○ ナトリウム

■高ナトリウム血症 

 原因の多くは脱水。点滴が少なかったり、利尿剤の加療投与で尿量が多すぎた場合。つまり入院している間の病態に多い。夏は熱中症のときにみる。普通に生活していれば、通常は脱水は水分摂取で容易にかつ無意識に補正できる。

 その無意識のコントロールは?脳の視床下部にある浸透圧受容体、?腎臓がつかさどる(尿排泄を減少)。なので脳の病変(蘇生後脳症など重篤な病態)でここが侵された場合、思わぬ高ナトリウム血症を招きうる。

■ 低ナトリウム血症 

 原因は大きくは2つ、?塩分不足か?水分による希釈。希釈といっても点滴の加療投与つまり水分負荷、あと水分のとり過ぎによる水中毒、あと心不全による体液水分過剰、という機序もある。あと?と?の中間にあたるSIADHがときに脳・肺疾患で合併する。これらもやはり入院時にみられてくることが多いが、外来では心不全・肺炎の診断過程で見つかることがある。

 実際入院中にこれらの病態がみられた場合、主治医は原因検索とともに治療の指示、それと近々再検の予定をする必要に迫られる。

 低ナトリウムでは110台の場合痙攣のリスクがあり、さらに110を切る場合呼吸停止の可能性を説明しなくてはいけない。単純な医者の場合ナトリウムを足して様子見ということもあるが(明らかに塩分不足なら分かるが)、積極的に足すとしたらSIADHを念頭に置いた場合だろう(利尿しつつ)。

 高ナトリウムでは160を越えれば深刻。点滴調整の惰性によるよほどの脱水か、脳・中枢性疾患の重篤な病態があるのか。

 いずれにしても原因が1つとは限らないこともあり計算どおりにいかないこともあるので、治療が正しいと思っても連日その効果を追跡していく必要がある。

 マラソンランナーはかなり汗をかくわけだが、ならば高ナトリウムになると予測されます。

 それ!間違いです!

 実際は水分補給を繰り返す結果、過剰水分による低ナトリウムのほうを来たすのである。これ!重要です!

○ カリウム

 細胞外・・つまり血液・体液に沿って仲良く流れるのはナトリウムだが(これ!フェイントです!)、カリウムは違って筋肉など細胞内に分布する。カリウムは腎臓で尿になる直前、近位尿細管とヘンレ上行脚でその9割が再吸収され、尿中に実際どれだけ排泄するかを決める権限は<遠位尿細管〜集合管>=CCD = cortical collecting ductにある主細胞に委ねられる。なお再吸収も集合管間在細胞にあるH-K-ATPaseにより調整されている。尿中K排泄が20mEq/day以上なら腎性の(腎臓由来の)K喪失と判断でき、それ以下なら摂取不足か腎臓以外での排泄(嘔吐とかサードスペース)を考えることになる。尿中K排泄量は尿細管因子(CCDでのK濃度)と到達量(CCDまでの到達Na量)の2つの因子によって規定される。片方が邪魔されても片方で一定を保てるという便利なメカニズムである。

■ 低カリウム血症

 3.5mEq/L以下の場合をいう。心不全などの集中治療で利尿剤を頻回に使用した際によくみる。外来の利尿剤内服でもみるし、胃腸炎などで脱水の患者でも多い。筋肉への分布が多いので筋力低下を来たしてくるが、四肢だけでなく横隔膜・呼吸筋(呼吸への影響)、消化器の平滑筋(イレウス)にまで影響が及んでくる。低ナトリウムそのもので不整脈のリスクがあり、ジギタリス内服下では中毒を招きやすい。

■ 高カリウム血症

 5.0mEq/L以上の場合をいう。乏尿・無尿をきたす腎不全、または重篤な多臓器不全、呼吸不全のアシドーシスに伴うもの、また透析患者でみられるカリウム蓄積が多い。外来では透析患者のほかに内服の副作用(ARBやACEなど)でみられることがある。それ以前に溶血のこともある。といっても溶血性貧血は稀で、検体採取の際の溶血が多い。なお症状は手先しびれ、筋力低下は低ナトリウムに似て紛らわしいが、7.0mEq/L以上となると心電図変化のT波増高や徐脈なども必発でありモニター管理が必須となる。

 原因はいろいろだがいずれも生命への危険に関係したものが多いため、治療はあくまでも個々の病態により異なる。緊急で速攻下げないといけない場合はカルシウム製剤あるいは重炭酸の静脈投与、G-I療法(ブドウ糖・インスリン同時投与)、またβ2刺激薬の吸入が有効の場合あり。ゆっくり下げるなら内服あるいは腸より陽イオン交換樹脂。肺炎などでの重篤な患者では単に利尿で排泄させても高カリウムは解決しないことが多く、動脈血のpHを確認して補正すべきである。当直のときの落とし穴である。これ!重要です!

 まだ!書きかけです!

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