3RDSPACE 45.

2006年1月4日
真吾が医局のドアを開けると、シローがソファから飛び起きた。

「よし。もう十分寝た。代わりにどうぞ真吾先生」
「はい」
「3人で、8時間交代のローテーション・・・」
「誰のアイデアですか?」
「ユウキ・トシキのコンビネーションだよ。メリと・・」
「ハリ!先生。体調は・・」
「もう戻ったよ!」

それは真実ではなかったが、シローの場合ワイフより仲間に勇気付けられた。真吾とは対照的だった。

帰還して充電完了のピートが携帯をしまった。
「救急が来た。シロー。行くぜ!」
「ハリー!急げ!」
シローとピートはダッシュした。

ソファに真吾はなだれこんだ。
「3・・・2・・・1!」
8時間後目覚め、飛び起きた。

テーブル上のカテーテルのセットを寄せ集める。
イメージトレーニングだ。

「まず、右心房圧、そして・・」
両手でカテを操作しながら、カテの尖端を心臓の内部に進めていく。
やがて心臓・脈管の位置が見え始めた。

「おい小僧!」お茶をズズズと吸いながら、整形のジジイがパーで邪魔した。
「触らないで!不潔になる!」
真吾はパシッと跳ね除けた。
「次、冠動脈造影!」

医局秘書が袋を持ってくる。
「奥さんから、弁当」
「はい。待って!」
真吾は机に走りこみ、また小さな袋を持ってきた。
「秘書さん。これ渡しておいて!」
「これは・・」
「昨日の弁当!」
また戻り、イメトレの続き。

するとまた立ち上がる。
「ここがまだだな。知りたいぞ!」
カテの本を取り出す。

事務室。太田の近くをシローが通りかかる。
「循環器の入院が入る!軽症の呼吸器患者を退院させよう!」
「そういう判断は、私たちには・・」太田はとまどった。
「電話中?」
「ええ」

シローは入院患者一覧を見つめていた。
太田がキョロキョロと向く。

「なに?どうして?」
「い、いや・・・」
「電話中なのに黙ってていいの?保留中?」
「それは、はい」

受話器の奥から大声が聞こえてくる。
よく耳を澄ますと・・・

『救急隊!こちら救急隊!』

「あ、あのですね!それは!」
太田が食い入った。

「救急?何の救急?」
シローも食い入った。

「シロー先生。外来を早く再開・・」
「なんだよ。僕が出るよ!でるったら!」
シローは受話器を奪った。

「もしもし?」
『救急隊です。どうしてもダメでしょうか』
「ベッドならなんとか」
『心筋梗塞の既往がある方です。今回も胸痛で』
「AMIっぽいですかね。こちらへどうぞ!」
『ありがとうございます。今後も・・いいでしょうか?』
「今後もって?」
『ここ数日、心疾患らしき患者は受け入れができないと・・』
「だ、誰がそんな?」

シローは太田を睨んだ。

『心疾患らしき患者は、極力真珠会へ送ってくれと』
「真珠会・・・」
『これまで3人ほどそちらのかかりつけを・・』
「送ったんですか。真珠会へ・・・」

電話を切り、マイクへ向かう。
「ほかの事務員さんは、総統をお呼びして!」
≪AMI。AMI。医局員で救急関係の者は救急外来へ!≫

マイクをオフにし、シローは太田につかみかかった。
「どうしてそんなことを!」
「わわ、私は言われたことをしただけで・・・!」
「命令は誰が?」
「いい、院長先生・・・」
「土方!」

ピーポー音が聞こえ、シローは太田を放って走り出した。
「よくも仕組んだな!」

 真吾はザッキーと屋上で<気管支体操>中。気管支の走行を覚えるためだ。「1,2,3・・・」

 周囲から見るとカンフーの修行か、ただの変態だ。

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