サンダル休日 木曜日最終 ? オーマイ裸足の女神よおヲ!
2006年10月10日ふたたび医局へ。事務長もついてきた。
「わんばんこー。アイアムサム!」
ガラッとドアを開けると、長い髪の日本人女性は・・・ソファで寝ていた。
側臥位になっており、長い髪が顔全体にかかっている。
「・・サダコみたいだな。おっとっと」
「シッ!」事務長にどつかれた。
あの映画が公開されて、<サダコ>という名前の人がどれだけ迷惑したことか。
「寝てるよ。事務長」
「・・・電気、消しましょうか」
「いやいや。このまま泊まらせるのはどうかな。いったん帰らそうよ」
「寝てるのに?」
「女医のこんな姿、お父さんは見たくないな。家に帰って風呂に入って・・・」
起こすため、ゆっくり彼女の肩に近づいた。すると・・・
「わっ!」
髪で隠れた顔から、見開いた目が飛び込んできた。
「ぎゃ!ぎゃあ!」
思わず足でテーブルを蹴り、上においてあるお菓子がふっとんだ。
「ひいい!」
あまりの痛さに飛び上がり、バランスを崩してそのままソファの弥生先生になだれ込んだ。
「うわっうわっ!おっととと!」
彼女の胸に手が埋まり、急いで引っ込めた。
「ごめんごめん!」
事務長は笑っていたが、今ので黙りこくった。
「ほ〜・・・わざとだな?」
「ま、まさか!」
弥生先生は上半身だけむくっと起き上がった。
「ジャーン!どうせあたしはサダコで〜す!」
「げげっ!聞いてたのか!」
「ブブー!お風呂は院内でちゃんと入りました〜!」
「げげっ!それも聞いてたか!」
どうやら、気分までは害してなさそうだ。
マスクをまだしたままで、どこかは不気味だ。
事務長は腕組みして、両膝を軽く屈伸し続けた。
「み〜たぞ、みたぞ・・!いい〜ふらした〜ろ!」
僕は話題をずらすため、彼女の横にぱっと座った。
「あ!あのな!も、もう帰るか?」
「重症の方がいるんで・・」
「重症・・あ、あの肺線維症疑いのな」
事務長は紳士的にうなずいた。
「お帰りなさいよ。弥生先生。今日は当直が2人いますから」
「2人?」弥生先生は驚いた。
「公衆衛生の教授さんと、この男です」
事務長は僕を指差した。
「あたしは、患者さんが心配なので・・・」
「今、急変しそうではないだろ。もしものときはまず当直医が」
「でも・・」
「そうしないと、体がもたんよ。師長はまず主治医主治医って言うけど」
「・・・・・」
「ま、夜間に何時間かごとに定期的に回診するっていうなら意味はあるけどな」
「すみません。寝てまして・・・」
事務長は僕の真後ろから、本でどついてきた。
弥生先生は立ち上がった。
「診てきます」
「いや、強制で言ってるんじゃあなくて」
「浅はかでした。すみません」
「おいおい、俺にあやまるなよ。かんじ・・いたっ!」
また事務長がどついてきた。今度は仙骨部で、かなり痛かった。
「弥生先生。俺の言うことなんか、ま、軽く聞き流せよ」
「いえいえ。でも先生、あたしを女医だからって、あまり甘やかそうとしないでください」
「?そうか?」
「そうしないと、あたしは成長しないし、それがミスにもつながるし」
言うことは、言うんだよな・・・。
弥生先生はコツコツと歩いていき、廊下へと消えた。
「事務長。彼女、行っちゃったな・・・」
「み〜たぞ、みたぞ・・」
「なんだよ。思わずよろめいたんだよ!」
「いや〜。これはうまくいくかもな?」
「なにがだ?ブルガタ!」
「ごまかさないでください。でも先生。彼女、かわいいじゃないですか!」
「そ、そうかもな・・・」
事務長はクネクネと、似ても似つかない身をくねらせた。股をパカパカ開く。
「せんせ〜い!あたしを女医だからって〜」
「だる。嘔気・倦怠感ありだ!」
「あまり甘やかそうとしないで〜!だって!」
「ま、それでも女医は女医なんだよな・・・俺から言わせてもらうと」
「あさはかでした〜すんませ〜ん!」
僕はさきほどの手を、目の前に出してみた。
「いや、浅くはない・・・」
「え?」
「深かった・・・!」
事務長は肘で突付いてきた。
「憎いよこの!ドコンジョガエル!」
「やれやれ。じゃ、やるか。♪どっこい生きてるはい!」
「(2人♪)シャツの、なっか〜」
事務長は帰り、僕はそのままソファで寝ていた。
ふと寝たかと思うと、彼女は戻ってきた。入るなり、電気が消える。
「うっ?」
「寝てるかなと思いまして」
「あ、ああ。すまんな」
「呼吸状態は落ち着いてました」
「ほ、ほかの重症患者もついでに?」
「回診してきました。不整脈の指示、血圧の指示などを」
体が重くて起き上がれない僕は、Uボートの艦長のように感動していた。
「(私はいい部下をもった・・・最高の部下だ!)」
彼女は床に寝袋を敷き、靴を脱ぐ音。裸足になり、イモムシのように寝袋に入る音がした。
「サダコ、入ります〜」
「すす、すまなかったな、あれ」
「いいえ。あたし、実は心が広いんです。うさぎさんほどではないけど」
「うさぎ・・オレが?」
暗闇に、まだ目は慣れなかった。
「いや〜。長い1日だったな・・・」
「先生。奈良に行ったら、もう会えないんですか?」
「は?さあ・・・どれくらいそこに居るのか。俺にはさっぱり」
「週末とかは?」
「忙しくなければ、帰ろうかと思う。どして?」
「いっしょに食事とか、行きませんか?ああ言っちゃった」
「は?ええよ。いつでも・・」
こ、これはひょっとして・・・いい線一線、越えるのか?
しばらく沈黙があった。
「でも不安だな。ホントのところはどうなんだろ。オレは期待されて行くのか、このまま用なしで終わるのか・・・」
「・・・・・」
「事務長は俺に、期待しているとそう勝手に思ってる。それと・・」
「・・・・・」
「どうしてもな。こいつにだけは、って思う奴がいるんだよ。ハカセっていう奴でな。確かに頭はいいいんだが」
「ぐ〜・・・ぐ〜・・・」
「だる。寝たのかよ・・・」
そういう自分も、やがて眠りに落ちていった。
「はっ?」
瞬時にそう気づいたかと思うと・・・部屋はもう朝日でまぶしかった。
「あっ・・という間に朝かよ・・・いてて」
筋肉痛があり、伸びをする。
金曜日に突入か。
コンタクトをするために、起き上がり装着。目がようやく慣れてくる。
「ん?」
ソファの下の床に、弥生先生のマスクが落ちている。寝ている間に、取れたものと思われる。
「(そっか。そういや・・・この子、好意らしきものを)」
悪い気などするはずがない。男はそういうもの。
「(そうだな。オレも33になるし、こんな(容姿の)いい女医はぜいたくだよな・・・)」
勝手に話をでっちあげながら、よいせと立ち上がった。
「先生のトレードマーク、落ちてたよ。せんせ・・?」
そして・・・数歩進んだ。その足はゆっくりと立ち止まった。
「こ・・・これは?」
以下、<猿の惑星>の場面がかぶった。
『ここは・・・ここは地球だったんだ』
主人公が、へたっと膝をついた。
『なんてことだ!人間の奴ら!人間なんか、くたばってしまえ〜!』
画面には、ひからびた<自由の女神>が・・・。
「わんばんこー。アイアムサム!」
ガラッとドアを開けると、長い髪の日本人女性は・・・ソファで寝ていた。
側臥位になっており、長い髪が顔全体にかかっている。
「・・サダコみたいだな。おっとっと」
「シッ!」事務長にどつかれた。
あの映画が公開されて、<サダコ>という名前の人がどれだけ迷惑したことか。
「寝てるよ。事務長」
「・・・電気、消しましょうか」
「いやいや。このまま泊まらせるのはどうかな。いったん帰らそうよ」
「寝てるのに?」
「女医のこんな姿、お父さんは見たくないな。家に帰って風呂に入って・・・」
起こすため、ゆっくり彼女の肩に近づいた。すると・・・
「わっ!」
髪で隠れた顔から、見開いた目が飛び込んできた。
「ぎゃ!ぎゃあ!」
思わず足でテーブルを蹴り、上においてあるお菓子がふっとんだ。
「ひいい!」
あまりの痛さに飛び上がり、バランスを崩してそのままソファの弥生先生になだれ込んだ。
「うわっうわっ!おっととと!」
彼女の胸に手が埋まり、急いで引っ込めた。
「ごめんごめん!」
事務長は笑っていたが、今ので黙りこくった。
「ほ〜・・・わざとだな?」
「ま、まさか!」
弥生先生は上半身だけむくっと起き上がった。
「ジャーン!どうせあたしはサダコで〜す!」
「げげっ!聞いてたのか!」
「ブブー!お風呂は院内でちゃんと入りました〜!」
「げげっ!それも聞いてたか!」
どうやら、気分までは害してなさそうだ。
マスクをまだしたままで、どこかは不気味だ。
事務長は腕組みして、両膝を軽く屈伸し続けた。
「み〜たぞ、みたぞ・・!いい〜ふらした〜ろ!」
僕は話題をずらすため、彼女の横にぱっと座った。
「あ!あのな!も、もう帰るか?」
「重症の方がいるんで・・」
「重症・・あ、あの肺線維症疑いのな」
事務長は紳士的にうなずいた。
「お帰りなさいよ。弥生先生。今日は当直が2人いますから」
「2人?」弥生先生は驚いた。
「公衆衛生の教授さんと、この男です」
事務長は僕を指差した。
「あたしは、患者さんが心配なので・・・」
「今、急変しそうではないだろ。もしものときはまず当直医が」
「でも・・」
「そうしないと、体がもたんよ。師長はまず主治医主治医って言うけど」
「・・・・・」
「ま、夜間に何時間かごとに定期的に回診するっていうなら意味はあるけどな」
「すみません。寝てまして・・・」
事務長は僕の真後ろから、本でどついてきた。
弥生先生は立ち上がった。
「診てきます」
「いや、強制で言ってるんじゃあなくて」
「浅はかでした。すみません」
「おいおい、俺にあやまるなよ。かんじ・・いたっ!」
また事務長がどついてきた。今度は仙骨部で、かなり痛かった。
「弥生先生。俺の言うことなんか、ま、軽く聞き流せよ」
「いえいえ。でも先生、あたしを女医だからって、あまり甘やかそうとしないでください」
「?そうか?」
「そうしないと、あたしは成長しないし、それがミスにもつながるし」
言うことは、言うんだよな・・・。
弥生先生はコツコツと歩いていき、廊下へと消えた。
「事務長。彼女、行っちゃったな・・・」
「み〜たぞ、みたぞ・・」
「なんだよ。思わずよろめいたんだよ!」
「いや〜。これはうまくいくかもな?」
「なにがだ?ブルガタ!」
「ごまかさないでください。でも先生。彼女、かわいいじゃないですか!」
「そ、そうかもな・・・」
事務長はクネクネと、似ても似つかない身をくねらせた。股をパカパカ開く。
「せんせ〜い!あたしを女医だからって〜」
「だる。嘔気・倦怠感ありだ!」
「あまり甘やかそうとしないで〜!だって!」
「ま、それでも女医は女医なんだよな・・・俺から言わせてもらうと」
「あさはかでした〜すんませ〜ん!」
僕はさきほどの手を、目の前に出してみた。
「いや、浅くはない・・・」
「え?」
「深かった・・・!」
事務長は肘で突付いてきた。
「憎いよこの!ドコンジョガエル!」
「やれやれ。じゃ、やるか。♪どっこい生きてるはい!」
「(2人♪)シャツの、なっか〜」
事務長は帰り、僕はそのままソファで寝ていた。
ふと寝たかと思うと、彼女は戻ってきた。入るなり、電気が消える。
「うっ?」
「寝てるかなと思いまして」
「あ、ああ。すまんな」
「呼吸状態は落ち着いてました」
「ほ、ほかの重症患者もついでに?」
「回診してきました。不整脈の指示、血圧の指示などを」
体が重くて起き上がれない僕は、Uボートの艦長のように感動していた。
「(私はいい部下をもった・・・最高の部下だ!)」
彼女は床に寝袋を敷き、靴を脱ぐ音。裸足になり、イモムシのように寝袋に入る音がした。
「サダコ、入ります〜」
「すす、すまなかったな、あれ」
「いいえ。あたし、実は心が広いんです。うさぎさんほどではないけど」
「うさぎ・・オレが?」
暗闇に、まだ目は慣れなかった。
「いや〜。長い1日だったな・・・」
「先生。奈良に行ったら、もう会えないんですか?」
「は?さあ・・・どれくらいそこに居るのか。俺にはさっぱり」
「週末とかは?」
「忙しくなければ、帰ろうかと思う。どして?」
「いっしょに食事とか、行きませんか?ああ言っちゃった」
「は?ええよ。いつでも・・」
こ、これはひょっとして・・・いい線一線、越えるのか?
しばらく沈黙があった。
「でも不安だな。ホントのところはどうなんだろ。オレは期待されて行くのか、このまま用なしで終わるのか・・・」
「・・・・・」
「事務長は俺に、期待しているとそう勝手に思ってる。それと・・」
「・・・・・」
「どうしてもな。こいつにだけは、って思う奴がいるんだよ。ハカセっていう奴でな。確かに頭はいいいんだが」
「ぐ〜・・・ぐ〜・・・」
「だる。寝たのかよ・・・」
そういう自分も、やがて眠りに落ちていった。
「はっ?」
瞬時にそう気づいたかと思うと・・・部屋はもう朝日でまぶしかった。
「あっ・・という間に朝かよ・・・いてて」
筋肉痛があり、伸びをする。
金曜日に突入か。
コンタクトをするために、起き上がり装着。目がようやく慣れてくる。
「ん?」
ソファの下の床に、弥生先生のマスクが落ちている。寝ている間に、取れたものと思われる。
「(そっか。そういや・・・この子、好意らしきものを)」
悪い気などするはずがない。男はそういうもの。
「(そうだな。オレも33になるし、こんな(容姿の)いい女医はぜいたくだよな・・・)」
勝手に話をでっちあげながら、よいせと立ち上がった。
「先生のトレードマーク、落ちてたよ。せんせ・・?」
そして・・・数歩進んだ。その足はゆっくりと立ち止まった。
「こ・・・これは?」
以下、<猿の惑星>の場面がかぶった。
『ここは・・・ここは地球だったんだ』
主人公が、へたっと膝をついた。
『なんてことだ!人間の奴ら!人間なんか、くたばってしまえ〜!』
画面には、ひからびた<自由の女神>が・・・。
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