サンダル医長 火曜日 ? 手よ!休むな!
2006年7月5日自分の外来は早く閉め、内科はシローの1診。
救急車が7台来る。
「あれだ!」
救急室からピートが飛び出した。
1台ずつ、列になってやってきた。
ピートと僕は駐車場に出て、斜めから見る。
「見えるかピート。心臓マッサージをしてるのは・・」
「2台目!と5台目!」
僕は振り返り、救急室出口のスタッフに指でサインした。
1台目のハッチが空いた。救急隊がストレッチャーを運んでくる。
「それそれ!」
「はい!」ザッキー、トシキらスタッフが受け取る。
「ったくもう!」隊員の1人が不満げだ。
「真珠会から?」
「決まっとろうが!なにや救急に運んだのに・・閉めおってあいつら!もう運んでやらん!」
僕はごく簡単にパッパッと診察した。意識レベル、顔色、酸素飽和度、脈。
「紹介状はないな。いったいどういうつもりなんだ・・・じゃあザッキー、頼む!」
「夜には用事が!」
「断れ!じゃ!来いトシキ!」
僕は2台目・・をトシキに任せた。
「ハッチが開くが、心マッサージしてる。DOAっぽい」
「真珠会出てからずっと心マ・・?手遅れなのでは?」
「オレが知るかよ。救急車内で急変したのかも」
「僕1人でできます」
「バカ!もう1人いるだろ!眼科医!」
救急修行中の眼科医が走ってきた。
「オレでよければ!」
「トシキが呼吸管理、お前は循環管理!」
「えっ?」早くもビビッている。
「呼吸はアンビュー挿管レスピ!循環はマッサージにカテコラミン投与!しっかりしろ!」
「すまん!」
「患者に謝れ!」
3台目が1・2台目をよけ、入り口付近に停車。
僕はぶつかりそうになりながら、ジャンプで中を覗いた・・が見えず。
「慎吾!慎吾来い!」
「オッス!」ハチマキした慎吾が走ってきた。
「分からなければ呼べ!」
次、うしろの4台目。すでにストレッチャーが運ばれてきている。
追いかけながら指示を出す。
「もしもし聞こえるか?弥生先生!遠藤先生と所見をとれ!軽症だとは思うが!」
5台目のベッドも出され、ピートが心マッサージを代わった。
「救急隊アンビュー継続で!あとで自分が代わります!」
6台目もすでに停車し、ナースらが運びにかかる。
途中、脈など確認。幸いこれも、呼吸停止という感じではない。
「ではこの人は・・・この検査を!」
メモを渡し、7台目へ。
7台目・・・駐車場奥の、最後尾で停止。この救急車だけ、新型っぽい。「P」という文字。
病院専用のか・・・。
スライドドアから、白衣の大柄がズドン、と地面に降りた。
「ふん!」
「お前は・・・」
見たことあるが、思い出せない。
「オレを覚えてるか?」黒ずんだゴリラ顔。
「さあ。真珠会病院の医者か?」
「使いってとこだ」
「そこに患者は?」
「この車はスタッフルームだ。お前らの貧乏車とは違う」
僕は振り返り、救急室へ向かった。ムダ話の暇はない。
しかし思い出し、振り向いた。
「そうだ。お前、マーブルって奴だろ?」
「昔のあだ名で慣れ慣れしいぞ!」
やっぱりそうか。あいつは確か・・・。いっしょに透析患者を手伝って・・・そんで。
「まあいいさ!どうでもいい!」
ごったがえす救急室、ピートの心臓マッサージを代わった。
「医長!挿管はした!呼吸器はいつでも装着!」
「してくれ!ボスミンなどは?」
「吸ったな?おーい!」ピートが声をかけると、遠くのナースがアンプルを次々と切っている。
「待ってよ!待ってよ!無理よ!」
モニターは、マッサージしなければフラット。
「ダメだ。続けよう。DCは?」
「おいDC!DC!」ピートの声は周囲にかき消された。
「くそっ!ダメだ。みな自分で精一杯だから・・・!」
マッサージしながら考えた。
「ピート、代わって!」
「よし!」
「すまんが聞け!処置台・DCなど中央に集めて!おい事務長!以下同文!」
「はい!」事務長が拡声器を取り出した。
『処置台!DCなどを中央に集中させよ!ベッドは放射状に取り囲む!はあはあ!』
「ハアハア、だけ余計だがどうも!」
マッサージで徐脈だが波形が出た。
「よし!硫アトで脈数を!」
ピートはIVHを挿入、固定した。「ここからいけ!」
「しかし、厳しいな・・」
中央に救急カート、DC,処置台などすべて揃った。
周囲からベッドが取り囲む。
もう1人のDOAは、トシキが挿管、呼吸器につなぐ。眼科医はIVHを入れているが・・
「ヘタクソ!入らないなら代わってくれ!」トシキがセットを奪い、何度も刺した鎖骨下から頸部へ変更。
5秒とかからず。
「眼科医先生は固定を!」
「す、すまんな」
「患者に・・!」
「わかったわかったから!」
3台目に来た患者、慎吾がモニターを見ている。50代女性。
「医長先生。呼吸がプープーおかしいんだ。風船みたいな口で」
「飽和度は異常ないが。自発呼吸にしても、呼吸の仕方がおかしい」
「レベルは200近くってとこだ」
「瞳孔はピンポイントっぽい。頭部CTは?」
「採血と心電図はやったぜ。オレが」
「自慢かよ。さっさとCTに行け!」
「血糖が・・今出た!280!高いぞ!」
「サッサとCTに行けよ!」
脳卒中か、ザー(SAH)か・・・。
6台目、ナースらが運んだ患者、各種検査中。
高齢男性、腹部に無数のオペ跡。
「腹部は緊満だな・・胸にもパイピング」
「レントゲンがこれ!」ナースが腹部レントゲンを渡す。
「臥位か。仕方ないな・・・なんだこのガス像は?」
「診断は?」
「イレウスと循環不全。心不全になってる。バイタルは?」
「血圧はまだでして」
「アホ!手を休めるな!」
一瞬だが、鬼軍曹が乗り移っていた。
思わぬ言動が飛び出すことがあるが・・僕は彼の影響をモロに受けている。
救急車が7台来る。
「あれだ!」
救急室からピートが飛び出した。
1台ずつ、列になってやってきた。
ピートと僕は駐車場に出て、斜めから見る。
「見えるかピート。心臓マッサージをしてるのは・・」
「2台目!と5台目!」
僕は振り返り、救急室出口のスタッフに指でサインした。
1台目のハッチが空いた。救急隊がストレッチャーを運んでくる。
「それそれ!」
「はい!」ザッキー、トシキらスタッフが受け取る。
「ったくもう!」隊員の1人が不満げだ。
「真珠会から?」
「決まっとろうが!なにや救急に運んだのに・・閉めおってあいつら!もう運んでやらん!」
僕はごく簡単にパッパッと診察した。意識レベル、顔色、酸素飽和度、脈。
「紹介状はないな。いったいどういうつもりなんだ・・・じゃあザッキー、頼む!」
「夜には用事が!」
「断れ!じゃ!来いトシキ!」
僕は2台目・・をトシキに任せた。
「ハッチが開くが、心マッサージしてる。DOAっぽい」
「真珠会出てからずっと心マ・・?手遅れなのでは?」
「オレが知るかよ。救急車内で急変したのかも」
「僕1人でできます」
「バカ!もう1人いるだろ!眼科医!」
救急修行中の眼科医が走ってきた。
「オレでよければ!」
「トシキが呼吸管理、お前は循環管理!」
「えっ?」早くもビビッている。
「呼吸はアンビュー挿管レスピ!循環はマッサージにカテコラミン投与!しっかりしろ!」
「すまん!」
「患者に謝れ!」
3台目が1・2台目をよけ、入り口付近に停車。
僕はぶつかりそうになりながら、ジャンプで中を覗いた・・が見えず。
「慎吾!慎吾来い!」
「オッス!」ハチマキした慎吾が走ってきた。
「分からなければ呼べ!」
次、うしろの4台目。すでにストレッチャーが運ばれてきている。
追いかけながら指示を出す。
「もしもし聞こえるか?弥生先生!遠藤先生と所見をとれ!軽症だとは思うが!」
5台目のベッドも出され、ピートが心マッサージを代わった。
「救急隊アンビュー継続で!あとで自分が代わります!」
6台目もすでに停車し、ナースらが運びにかかる。
途中、脈など確認。幸いこれも、呼吸停止という感じではない。
「ではこの人は・・・この検査を!」
メモを渡し、7台目へ。
7台目・・・駐車場奥の、最後尾で停止。この救急車だけ、新型っぽい。「P」という文字。
病院専用のか・・・。
スライドドアから、白衣の大柄がズドン、と地面に降りた。
「ふん!」
「お前は・・・」
見たことあるが、思い出せない。
「オレを覚えてるか?」黒ずんだゴリラ顔。
「さあ。真珠会病院の医者か?」
「使いってとこだ」
「そこに患者は?」
「この車はスタッフルームだ。お前らの貧乏車とは違う」
僕は振り返り、救急室へ向かった。ムダ話の暇はない。
しかし思い出し、振り向いた。
「そうだ。お前、マーブルって奴だろ?」
「昔のあだ名で慣れ慣れしいぞ!」
やっぱりそうか。あいつは確か・・・。いっしょに透析患者を手伝って・・・そんで。
「まあいいさ!どうでもいい!」
ごったがえす救急室、ピートの心臓マッサージを代わった。
「医長!挿管はした!呼吸器はいつでも装着!」
「してくれ!ボスミンなどは?」
「吸ったな?おーい!」ピートが声をかけると、遠くのナースがアンプルを次々と切っている。
「待ってよ!待ってよ!無理よ!」
モニターは、マッサージしなければフラット。
「ダメだ。続けよう。DCは?」
「おいDC!DC!」ピートの声は周囲にかき消された。
「くそっ!ダメだ。みな自分で精一杯だから・・・!」
マッサージしながら考えた。
「ピート、代わって!」
「よし!」
「すまんが聞け!処置台・DCなど中央に集めて!おい事務長!以下同文!」
「はい!」事務長が拡声器を取り出した。
『処置台!DCなどを中央に集中させよ!ベッドは放射状に取り囲む!はあはあ!』
「ハアハア、だけ余計だがどうも!」
マッサージで徐脈だが波形が出た。
「よし!硫アトで脈数を!」
ピートはIVHを挿入、固定した。「ここからいけ!」
「しかし、厳しいな・・」
中央に救急カート、DC,処置台などすべて揃った。
周囲からベッドが取り囲む。
もう1人のDOAは、トシキが挿管、呼吸器につなぐ。眼科医はIVHを入れているが・・
「ヘタクソ!入らないなら代わってくれ!」トシキがセットを奪い、何度も刺した鎖骨下から頸部へ変更。
5秒とかからず。
「眼科医先生は固定を!」
「す、すまんな」
「患者に・・!」
「わかったわかったから!」
3台目に来た患者、慎吾がモニターを見ている。50代女性。
「医長先生。呼吸がプープーおかしいんだ。風船みたいな口で」
「飽和度は異常ないが。自発呼吸にしても、呼吸の仕方がおかしい」
「レベルは200近くってとこだ」
「瞳孔はピンポイントっぽい。頭部CTは?」
「採血と心電図はやったぜ。オレが」
「自慢かよ。さっさとCTに行け!」
「血糖が・・今出た!280!高いぞ!」
「サッサとCTに行けよ!」
脳卒中か、ザー(SAH)か・・・。
6台目、ナースらが運んだ患者、各種検査中。
高齢男性、腹部に無数のオペ跡。
「腹部は緊満だな・・胸にもパイピング」
「レントゲンがこれ!」ナースが腹部レントゲンを渡す。
「臥位か。仕方ないな・・・なんだこのガス像は?」
「診断は?」
「イレウスと循環不全。心不全になってる。バイタルは?」
「血圧はまだでして」
「アホ!手を休めるな!」
一瞬だが、鬼軍曹が乗り移っていた。
思わぬ言動が飛び出すことがあるが・・僕は彼の影響をモロに受けている。
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