言葉があるじゃないですか。追うものは・・・」
シローはピンときた。
「追われる者よりも、強い・・・」
手帳の言葉だ。もちろん僕自身の言葉ではない。
3人の手がバシッと組まれた。
「我は誓う!」
とは言わなかった。
夜の病棟。3人が詰所で一生懸命動き回る。
シローは、土方の山積みのカルテを1冊ずつ取り出していった。
ツバを飛ばしながらも、真吾に指導する。
真吾は真剣に話を聞きながら、カルテを1ページずつ確認する。
「真吾先生。土方先生の記載は少ないけど・・・何を見ているか、
その流れを見るんだ」
「流れ・・・流れ・・・指標」
「そうだ!」
「この患者は肺炎・・・・糖尿病・・・・リウマチに不整脈」
「よくなってる?」
「土方先生の治療・・・CRP、画像」
「反面教師のおいしいとこだけを、いただくんだ!」
レントゲンが次々とかけられていく。真吾が読む。
「右下肺の肺炎像。左にも出現」
シローとザッキーは後ろから見守る。
「CTでは線維化はない・・・」
「肺炎像は?」シローが訊ねる。
「悪化。胸水もある」
「CRPは?」
「よくなってる」
「なら拡がった影は・・」
「肺炎じゃないかもしれず」
「そうだ!」
真吾は続ける。
「葉間胸水?不整脈の基礎疾患は・・・」
「なんだろ?」
「超音波、見てみました」
「そうか!」
シローは喜んで写真を確認した。
「真吾。所見は?」
「左心房が拡大。僧房弁閉鎖不全」
「そうだ!それで不整脈」
「助長したのが脱水に・・・発熱」
真吾は真剣そのものだった。
彼らの気づいた内容が、別のノートに記入されていく。
左に重要項目が重要な順に並び、その横に指標と活動性。
さらに右に矢印が引っ張られていく。
「土方先生の治療とその後の方針を・・・」
予想して書いていく。
後日、互いに照らし合わせる。
「よし!カルテを大きく分けよう!ザッキーは軽症分を!」
シローは軽症患者のカルテをザッキーに回した。
真吾はさっそく次の患者のフィルムを取り出す。
ザッキーは軽症患者の資料から、フィルムや検査所見を選ぶ。
「真吾!こっち来い!」
「はい!」真吾は走って寄った。
「検査技師の所見では肝静脈が拡大し・・・肝うっ血とある」
「証拠写真は・・」
「ないな」
「明日、見ましょう!」
重症患者の確認。当然土方のカルテだ。
「呼吸器の条件設定を変えたあと、確認してない」
真吾は土方の別カルテを確認。
「確認したい」
「朝一で確認するか」
シローは別カルテを確認中。
テーブル中央のメモに、次々とチェック項目が積まれていく。
「これは僕がして、これはザッキー・・・」
シローは振り分けを行う。真吾も真剣だ。
「シロー先生。土方先生への報告は自分が」
「真吾。いいのか?」
「当たって砕けろです」
シローはイスの後ろにもたれかかった。
「はあ。もうそろそろですよね。彼らが帰るの」
「限界を超えるよな・・」
シローもまたため息をついた。
「自分は・・・」
真吾のつぶやきに、2人は目を丸くした。
「自分は、助けのないつもりでやります」
「どうしたの?真吾」
シローはわけが分からなかった。
「自分は・・・ここで誰よりも頑張りたい。それだけです」
他の2人は互いに顔を見合わせた。どうやら本気のようだ。
「今までは、彼に追い回されていましたが・・・」
「これからずっとそうだよ」ザッキーは冷めていた。
「なら、こっちが追いかけたらいいのでは?」
「はあ?」
「こういう言葉があるじゃないですか。追うものは・・・」
シローはピンときた。
「追われる者よりも、強い・・・」
手帳の言葉だ。もちろん僕自身の言葉ではない。
3人の手がバシッと組まれた。
「我は誓う!」
とは言わなかった。
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